在留邦人向け安全の手引き 在サウジアラビア日本国大使館

在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。


在サウジアラビア日本国大使館在ジッダ日本国総領事館
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防犯の手引き

平成24年2月
在サウジアラビア日本国大使館

はじめに

当館では,当地で邦人の皆様が安全に生活できるための参考資料として「防犯の手引き」を作成し定期的に改訂しております。海外で安全な生活を送るためには,日頃から治安・防犯に対する配慮が不可欠です。

この手引きは,一般犯罪や交通事故等に対する基本的な注意事項について記載しております。

皆様が当地において安全で快適な生活を送られるため,この手引きが少しでもお役に立てれば幸甚です。

在サウジアラビア日本国大使館

目次

  1. 防犯の基本的な心構え
  2. 一般治安の概要
    • (1)犯罪発生状況
    • (2)日本人の被害例
    • (3)過去の犯罪発生事例
  3. 防犯対策
    • (1)窃盗
    • (2)銃器犯罪
    • (3)性犯罪等
    • (4)夜型社会に伴う防犯
    • (5)写真撮影に関する注意
  4. 交通事情と事故対策
    • (1)近年の発生状況
    • (2)交通事故予防対策
    • (3)交通事故に巻き込まれた場合の注意事項
    • (4)当国の交通死亡事故抑止対策
  5. 宗教警察(勧善懲悪委員会)について
  6. 参考資料
    • (1)緊急連絡先
    • (2)非常時の参考アラビア語

1.防犯の基本的な心構え

(1)「自分の身は自分で守る」

どんなに安全な地域に住んでいても,事件・事故に巻き込まれる可能性はあります。自分と家族の安全は自分達全員で守るとの心構えが極めて重要です。

(2)「予防こそが最良の危機管理」

「予防」こそが最良の危機管理であることを認識して,そのために努力を惜しまないことが肝要です。

(3)「最悪に備えるも,行動は冷静に」

「備えあれば,憂いなし」,常に最悪に事態を想定し,物心両面の準備を万全にしておく必要があります。

(4)「安全のための三原則」

「目立たない」,「行動のパターン化を避ける」,「用心を怠らない」が海外で安全に生活するための3原則です。現地の文化,風俗,価値観を十分考慮した上で行動することが望ましく,「郷に入っては郷に従え」の精神が重要です。

(5)「ネットワークを作る」

在留邦人,コンパウンドコミュニティー,職場等様々な形で情報や援助を差しのべてくれる個人や組織と安全確保のためのネットワーク作りを心掛けることが大切です。

(6)「精神衛生」と「健康管理」

「精神」と「健康」のバランスを図ることが重要であります。適度な運動等自分なりにリラックスできる方法を見出すことをお勧めします。油断が生じないよう必要な時に緊張を持続し得るのも,精神と健康のバランスが保たれてこそと言えます。

2.一般治安の概要

(1)犯罪発生状況

サウジアラビア(以下「サウジ」)では,窃盗などの犯罪行為は宗教教義に反する行為としてイスラム法(シャリーア)によって,窃盗は手首切断,殺人は斬首刑など厳しい刑罰が科せられます。それが抑止効果となって,一般的な治安に関しては欧米諸国に比べて比較的良いと言われています。

しかしながら,最近は若者の失業者の増大等の社会問題から,犯罪認知件数は増加傾向にあります。報道等によれば,ヒジュラ歴1431年(西暦2009年12月18日から2010年12月7日)中における犯罪認知件数は,20万件(前年比約3%増)を超しており,地区別にみるとリヤド(前年比約6%増),ジッダ(前年比約23%減),ダンマン(前年比約11%増)の順となっており主要都市を中心に犯罪が多発しております。

犯罪種別で見ると窃盗などの財産犯が6万4,000件強発生しており,前年比約32%と大幅に増加しております。

治安関係者の発言などによりますと,リヤドのディラ地区やバトハ地区のように週末を中心に多数の者が集まる場所や,リヤド東部のナシーム地区やリヤド南部のスウェイディ地区などのように比較的貧困層のエリアにおいて,犯罪が多発する傾向にあります。特に自動車盗などの車両関連窃盗や空き巣,事務所荒らし,忍び込みなどの侵入盗,加えてナイフやけん銃等を使用した犯罪が多発傾向にある模様です。

警察当局はリヤドなどの大都市において特別チームを編成し,パトロールの強化や検問所の増加を実施して犯罪防止対策に力を入れています。

(2)日本人の被害例

ここ数年における日本人の被害例としては,リヤド市内にある日本食レストラン「東京レストラン」近くの店舗駐車場において車上狙いが発生しています。また,同じくリヤド市内にある「リヤド・インターナショナル・エグジビジョン・センター」内で開催されたリヤド国際ブックフェアで置き引き被害が発生しています。

サウジ全土でみると過去には,空港での置引き被害,ダウンタウンでの自動車盗難・車上狙い被害,ひったくり被害,タクシーを利用した詐欺被害などの被害が発生しています。

(3)過去のテロ事件等発生事例

2006年2月に東部州アブカイクの石油施設における自動車爆弾テロ未遂事件,2007年2月にはマッカ州を観光旅行中のフランス人9人に対する過激派による襲撃事件(フランス人4名死亡),2009年10月にジーザーン州の検問所において治安機関と過激派との銃撃戦(過激派2名死亡)が発生しています。また,2010年5月にリヤド中心部に位置する「キングダムモール」付近で欧米人に対する襲撃事件(類似事件2件発生)が発生し,9月のサウジ建国記念日にターイフ,マディーナにおいて騒擾事件で約100名が逮捕される事案が発生しています。2010年12月にはリヤド州の検問所において,治安当局がテロリストと関係の疑いがある容疑者を射殺・逮捕しています。

2010年末頃から「アラブの春」と呼ばれる中東諸国において民主化の動きが活発化する中,サウジにおいては,東部州を中心に住民による抗議行動が散発的に発生し治安当局との間で衝突が起きるなどして死傷者が出る事案も発生しています。

従って,一般犯罪のみならず,過激派摘発に伴う銃撃戦や治安当局と抗議行動との間等に巻き込まれないよう十分注意した安全対策が必要です。

3.防犯対策等

(1)窃盗

過去,当国内で日本人が被害者となった一般犯罪はほとんどが窃盗です。車上狙い被害や自動車盗については,路上や道路に面している駐車スペースへ駐車した車両が被害に遭うケースが多く,また,レストラン等に駐車した際には夕刻から夜間の礼拝時間で店舗の人の出入りや通行人が少なくなる時間帯に発生しています。従って,警備員のいる管理された駐車場や人通りが多く明るい駐車スペースに駐車すること,車内に荷物を置かないこと等を心掛けて下さい。市内のカーショップで設置できる車両盗難防止アラームシステムは,設置を表示する点灯ライトやシールがあり,車上狙いに対しても防犯効果があります。

空き巣,事務所荒らし等については,外国人居住コンパウンド内であっても施錠を怠らないこと,ヴィラや事務所の周りを整理・整頓しておくこと,錠や扉を強化する等の防犯対策が必要です。

(2)銃器犯罪

当国での銃器所持は許可制ですが,違法所持が問題となっており,新聞報道等によると,違法銃器が強盗等の犯罪に利用されるケースが散見されます。銃器を使用した犯罪に万一遭遇した場合には,身体の安全を第一に考えて,可能な限り抵抗は避け金品を与える等犯人がその場から立ち去るよう冷静な行動を心掛けることが肝要です。

(3)性犯罪等

当地では宗教教義に基づく男女隔離が厳格に行われ,男性は親族以外の女性に接する機会がほとんどありません。また,モール・ショッピングセンター等において外国人女性が身体を触られる等の被害を受ける事案も発生していることから外出する際には,アバヤのみならずスカーフで隠して目立たないようにすることが大切です。

また,リヤドや東部州などの主要都市において,子供の行方不明事件,または誘拐(誘拐未遂を含む)事件が発生しています。女性に対する強姦目的のための誘拐であったり,子供が対象となっている犯罪であるため,十分に注意した安全対策が必要です。

(4)夜型社会に伴う防犯

当地は,過酷な気象条件等の理由から夜型社会であり,主要幹線道路沿いの大型店舗等は,一日最後の礼拝時間以降は大勢の客で賑わいます。特に週末は大変な混雑となり,店舗駐車場内での若者による暴走や喧嘩口論等,混乱した状況になる場合も見られ,夜間外出する際には,周辺の状況等に注意する必要があります。

(5)写真撮影に関する注意

過去に,邦人が許可を得ることなく発電所・石油関連施設を写真撮影することによって治安当局に一時的に身柄を拘束される事案が発生しています。官公庁などの政府施設や工業施設に限らず,空港,軍事施設,港湾施設などの重要防護対象になっている施設は一般的に写真撮影が禁止になっている一方で,重要施設の基準は明文化されておらず,曖昧であることを念頭におき,慎重に行動するよう心掛けて下さい。

4.交通事情と事故対策

(1)近年の発生状況

当国では,交通事故の多発が社会問題となっており,運転中の携帯電話の使用禁止,シートベルトの着用義務化,交通法規の罰金・罰則の強化,減点方式の採用等交通事故抑止の対策を講じています。また,交通事故の主な原因として,信号無視・違法なUターンが最も多く,次いで,速度超過,急停止,運転中の携帯電話使用などの脇見運転となっています。

サウジ経済企画省中央統計局公表の最新データ(2009年公表の統計)によると,サウジ国内でのヒジュラ歴1429年(西暦2008年1月10日から同年12月28日)の交通事故総数は485,931件であり,死亡者数は6,458人となっております。一方,2008年の日本国内での交通事故死亡者数が4,914人であることから,対人口比で見た死亡率が日本の約6~7倍となっていることになり,サウジでの交通事情が極めて劣悪であることが伺えます。

(2)交通事故予防対策

サウジ当局が各種取締りを実施し,また,高速道路,街路等の交通施設が整備されているにもかかわらず,交通事故の発生率が高い要因の一つとして,交通教育が十分に徹底されていないことが挙げられています。スピード違反,信号無視,急な進路変更等は日常茶飯事であり,自身が法規を守って運転するのはもちろんのこと,シートベルトを必ず着用し,十分な車間距離を保つとともに,常に前後左右の車両の動きを注視し,防衛運転に努めて下さい。

(3)交通事故に巻き込まれた場合の注意事項

不幸にして交通事故の当事者となった場合,大切なことは,事故を起こした車両は渋滞等のいかなる状況下であろうとも,警察官が現場に到着するまで決して車を動かしてはならないということです(車を移動した場合,証拠隠滅と見なされ,身柄を拘束されることがあります。)。また,当国の現場警察官はほとんど英語を解さないため,警察に通報すると同時に,スポンサーへの連絡を速やかに行って下さい。アラビア語を介するスタッフを呼ぶことで,事故処理がスムーズに行えますし,こちら側の主張も述べることができます。警察官に加害者と認定された場合,身柄を拘束されることもあります。また,相手方がサウジ人であれば,こちら側に過失がなくても,不利な立場に立たされることがあります。

(ア)一般的な事故処理の流れ

事故発生→ 交通警察への通報 → 交通警察による実況見聞 → 現場において警察官が事故番号を通知 → 1,2日後,事故現場を管轄する交通警察に行く → 事故番号を基に担当警察官に通される → 担当警察官から被害見積り関係書類を受領 → 交通警察構内において警察官が指定した3業者が立ち会い被害見積を実施(注1)→ 担当警察官は,事故当事者の過失の度合いと最低価格の見積書を基に補償額を決定し,最終報告書を作成 → 担当警察官から最終報告書,修理許可証(注2)を受領 → 相手方の保険カードのコピーと右最終報告書を保険会社に提出 → 補償金を受領,修理

※注1 交通警察構内での見積りは,工賃のみの見積りです。部品交換が必要な場合は別途ディーラー等からの見積りが必要となります。部品交換の見積もりの場合,業者は任意に選べ,1社で構いません。

※注2 修理許可証の有効期限は,2週間です。失効した場合再発行の手続きが必要となります。また,修理許可証がなければ通常,工場は修理を受け付けません。

※ 当国では運転免許の保有者は強制保険に加入しなければなりませんが,有効期限切れ等で保険に加入していない者もいます。相手方が保険に加入しておらず,かつ,補償金を支払うことが出来ない場合には,補償金を支払うまで身柄を拘束されます。また,相手方が補償金を支払うまで修理許可証が発行されない場合もあるようです。

※ 事故処理手続きの中で,受け取った書類は,必ず2,3枚コピーを取って下さい。各種手続きでコピーを求められることがあります。また,交通警察内には来客用のコピー機が設置されていないので,提出を求められコピーを持っていない場合,外部でコピーを作成しなければなりません。 

※ 交通事故で身柄を拘束されそうになっている等対応が困難な事態に陥った場合には,当館までご連絡・相談して下さい。

(4)当国の交通死亡事故抑止対策

交通死亡事故が多発している現在,サウジ政府の交通死亡事故抑止政策が強化されて,定期的に夜間取締まり等を実施しています。交通違反の態様は基本的に欧米と同じですが,特徴として

  • 取締りは,警察官の裁量に委ねられる場合が多い
  • 違反をした場合,身柄を拘束されるケースが多い
  • 交通事故の相手方がサウジ人であると,こちら側に過失が無くても不利な裁定を下されることあがる

等が挙げられます。

また,サウジ交通当局は,覆面パトカーによる交通違反取締りの強化だけでなく,2010年より「サーヘル」と呼ばれる交通監視システムの運用を開始しており,主要幹線道路や主要交差点に固定式カメラを設置するなどして速度超過や信号無視等を取り締まり,交通事故抑止対策の強化を実施しています。

5.宗教警察(勧善懲悪委員会)について

(1)当国には,イスラムの教義に反する行為を取り締まるため,「勧善懲悪委員会」(通称「ムタワ」)と呼ばれる政府機関があり,いわゆる宗教警察の役目を果たしています。「ムタワ」は私服(丈の短いトーブ,ヘッドスカーフにはイカール(頭に乗せる黒い輪)を使用しない)姿ですが,公務中は必ず職員バッジを付け,警察官と2人一組で見回りをして,イスラム教の教義に反する公共の場所での不適切な服装や行為を取り締まったり,通報に基づいて家宅捜索等を行います。具体的には,女性のアバヤ未着用・顔や髪の露出等,男性の短パン姿,セクハラ行為,ムスリム男性の礼拝不履行等に対する口頭注意,親族以外の男女が同席している場合の連行・警察への引き渡し,アルコール類の密造,飲酒,不純異性交遊,麻薬の所持・使用等の摘発を行います。外国人も注意・摘発の対象です。最近では,英語や外国人との接し方の訓練を受けた「ムタワ」も現れ,ショッピング・モールでは外国人女性に英語で頭髪を隠すよう注意するようになるなど,「ムタワ」側にも変化が見られます。但し,場合によっては,理由も良くわからないまま連行,身柄を拘束されることもあるようです。日本人や欧米人の目には理不尽に映るかもしれませんが,その土地の風俗習慣を尊重し,理解と敬意をもって対応することが海外生活を円滑にする上での基本であるとの見方に立って,サウジ社会への理解を深めることが,この問題を回避するための一番の近道と言えるのではないでしょうか。基本的には,その場から速やかに立ち去り,無用の紛議を避けるように努めることが大切です。特にラマダン月には一段と取締りが厳しくなるので注意が必要です。

(2)万一,ムタワに遭遇し,注意を受けた場合には下記のような対応が有効とされています。

(ア)注意・詰問された場合
みだりに紛議を生じさせないよう,努めて冷静に,かつ礼儀正しく対応し,注意事項が不当でなければすみやかに聞き入れ(スカーフで髪を覆う等)その場から速やかに立ち去るようにする。
(イ)同行を要求されたり,連行されそうになった場合
何も悪いことをしていないのであれば,毅然とした態度で同委員会の職員バッジ(顔写真入り)や同行警察官の存在を確認するなど相手の身分を確認するとともに,同行・連行を求める理由を聞くなどし,安易に同行・連行に応じないようにする。場合よっては,大声で抗議する。

6.参考資料

(1)緊急連絡先
(ア)在サウジアラビア日本国大使館

01-488-1100(※24時間対応。)

(イ)警察

一般事件 999

交通事故 993

高速道路警察 996

(ウ)消防 998
(エ)救急車 997
(2)非常時の参考アラビア語
助けて!
ネジダ!
サーイドゥーニー
私は日本人です
アナー ヤーバニー(男性の場合。女性の場合は"ヤーバニーヤ")
大使館(又はスポンサー)に連絡したい
ウリードゥ イッティサール ビッスィファーラ(大使館)
ウリードゥ イッティサール ビルカフィール(スポンサー)
触らないでください
ラー タムスィクニー / ラー タルマスニー
放して下さい
ウトルクニー
泥棒!
ハラーミー!
警察(救急車)を呼んでください,お願いします。
イッタスイル ビショルタ(イスアーフ),ラウ サマフタ

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