在留邦人向け安全の手引き 在パラグアイ日本国大使館

在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。


在パラグアイ日本国大使館在エンカルナシオン出張駐在官事務所
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安全の手引き

在パラグアイ日本国大使館
(平成24年度用)

Ⅰ はじめに

パラグアイでは1989年の軍事クーデターによる独裁政権の崩壊後,民主化が進み,内乱,クーデター,暴動等が発生する可能性は少なくなっています。

その反面,国内治安情勢は改善しておらず,空き巣,路上強盗や屋内強盗,殺人事件は増加しており,ここ数年は,EPP(パラグアイ人民軍)と称する反政府組織が,主に地方都市で犯罪を繰り返し行っています。

また,首都圏を中心に交通量が増加したことから交通事故も多発しており,特に二輪車が関係する交通事故に関しては,死亡事故に発展する場合が多く特段の注意を要します。

これらの事件事故及び緊急事態等に対処するために,日頃から防犯意識を持ち,不意の事案発生時には,冷静に対応することが必要です。

Ⅱ 防犯の手引き

1 防犯の基本的な心構え
(1)連絡体制の整備

電話連絡網等を整備し,緊急時にすぐ利用出来るよう心がけて下さい。

(2)情報入手方法の確保

日頃から最新情報の入手に努め,携帯ラジオ(乾電池式)や携帯電話の保持等,情報の入手方法の確保に日頃から心がけて下さい。

(3)一時避難場所の確認

緊急事態発生時の一時避難場所の確認をお願いします。

2 最近のパラグアイ犯罪発生状況

(1)近年パラグアイの主要犯罪発生件数は,2005年より毎年1,000件から2,000件のペースで増加しています。2010年の犯罪発生件数は1万4千件を上回り,2011年の同件数は1万9千件を超え,この1年で約5千件増加していることからも判るように,当国の治安は確実に悪化しています。

(2)近年は邦人被害の凶悪事件も増加傾向にあり,2007年2月に旅行者殺害事件,同年4月に身代金目的誘拐事件,2009年7月に屋内拳銃使用強盗殺人事件が発生しました。また、過去に見られなかった邦人移住地における屋内強盗事件も多発しています。首都アスンシオン市を始め都市部においては,人通りの多い昼間の時間帯でも中心街の商店等に対する拳銃使用強盗事件が増えており,時間・場所を問わず,パラグアイ全域で凶悪犯罪が発生する危険性があります。
その他身近な犯罪として、首都アスンシオン市及びその近郊では,バス内でのスリ・置き引き被害,中心街での引ったくり等が多数発生していますが、最近では,ナイフや拳銃等の凶器を使用した凶悪犯罪事件も発生しています。

(3)また,地方の農村部を中心に「土地なし農民」と呼ばれる農民による農地への不法侵入事案や反政府デモ,ゲリラ的な主要道路の封鎖,警察部隊との衝突事案等が多発しており,2011年9月下旬には,イグアス日本人移住地にも土地無し農民の侵入がありました(2012年2月下旬現在は退去し警戒を続けている状態)。現在も,これらの農民運動は一層活発化しており,注意が必要です。

(4)近年の邦人被害の主な事件事故等

路上バイク盗難事件(2011年12月,セントラル県ウパカライ市)
セントラル県ウパカライ市内の警察署内駐車場にてバイクを駐車していたところ,同バイクが盗まれた。
公共バス車内スリ事件(2011年11月,アスンシオン市)
日本人旅行者が,公共バスに乗車してバス・ターミナルで降車しようとしたところ,4人組の男性に囲まれ,背負っていたバック・パックを引っ張られたことから,バック・パックを盗られないように意識を集中させていたところ,前ポケットに入れておいた黒色財布及びバック・パック脇ポケットに入れておいたデジタル・カメラが盗まれた。
土地なし農民の不法侵入(2011年9月~12月,アルト・パラナ県イグアス市)
土地なし農民約100人が,イグアス日本人移住地の大西マリオ氏(日系人)の所有する農地(約90ヘクタール)の一角に侵入し,12月上旬まで占拠し続けた。
押し込み強盗未遂事件(2011年7月,イタプア県エンカルナシオン市)
日本人女性永住者が近所に10分ほどの所用で正面玄関の門扉の鍵を掛けずに外出した隙に,背広にネクタイ姿の若い2人組が同人の自宅敷地内に侵入し,留守番をしていた同人の夫(被害者)を捕まえ,犯人が隠し持っていたけん銃で被害者を脅して建物内の部屋を開けるよう要求したが,被害者が拒否したため,犯人は被害者を裏庭へ連れて行き,暴行した。
被害者が暴行を受けている最中に被害者の夫人が自宅に戻り,被害者の叫び声を聞いた同夫人は自宅内に入り鍵を掛け,2階から隣近所に大声で助けを求めた。叫び声を聞きつけた隣人が集まって来たため,2人組はバイクに乗って逃走したことから,被害金品は無かったが,顔は腫れ,肋骨に3本のひびが入る重傷であった。
重傷交通事故(2011年5月,カアグアス県エスティガリビア市)
日本人男性が,国道7号線路肩を友人と歩行中,後方から来た二人乗バイクに跳ねられ,頭部を強打し,右側頭頭蓋骨骨折及び脳内出血により重体。その後,意識不明のまま日本へ緊急輸送された。
盗難事件(2011年3月,プレジデンテ・アジェス県ビジャ・アジェス市近郊)
日本人旅行者が,通関のために財布の入ったリュックごと税関職員に手渡し,チェックを受けた後,何の疑問も抱かないままアスンシオン市内でタクシー運転手に代金を支払おうとしたところ,財布が盗まれていたことに気がついた。
公共バス車内スリ事件(2011年1月,アスンシオン市)
日本人旅行者が,公共バス車内において疲れていたことから子供にぶつかる等の接触があったが気にしないでいたところ,バスから降りる前に財布が盗まれていることに気がつき,スリ被害にあった。
路上ひったくり事件(2010年11月,アスンシオン市)
路上を徒歩で帰宅中,前方から走って来た男に左脇に挟んでいたセカンドバッグをひったくられた。被害者は犯人を追いかけたが、犯人は共犯者と思われる車に乗車して逃走した。
空き巣ねらい事件(2010年9月,アスンシオン市)
帰宅したところ室内が荒らされ,リビングルームの卓上に置いていたノートパソコンと腕時計が盗まれていた。事件後に不審な男女の二人組がマンションのモニター映像に写されていた。
路上強盗事件(2010年8月,アスンシオン市)
路上を歩いてバス停に向かっていたところ,前方から逆行して来た二人乗りのバイクがいきなり目の前で転倒した。驚いている間に突然後部座席にいた男が刃渡り20センチくらいの刃物を突きつけ,携帯電話機を奪って立ち去った。
屋内強盗事件(2010年5月,アルト・パラナ県フアン・レオン・マジョルキン市)
ホームステイ先で被害者がシャワーを浴びた後サロンに出たところ,銃を所持した四人組の強盗が既に住人を床に伏せさせており,現金(日本円3万4千円相当)やノートパソコン,携帯電話機を強奪して立ち去った。
車上ねらい事件(2010年4月,アスンシオン市)
薬局の駐車場に約10分間駐車していたところ,車両後部左側窓ガラスが割られ,車内に置いていたカバン(現金約1,000米ドル,旅券,携帯電話,デジタルカメラ等在中)を盗まれた。
空き巣ねらい事件(2010年3月,アスンシオン市)
国外旅行のために家を留守にし帰宅したところ,食堂のガラス扉が壊され,室内が物色されていた。現金約1,500米ドルや貴金属類,パソコン,携帯電話機が盗まれた。
路上強盗事件(2009年7月,アスンシオン市)
邦人旅行者男性が一人でセントロ地区を徒歩で観光中,二人組の少年にナイフを突きつけられ,財布を強奪された。
強盗殺人事件(2009年7月,ペドロ・ファン・カバジェロ市)
在留邦人男性が経営する商店に,営業時間中,拳銃を所持した2人組が客を装って侵入した。抵抗した経営者は拳銃で殺害され,妻も殴打され重傷を負った。
土地なし農民の不法侵入(2009年5月,イグアス市)
土地なし農民約70人がイグアス農協所有地に不法侵入し宿営した。
強盗事件(2009年3月,エステ市)
在留邦人男性が経営する商店に,営業時間中,拳銃を所持した四人組が押し入り,店主に発砲して現金を強奪した。
強盗傷害事件(2009年1月,ラ・コルメナ市)
在留邦人男性宅に麻薬捜査官を名乗る五人組が侵入し,家族を縛り上げ,現金や携帯電話,カメラ等を強奪した。
強盗傷害事件(2009年1月,フェルナンド・デラ・モラ市)
在留邦人男性宅に二人組の強盗団が侵入し,暴行を働いた上,現金や車等を強奪した。
土地なし農民の不法侵入(2008年8月~10月,アルト・パラナ県イグアス市)
土地なし農民約50人が日系移住者所有農地に不法侵入し宿営した。
強盗傷害事件(2008年3月,ペドロ・フアン・カバジェロ市)
在留邦人所有の農場に7~8人の強盗団が侵入し,警備員や使用人を縛り上げ,現金,トラック等を強奪した。
強盗傷害事件(2008年1月,イグアス市)
在留邦人男性宅に拳銃等を所持した強盗団が押し入り,暴行を働いた上,現金や車,デジカメ等を強奪した。
身代金目的誘拐事件(2007年4月,アルト・パラナ県エステ市)
不動産会社社長と秘書が宗教関係の集会に出席しての帰路,国道上で武装集団に襲われ誘拐された。身代金70万ドルを要求され20日後に解放された。
拳銃使用殺人事件(2007年2月,アスンシオン市)
邦人旅行者男性がチャカリータ地区(貧民街)で強盗に襲われ,抵抗したところ拳銃で頭部を打たれ死亡した。
交通死亡事故(2006年10月,セントラル県カアクペ市)
邦人男性旅行者が自転車で走行中,バスにはねられて死亡した。
強盗殺人事件(2006年1月,アルト・パラナ県エステ市)
大規模牧場等を経営する在留邦人男性が,金銭目当ての強盗により殺害された。使用人が事件に関与していたとして逮捕された。
3 防犯のための具体的注意事項
(1)住居
  • 住居を定めようとする地域の周辺環境、及び立地条件を検討する。
  • 外壁(高さ,材質),玄関ドア(のぞき穴,材質),窓(鉄グリルの設置),施錠(鍵の交換),避難室・警報機の設置,警備員契約等に配慮する。
  • 日頃から、隣人や周辺に駐車している車両を把握しておく。
  • ホテルへ滞在する際は安宿を避け,信頼できるホテルに宿泊する。
(2)外出時
  • 派手な服装や肌の露出は控え,高価な貴金属等の装飾品は身に着けない。
  • バス内では眠らない。持ち物から目を離さない。
  • チャカリータ(貧民街)地区には近づかない。
  • 徒歩で移動する際は,できる限り人通りの多い道を選び,路地・裏道は避ける。
  • 路上生活者や物売りに対しては,相手が子供であっても油断しない。
  • 交通費を惜しまず,出来るだけ一等バスやタクシー等を利用する。
  • 常に周囲の状況を把握する。
  • 外出時間や行動ルートは不定期に変更する。
  • 集会やデモには近づかない。
  • 夜間の外出は避け,どうしても出かける際は二人以上で車を利用する。
  • 万が一,拳銃強盗等の凶悪犯に遭遇した場合は絶対に抵抗しない。
  • 車両購入等に関する注意事項
    • 道路事情が悪いため,車高の高い四輪駆動車が望ましい。
    • 定期的にメンテナンスを実施する。
    • 乗車前には車両及び周囲の状況をチェックする等,乗降時は周辺の警戒を怠らない。
    • 乗車中は必ず車両を施錠する。
(事例1)
長距離バスで寝てしまい,気がつくとポケットに入れていた携帯電話が盗まれていた。
(事例2)
路線バス乗降の際,数人に通路を邪魔され前に気を取られている間に,ズボンの後ろポケットから財布をすられた。
(事例3)
自宅に車両で戻り車庫のシャッターを開け閉めしている間に強盗に押し入られ,拳銃で脅されて現金等を強奪された。
(3)生活
  • 自宅内でも現金や貴重品等を放置せず,鍵のかかる金庫等にしまう。
  • 外出時は,家族や信頼出来る友人等に必ず一言「○○へ行く」と伝言する。
  • 郵便物で貴重品を送らない。
  • 休暇等で家を空ける際,信頼できる友人等に異常の有無の連絡を依頼する。
4 交通事故

パラグアイは,道路状況が悪く整備不良車が多い上,交通ルールや運転マナーも無いに等しいです。最近は,自家用車やオートバイが急増しているため,交通事故が多発しています。特に路線バスやタクシー,オートバイと接触する事故が増加しており,それらの近くを徒歩や車両で通行する場合は,事故に巻き込まれないよう十分な注意が必要です。また,早朝・深夜・週末は飲酒運転等の悪質運転者が増え,速度超過,無理な割り込み,追い越し等を原因とする事故が多発しています。十分な車間距離を取った安全走行,横断,通過に心がけて下さい。

5 テロ・誘拐対策(一般論)

(1)パラグアイにおけるテロ対策上のポイントは,ブラジル及びアルゼンチンと接する三国国境地帯の国境管理です。シウダ・デル・エステ(エステ市)を中心としたこの地域には,イスラム過激派を支援する住民の存在が指摘されていますが,その実態については不明な点が多いと言われています。この地域は以前から蔓延している汚職や人的体制の不整備等により,また,パラグアイ側の国境管理が脆弱なため三国間の連携がほとんど無いことから,テロリストが陸路で容易にパラグアイへ入国出来る状態です。特に国境付近では十分な注意が必要です。

(2)2011年にテロ事件は発生しておらず,パラグアイにおけるテロ組織も把握されていません。しかし,テロ対策を強化している国での活動を避けた外国のテロ組織が,国境管理の弱いパラグアイへ侵入してくる可能性があります。最近は,政府に不満を抱いている労働者・貧困階級や土地なし農民等による大規模な集会・デモが頻発しており,土地に不法侵入している状況が見受けられます。今後,同集会等にテロ・ゲリラ組織等が潜入し,後方支援役となって不法行為を手助けをする等,パラグアイの治安が更に悪化し,その結果テロや誘拐事件が発生する可能性はあります。

(3)誘拐事件は,2002年から2006年まで合計約20件の発生に止まっていましたが,2007年の1年間に13件と激増し,同年には身代金目的の日本人誘拐事件も発生しました。その後も,2008年4件,2009年7件,2010年6件,2011年6件(1件は未遂)の誘拐事件が発生しており,誘拐ビジネスの活性化が懸念されています。

誘拐を実行している犯人は身代金目的の粗暴犯であり,武装した犯人が金銭的に裕福と思われる人物を誘拐している状況です。被害者は日本人に限らず誰でも狙われる状況にあり,2011年に発生した6件については,商店経営者の息子(14歳と10歳),宣教師の息子(10歳),生後数日の乳児(2件),女性会計士(31歳),財団前院長の娘(19歳,未遂)と弱者が対象となりました。

2006年までは怨恨や政治目的等による誘拐が主でしたが,貧困の度合いが進んできたため,最近では拳銃やライフル銃等の大型武器を使用した身代金目的の誘拐がほとんどです。また,車両等へ一時的に身柄を拘束しATM等で現金を引き出させ金品を入手後に被害者を解放する,いわゆる「短時間誘拐(エクスプレス誘拐)」も頻繁に発生しており,十分な注意が必要です。

6 その他の留意事項

パラグアイは,国境を越えて不法に連れ去られた子の返還の仕組み等を定める「国際的な子の奪取の民事面に関する条約(ハーグ条約)」の締約国です。父母のいずれもが親権を有する場合,一方の親が他方の親の同意を得ずに子の居所を移動させること(親が日本へ帰国する際に子を同行する場合を含む)は,重大な犯罪(実子誘拐罪)となる可能性がありますので,ご注意下さい。その場合には,最寄りの判事事務所(Juzgado de Paz)で必要な手続きを行うことでトラブルを未然に防ぐことが出来ます。

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