在留邦人向け安全の手引き 在メキシコ日本国大使館

在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。


安全の手引き

2012年2月改訂
在メキシコ日本国大使館

Ⅰ はじめに

メキシコは,政治的には比較的に安定していますが,治安面では近年非常に悪い状態が続いており,邦人の犯罪被害例は,大使館に届出のあったものだけでも,2007年83件,2008年75件,2009年53件,2010年61件,2011年には63件が確認されています。

2006年12月に就任したカルデロン大統領は,治安対策をその最重要課題の一つとして掲げ,警察組織の改編をはじめ,治安改善に向けた努力を進めています。同時に,特に麻薬犯罪組織に対する取締りを強力に推し進める中,これに抗する犯罪組織からの治安当局に対する攻撃や,麻薬組織同士の抗争も激化しています。本年は未だ連邦政府による2011年年間の麻薬組織犯罪関連の殺人被害者数の発表がされていませんが,連邦検察庁が発表した同年1月~9月の被害者数は12,903人であり,一昨年同時期の11,583人を上回っており,年間の値を推計すると17,200人を超え,一昨年の15,273人を大幅に上回ることが予想され,現段階では,治安が回復する兆しは見えていません。

また,2007年後半からは,比較的安全とされていた地方都市でも邦人被害の犯罪が増加する等,犯罪被害の地方拡散の傾向も確認されています。

こうした情勢のもと,当大使館は,メキシコ日本商工会議所,日墨協会,日本メキシコ学院,その他日系関連団体・ネットワークの方々と情報交換・意見交換に努め,「大使館からのお知らせ」等のメール配信等により,広く皆様方に安全について注意喚起させていただいています。

この活動の一環として,「安全の手引き」を作成,配布しているところですが,この度,昨今の情勢を踏まえて本小冊子を改訂いたしました。

この小冊子は,メキシコに在住される邦人の方々に対して,その安全対策の指針(参考)となればという願いのもとに編集されたものです。

海外生活での安全確保については,滞在されている皆様方各人の意識に委ねられるといっても過言ではないと思われますが,本冊子がその一助となれば幸いです。

2012年2月
在メキシコ日本国大使館

Ⅱ 防犯の手引き

1 当国治安情勢
(1)一般犯罪

メキシコ国内の一年間の総犯罪被害届出件数は,治安機関発表によれば,約165万件(2010年統計)とされ,犯罪発生認知件数で見た場合,統計上は日本(2010年:約158万件)と同程度の数値となっています。しかし,その一方で,当地では犯罪被害の届出率が低い(一説によると被害届提出率10~15%)ことを勘案すれば,公式統計よりも,犯罪発生はかなり高い数値で推移していると思われ,実質的には犯罪発生率は日本の数倍であろうと考えられます。

邦人が被害となる犯罪でも,凶悪犯罪の発生は少なくなく,近年だけでも,次のような事件が発生しています。

  • 2003年1月,邦人駐在員が交通上のトラブルから,けん銃で射殺された事件,
  • 2003年6月,邦人留学生がペセロ(バス)に乗車した後にバスジャックされた事件(同日解放),
  • 2004年10月,邦人店主が誘拐された事件(同日解放),
  • 2005年7月,邦人女性が自宅にて首を絞められ殺害された事件,
  • 2005年11月,帰宅途中の留学生が6人組グループに襲われ,けん銃を発砲され(至近距離を通過するも負傷なし),多額現金を強奪された事件,
  • 2006年7月,邦人駐在員が帰宅した際に誘拐された事件(誘拐途中に脱出)
  • 2008年4月,出勤した邦人駐在員が駐車場にて射殺された事件
  • 2010年5月,邦人旅行者がひき逃げされ死亡した事件
  • 2011年1月,在留邦人が強盗に襲われ,後日死亡した事件
  • 2011年2月,邦人出張者が車両を運転中に銃撃され負傷した事件

特に,邦人に脅威となっているのが誘拐事件です。高額な身代金を要求するものから,短時間身柄を拘束し,家族等に比較的低額の身代金を要求したり,銀行ATMを連れ回し,口座の全額を引き下ろさせる等の「特急誘拐」と呼ばれるものまで,メキシコ市を中心に各地で多発しています。08年には,日系人の誘拐事件の被害も確認されました。

また,けん銃やナイフ等の凶器を用いた強盗事件も多発しており,邦人の被害だけでも,2007年10件,2008年7件,2009年5件,2010年9件,2011年も9件が確認されています。

さらに,2007年後半以来顕著となったのが,犯罪の地方拡散傾向です。これまで,「メキシコといってもメキシコ市以外の地方は安全」と言われていましたが,邦人被害の発生地について,2006年にはメキシコ市以外の地方が占める割合が25%であったのに対し,2008年は55%と急上昇し,2009年では62.3%におよび,「地方は安全」という神話は崩れつつあります。2010年は,地方での発生率は減少(全体の46%)しましたが,2011年は再び増加(全体の58.7%)し19州にわたり発生しています。

(2)薬物情勢

当国では,マリファナや覚せい剤が生産されているほか,南米からのコカインが米国等へ流入する際の経由地になっているとされています。

薬物情勢に関しては,日本とも決して無縁ではなく,2007年10月には,成田空港からメキシコへ覚せい剤原料の錠剤160キロの密輸を試みたメキシコ人3人が検挙されました(同種錠剤の押収量としては日本国内で過去2番目)。

2008年末から2009年4月にかけ,メキシコから麻薬を密輸しようとしたメキシコ人が成田空港にて相次いで検挙されました。

また,2006年には,メキシコ市の危険地帯であるテピート地区で,3人の邦人旅行者がマリファナを購入し,警察に身柄拘束されました。

2010年には薬物犯罪により2人の邦人が逮捕されました。

(3)政府による麻薬対策

2006年12月にカルデロン大統領が就任してから,連邦政府は麻薬組織との闘いに取り組んでおり,軍を投入した掃討作戦を展開しています。連邦政府は2009年に最も危険な人物として37名を指名手配し,現在までに20名が逮捕あるいは殺害されています。その結果,麻薬組織は弱体化する一方,組織の分裂と連邦政府への抵抗により,国内北部国境地域を中心として麻薬組織間及び連邦政府と麻薬組織の抗争が激化しています。チワワ州,タマウリパス州の北部国境都市は治安が非常に悪化しており,注意が必要です。

また,2010年以降,ヌエボ・レオン州モンテレイのメトロポリタン地区では,麻薬組織による道路封鎖が多発しており,同年3月には銃撃戦によりメキシコ人大学生2名が死亡する事案も発生しました。2011年に入ってからは,ハリスコ州グアダラハラのメトロポリタン地区でも麻薬組織による道路封鎖が散発しています。また,同年7月の日中,アグアスカリエンテス州アグアスカリエンテス市の住宅街で,犯罪組織首領の逮捕作戦が行われ,同首領と治安当局の間で銃撃戦が発生しました。これらの都市は観光や商用で訪問する日本人も多く,突発的な銃撃戦や道路封鎖に巻き込まれる可能性も十分考えられますので,注意が必要です。

(4)テロ・ゲリラ情勢

当国の反体制組織は,現在,活発な武装活動は行っていないものの,2007年7月及び9月に人民革命軍(EPR)によるメキシコ石油公社(PEMEX)のパイプライン爆破事件が発生,インフラ施設を攻撃して政府に対してインパクトを与える行動を起こしています。治安当局は,爆破の目的は人の殺傷ではなく政治的メッセージを発出するためと捉え,現時点では無差別テロや自爆テロを伴う過激性は有していないとの見解を示していますが,今後も同様の事件が引き起こされる可能性は否定できません。

その他,当国内には,1994年にチアパス州で武装蜂起したサパティスタ民族解放軍(EZLN)等の組織がありますが,現在これら組織の力は弱く,政府を転覆させるだけの力や,無差別テロや自爆テロを行うまでの過激性は有してはいないと見られています。しかし,2011年2月,EZLNを支持するグループと親政府系の農民グループが衝突し,EZLNグループが外国人を含む観光客17人を一時拘束する事件を起こしています。

また,2009年9月には,メキシコ市内の各地域において銀行ATMや自動車ディーラー,皮革服飾店を対象とした6件の連続爆破事件が発生しました。幸い,人的被害は発生しませんでしたが,日本人が多数居住するポランコ地区のマックス・マーラ(皮革高級ブティック)もその対象の一つでした。いくつかの事件については,環境保護団体等から犯行声明が出され,連邦検察庁とメキシコ市検察庁は,大学生1名を容疑者として検挙しましたが,連続爆破事件と反体制勢力との関連については判然とせず,その後も,メキシコ市内では深夜の銀行ATMにおいてブタンガス缶を利用した爆破事件が散発していることから,これら勢力の動向にも注視する必要があります。

2 海外生活を安全に過ごすための注意事項

日本人は概して防犯意識が希薄で,「安全は警察等が守ってくれる」と考える傾向がありますが,いったん外国に出たからには,世界中どの国においても,「自らの安全は自ら守る」という意識が必要です。このことをしっかり認識して,以下の原則を守るよう心がけて下さい。

(1)安全のための3原則
ア 目立たない
華美な服装や貴金属類を身につける,ブランド品のバッグを持ち歩く等の目立つ行為は禁物です。メキシコ市には,デジタルカメラ,ビデオカメラ,高級腕時計,高級カバン等を狙った強盗団がおり,実際に多数の日本人が被害に遭っています。それぞれ目立たないように,できるかぎり当地に溶け込んだ服装,振る舞いに心がけ,犯罪者に目をつけられないよう十分注意して下さい。
イ 行動を予知されない
通勤,買物,娯楽(特にゴルフ等),外食等で,曜日や時間,道順をパターン化することは,犯罪者から見ると,容易に犯行計画を立てられることになります。行動は絶対に予知されないよう心がけてください。
曜日,時間,道順のすべてを毎回変更するのは困難かと思われますが,どれか一つ,例えば時間帯だけを変えることは決して難しいことではありません。
また,出勤,帰宅時には,周囲に不審者や不審な車がいないか注意を払ってください。
誘拐犯人は,事前にターゲットの行動を確認することが多いことから,常に警戒している姿を外部に発信することは,誘拐のターゲットとして狙われないことにも繋がります。
ウ 用心を怠らない
また単独や少人数での屋外における徒歩移動などの際に,緊張の度合いを高めることを心がければ,犯罪に遭う確率はかなり低くなります。例えば,曲がり角を曲がる際に後方を確認する等の行為は,それだけで犯人側に注意深い人物であることを認識させ,犯行を断念させる等の効果もあります。
(2)具体的注意事項
ア 住居の選択
  • 一戸建てよりアパートが望ましい(3階以上が望ましい)。
  • 24時間警備が望ましい。警備員の勤務歴についても長い方が望ましい。
  • 住宅の一辺が道路に面し,かつ袋小路でないこと。
  • 入居決定前に,外部からの侵入方法等がないか検討し,不安な箇所については,家主に改善を求める。
イ 住居の設備
  • 玄関ドアの鍵は3個以上が望ましく,更に広角の覗き窓やドア・チェーンを付ける。
  • 主寝室ドアは必ず鍵がかかるようにする他,通信手段(携帯電話等)を確保しておく。
  • 鍵はコピーしづらいものにする。
ウ 外出
  • 短時間の外出でも必ず鍵を掛ける。
  • 長期の外出の際は信頼できる人に定期的な点検を依頼する。
  • 不必要な貴重品や重要書類等を持ち歩かない。
  • デジタルカメラ,地図を人目につく方法で携帯する等旅行者風に見える服装,行動を取らない(一般に,旅行者はビデオカメラ等の家電製品等を多く所持している為,強盗,窃盗等の犯罪のターゲットになりやすい)。
エ 路上
  • 高価な装飾品,カバン,時計等を身につけない。
  • 必要がなければ,銀行カードやクレジットカードは持ち歩かない。
  • 見知らぬ人から話しかけられたら注意する。
  • 事故,騒ぎの起きている場所へは近寄らない。
オ 車の整備
  • 保険には必ず加入する。
  • 盗難防止装置,ハンドル固定装置を用意する。
  • ガソリン残量をこまめにチェックし,半分以下になったら必ず給油する。
カ 車の駐車
  • 暗い場所,人気のない場所には停めない。
  • ドアロックを必ずする。
  • 車内に荷物を放置しない(可能な限りトランクにも)。
  • 路上駐車は可能な限り避け,管理のしっかりした駐車場に停める。
キ 車の運転
  • 通勤はルート及び時間を随時変更し,行動をパターン化させない。
  • 車間距離は十分に取り,特に信号待ちの際は,可能な限り脱出できるスペースを確保するとともに,周囲の様子を観察する。
  • 夜間の運転は可能な限り避ける。
  • 夜間は,赤信号で停車しないよう,速度を調整しながら運転する。
  • 出勤,帰宅時の車庫入れの際に,事件に遭遇する例が少なくないので,常に周囲を点検し,不審な点があれば,自宅を通り過ぎ,離れた場所から様子を観察する。
  • 渋滞時を狙う強盗への対策として,差し出しても良い財布等を準備する。
ク 交通機関
  • タクシーは無線タクシー等,安心できる業者を利用し(リブレ(流し)には乗らない),ペセロまたはミクロと呼ばれる小型の乗合バスは利用しない。
  • 夜間の長距離移動は(バスも含め)極力避ける。
ケ 使用人
  • 使用人の稼働範囲に貴重品を放置しない。
  • 身元調査は事実上困難であるので,電話番号を有し,在留邦人社会で評判の良い者を選定するのが無難。
  • 公正に取り扱い,正当な報酬を支払う。
  • 鍵の管理をさせない。使用人を解雇したら,必ず鍵を替える。
コ 来客
  • ドアを安易に開けない(子どもにはドアを開けさせない)。
  • 配達人等が荷物を届けに来ても,外に置いて帰らせる。
  • 受領書にサインを求められた場合,ドアの下からやりとりする。
サ 電話
  • 緊急連絡先(警察,病院,職場の上司等)の番号は常に電話機の側にメモして置いておく。
  • 応対では先に名乗らず,相手の名前を尋ねる。
  • 相手をよく確認する。
  • 知らない相手に,出張日程や家族旅行日程などを知らせない。
シ 日常生活
  • 経済的に裕福であることを示す言動,生活態度を慎み,現地に溶け込むことを心がける。特に人の役職・事業の成功事例等は口外しない。
  • アパートの警備員,同階の住人,その他周囲のメキシコ人と良好な関係を保持し,トラブルを起こさない。
  • 当地で盗品売買が容易な,パソコン,デジカメ,ビデオカメラ,小型電気製品,ブランド製品,貴金属等の保管場所に注意する。不要な場合の外出時の携行は避け,自宅においても保管場所を工夫する。
(3)経験的注意事項

当地に長く在住する方々が持っている当地独特の犯罪傾向に関する経験的知識には,大変参考となるものがあります。

主な事項を列挙しましたので,心に留めておいて下さい。

  • 一般的に15日および30日頃(キンセーナ)は給料日となっており,泥棒も機会を狙っている。
  • セマナ・サンタ,クリスマスが近づくと,犯罪が増加する。
  • 労働者,特に警察官・軍人が大量解雇された時は要注意。
  • 強盗遭遇時に対処するため「捨て金(外出時の服装にもよるが,1,000ペソ程度)」を持ち歩く。(2010年8月,メキシコ市内で強盗に遭遇した被害者が7ペソしか所持していなかったため,腹いせに射殺される事件も発生した。)
  • 銀行やATMで現金を引き出す時は,周囲に気を配り,人気のない場所や警備員のいない場所は避ける(人目につく場所で札の枚数を数えるなど論外)。
  • 外部から内部の様子がわかり,表通りに面していないレストランは強盗に狙われやすい。
    ・ 長距離バスは昼間の一等バスを利用し,夜行バスや乗り合いバスの利用は避ける(強盗,スリが多発している)。
  • 交通量の少ない道路での自家用車の運転は可能な限り避ける。
(4)邦人の巻き込まれやすい事件・事故
ア 交通要所(空港,バスターミナル)における強盗,窃盗(置引き)
各地の空港や長距離バスターミナルの待合室,通路等では,強盗や置引き等の被害が多発しています。バッグ等の所持品は,身体の前に置く等片時も目を離さないよう心掛けてください。
また,メキシコ市国際空港では,多額の現金を両替した旅行者等の後をつけ,空港外で現金を強奪する事件も多発しています。空港での両替は,犯人に目をつけられることもあるため避けるようお願いします。また。やむを得ない場合は,制限区域内で必要最小限の額の両替に止めるようにして下さい。
イ ホテル・レストラン等における置引き
ホテルのチェックイン・アウト時,床やソファに置いていたバッグを持ち去られたり,メキシコ人に片言の日本語で話しかけられ注意を取られている数秒の間に荷物を盗まれたり,レストランで椅子にポーチ等を掛けたまま食事をしていたら荷物がなくなっていた等の被害が目立ちます。バッグ等は体の前に置くなど片時も目を離さないよう心がけてください。
ウ 地下鉄内のスリ
混雑した車両で被害者の周囲を数人で囲み,身動きが取れないようにして,刃物でリュック,ポケット等を切り裂いて金品を強奪するという荒っぽい手口が多く,被害場所は,メキシコ市内のイダルゴ駅,ソカロ周辺,バスターミナル,ソナ・ロサ等の路線に集中しています。一つ間違えば大怪我を負う可能性もあり,地下鉄は可能な限り利用しないことをお勧めします。
エ メトロ・ブスの乗降時
比較的安全といわれているメトロ・ブスにおいても,その乗降時にズボンのポケットから財布をすられる事件が発生しています。混在した乗降時は特に注意してください。
オ タクシー強盗
流しのタクシー(リブレ)を利用したところ,強盗被害に遭う事例も少なくありません。手口としては,タクシーが目的地以外の方向に走行した所で急停止したり脇道に入った後,運転手と共謀した犯人が乗りこんで来て金品を奪うもの等が典型的です。
流しのタクシーは絶対に利用せず,少々値段は高くなりますが,予約制タクシー(無線タクシー,シティオ),空港タクシー,ホテル専属タクシー等を利用するようにしてください。
カ 自動車強盗
手口は,信号待ち,渋滞などの一時停止の際に,2~3人の犯人グループが近づいてきて運転手にけん銃を突きつけ,車や所持金品を強奪するもので,白昼でも発生しています。
車を運転する際には,窓を閉め,常にバックミラー,サイドミラーで周囲を点検する癖をつけ,信号待ち等で停止する際は可能な限り,前方の車と車間距離を空け,脱出ルートを確保するよう気をつけて下さい。
また,この場合も,犯人グループと一定の距離がある場合で,先に犯人の存在に気づいた場合のみ脱出を心がけるようにしてください。けん銃を突きつけられた後の脱出行為は,犯人の発砲を招きかねず極めて危険です。
キ 幹線道路,街道における事故
自動車で旅行する際には,昼間に,有料道路を利用して移動するよう心がけて下さい。無料の一般道路は,道路に穴が空いているなど道路事情があまり良くなく,パンクの原因となったり,また車線が少ないため渋滞が多く,追い越し時の事故も多いこと等から注意が必要です。
さらに,トペ(車両を減速させるための凸状路面)も多く,またその設置場所も表示がない場合が多いことから,トペに気づかず高速で通過してしまい,その衝撃で同乗者が車内の天井で頭を打ち負傷する等の事例も発生しています。
ク 歩行中の交通事故
当地では,日本の歩行者優先の交通マナーは通用しません。したがって,横断歩道といえど,左右の安全を十分に確認して渡る必要があります。また自動車が信号を守らない場合も多々ありますので,路上を歩く際には,安全には十分注意するよう心がけてください。
2007年9月には,ひき逃げにより邦人の方1名が亡くなる事故が起きました。
3 誘拐対策

誘拐は,私たちが最も注意しなくてはならない犯罪です。残念なことに,メキシコはコロンビアと並んで最も誘拐の多い国の一つと言われています。連邦政府も誘拐を重罰化する法律を制定するなど,懸命に誘拐犯罪の撲滅を図っていますが,いまだ目に見えた成果は出ていないのが実情です。

2011年の誘拐事件は,メキシコ市では減少しましたが,全国では増加しています。

誘拐は予防が最重要ですので,以下を参考にして下さい。

(1)職場の安全対策
  • 社内での定期的な会議の際,必ず治安問題に目を向けた議題を取り入れ,日頃から安全対策を十分行う。
  • 誘拐の対象となる可能性の高い企業等は,コンサルタント会社と契約を結んでおくのも一案です。
  • 職員,使用人が情報漏洩を条件に犯人に買収されていた例が非常に多いので,身元の確かな者を採用し,逆に解雇する際は,恨みを買わないような手だてを施したうえで解雇しなくてはいけません。その他,社員が金銭問題その他悩みを有していないか,コミュニケーションを密にして,常に監督を怠らないことも肝要です。
(2)通勤経路の安全対策
  • 誘拐犯は事前にターゲットの行動パターンを確認するため,必ず前兆事案があると言われます。日頃から,いつもと変わったことがないかを発見する努力が必要です。
  • 自宅及び職場周辺が最も狙われやすいポイントなので,不審な人物や車両の有無をチェックする習慣をつけるよう努力する。
  • 複数の径路,時間帯を用意し,適宜変更する。
(3)日常生活における安全対策
  • 犯人が,電気会社や電話会社等の社員を装って訪問してくる場合もあります。依頼していないのにも関わらず,そうした来訪者が来た場合は,すぐに扉を開けず,不審な点があれば絶対に中に入れないようにしてください。
  • 買い物やレストランでの食事,ゴルフ等に同じ曜日の同じ時間帯に行くことは絶対に避け,常に「不規則行動」を心がける。
  • 子どもの学校行事,取引銀行,家賃の額,よく行くレストランや飲食店,美容院等において誘拐犯の参考となり得るような情報を安易に口外しないようにする。
4 強盗遭遇時等の留意事項

十分に注意をしていても,不幸にして強盗等の被害に遭遇することはあるかもしれません。当地では,けん銃等の凶器を使用しての強盗において,無抵抗で金員を差し出した場合に,そのうえ生命に危害を加えられることは殆どありません。この点にも留意して,強盗等に遭遇した場合には,以下の点を心がけてください。

  • 動作はゆっくり(急な動きは,犯人の攻撃を呼び起こす)
  • 犯人の顔を見つめない(犯人を刺激しない)。
  • 日頃から,強盗遭遇時に差し出しても良いようなダミーの財布を準備しておく。
  • 万一,犯人が面識ある人物の場合など,こちらの生命に危害を加える意思が確認される場合は,できるだけ周囲に多数の人がいる場所での脱出の機会を探る。
5 メキシコ国内法の遵守

ここまでは,犯罪被害に遭わないための注意事項について記載しましたが,自らの行為がメキシコの法令に触れ,当局に身柄拘束されることなどないよう以下の点にも注意してください。

(1)出入国管理法令等の遵守

外国における正規な滞在は,有効な旅券のもとに許可されています。旅券の有効期限を切らすことのないよう更新してください。

また,当地の滞在許可であるFMNI(旧FM3)等の有効期間の更新を忘れず,許可された活動以外の活動は行わないよう心掛けてください。

(2009年中,8名の日本人の方が,出入国関係法令違反により当局に身柄拘束されました。2010年では身柄拘束はありませんが,不法残留により1名が罰金を徴収されました。)

(2)一般法令,交通法令の遵守

日本において違法行為であることは,当地でもほとんどが違法行為に該当します。「今は海外にいるから」などという安直な考えは避け,当地の法令を遵守してください。事件によっては,当地で裁かれることがなくても,日本の法令の国外犯に該当する場合もあり,日本の法令で禁止されていることは,当地においても禁止であることを銘記してください。

(3)子の居所の移動

メキシコは,「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」の締約国です。当地においては,親権を持つ親であっても,他の親権者や監護権者の明確な同意を得ずに子(16歳未満)の居所を移動させること(親が帰国する際に子を同行する場合を含む)は,「未成年の人身売買」として重大な犯罪となり,親権の剥奪や,刑事処罰の対象となる場合がありますので,ご注意ください。

現在まで,日本人がこのような事案で当局により処罰の対象とされた例は確認されていませんが,事件としては,実際に逮捕令状が出され,執行された例があります。

6 緊急時主要連絡先
○在メキシコ日本国大使館

住所 Paseo de la Reforma No.395, Col.Cuauhtemoc, Mexico,D.F.
電話 (55)5211-0028
FAX (55)5207-7743
FAX (55)5207-7030(領事班)

○在メキシコ日本国大使館別館(エスパシオ・ハポン)

住所 Lamartine No.238 Col.Chapultepec Morales, Mexico,D.F.
電話 (55)5531-2501
FAX (55)5231-3395

※業務時間外の緊急連絡先
電話 044-55-2922-5015
001-800-627-8701
緊急連絡先は,領事班執務時間外の事故・事件等により,邦人の方の生命・身体等に危険が及んでいる等の緊急事態に備え,回線を確保しているものです。お急ぎでない案件の連絡・お問合せについては,業務時間内(土日祝日等を除く9時30分~13時30分,15時00分~18時30分)にお願いします。

○メキシコ緊急電話(事件・火災・救急車) 066
○総合病院
スペイン病院(日本語が通じる医師あり)(救急車完備)
住所 Av.Ejercito Nacional No.613, Col.Granada, Mexico,D.F.
電話 5255-9600(救急 5255-9646)
ABC病院(救急車完備)
住所 Sur136 NO.116, Col. Las Americas, Mexico,D.F.
電話 5230-8000(救急 5230-8163)
○国家移住庁(INM)(滞在許可関係)

住所 Av.Ejercito Nacional No.862, Col.Los Morales Seccion
Palmas, Mexico,D.F.
電話 5387-2400

Ⅲ 緊急事態への対処

1 平素の心構え・準備
(1)連絡体制の整備

ア 当地に3か月以上滞在される在留邦人の方は,在留届の提出を励行して下さい(法律上の義務でもあります)。大使館では,災害発生時等に,これら在留届をもとに安否確認を行います。在留届が提出されていない場合には,安否確認や留守宅への連絡が極めて困難となります。また,転居の際には領事班まで御一報下さい。

イ 所属先等に緊急連絡網がある場合は,同連絡網に基づく緊急の連絡を誰から受け誰に繋ぐのか等,平素から確認しておいてください。

ウ 緊急事態はいつ発生するとも限りません。あらかじめそのような場合の家族間,企業・団体内での緊急連絡方法につき決めておいてください。

エ 大使館領事班では,治安情報等のお知らせをメールで提供しています。「大使館からのお知らせ」のメールの受信を希望される方は,メールアドレスを当館領事班へ登録してください。

オ 緊急事態発生の際には,大使館からメール・電話等により必要な連絡を行いますが,電話回線等が使用できない場合には,大使館FM無線機(88.5メガヘルツ,89.3メガヘルツ)あるいはNHK海外放送により必要な連絡を行うことがあります。これらのFM放送,短波放送が受信可能なラジオを電池とともに準備しておいて下さい。

さらに,大使館は,緊急事態発生時には,「メキシコ商工会議所」「日墨協会」「日本メキシコ学院」等の協力を得て,その連絡表(網)により情報を提供するとともに必要な連絡を行います。

(2)一時避難場所及び緊急連絡先
ア 一時避難場所の検討
緊急事態発生時には,騒乱等に巻き込まれる可能性があるので,常に周囲の状況に注意を払い,情報を収集し危険な場所に近づかないことを心がけてください。
巻き込まれそうになった場合のとりあえずの避難場所について,常日頃から頭に入れておくことが重要であり,自分がどこにいるのか(勤務先,通勤途上,自宅等),自分がどのような事態に巻き込まれそうか等いくつかのケースを想定して,各自の一時避難場所を検討しておいて下さい(外部との連絡可能な場所が望ましい)。
イ 緊急避難先
大使館からは,緊急事態発生時の状況に応じて,緊急時避難先への集結をお願いすることがあります。
大使館が指定する緊急時避難先には以下のものが考えられますので,同避難先の位置を確認し,そこに至るいくつかのルートを想定しておいて下さい。
①在メキシコ日本国大使館
Paseo de la Reforma No.395, Col.Cuauhtemoc
電話 5211-0028
②在メキシコ日本国大使館別館(エスパシオ・ハポン)
Lamartine No.238, Col.Chapultepec Morales
電話 5531-2501
③日本メキシコ学院
Camino a Santa Teresa No.1500, Col.Pedregal de San Angel
電話 5568-7111
④日墨協会
Calle Fujiyama No.144, Col.Las Aguilas
電話 5651-9382
⑤在メキシコ日本国大使館大使公邸
Juan de Leyva 100, Col. Lomas Virreyes
(3)緊急事態における携行品等非常用物資の準備

ア 旅券,現金,貴金属等最低限必要なものは,直ちに持ち出せるよう,あらかじめまとめて保管しておいて下さい。

イ 緊急時には,一定期間自宅での待機を勧告することもありますので,非常用食料,水,医薬品,燃料等を最低限3日分程度準備しておいて下さい。

2 緊急時の行動
(1)心構え

緊急事態が発生し,または発生するおそれのある場合に,大使館は,所要の情報収集,情勢判断及び対策の策定を行い,各団体の緊急連絡網,メール等を通じ随時連絡します。

平静を保ち,流言飛語に惑わされたり,群衆心理による騒乱等に巻き込まれることのないうように注意して下さい。

(2)情勢の把握

ア 電話回線が不通となる事態も想定されますので,短波,FM放送の受信が常に受けられるようにして下さい。

イ 緊急事態の発生の際には,各自でも,現地,海外放送,衛星放送テレビ,インターネット等により情報収集に心がけて下さい。

(3)大使館への通報等

ア 現場の状況のうち通報する必要があると認めたものは,随時,大使館に直接又は商工会議所等を通じて通報して下さい。その他の在留邦人の方の貴重な情報となります。

イ 自身,家族,他の邦人の生命・身体・財産に危害が及んでいる場合,又は及ぶ恐れがあるときは,迅速かつ具体的にその状況を大使館に通報して下さい。

ウ 緊急事態発生の際には,お互いに助け合って対応に当たることも必要になります。大使館からは,在留邦人の方々に種々のお手伝いをお願いすることもあります。その際には,ご協力お願いします。

(4)国外への退避

ア 事態が悪化し,各自又は会社・団体等の判断,あるいは大使館の勧告等により,自発的に帰国,あるいは第三国へ退避する場合,その旨を大使館へ連絡して下さい。
連絡が困難である場合は,日本の外務省の海外邦人安全課(+81-3-5501-8160)等へ通報するよう努めて下さい。

イ 大使館から「退避勧告」が出された場合は,一般商業便が運航している間に,可能な限り早急に国外へ退避して下さい。

ウ 事態が切迫し,大使館より退避又は避難のための集結の勧告を受けた場合は,指定された緊急避難先に集結して下さい。
その際,当面の間,同避難場所で待機する必要がある場合も想定されますので,可能であれば前記非常用物資を持参するようお願いします。
他方,緊急時には,自身及び家族の生命,身体の安全を第一に考え,その他の携行荷物は必要最小限にしていただくようお願いします。

3 緊急事態に備えてのチェック・リスト
(1)旅券・身分証明書等

旅券の「所持人記載欄」は,漏れなく記載してください。

また,余白に血液型を記入しておいて下さい。

FMNI(旧FM3),FMM(入国カード),その他の査証,運転免許証等は,いつでも持ち出せるように保管しておいて下さい。

(2)現金・クレジットカード・貴金属等

これら貴重品も,旅券同様,非常時には直ぐに持ち出せるよう保管しておいて下さい。

(3)自動車の整備

ア 自動車は,常時整備し,燃料は十分入れておいて下さい。

イ 車内には懐中電灯,地図を備えて下さい。 

ウ 自動車をお持ちでない方は,近くに住む自動車を持っている方と,非常時には同乗できるよう平素から相談しておいて下さい。

(4)その他の準備品

ア 衣類・着替え

イ 履き物(行動しやすい,靴底の厚いもの)

ウ 洗面道具,タオル等

エ 非常用食料

オ 医薬品

カ ラジオ

キ 携帯電話(平素からバッテリーの充電に心掛ける)

ク 懐中電灯,予備電池,ライター,マッチ,ろうそく,ナイフ,缶切り,簡単な炊事用具,ヘルメット,筆記具,トイレットペーパー等。

Ⅳ 結び

在メキシコ日本国大使館としては,在留邦人の皆様とは常日頃から情報交換を密にしたいと考えております。

つきましては,ご質問・ご意見などありましたら,お気軽に当館領事班までご連絡下さい。

在メキシコ日本国大使館領事班

電話 5211-0028(代表)
FAX 5207-7030
Eメール ryojibu@me.mofa.go.jp
ホームページ http://www.mx.emb-japan.go.jp/index-jp.htm別ウインドウが開きます

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