在留邦人向け安全の手引き 在マダガスカル日本国大使館
在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。
安全の手引き
在マダガスカル日本国大使館
平成23年4月1日
本冊子をご入用の方は、領事担当官(受付)までお知らせ下さい
Ⅰ はじめに
マダガスカルは、貴重な動植物の宝庫として、毎年世界中から多くの観光客が訪れます。
しかし、2009年3月に発生した政変により樹立された「暫定政府」が国際社会の承認を得られず、一部より制裁措置が科せられていること等から、社会・経済状況が悪化し、失業者の増大や貧困層の拡大が見られます。このような社会状況を背景に、強盗、誘拐、窃盗等の事件も増大・凶悪化しています。
当国では、日本人が被害に遭うケースは、統計上では年間数件程度ですが、だからといって決して安全とは言えません。そこで本手引きでは、犯罪に巻き込まれないためにはどの様な点に注意すればよいか、あるいは不幸にして犯罪被害に遭われた場合は、どの様に対処したらよいのか等につきご紹介するとともに、緊急事態に際しての対処方法についてもご案内いたします。
事件・事故・緊急事態に巻き込まれる可能性は、どなたにもあります。「そんなことは分かっている」「十分に注意している」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今一度、「防犯対策」「緊急事態対処」について考えて頂きたく、この手引きを作成・配布する次第です。
平成24年4月1日
在マダガスカル日本国大使館
Ⅱ 防犯の手引き
1 防犯の基本的な心構え
(1) 自分の身は「自分で守る」
皆様は、日本国内で犯罪の被害に遭われた経験が有りますでしょうか?あるいは、日本国内の生活において、犯罪に遭わないよう常に心掛けておりましたでしょうか?恐らく、多くの方は、「どちらにも該当しない」とお答えになるのではないでしょうか。
日本では、昔から「水と安全はタダ」と言われてきました。これは、警察が交番制度を敷き、パトカーや白バイなどによる24時間体制でのパトロールを確立したほか、学校や地域社会においても自助的に防犯活動を行う等の努力によるものです。
しかし、ここマダガスカルでは「交番制度」がないばかりではなく、警察官自らが犯行に及ぶなど治安機関の信頼性が低く、また、犯罪を治安機関や社会が協力して予防していくという「防犯」の概念が存在しません。したがって、当地で犯罪に巻き込まれないための第一歩は、皆様ご自身が「自分の身は自分で守る」という意識を持つことが重要です。
(2) 予防が最良の危機管理
事件、事故又は災害などに巻き込まれてしまう前に、予防の努力を怠らないことこそが最も重要な危機管理(防犯対策)であることをしっかりと認識してください。
(3) 安全の3原則
安全のための3原則とは、「目立たない」・「行動を予知されない」・「用心を怠らない」の3つと言われます。一見当然のことのように思えますが、この3原則を守って生活することは、そう簡単なことではありません。日本での行動形態や生活習慣をそのまま外国に持ち込むと、本人が意識していなくても目立ってしまい、自らを危険にさらすことになる場合もあります。
- ア 「目立たない」
- その場の雰囲気に合わない華美な服装をする、尊大な態度をとる、又は公共の場(レストラン、バー等)にて大声で話すといった行為は、必然的に他の注目を集めることにつながります。また、大声でなくても、公衆の面前で現地の悪口を言う又は侮辱する等の行為は、言葉が解らなくても口調や雰囲気である程度内容を推察され、誤解を招く原因にもなり、犯罪者に狙われる危険性を高めることにつながります。
- イ 「行動を予知されない」
- 行動のパターン化はなるべく避け、必要に応じ、移動の際のルートや時間等を不規則にするなどの工夫を通じ、犯罪者に自らの行動の予測を許さないよう心掛けてください。
- ウ 「用心を怠らない」
- マダガスカルに到着した当初は安全に気を配っていても、ある程度生活に慣れてくると初心を忘れがちになり、思わぬ被害に遭うこともあります。また、治安情勢は予期せぬことが原因で急変することがありますので、安全に対する緊張感は常に維持するよう心掛けることが大切です。
(4) 現地社会に溶け込む
我々外国人が生活する際には、現地社会との融和が大変重要です。普段から、隣人、コミュニティー、在留邦人等との良好な関係を築き、その維持に努めましょう。これらのネットワークを通じて、いざというときに助けを得られることがあり、また、自然と様々な情報が入ってくるものです。現地コミュニティーからの情報には、防犯上極めて重要な要素を含んでいることが少なくありません。
(5) 万が一、犯罪被害に遭遇した場合
- ア 被害の最小化
- まず、何らかのトラブルに巻き込まれた場合には、被害を最小限に留めることが大切です。例えば、金銭を目的とした窃盗犯に遭遇した場合、それに抵抗すると、犯人が逆上して、窃盗から強盗になり、身体の安全をも脅かすことにもなりかねません。最も大切な「身体の安全確保」を最優先に考慮しましょう。
- イ 迅速な通報
- 次に、関係連絡先に迅速に通報し、救援を求める必要があります。このため、頼りとすべき警察、救急、警備会社、勤務先、大使館及び知人や通訳等の連絡先は常に携帯し、いつでも連絡できる体制を整えておきましょう。
2 最近の犯罪発生状況
一般犯罪・各種トラブル発生状況
ここでは、過去の事例を元に皆様が実際に遭遇する可能性のある各種事件やトラブル等をご紹介します。
(1) 換金のため、銀行のカウンターで書類を記入しているとき、足元に置いたバッグを持ち去られた。
(2) 市場で買物をしているとき、スリグループに囲まれ刃物で脅され、所持していた貴重品を奪われた。
(3) お土産用に小さな亀(マダガスカルホシガメ)の購入を勧められたので購入した。イヴァト空港から出国しようとしたところ、税関職員に亀の所持を発見され、逮捕された。(マダガスカルホシガメは、売買行為そのものが違法行為です。)
(4) ホテルのレストランにて、ビュッフェ・テーブルに食事を取りに行っている間(約30秒~1分間程度)、椅子に掛けておいたバックを盗まれた。
(5) 盗難予防のためにパスポートと滞在許可証を自宅に置いて市内レストランで夕食を摂っていたところ、偶然そのレストランで警察による捜査が行われ、身分証明書不所持で警察署に連行され、身元が判明するまで勾留された。
(6) 空港や街中のタクシーを利用し移動していたところ、人通りのない場所に連れて行かれ所持品を奪われた。
(7) 昼間、散歩や買い物のため徒歩で移動していたところ、数人のグループに囲まれて、人通りのない場所に連れて行かれ刃物で脅され、所持品を奪われた。
(8) 夜間、車で移動中、武装した強盗団に車を強制的に停車させられ、所持品を奪われた。
(9) 車で移動中、警察の検問があり停車したところ、検問は偽警官によるものであり、所持品及び車両を奪われた。
(10) 車で移動中、複数の警察官(後に偽警察官と判明)の指示により停車したところ、逮捕状(後に偽造物と判明)を提示された上で「警察署へ連行する。」と言われた。「警官」の指示により自家用車の後部座席に座らせられ、しばらく走行したところで不審な様子であることに気付き、渋滞により停車した隙をみて自力で脱出し、難を逃れた。
(11) ホテルの客室内に設置された金庫に貴重品を保管した上で外出したところ、当該金庫が壊され、貴重品が奪われた。
(12) 車内に荷物を残し、ドアロックした上で買い物に出かけたところ、ドア鍵穴が壊され、車内の荷物が奪われた。
3 防犯のための具体的注意事項
ここでは、防犯に関する具体的な注意事項について「住居」「生活面」「外出時」の3点に分けて説明します。
(1) 「住居」の防犯対策(住居選定のポイント)
住居は、自分の身を守る「最後の砦」です。とはいえ、要塞のように頑丈な砦を造るわけにはいきませんが、可能な限り安全を確保できるための対策は講じておく必要がありますので、以下の諸点に注意してください。
- ア 立地条件
- (ア) 市街中心部からあまり遠くなく、外国人が多く居住する高級住宅街又は在留邦人間での連絡がとりやすく、通勤・通学に際しても、複数の経路を選定できるような場所が望ましいでしょう。
- (イ) TV・ラジオ放送局、大統領官邸、公官庁、軍のキャンプ、商店街の近く等人が多く集まる場所の付近は、政治情勢が不安定になった際には、暴動等に巻き込まれる蓋然性が高まりますので避けた方が良いでしょう。
- (ウ) 袋小路となっている住宅は避けた方が良いでしょう。
- イ 敷地の確認事項
- (ア) 強盗が簡単に侵入できないような外壁が備わっているか。(高さ、堅牢性)
- (イ) 外部から住宅内部を覗かれないか。
- (ウ) 門扉は堅牢か。
- (エ) 庭と建物外周に照明設備が設置されているか。
- (オ) 敷地内に強盗や侵入者等が身を潜める場所はないか。
- ウ 建物の確認事項
- (ア) 玄関扉と扉枠は頑丈か。
- (イ) 扉には錠前が2つ以上設置されているか。
- (ウ) 室内から訪問者を確認できるか。
- (エ) 窓には容易に取り外せない鉄格子が設置されているか。
- (オ) 雨戸、鎧戸は設置されているか。
- (カ) 緊急に脱出する必要がある場合、窓や扉の補強設備を内側から開放することができる箇所があるか。
(2) 生活面での防犯対策
- ア 鍵の管理
- (ア) 適切な鍵の管理は防犯対策上の基本であり、その取り扱いには細心の注意を払う必要があります。鍵は常時携帯し、自宅内、勤務先でも机の上に放置したりすることのないように保管します。
- (イ) 住居の鍵は、以前の居住者がスペアキーを所持している場合がありますので、新たに入居する場合には、外部に通じる全てのドアの鍵を新しい物に交換する必要があります。
- (ウ) 鍵を紛失した場合は、安易にスペアキーの使用ですませることはせず、必ず錠前全てを交換する必要があります。
- (エ) 錠前の取り付けやスペアキーの作成は、信頼できる業者を選定すべきです。経済性より信頼性を重視しましょう。
- イ 訪問者に対する注意
- (ア) 予め約束のなかった訪問者に対しては、直ぐに扉(門扉)を開けず、覗き窓等を使用して訪問者の身元を確認することが重要です。家族(使用人がいる場合は使用人も含む)に不審な者は敷地内に入れないよう周知徹底する必要があります。
- (イ) 物売り、電話、水道、電気及びガス等の工事人等も不用意に敷地内に入れてはいけません。頼みもしていない工事人が来た場合には、覗き窓等から、用件、派遣元(会社、事務所)の名前と電話番号を聞き、本人の身分証明書等を確認し、不審な場合には、派遣元に対し事実関係を確認する必要があります。
- ウ 電話に対する注意
- 犯罪者は、家人の行動予定を入手し、犯行計画を立てるために電話を利用することがあります。かかってきた電話を受ける際は、まず自分からは名乗らず、相手に名乗らせ、よほど相手の身元が確かでない限り家族のスケジュールは教えないようにする必要があります。
- エ 使用人
- 現地の使用人は、1日のうちの長い時間を私たち家族と共に過ごし、家族に関する多くの情報に接することができる立場にあります。使用人は家族の手伝いをし、防犯に関する情報を提供してくれる反面、私たちに対する潜在的な犯罪者になる可能性もあります。信頼できる使用人を雇用できるか否かは、安全な生活を送るための重要な鍵となりますので、使用人を雇用する際は、慎重に人選する必要があります。
- また、日本人は、当地で初めて使用人を雇うことが多く、接し方に不慣れなために、管理や指導が極めて甘くなったり、逆に厳しすぎて恨みを買ったりして、「味方」から「犯罪者」に変身させてしまう場合も否めません。前任者や当地の事情に詳しい知人の例を参考にすることもお勧めします。
- 〔使用人に対する一般的な注意は次のとおりです。〕
- (ア) 雇用時
- 使用人を雇う場合、一般公募は避け、信頼できる人から紹介を受けるのが一番です。その際、使用人の経歴、住所、家庭環境及び家族関係等の情報を入手しておくことが望ましいでしょう。採用に当たっては、公的機関が発行した「身分証明書」及び「住民登録証」を提示・提出させることを忘れないようにしてください。
- (イ) 安全対策の教育
- 使用人には、安全対策を教育することが必要です。家族がいくら安全対策を講じても、使用人が無用心では意味がありません。
-
- 訪問者に対する警戒は、上記イのとおりです。
- 家人が不在の場合における外部からの問い合わせへの対応
- 訪問者や電話による家人の所在の問い合わせに対しては、相手の身元が確かなものでない限り、所在、スケジュールを教えないように指導しておきます。
- (ウ) 接し方
- 使用人に隙を見せてはいけません。信頼できる使用人と思っていて、貴重品や現金を不用意に放置することは、つい出来心で盗みを働かせてしまう結果となる可能性があります。
- また、使用人に対し、プライドを傷つけたり、恨みを買うような言動や行為は厳禁です。
(3) 「外出時」の防犯対策
- ア スリ・置き引き
- 空港及びバス・タクシーの待合場所や車内等の公共交通機関並びに市場等の公共の場所においては、スリ・置き引きの被害が後を絶ちません。このような被害から身を守るためには、次のことに注意してください。
- (ア) 常に周囲の状況に気を配ること。
- (イ) 代金支払いの際、財布のありかを誰かに見られているという点に気を配ること。
- (ウ) 必要以上に多額の現金を持ち歩かない。
- (エ) 現金、パスポート及びクレジットカード等はなるべく別にしておくこと。
- (オ) 財布の中身を不用意に見せない・見られないこと。
- イ 路上強盗
- 裕福な外国人を狙った路上強盗も発生しています。こうした強盗被害から身を守るためには、次のことに注意してください。
- (ア) 夜道や人通りの少ない通りを一人歩きしない。
- (イ) 犯罪多発地域(各市場、人の多く集まる場所)には、極力近づかない。
- (ウ) 常に周囲の状況に気を配り、いつでもその場から離脱できる体勢をとる。
- ウ 車上狙い
- 車から離れる場合には、たとえドアロックをしていても、車両内にバックや財布等を放置することのないように習慣づけましょう。(ドアロックは簡単に解錠できます。)
- また、走行中は窓を大きく開けないようにし、一時停車中に窓から手を入れられバック等を盗まれないように注意してください。
- エ 両替
- 有利なレートで両替するといった甘い話には乗らないでください。闇両替では、偽札を掴まされることも考えられます。したがって、両替は、必ず正規の両替所で行うように心懸けましょう。
- オ 身分証明書の携行
- マダガスカル滞在中の外国人は、常に国籍が明記された身分証明証を携行することが義務付けられております。
- 治安機関による検問の際に、身分証明書を提示できない場合には、警察署にて取調べを受け、身元が明らかになるまで留め置かれることがあります。外出中は、マダガスカル政府発行の身分証明書又はパスポートの写しを常に携帯するようにしてください。
- また、旅券そのものの携行は、紛失・盗難の恐れがありますので、顔写真のページとマダガスカル入国査証(ビザ)のページの写しを作成しそちらを携帯するようにしてください。その場合、真正な写しである旨の証明を受けておくことをお薦めします。
4 交通事情と事故対策
(1) 交通事情
マダガスカルでの自動車運転は可能な限り避ける方が賢明です。各地の道路は幅が狭く、舗装状況も良くありません。雨季には、道路が冠水及び陥没することが多々あります。首都のアンタナナリボでは、坂道が多く、狭い道路が複雑に入り組んでいます。また、街中の至る所で、路上駐車車両があり、標識のない一方通行が多い上、交差点ごとに優先道路が異なっている等、運転を行うことが難しい状況にあります。
現地の交通マナーは極めて劣悪で、ドライバーは自己中心的な運転をしています。右左折の際に方向指示器を出さないまま曲がったり、夜間の無灯火走行、曲がり角での追い越しや、急な駐停車等、非常に危険です。また、歩行者は、自動車交通量の多い道路を、車の間を縫うように勝手に横断し、交通事故も頻発しています。
(2) 事故対策
ア 運転は当地の交通事情をよく知った雇用運転手にさせる方がよいでしょう。
イ 走行速度は控えめに、車間距離は広めにして走行し、先行車の不測の行動(急停止、急な右左折等)や歩行者の飛び出しに対処できるように注意してください。
ウ 対向車線が混雑している場合、対向車線の車が追い越しのために、反対車線に大きくはみ出して向かってくることがあるので注意が必要です。
エ 見通しのきかない場所(坂の上、カーブの手前等)では、絶対に追い越しをしてはなりません。
5 テロ・誘拐対策(一般論)
(1) 現在マダガスカルにおいて、国際テロ組織等によるテロ事件は発生しておりません。また、国内における国際テロ組織の存在も確認されておりません。
しかしながら、昨今の国際テロは世界的な広がりをみせており、マダガスカル国内においても、誘拐、拉致、爆破等のテロ行為に対し、十分な注意が必要です。
テロに関する具体的な情報がある場合には、その都度大使館からお知らせいたしますが、常日頃から各種メディアを通じて関連情報の入手に努めるとともに、テロの標的となる可能性がある施設や大勢の人が集まる場所等には可能な限り近づかない等の注意が必要です。
(2) マダガスカルでの誘拐事件に関する過去の犯罪例は、当地の富裕層を対象としたもので、身代金を目的とした事件が多いようです。マダガスカルにおいては、日本人は富裕層に当たり、安心することはできませんので普段からの注意が必要です。
一般的な誘拐対策として、本冊子の1「防犯の基本的な心構え」及び3「防犯のための具体的注意事項」の事項に加え、次の点に心掛けてください。
- ア 誘拐にあたって、犯人は事前調査等を行うことが多いようです。その調査の結果、以下の選定基準をもって標的を選ぶと言われていますので注意が必要です。
- (ア) 誘拐目的を満足させるだけの経済力、地位を有している者。
- (イ) 容易に接近可能である者。
- (ウ) 特定の時間、場所にいることが予測可能な者。
- (エ) 防御体制が脆弱な者。
- イ 情報の収集
- 普段から、誘拐事件がどこで(地域)、どのような形態(手口)で発生し、その後どのように経過しているか等に関心をもって注意しておきましょう。
- ウ 兆候の発見
- 誘拐事件は事前に兆候が認められる場合が多いようです。その兆候を発見するためには、職場、自宅周辺及び移動時に、少しでも普段と違う点がないか注意を怠らないことが必要です。日頃から自分の周囲のちょっとした変化を見分けることが大切です。
- ― 例えば ―
- 見知らぬ者から、家族構成や行動予定の情報を聞き出すような電話やイタズラ電話が複数回かかってくるようになった。
- 通勤・通学時の経路上でいつも同じ人が自分を見ている。
- いつも後をついてくる自動車がある。
- エ 日常生活
- (ア) 隣人との関係
- 誘拐の未然防止のためにも、日頃から近隣の住民や在留邦人と良好な人間関係を築くよう心掛ける必要があります。
- (イ) 家族に対する注意
- 誘拐防止のためには、日頃から家族全員が基本的な注意を払う必要があります。
- a 子供
- 常日頃、親から安全対策についてよく話して聞かせることが極めて重要です。不審な人物にはついて行かないことを繰り返し教えましょう。登下校時には必ず親が付き添うようにし、自宅では来訪者に対する警戒、電話対応時の注意、両親が不在の場合の注意等を教えるとともに、助けを呼ぶ場合の必要最低限の連絡先、連絡要領を覚えさせておきます。
- b 夫人
- 外出の際には、服装・装飾面で目立たないように注意し、一定の行動パターンをとらないように注意しましょう。在宅中でも、自宅の周辺に不審者がいないか注意を払うことが必要です。また、家庭における安全確保の要であることを自覚し、基本的な安全対策について子供、使用人をしっかり指導してください。
- (ウ) 自動車で移動する際の注意
- a 通勤・通学経路
- 通勤・通学経路は複数確保しましょう。経路を選ぶ際は、一方通行や人通りの少ない経路は避け、交通量の多い大通りを選ぶことをお勧めします。また、警察署等の緊急時の避難場所をよく覚えておき、運転手にも教えておきましょう。
- b 乗降時
- 車への乗降時や車庫から幹線道路までの間が最も危険で誘拐犯に狙われやすいようです。自宅を出る前には、周辺に不審な車や人がいないか注意して観察し、少しでも異常を感じたら、安全が確認されるまで出発しないようにしましょう。帰宅時も自宅周辺の安全を十分確認し、迅速に敷地内に入れるようにしましょう。
- c 走行中(運転中)
- 走行中は全てのドアをロックし、窓は閉めるか、わずかな隙間だけ開けるようにします。これによって、交差点や渋滞で停車した際に、容易にドアを開けられて外へ引きずり出されることを防止することができます。
- 路肩寄りを走ることは、自動車ごと路肩外へ押し出されて止む無く停車せざるを得ない状況になる可能性があります。道路は中央寄りを、また、車線の多い道路では中央レーンを走行し、車間距離を置くように心掛けましょう。また、特に夜間の治安の悪い地域での走行は避けましょう。
- 走行中はバックミラーで追跡車の有無を確認し、不審に感じたら、時々進路を変えたり、停車して安全を確認しましょう。
- d 危険の回避
- いざという時に適切な回避行動がとれるよう、車の前後左右に十分な車間をとっておきましょう。危険を察知したら、進路を変えたり、人通りの多い場所で停車する方が無難な場合もあります。
6 緊急連絡先
(1) 消防・救急車:18又は118
(2) 警察:17又は117
(3) 在マダガスカル日本国大使館
- 住所:Villa ChrysanthèmeⅢ, Ambohijatovo-Analamahitsy, Antananarivo, MADAGASCAR
- 電話:020-22-493-57
- FAX:020-22-494-94
- 開館時間:月曜日から金曜日(祝祭日を除く)
午前9時~正午、13時~16時45分
- 緊急時の連絡先(携帯電話):032-07-072-11
- 領事メールアドレス:minoru.takahashi@mofa.go.jp
7 犯罪被害に遭った後の手続き
不幸にして事件・事故に遭遇した場合、被害の拡大防止や被害回復のため、以下の点に留意してください。
(1) 負傷した場合
救急車を呼ぶには、電話「18」又は「118」をダイヤルし、救急車の手配を依頼しますが、当地の救急体制は信頼できない場合が多いので、可能であれば、自家用車、若しくは付近に頼れる人がいればその人の車で病院まで送ってもらう方が迅速です。なお、病院で診察を受けた際には、診断書を作成してもらってください。傷害保険請求手続きや警察への届け出の際に必要です。
(2) 警察への届け出
犯罪被害に遭った場合、被害現場を管轄する警察署へ届け出を行ってください。
(3) 盗難(紛失)届け出証明書の取得
貴重品や旅券、身分証明書等の盗難(紛失)に遭った場合、届け出をした警察署で、盗難(紛失)証明書を発行してもらう必要があります。この証明書は旅券再発給等の他、保険請求手続きの際に必要です。
(4) クレジットカードの取引停止
クレジットカードの盗難被害、紛失の場合には、できる限り速やかに取引停止手続きを行う必要があります。クレジットカード会社の連絡先は忘れずに控えておきましょう。
(5) 日本大使館への通報
当地にて思わぬ事件・事故に遭遇しお困りの方は、躊躇することなく在マダガスカル日本国大使館にお越しいただくか、電話でご連絡ください。
8 知っていると役立つこと
(1) 傷害保険、緊急移送など
事故や急病による入院治療が必要な場合、状況によっては航空機を利用して近隣諸国への「緊急移送」を行う必要がある場合もあります。しかし、この「緊急移送」を利用した場合、その費用は高額です。万が一の場合に備えて、緊急移送を選択肢の一つとしておくためには、これをサポートしている海外(旅行)傷害保険に加入しておくことが必要です。ただし、この海外傷害保険も様々なものがありますので、加入の際は次の点を確認してください。
ア 緊急移送を行ってくれるか。
イ 移送の諸手続きを保険会社が代行してくれるか。
ウ 24時間連絡可能な体制をとっているか。
(2) 旅券の紛失、盗難被害時の措置(旅券再発給申請手続きの概要)
万が一、旅券を紛失してしまった場合は、在マダガスカル日本国大使館で再発給申請を行ってください。必要な手続きは次のとおりです。
- ア 警察への届け出
- 紛失又は盗難した場所を管轄する警察署で、所用の届け出をし、紛失(盗難)証明書を発行してもらってください。
- イ 日本大使館での旅券再発給申請
- 申請書等は大使館にありますので、大使館で申請してください。
(3) 在留届の提出
当地に3ヶ月以上滞在しようとする場合、大使館への直接提出もしくはWEB上での電子届により、在留届を提出してください。在留届は、大使館から在留している皆様への、緊急連絡や各種ご案内等を行う目的で活用しておりますので、必ずご提出ください。また、転居や帰国等の場合にも忘れずにご連絡ください。
なお、ウェブ上での電子届は、外務省ホームページ(下記URL)からアクセスできます。
9 その他(子の連れ去りが犯罪となり得ることについての注意)
「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」に関するマダガスカルの状況
現在、マダガスカルは同条約の締約国ではありません。一方、マダガスカル国内法では、一方の親のみによる子の居所の移動について定めている法律はありませんが、訴訟のケースに応じて裁判により判決が下される仕組みとなっています。従って、日本人がマダガスカル人配偶者の同意なく子供を日本に連れ帰る場合、係る行為は犯罪となる可能性があるので注意が必要です。
このようなトラブルを回避するには、子供を連れ帰る前に、第一審裁判所(Tribunal de premiere instance)において、配偶者との離婚調停及び親権調停を行っておく必要があります。
Ⅲ 在留邦人用緊急事態対処マニュアル
マダガスカルにおける緊急事態(内乱・クーデター・暴動等)発生の際には、在マダガスカル日本国大使館としても在留邦人の皆様の生命、安全を確保するために最大限の努力を行いますが、そのような状況下では、各自においても責任を持って自己の安全対策に万全を期するよう努力することが大切です。大使館では、そのような時に在留邦人の方が的確、迅速に対応できるよう、平素から必要な準備と心構え、緊急時の行動について必要な諸点をまとめています。在留邦人の皆様は、本マニュアルを参考に、緊急時にも落ち着いて対処するよう心掛けてください。
1 平素からの準備・心構え
(1) 連絡体制の整備
ア 在留邦人の方は「在留届」の提出を励行してください。連絡先や家族構成等記載事項に変更が生じた場合及び帰国・出国の際にもその旨当大使館へご連絡ください。迅速、確実な連絡体制の整備のため、ご協力をお願いします。
イ 緊急事態はいつ発生するかわかりません。緊急事態発生に備え、家族間、企業内での緊急連絡方法を予め定めておいてください。また、常にお互いの所在が判るようにしてください。流言飛語に惑わされたり、群集心理による混乱に巻き込まれないように心掛けてください。
ウ 緊急事態の発生又は発生の恐れがある場合には、大使館は関係各当局と緊密な連携をとりつつ、関連情報の収集、分析に努め、具体的に採るべき対策を検討いたします。なお、これらの事項は、日本人会等を通じて在留邦人各位に通報いたします。
エ 連絡手段
通常電話以外に使用できる連絡手段は次のとおりです。
- (ア) インターネット及びEメール
- インターネットからは外務省ホームページや各種マスメディア等を通じて最新情報が入手できます。また、当館からの情報をEメールにて配信することもありますので、こまめにメールチェックを行ってください。
- (イ) 携帯電話
- 有線電話に比べて、地震等の大規模災害時にも使用できる可能性がありますので、常時携帯すると共に、予備バッテリーも併せて準備しておいてください。
- (ウ) 衛星電話
- 衛星電話は、有線電話及び携帯電話が不通となった際の緊急時にも通話が可能です。
(2) 一時避難場所及び緊急時避難先
- ア 一時避難場所の検討
- 内乱等による戦闘、騒乱に巻き込まれる可能性が高まってきた場合には、常に周囲の状況に注意を払い、情報を収集し、危険な場所に近づかないよう心掛けてください。危険を避けるための避難場所を、常日頃から頭に入れておくことが重要であり、緊急事態の内容等に応じて幾つかのケースを想定し、各自の一時避難場所(外部との連絡可能な場所)を検討しておいてください。
- イ 緊急時避難先
- 大使館からは、緊急事態発生時の状況に応じて、緊急時避難先への集結を指示することがあります。大使館が指定する緊急時避難先は原則として以下のとおりですので、同避難先の位置を確認し、そこに至るルートにつき幾つかのケースを想定しておいてください。
- (ア) 大使館事務所・公邸(Ⅱ防犯の手引き第6項参照)
- (イ) JICA事務所 (Antanimena地区 電話:020-22-300-13)
(3) 緊急事態における携行品等、非常用物資等の準備
- ア 旅券等
- 旅券は常時6ヶ月以上の残存有効期間があることを確認しておいてください。旅券の最終頁の「所持人記載欄」は漏れなく記載しておいてください。下段に血液型(blood type)も記入しておいてください。
- 当国における外国人登録証明書はいつでも持ち出せる状態にしておいてください。また、滞在査証が旅券に記載されている場合は、常時1ヶ月以上の残存有効期間があることを確認しておいてください。
- イ 現金、貴金属、貯金通帳、小切手帳、クレジットカード
- これらは旅券同様に直ぐ持ち出せるよう保管しておいてください。現金は常に予め家族全員が10日間程度生活できる程度を最低限用意しておくことをお勧めします。
- ウ 自動車の整備等
- (ア) 常時整備しておくよう心掛けてください。
- (イ) 常時十分な燃料を補充しておくようにしてください。
- (ウ) 車載工具(特にジャッキ)、スペアタイヤ(空気圧に注意)の状態を確認してください。
- (エ) 携行品の準備
避難場所への移動を必要とする事態に備え、上記(ア)~(ウ)に加え次の携行品を準備し、直ぐに持ち出せるようにしてください。
- 衣類・着替え(長袖、長ズボンが賢明。行動に便利で、人目を引くような華美な物でないもの、麻、綿等吸湿性、耐暑性に富む素材が望ましい。)
- 履物(行動に便利で靴底の厚い頑丈な物)
- 洗面用具
- 非常用食糧等
米、調味料、缶詰類、インスタント食品、粉ミルク等の保存食及びミネラルウォーターを家族全員で最低10日間程度は生活できる量を常備しておいてください。
- 医薬品等
家族用常備薬の他、外傷薬、消毒用品、衛生綿、包帯、絆創膏等
- ラジオ(可能であれば短波放送も受信できるものが望ましい。)
- 通信手段(携帯電話、可能であれば衛星電話)
- その他
懐中電灯、ライター、蝋燭、マッチ、ナイフ、缶切り、栓抜き、紙製の食器、割り箸、固形燃料、簡単な炊事用具、可能ならヘルメット又は防災頭巾(応急用としてクッション)等の用意もお勧めします。
- (オ) 本冊子末尾の別添資料2「緊急時に備えてのチェックリスト」も併せてご利用ください。
2 緊急時の行動
(1) 心構え
緊急事態が発生し、又は発生する恐れのある場合、当大使館は在留邦人皆様方の保護に万全を期すため、所要の情報収集、情勢判断及び対策の策定を行い、随時通報いたします。平静を保ち、無責任な流言飛語に惑わされたりすることのないよう注意してください。
(2) 情勢の把握
ア 大使館からの連絡は、電話又はメールにて随時通報致します。
イ 緊急事態発生の際には、現地の各種報道、海外報道、衛星放送等により各自が情報収集に努めるよう心掛けてください。
(3) 大使館への通報等
ア 直接知りえた現場の状況を、在留邦人間で情報共有する意義があると判断される場合には、随時、大使館に通報してください。その他の在留邦人方の貴重な情報となり得ます。
イ 自分や自分の家族、または他の邦人の生命・身体・財産に危害が及ぶ又は及ぶ恐れがある場合は、迅速かつ具体的にその状況を大使館に通報してください。
ウ 緊急事態発生の際には、お互いに助け合って対応することが必要になります。大使館より、在留邦人の方々に種々の支援をお願いすることもありえますので、その際はご協力をお願いします。
(4) 国外への退避
ア 事態が悪化し、各自または派遣先の会社等の判断により、帰国又は第三国へ退避する場合には、その旨を大使館に通報してください。
イ 日本外務省より「退避勧告」ないし「渡航延期勧告」を内容とする渡航情報が発出された場合には、民間航空便が運航している間に、可能な限り早急に国外へ退避してください。なお、民間航空便の運航が停止した場合、あるいは座席の確保が著しく困難となった場合等には臨時便の利用もあります。状況によっては陸路及び海上の両ルートを利用して退避することが必要となってくることもあり得ますので、大使館の指示に従ってください。
ウ 事態が切迫し、大使館より退避または避難のための集結を指示された場合には、Ⅲ在留邦人用緊急事態マニュアル第1項(2)イで指定した緊急時避難先に集結してください。その際、しばらくのあいだ同避難先で待機する必要がある場合も想定されますので、可能であれば同マニュアル第1項(3)の非常用物資を参考に最小限の荷物を持参するようお願いします。
Ⅳ おわりに
日頃から本冊子で説明してきた危機管理意識を念頭において頂くと、事件事故に遭遇した場合の対応が違ったものになると思います。また、気になることや解らないことがございましたら、大使館へお気軽にご相談ください。
皆様のマダガスカルでの滞在が少しでも安全で快適なものとなることをお祈り申し上げます。
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