在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。
~備えあれば憂いなし~
2011年3月7日
在ラスパルマス出張駐在官事務所
我が国の国際化の進展に伴い、海外で暮らす日本人の数は年々増加し、それとともに海外で事件、事故に巻き込まれる事例が増えていることは皆様ご承知のとおりです。
カナリア諸島における邦人の犯罪被害報告は年間数件に留まっています。
また離島であるという地理的条件から、テロリストの侵入が困難なため、テロ・爆弾事件等は近年発生していません。
しかし、主に欧州各国から観光客が一年中訪れることもあり、スリや置き引き等の軽犯罪は観光地を中心に発生しています。
また、スペイン本土では2004年3月11日、欧州最大の爆弾テロとなったイスラム過激派組織によるマドリード列車爆破事件が発生し、191人が死亡、約2000人が負傷しました。更に、2006年12月30日には、マドリード・バラハス空港駐車場において、ETAによる大規模な自動車爆弾テロが発生し、外国人2名が死亡しています。今後も、このようなテロ事件が皆様の身近で発生しないとは必ずしも言い切れません。
こうした状況下では、強盗や窃盗などの一般犯罪に対する安全対策はさることながら、テロ事件に対する安全意識を持つことも重要です。海外において犯罪の被害に遭わないためには、皆様一人一人が日頃から安全意識をもって行動されることが必要となります。
そこで、カナリア諸島在住の方々や旅行される皆様方の防犯のご参考になればと思い、「防犯の手引き」及び「緊急事態対処マニュアル:大規模テロ(爆弾テロ)に備えた日本人心得」から成るこの「安全の手引き」を作成しました。この手引きは決して目新しいものではなく、カナリア諸島に長く滞在されている方々には当然のことばかりと思いますが、もう一度お読みいただき、皆様の安全で快適なカナリア生活の一助になれば幸いです。
カナリア諸島は1960年代から日本の水産業界と結びつきが深く、スペイン国内でも親日的な人々の多い地域です。
治安面では、比較的に良好ですが、最近多種多様な犯罪が発生しています。そういった犯罪に皆様が巻き込まれないためには、事件、事故に巻き込まれる前に、正しくカナリア諸島の実態を認識し、危険な場所へは立ち入らない等、安全、防犯意識を充分に持つことが大切です。
日本人は、海外での安全意識が欠如しており、無警戒、無防備、無認識であると指摘されます。海外での安全の基本は、「不断の警戒」「目立たない」「行動を予知されない」の三原則です。
安全情報の収集は楽しい海外生活を送るためには欠かせません。日頃から新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネット等のニュースや在ラスパルマス出張駐在官事務所、在スペイン日本国大使館を通して、安全情報の収集をお勧めします。
なお、在スペイン日本国大使館では、随時、ホームページ(http://www.es.emb-japan.go.jp/japones/index.htm
)に安全情報を掲載・更新しており、また、ご希望の方々に安全に関する情報を電子メールにて送信するサービスを実施しております。本サービスを御希望の方は、ご氏名及び登録希望メールアドレスを領事部代表メールアドレス(consular@tocco.es)宛にお送り下さい。
万一の事件、事故に備えての警察、消防、病院、在ラスパルマス出張駐在官事務所或いは企業関係者、信頼できる近隣者等の連絡先は常に整理し、在留邦人相互間の連絡体制も併せて確立することをお勧めします。
スペイン検察庁の報告によると、2009年カナリア諸島では、犯罪件数はラスパルマス県では147,649件で前年比0.26%の増加、サンタクルス・デ・テネリフェ県では前年比0.61%の増加となりました。犯罪の種類は両県共に、窃盗等がほぼ半数を占め、殺人、強盗等の凶悪犯罪は数件に留まっているため、治安情勢は比較的良好に推移していると言えます。
カナリア諸島は、一年を通して気候が温暖なため、ヨーロッパ有数の観光地として、避暑・避寒客で賑わっており、2010年には約859万人の外国人観光客が同諸島を訪れました。この為、国家警察は外国人観光客のため、観光シーズン中の観光地における警備の強化、宿泊施設・レストラン等に対する防犯指導(犯罪例の周知等)、被害発生時の処理手続きの迅速化等の策を講じています。
スペインはアフリカ、中南米から欧州に入る各種麻薬の重要な入口となっており、密売組織が暗躍しています。カナリア諸島はヨーロッパ、中南米、アフリカを繋ぐ海上交通の要路に当たることから、主に中南米からの麻薬密輸ルートの経由地となっており、治安当局は麻薬密輸組織の取締りを強化しています。
またカナリア諸島でもスペイン国内同様、麻薬乱用が大きな社会問題となっています。スペインでの麻薬密輸、密売の罪は重いので、見知らぬ人から「荷物を預かってもらいたい」「手数料を払うので、荷物を運んでもらいたい」などと頼まれても絶対に引き受けてはいけません。日本人の気の良さに付け込んだ甘言に乗ってしまうと知らない間に「麻薬の運び屋」に仕立てられ、麻薬取引の共犯者となりますので、そのような場合は無視することが最良の策です。
カナリア諸島はアフリカ大陸まで約115キロの距離にあることから、北西アフリカ諸国(主にモロッコ、モーリタニア、セネガル)からの小型船による不法入国者が問題となっています。
スペインで生活している方の安全確保、事件、事故発生に際しての第一次的責任はスペイン政府が負っています。カナリア諸島内で日本人が事件、事故に巻き込まれた場合には、在ラスパルマス出張駐在官事務所は邦人保護の観点から必要な援護措置を講じますが、捜査、処理は全てスペインの主権の下に、スペイン政府の責任において処理されます。したがって、日本の治安当局の捜査手法、処理方法とは同一であるとは限りません。スペインの警察制度は、日本の制度とは異なっており、4つの警察組織が存在し、それぞれ管轄地域と職務権限を異にしています。
スペインでは、テロ組織ETA(バスク祖国と自由)及びアル・カーイダと関連するとされている北アフリカのイスラム過激派のテロが最大の脅威となっています。
今までにETAのテロにより、800人以上が犠牲となっています。
また、2007年には11件、2008年には33件、2009年には15件、2010年には1件以上のテロを実行しました。テロの対象は、軍、警察、裁判所等の政府関係機関が主ですが、観光客や一般市民が集まる避暑地や大学構内においても爆破テロが行われており、爆弾テロに巻き込まれる可能性も十分考えられます。
2010年中、治安当局はフランス等外国の治安当局と連携してETA及びETAの若年層支援グループのSEGIメンバーを124名逮捕すると共にアジトの摘発等を強力に推進しました。ETAは、2010年9月5日、停戦宣言をしましたが、停戦宣言後間もない9月16日に1件の爆破事件を起こしました。ETAは、過去において、何回も停戦宣言をしては破棄を繰り返しており、スペイン政府は、ETAが武器の放棄についてまでは言及していないこと、及び停戦が恒久的なものとされていないことから、今次停戦声明への慎重な姿勢を崩していません。
ETAは組織的にダメージを受けていると見られますが、一般市民がテロ被害に遭遇する可能性は否定できず、十分な注意が必要です。
通常、ETAはテロを実行する場合、事前(30分から1時間前)に予告することが多いので、周辺の状況に常に注意を払い、治安当局から避難等の指示があった場合は、指示に従うようにして下さい。
2004年3月11日にマドリード列車連続爆破テロが行われ、死者191名、負傷者約2000名が発生する大惨事となりました。以後、治安当局は、イスラム過激派の取り締まりを強化しており、2008年1月にバルセロナで逮捕されたイスラム過激派のメンバーは、バルセロナ市内の公共交通機関を標的とした爆破テロを計画していたとされています。
2010年においてもアル・カーイダの関連のあるイスラム過激派関係者が、同組織に対する不正送金の罪で多数逮捕されています。
同年11月5日、スペインの4段階あるテロ脅威度が、下から2番目「高い(Alto)」の中にある低い強度(Intensidad baja)から高い強度(Intensidad Alto)に引き上げられています(注:スペイン内務省は、テロ脅威度を「極度(Extremo)」、「とても高い(Muy Alto)」、「高い(Alto)」及び「潜在的(Medio)」の4段階で評価しており、更にそれぞれの段階が低い強度(Intensidad baja)と高い強度(Intensidad Alta)の2つに分かれています)。
今後、イスラム過激派による無差別テロが行われる可能性も十分考えられますので、テロ情報の入手に努めるとともに、治安当局から避難指示等があった場合は、指示に従い速やかに避難して下さい。
2010年における在スペイン日本国大使館及び在バルセロナ総領事館が把握している邦人被害件数は509件であり、前年の457件と比べ増加しており、邦人旅行者の増加に伴い、被害件数は中長期的には依然増加傾向にあります。
2010年のカナリア諸島に於ける邦人の犯罪被害報告は9件であり、特に観光地におけるスリ及び車上荒らしの被害が増加しています。
なお,具体的な邦人被害例につきましては、毎月、在スペイン日本国大使館ホームページ(http://www.es.emb-japan.go.jp/japones/index.htm
)「安全情報」の中の「邦人被害例」に掲載していますので、ご参照ください。
テネリフェ島の観光地で景色を見るため施錠せずに下車し、戻ってみると物色された跡があり、財布、クレジットカード等の貴重品が入った鞄が盗まれた被害が2件報告されています。
フェルテベントゥーラ島観光地の宿泊先(アパートメントタイプ)の寝室にて就寝中、ロックをかけ忘れた窓ガラスから何者かが隣のサロンへ侵入し、旅券、現金、カメラ等が入った鞄を持ち去られた。
置き引き・引ったくり等窃盗事件の主な発地域:
盗難(特に車上狙い)事件の主な発生地域:
手口:テーブルの上の携帯電話や足下或いは反対側の椅子に置いてあるバッグ等を置き引きする被害が多くなっています。
対策:手荷物を他のテーブル、椅子の上や背もたれ、足下等に置かないように心掛けて下さい。また、席を離れる際には、例え短時間でも手荷物を必ず携行して下さい。
手口:カートに置いた貴重品の入った手荷物を狙った置き引きが発生しています。
対策:特に貴重品は必ず身につけて下さい。また旅券、航空券、財布等を同じ所に保管せず、別々にして携行することをお勧めします。
手口:銀行やキャッシュディスペンサーで、現金を引き出すのを見ていて、その後をつけ現金を盗むものです。グループで犯行に及ぶケースが多く、犯行後、現場付近に待機している仲間の車やバイク等に乗り逃走する場合があります。
対策:銀行等で現金を引き出した際は、常に周囲に注意を払い、用もないのに近付く人がいる場合には警戒が必要です。外部設置のキャッシュディスペンサーを利用しないことをお勧めします。
また、歩行中は、バッグや貴重品などの荷物は、車道側には持たないように心掛けて下さい。
手口:駐車場内、路上駐車を問わず、巧妙な手口で車のドアの鍵をこじ開けたり、ガラスを割って車内やトランクから物品を持ち去る手口が増えています。
対策:たとえ少しの間でも車を離れる時は、ドアをロックし、決してエンジンを掛けたままにしないで下さい。外から見えるところに物が置いてあれば狙われます。車内に何も置かないようにして下さい。
また、車に防犯アラーム、ハンドル固定棒、バッテリー・カットなどの装置を備え付けていることも有効です。
手口:キャッシュディスペンサーに挿入したキャッシュカードが取り出せなくなる細工を施したり、カードの磁気情報等を読み取る装置を取り付ける等犯罪手口が巧妙かつ高度化しています。
対策:キャッシュカードが取り出せなくなった際は、何者かが親切を装って、解決方法等を教えてくれる場合がありますので、相手にせず即座に契約銀行またはカード会社にキャンセルの通知をして下さい。
また、頻繁に貯金出入金状況を確認し、身に覚えのない現金が引出されていないかをチェックすることをお勧めします。
2006年7月1日より交通違反点数制が導入されました。通常、持ち点は12点(運転免許取得歴3年以下の場合は8点)で違反内容により減点処分を受けます。
スペインではこれまで邦人を巻き込んだ誘拐事件は起こっていませんが、この種の犯罪はどのような形で襲ってくるかわかりません。そのための日常における防止策としての心がけは次のとおりです。
(1)出勤、帰宅、外出の際、自宅周辺の様子が普段と違うかどうか注意する習慣をつける。
(2)判で押したような出勤、帰宅、外出は犯人に絶好の襲撃機会を与えることになるので、出来る限り時間帯や道順などのパターンを変える。
(3)万一誘拐された場合は犯人に抵抗しない。誘拐犯がむやみに殺傷等をせず、目的(例えば身代金を得る等)達成後には無事解放されることを信じ、落ち着いて体力を維持しつつ、救出を待つという心構えが必要。
住所:Calle Santiago Rusiñol,12
35005 Las Palmas de Gran Canaria
電話:928-244012(代表)
928-297290(FAX)
事務所開所時間 月曜日~金曜日 9時00分~12時、14時00分~16時00分
なお、上記開所時間以外や土曜、日曜及び祝日は閉所していますが、日本人に関する人身事故等緊急の場合には対応しています。上記事務所電話にて、自動音声による緊急電話番号の案内をしています。
緊急事態が「いつ、どこで、どのように」発生するのか予測は困難です。日頃からの準備が非常に大切です。
常に最新の治安情報入手に努めましょう。
新聞、テレビ、ラジオ、インターネットの報道の他、外務省の海外安全ホームページ(http://www.anzen.mofa.go.jp/)においても以下の情報を入手することができます。
また、日本の海外向けテレビ(JSTV)では、主に外務省が提供する情報を基に「海外安全情報」を毎日放送しています。
更に外務省では、NHK海外放送(ラジオ日本)を通じ、現地情勢、退避方法等について情報提供を行うことがありますので、短波放送が受信可能なラジオ(電池使用)を備えておくことをお勧めします。ラジオ日本はヨーロッパ向けに日本語放送しており、放送時間により異なりますので、次のラジオ日本のホームページをご参照ください。
緊急事態が発生し、または発生する恐れがある場合には、当事務所は情報収集、情勢判断および安全対策の策定を行い、随時、情報提供を行います。平静を保ち、流言飛語に惑わされたり、群集心理行動に巻き込まれることのないよう注意し行動して下さい。