在留邦人向け安全の手引き 在アイスランド日本国大使館

在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。


在留邦人向け
「安全の手引き」

平成24年4月1日
在アイスランド日本国大使館

Ⅰ 序言

在留邦人の皆様が、アイスランドで安全に日常生活を送るための参考として、また、様々な緊急事態の発生を想定し、的確かつ迅速に対応するための心構えとして、この手引きを作成しました。

Ⅱ 防犯の手引き

1 防犯の基本的な心構え

災難が身の上に降りかかったときに,「もっと注意しておけばよかった!」と悔やんだ経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。特に海外で生活する場合,自己の「安全」を意識することは,非常に重要なこととなります。

幸いにも,アイスランドの治安は,凶悪事件の発生も少なく,他のヨーロッパ諸国に比べて比較的良好であるといえます。しかし,最近では,首相府付近で爆発騒動が起き,麻薬に絡む強盗や暴行事件,バイクを使った組織犯罪なども発生しています。また,盗難や車上狙いによる被害など,旅行者を含めて邦人の方が犯罪に巻き込まれる例もあり,細心の注意が必要です。

海外では,日本とは異なり,「何かあれば警察が助けてくれる」という常識は通用せず,むしろ「本人とその家族の安全は,自分たち自身で責任を負わなければならない」と考えることが基本になります。そして,日頃から隣近所とお互いに助け合える協力関係を築き上げておくことも大切といえます。

アイスランドでも,これまで,日本人の旅行者がパスポートや現金を盗まれたり,在住する日本人でも,車上狙いや空き巣による被害を受けた例があります。アイスランド社会における治安の現状が,大都市化へと変貌しつつある傾向も意識する必要があるようです。盗難の場合,現金被害のほかに,パスポートの紛失が心配されます。パスポートの盗難は,紛失した本人が気づかないうちに偽変造され,より深刻な犯罪に使われる危険性がありますので,細心の注意が必要です。

海外で安全に暮らすための3か条
用心を怠らない
行動を予知されない
目立たない
2 最近の犯罪発生状況

当国の治安は,他の欧州諸国に比べ一般的に良好であるといわれていますが,下記の表でも分かるように,ここ数年,犯罪発生件数の合計は一定の数値を維持しており,減少しているとはいえません。首都圏では違法薬物所持や栽培のほか,酒に酔った上での女性に対する暴行事件の発生が多く報道されています。また,治安のよいと思われるアイスランドでも,殺人事件が発生していることに着目する必要があります。特に首都繁華街では,週末の夜に暴行事件が多く発生する傾向にあります。治安当局としては,各国警察との情報共有,警察官の巡回,繁華街への防犯カメラ設置など,国内外での情報入手を綿密に行うことで,治安の維持と犯罪防止に努力しています。

参考:アイスランドにおける犯罪発生件数(2010年国家警察庁犯罪統計)

アイスランドにおける犯罪発生件数
犯罪の内容 2008年 2009年 2010年
窃盗 4,332 5,114 4,920
空き巣 2,731 3,524 2,866
強盗 43 60 42
強姦 123 130 98
暴行 1,316 1,155 1,175
暴行(うち殺人) 0 1 2
麻薬違反 1,590 1,327 1,537
合計 10,135 11,250 10,638
3 防犯のための具体的注意事項
(1)住居
ア 選択
(ア)出入口を含む開口部分の施錠がしっかりした住宅を選ぶ。
(イ)主な出入口が人目につく場所にある住宅を選ぶ。
(ウ)集合住宅の場合は,1階や地階は避ける。
(エ)ガレージ併設の一戸建住宅では,ガレージから住宅への出入口を確認する。
イ 警備方法
(ア)施錠を二重にする。
(イ)周囲に住宅が少ない地域の一戸建では、警備機器等を併用する。
(ウ)長期間にわたり家を留守にする場合は、警備会社への委託も検討する(巡回警備やアラームの設置、月単位での契約が可能)。
(2)外出時
ア 置き引き
(ア)荷物を置いたままにして,その場を離れない。カバンは肩掛けがついたものを利用し,必ず腕を通しておく。
(イ)レストラン等では,貴重品の入ったハンドバッグやカバンを,テーブルやいすに置いたまま席をはずさない。
(ウ)見知らぬ人から「落し物ですよ」などと話しかけられ,視線をそらしたスキに,もう一人が荷物を持ち去るケースがあるので注意する。
(エ)カバンは常に体の前で持ち,手を添えておく。ズボンの後ろポケットやバッグの外側ポケットなど,人目につくところに財布や貴重品を入れない。
(オ)回りに人がいないと感じる郊外でも,貴重品の入ったバッグなどは自分の目の届く範囲に置いておく。
イ 窃盗
(ア)年末年始,イースター,夏休みなどの期間を利用して長期にわたる旅行をする場合,週末や祝祭日で家を留守にする場合,短時間の買い物に出かける場合,就寝の前などには,自宅の出入口全てについて,必ず鍵のかけ忘れがないかどうかを点検する習慣をつける。
(イ)夜間に短時間留守にする場合には,屋内の電灯,ラジオ,テレビ等をつけたままにしておく。
(ウ)日常の買物など,外出の行動パターンを一定にしない。決まった時間に留守にしていることや,家が不在であることが外見から分かってしまうようなスキをつくると狙われやすいので注意する。
(エ)2階の窓や一見して侵入不可能と思われる場所でも,足場がないか確認して,確実に鍵を閉める。
ウ 強盗
近年,銀行や深夜営業のコンビニエンスストアでの強盗事件が発生しているので,身の回りに気をつける。
エ 車上狙い
(ア)自動車にアラーム式盗難防止装置の設置を検討する。
(イ)人目につかない暗い場所に駐車しない。また,人目につきやすい場所でも,深夜の長時間にわたる路上駐車はしない。
(ウ)短時間の駐車でも,忘れずにドアロックをする。
(エ)犯人が物を盗む誘惑にかられることになるので,駐車中の車外から見えるようなかたちで,車内に物を放置しない。
オ 傷害,暴行,夜間の行動
(ア)酔った上での口論は避ける。
(イ)深夜に外出や帰宅せざるをえない場合は、交通量の多い明るい道路を選び、暗がりの一人歩きは避ける。
(ウ)見知らぬ人が誘う車には同乗せず、タクシーを利用する。
(エ)週末のディスコ等では、薬物が混入されないよう飲み物の管理に気をつける。
(3)生活

ア 普段から近所の人と協力関係をもち,長期にわたり留守にする時は,防犯に注意を払ってもらう。

イ 郵便受けに新聞や郵便物が溜まっていると空き巣に狙われやすいので,不在期間中の新聞購読を止める手続きをしたり,知人に定期的に郵便物を室内に取り込んでもらうよう依頼しておく。

ウ 鍵の所有数を把握しておき,紛失した場合は,ドアのシリンダーを交換するなどの対応を心がける。

エ 家族が通常帰宅する時間を把握しておく。

4 交通事情と事故対策

首都圏の住宅地域が郊外に広がっていることもあり,首都中心部に繋がる幹線道路では朝夕の交通量が多く,渋滞もみられます。2010年における交通違反総数は2009年より多少減少し,2007年から2009年における違反総数の平均を下回っています。違反内容は,スピード違反が総数の約70%以上を占め,飲酒運転,免許証不携帯,シートベルト未着用などによる違反もみられます。違反総数は減少傾向にあるものの,2010年には交通事故で8名の命が奪われています。冬の時期は暗い時間が長く,天候の変化が激しいため,運転には注意を払いますが,日照時間が長く明るい夏の時期には,スピードを出しすぎる傾向があるようです。

最近の傾向として,速度制限を超えた運転や方向指示器を示さないまま進路を変更する運転などが目立っています。また,ロータリ内での左側(内側)優先や,信号のない十字路での右側優先など,日本人には不慣れな交通規則もあるので,十分な注意が必要です。

(1)国内における交通事故発生の傾向(2010年内務省交通局年報)

ア 季節:発生件数は11月が最も多かった。

イ 曜日と時間帯:木曜日の夕方4時から5時に事故が多く発生した。

ウ 地域:発生件数は首都圏に集中し,特にレイキャビク市内が最も多かった。

エ 年齢:免許を取得して間もない17歳~19歳による事故が多かった。

オ 性別:男性による事故が3分の2を占めた。

カ 死傷者:6月が最も多かった。

(2)交通事故対策

ア 自家用車の定期点検整備を怠らない。

イ 冬用タイヤへの交換を怠らない。

ウ 幹線道路の交差点では,信号の変わり目に注意する。

エ 突然の事態にも停止できるよう走行速度を控える。

オ 事故が起きた場合に備え,自動車保険会社,警察,救急車の連絡先を確かめておく。

カ 事故が起きた場合,可能であれば,周辺にいる目撃者に証人になってもらうよう氏名や電話番号を尋ねておく。

キ ロータリー内の左側(内側)優先や信号のない交差点での右側優先の交通規則を十分理解しておく。

ク 郊外に出かける際は,携帯電話などの連絡機器を忘れない。

ケ 天候の変化に注意し,特に積雪や霧の発生時に無理な走行はしない。

コ 高速で走行中,車間距離を詰めて追従する車両がある場合,路肩に車両を寄せ,後続車をやりすごすようにする。

サ 未舗装の道路では急停車は避け,路肩に寄りすぎて脱輪しないように注意する。

5 習慣の違いによるトラブル

アイスランドにおいては,親権を持つ親であっても,他方の親権者の同意を得ずに子の居所を移動させること(親が日本へ帰国する際に子を同行させる場合を含む。)は,子を誘拐する行為として重大な犯罪となる可能性があります。実際に,他の国では,結婚生活を営んでいた国への再入国や,当該国との刑事司法上の共助関係を有する第三国への入国の際に,子を誘拐した犯罪被疑者として日本人が逮捕される事案も生じていますので,ご注意ください。

6 テロ・誘拐対策

アイスランド国内においてテロや誘拐が発生する可能性は非常に少ないとはいえ,「Ⅱ 防犯の手引き」で述べた「海外で安全に暮らすための3か条」を基本に,自らの安全について常に配慮することが必要です。テロ発生の危険性が疑われる地域への渡航は控えるとともに,常に最新の情報を入手し,身の回りへの気配りを怠らないようにしましょう。

7 緊急連絡先
(1)何か緊急事態が発生した場合,隣人や近くの人に助けを求めることは当然のことですが,以下に示す「緊急時」の電話番号へすぐに通報します。

ア 警察 112

イ 消防 112

ウ 救急車 112

(2)当館の連絡先電話番号及び住所は以下のとおりです。

ア 代表
510-8600
※執務時間外,休日・祝祭日は留守番電話機能又は緊急用携帯電話への転送で対応

イ 住所
Laugavegur(ロイガベーグル) 182, 105 Reykjavik

(3)その他

ア 病院(救急) 543-1000

イ 出入国管理局 510-5400

ウ 観光局 535-5500(レイキャビク)
535-5510(アクレイリ)

(4)緊急時のアイスランド語表現

ア 助けて!=ヒャルプ!

イ 救急車 = シュクラビッキ

ウ 交通事故 = ビルスリース

エ 火事だ!= エルドゥル!

オ 警察 = ログレグラ

カ 住所 = ヘイミリスファング

Ⅲ 在留邦人用緊急事態対処マニュアル

1 平素の準備と心構え
(1)連絡体制の整備

ア 緊急事態はいつ起こるとも限りません。予めそのような場合の家族間,会社・団体内での緊急連絡方法を決めておき,お互いに居所が分かるように心がけてください。また,在留届の提出,在留届の記載事項変更,緊急連絡網の電話番号変更,居住地を長期離れる場合等の届出を励行してください。

イ 緊急事態が発生した際には,当大使館より緊急連絡先等や在留届の連絡先に基づいて情報を提供します。なお,電話回線などが使用できなくなる場合には,NHK海外放送により必要な連絡を行うこともあり得ます。短波放送受信可能なラジオ(電池の準備もお忘れなく)の準備も考慮に入れて下さい。

(2)避難場所

緊急事態が発生した際には,常にその状況の進展に注意を払い,情報を収集し,危険な場所に近づかないことを心がけてください。万が一緊急事態に巻き込まれそうになった場合の一時避難場所については,自分が何処にいるか(勤務先,通勤途上,自宅など),自分がどのような事態に巻き込まれそうかなど,幾つかのケースを予め想定して,各自で検討しておいてください。(外部との連絡可能な場所が望ましい。)

(3)携行品等、非常用物資の準備

ア 旅券,現金,貴金属等最低限必要なものは,直ちに持ち出せるよう予めまとめて保管しておいてください。

イ 緊急時には一定期間自宅での待機を勧告することもありますので,非常用食糧,医薬品,燃料等を最低限7日分準備しておくことをお勧めします。

ウ 準備しておくべきもののチェックリストは巻末の通りです。

2 緊急時の行動
(1)基本的心構え

当国の治安は非常によいものの,自然災害も含めた緊急事態の発生を予測することは非常に難しいことです。情報収集を中心に,不測の事態が発生した場合に,的確に対応できる心構えを常に持ち続けることが重要です。

(2)情勢の把握

ア 緊急事態が発生,または発生する恐れのある場合に,当館は邦人保護の万全を期すため,所要の情報の収集,情勢判断及び対策の策定を行い,緊急連絡網や在留届の連絡先などに基づいて,在留邦人の方々に随時通報いたします。平静を保ち,流言蜚語に惑わされたり,群集心理に流されたりすることのないよう注意してください。

イ 緊急事態が発生した際には,当地の報道,衛星放送テレビなどを視聴し,各自で情報収集を心がけてください。

(ア)NHK国際放送「ラジオ日本」
http://www.nhk.or.jp/nhkworld/japanese/radio/program/index.html別ウインドウが開きます
(イ)国内のラジオ放送例:
(a)国営ラジオ(RÚV)RÁS1
FM(92.4/93.5キロヘルツ)
http://www.ruv.is/ras1別ウインドウが開きます
(b)国営ラジオ(RÚV)RÁS2
FM(90.1キロヘルツ)
http://www.ruv.is/ras2別ウインドウが開きます
(ウ)TV放送:
国営テレビ(RÚV)、チャンネル2(STÖÐ2)、CNN、BBCなど。
(3)当大使館への通報等

ア 現場の状況を知らせる必要があると思われるものは,随時,当館に通報をお願いします。他の日本人の方々への貴重な情報となります。

イ 自分や自分の家族または他の日本人の生命,身体,財産に危害が及んだ,あるいは及ぶ恐れがあるときは,迅速かつ具体的にその状況を当館に通報してください。

ウ 緊急事態発生の際には,お互いに助け合って対応に当たることも必要となります。当館より在留邦人の方々も,種々のご助力をお願いすることもございますので,宜しくご協力の程お願いいたします。

Ⅳ 結語

「安全の手引き」として作成したこの資料は、邦人の皆様に役立つことを最優先に作成されています。治安のよいアイスランドとはいえ、日常生活で犯罪や事故被害にあう可能性がゼロとはいえません。また、緊急避難が必要になることも想定した安全対策が必要です。この手引きは、毎年4月に定期的な改訂を実施していますが、できるだけ新しい情報を皆様に提供することを心がけています。不幸にして犯罪に巻き込まれたり、日常生活で困ったことが起きましたら、迷わず当大使館へご相談下さい。

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