在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。
平成24年2月版
在フランス日本国大使館
フランスは絵画や音楽、ファッションなどの芸術面において世界をリードする地位にあり、世界中から多くの観光客が訪れています。この文化豊かなフランスは、皆様の目から見て安全な国でしょうか。2010年1年間に在仏日本国大使館領事部で取り扱った邦人援護件数は約880件(約930名)に上ります。2009年1年間の邦人旅行者数(約50万人)と当館管轄内の在留邦人数(約2万2千人、2010年10月現在)を併せた約52万2千人と比較すれば、実際に被害に遭われる方はほんの一握りの方々で,ほとんどの方は無事に旅行を終えられ、帰国なさっています。しかし、盗難等の被害は後を絶たず、パリ市内でも地区によっては危険な場所もあります。また、大都市郊外の治安悪化地区を中心にフランス全土で年間約3万台の車両が放火されているとの事実もあります。
現在の国際テロ情勢から見れば、都市部での大規模テロ事件等が発生する危険性は引き続き存在すると考えなければなりません。
また、フランスでは、2005年10月にパリ市郊外で起きた若者3人の死傷事件に端を発し、大都市郊外の治安悪化地区において、若者らによる公共施設等への投石や路上の自動車への放火などの騒擾事件が発生しました。フランス政府は、同年11月8日に非常事態法に基づき、県知事に夜間外出禁止令発令権限を与えるなどの措置をとりました。これらの一連の事件で邦人の皆様が直接的な被害に遭った等の連絡はありませんでしたが、このような事態が発生した社会構造は基本的に変わっておらず、今後とも、同様の事態が起こる可能性は否定できません。
当館では、皆様が安全対策を実行されるに当たって、被害事例や対処方法などをお知らせすることにより、被害に遭わない、被害を出来るだけ防ぐために助言をさせていただく目的で本マニュアルを作成しました。
本マニュアルを参考に各自で対策を実行し、フランス滞在が安全なものとなるようお気を付けください。
大使館領事部には、旅券や財布の盗難などに遭い、旅券の発給等の申請に来られる方が多数いらっしゃいます。2010年の1年間に当館で認知した強盗・窃盗の被害に遭われた邦人の方は約600件、被害人数は約640人となっており、3年連続前年を上回っています。
当館では、被害事例の分析を行い、フランス官憲に被害事例(個人情報は除く)を提供するなど、被害防止に関して申し入れを行っています。

被害者の男女比:男性4割 女性6割
被害報告を見る限り、全体の約6割が女性の被害です。これは、日本人は現金を持ち歩くと認識されている上、女性がハンドバッグを所持しているため、狙われやすいことが原因かもしれません。
パリ市内及び近郊9割、その他1割
全体の約9割がパリ市内及び近郊における被害です。犯罪の形態としては、スリ被害、置き引き被害が約9割を占めています。また、被害に遭う場所としては、約4割がメトロ(地下鉄)内で発生している他、有名な観光地やその近くの路上でも2割ほど発生しており、特にこれらの場所では注意をする必要があります。
在留邦人の皆様は、スリ、ひったくり、置き引きなどの犯罪被害には、日頃から相当注意されているものと思います。一般的には、貴重品はなるべく携行せず、現金等は分散して所持すること等が必要ですが、これらに併せ、改めて、以下の点にご留意ください。
~被害に遭わないようにする~
犯人はあなたの行動を見て、スキがあるかどうかを判断します。
1分の間に1秒だけだったらできるはずです。
常にスキを作らないよう気を配るのは大変です。今いる場所の危険度に応じて、間隔を開けてもいいでしょう。1分1秒、2分2秒、3分3秒だけ、自分にスキがないか振り返ってみてください。
これだけであれば、3秒もあれば十分です。
あなたがスキを見せなくても、スキを作られることがあります。
オートバイによる引ったくりは非常に危険です。
歩道を歩くときは建物側を歩き、バッグなども建物側に持つなどの対策が有効でしょう。なお、バッグを盗られないようにしっかり持っていたため、引きずり倒されて打撲、骨折をした人もいます。できるだけ盗られないように注意することは勿論ですが、盗られてしまったら、自分の身の安全も考え、バッグから手を離すことも必要かも知れません。
どのような被害があるのでしょうか?
なお、渋滞中や赤信号で停車していると、突然ドアを開けられたり、窓ガラスを割られ、膝や座席の上に置いたバックの盗難に遭うという例も頻発しています(特にCDG空港からパリ市内に向かう道路上)。
また、パリ近郊の人気のない場所にある赤信号で停車中に後ろから車に追突され、事故処理のために降車したところ、覆面の男に脅され、ひるんだ隙に車を持ち去られるというカージャック被害も発生しています。
睡眠薬はたとえ少量であっても大変危険です。
パリ市内において、エッフェル塔など観光名所を散策中、欧米系の男性から英語で話しかけられ、チョコレート、アイスクリームなどを勧められるまま口にしたところ、突然意識を失い、気がついた時には所持品を盗まれていたといったケース、邦人女性がカフェにて飲食中、流暢な日本語で話しかけられ、相手の勧めに応じてビールを飲んだところ、意識を失い、暴行されたといったケースもあります。
むやみに見知らぬ人から飲食物を勧められても、断る勇気が必要です。

警察官が公道上で財布等の提示を求めることはありません。
シャンゼリゼ通りを歩行中、私服警察官を称する男性が近寄り、偽札の検査をしているとして財布の提出を求められたため、一時的に財布を渡した。その後、財布の返還を受け中身を確認したところ、紙幣が抜き取られていた。また、オペラ通りを散策中、地図を持った男性が近寄り、道を尋ねられたため対応していたところ、麻薬の捜査をしているとして警察官が近寄り、財布の提示を求められ、財布を渡した。その後中身を確認したところ、紙幣が抜き取られていたといった偽警察官による被害があります。

犯罪者は常にあなたの行動を観察しています。
パリ市内はメトロ(地下鉄)が発達しており、市内の移動手段としては利便性も高く、多くの日本人観光客が利用していますが、車内でのスリ被害が多発しています。
地下鉄に乗車した際、数人の子供(或いは女性)に取り囲まれ、身動きを取れなくされた上で気がついたらバッグの中から財布を盗まれるケースや、地下鉄駅ホームで男性から「背中が汚れているので、上着を脱いだ方がよい。」と促され、その汚れを拭いている隙に、足下に置いたバッグを取られ、走って逃げられる等のケースもあります。
フランスに滞在中の皆様は、アパート内自室への侵入盗対策をとっていらっしゃいますか。
パリ警視庁等から入手した最近の侵入等の特徴、手口などをご紹介しますので、アパートへの侵入対策をとられることをお勧めします。
「たまたま盗」の増加
たまたま盗とはアパートの門扉や内扉がたまたま開いているところが狙われる事案です。例えば、管理人がゴミ出しなどでたまたま扉を開けているような状態が狙われることとなります。泥棒はそのようなアパートを常に物色しているそうです。
さらに、アパートの中でも、たまたまドアが開いている玄関を探すか、鍵を壊して室内に侵入するそうです。
また、既遂が減少し、未遂が増加しているとのことです。
このようなことから、ある程度の防御を施せば泥棒は侵入を諦めるようです。日本では侵入に5分以上かかると泥棒は諦めるそうです。フランスでもさほど変わりはないと思われますので、簡単に室内に侵入できないよう、次のような対策を講じることをお勧めします。
いくら自分でスキがないようにしていても、物を盗られることはあります。
貴重品はまとめて所持せず、分散して持つことが被害を最小限に抑える一歩です。スリや置き引き犯の狙いは主に現金です。財布がありそうなところを狙ってきますので、バッグの中に財布と貴重品を一緒に入れていると、万が一バッグを盗られたときに何も無くなってしまいます。現金とクレジットカード、パスポートはそれぞれ分散して持つことを心掛ければ、万が一盗難にあっても被害は少なくなります。
現金とパスポートを一緒に所持していると、現金とともにパスポートも盗られます。
パスポートを単独で持っている場合に、パスポートのみを盗られるということは殆どありません。パスポートは大事なものなので、ついつい現金やクレジットカードなどの貴重品と一緒に持つようになりがちですが、パスポートは貴重品とは別に、単独でお持ちになることをお勧めします。また、ご夫婦、ご家族のパスポートをまとめて所持されている方がおりますが、それぞれがお持ちになることをお勧めします。万が一盗難などの被害に遭われると、旅行日程の変更を余儀なくされる場合もありますので、ご注意ください。

~被害に遭ってしまったら~
盗難や紛失などでパスポートを無くしてしまった場合には、次の二つの方法があります。
在留邦人の皆様は、基本的にはパスポートの発給を希望されると思われますが、発給には時間を要しますので、他国に赴くことなく日本に直接帰国される場合には、「帰国のための渡航書」にて帰国することが可能です。
パスポート、帰国のための渡航書の発給には以下の書類が必要です。なお、帰国のための渡航書申請の際、戸籍謄本、運転免許証等がない場合は、領事部窓口にご相談ください。
クレジットカードを盗られた場合、早急に使用停止の手続きを取りましょう。
(この手続きは、本人以外にはできませんのでご注意ください)
盗難被害(物損)は海外旅行傷害保険でカバーされることがあります。
保険で損害をカバーしてもらうためには、警察に被害を届け出て「盗難届証明書(Récépissé de déclaration de vol)」を作成してもらう必要があります。
なお、パリ市内の代表的な警察の所在地は下記の通りですが、電話では予約・作成を依頼することは出来ませんので、直接、最寄りの警察に出向いてください。
| 管轄区 | 住所 | 電話番号 |
|---|---|---|
| 第01区 | Commissariat Central 45,Place du Marche St-Honore | 電話:01.47.03.60.00 |
| 第02区 | Commissariat Central 18,rue du Croissant | 電話:01.44.88.18.00 |
| 第03区 | Commissariat Central 4-6,rue aux Ours | 電話:01.42.76.13.00 |
| 第04区 | Commissariat Central 27,boulevard Bourdon | 電話:01.40.29.22.00 |
| 第05区 | Commissariat Central 4,rue de la Montagne Ste-Genevieve | 電話:01.44.41.51.00 |
| 第06区 | Commissariat Central 78,rue Bonaparte | 電話:01.40.46.38.30 |
| 第07区 | Commissariat Central 9,rue Fabert | 電話:01.44.18.69.07 |
| 第08区 | Commissariat Central 1,avenue du General Eisenhower | 電話:01.53.76.60.00 |
| 第09区 | Commissariat Central 14 bis,rue Chauchat | 電話:01.44.83.80.80 |
| 第10区 | Commissariat Central 26,rue Louis Blanc | 電話:01.53.19.43.10 |
| 第11区 | Commissariat Central 12-14,passage Charles Dallery | 電話:01.44.89.64.70 |
| 第12区 | Commissariat Central 80,avenue Daumesnil | 電話:01.44.87.50.12 |
| 第13区 | Commissariat Central 144,boulevard de l'Hopital | 電話:01.40.79.05.05 |
| 第14区 | Commissariat Central 114-116,avenue du Maine | 電話:01.53.74.14.06 |
| 第15区 | Commissariat Central 250,rue de Vaugirard | 電話:01.53.68.81.00 |
| 第16区 | Commissariat Central 62, avenue Mozart | 電話:01.55.74.50.00 |
| 第17区 | Commissariat Central 19-21,rue Truffaut | 電話:01.44.90.37.17 |
| 第18区 | Commissariat Central 79-81,rue de Clignancourt | 電話:01.53.41.50.00 |
| 第19区 | Commissariat Central 3-5,rue Erik Satie | 電話:01.55.56.58.00 |
| 第20区 | Commissariat Central 3-7, rue des Gâtines | 電話:01.44.62.48.00 |
フランスにおいては、最近は、大規模テロ等の緊急事態は発生していません。
しかしながら、テロの脅威を無視することは出来ません。また、大規模な事件・事故が発生した場合など、日常生活に甚大な影響を及ぼす可能性もあります。
そのような緊急事態に際して、在留邦人の皆様が的確、且つ迅速に対応できるよう「平素の心構え」「準備」「緊急時の行動」について、最も重要と思われる点を簡単にまとめました。
以下を参考にしていただき、危機に際し、落ち着いて行動できるよう心掛けてください。
緊急時に最も重要なことは「情報」です。
何処でどのようなことが起きているのか、発生した事態により誰がどのように影響を受けているのかといった事件情報を集めることや、家族や知人、友人、同僚などの家族の安否情報、さらにはこの事態にどう対処すればいいのか等、これらの情報を集めるとともに、自分や家族の安否情報を関係する人に発信していく必要があります。そのためにはパニックに陥らないよう、予め関係者の連絡先を書いたリストなどを作っておいたり、想定される避難場所を決めておく必要があります。また、このような緊急事態が発生した際には流言飛語(デマ)が飛び交うことが多いので、確実な情報に基づいて行動する冷静さが必要です。
食料品等の備蓄
フランスでは、特に大規模な物品の備蓄は必要ないと思われますが、緊急事態発生時には付近での買い物が困難になる可能性がありますので、食料、飲料水、乾電池等,ある程度保管しておくことをお勧めします。
緊急事態ではありませんが、2010年9月のスト発生時に、ガソリンスタンドに給油待ちの車が長蛇の列を作ったのは記憶に新しいところです。
在留届は提出していらっしゃいますか?
在留届は外国に3ヶ月以上滞在する方が提出することになっています。緊急時の連絡先を把握する資料として非常に役立ち、領事サービスを提供する際の基礎になるものですので、必ずご提出ください。
また、住所、電話などの記載事項の変更や帰国、転勤などフランスを離れる際にも必ず書面でご連絡ください。
在フランス日本国大使館 : 01.48.88.62.00
在ストラスブール総領事館 : 03.88.52.85.00
在マルセイユ総領事館 : 04.91.16.81.81
在リヨン出張駐在官事務所 : 04.37.47.55.00
在仏日本人会 : 01.47.23.33.58
在仏日本商工会議所 : 01.45.63.27.42
パリ日本人学校 : 01.30.45.34.34
パリ観光局(OFFICE DU TOURISME ET DES CONGRES DE PARIS)
25,rue des Pyramides 75001 Paris
08.92.68.30.00
http://ja.parisinfo.com/![]()
警察:17(携帯からは112)
消防:18
SAMU:15
フランスの査証は、長期滞在査証(VISA DE LONG SEJOUR:D、1年有効の数次入国査証)と短期滞在査証 (VISA DE COURT SEJOUR:C) に大別されますが、原則として、日本人は短期滞在査証を取得する必要がありません。
フランスに長期滞在査証を取得して滞在する場合、入国後に各種手続きが必要になりますので、下記を参考にして手続きを行ってください(手続き内容の詳細については、入国後,各手続き先にお問い合わせください)。
(イ)日仏間には査証免除取極が結ばれているため、観光・短期商用(報酬を得ないもの)・知人訪問等、就労を伴わず且つ3ヶ月を越えない滞在の場合は、フランス入国査証は不要となっています。なお、日本人に対するフランスの入国審査は、比較的緩やかとの印象を持ちますが、入国審査担当官は、審査の際に以下の事項について職務質問する権限を持っています。
(a)フランスに滞在する期間中の滞在費を十分に有しているか(現金・トラベラーズチェック・クレジットカードなどで十分な滞在費を証明することが必要)。
(b)フランスにおける滞在先が確保されているか(例えばホテルの予約証明書、団体旅行者である事の証明)。
(ロ)日本からフランスをはじめとするシェンゲン協定加盟国(注)内に短期滞在する場合、シェンゲン加盟国内では、最初に入国した日を基準として、その後半年間に90日以上滞在することは認められていません。例えば、フランス、イタリア、ドイツにそれぞれ30日間(計90日間)継続して滞在後、日本に帰国し、1ヶ月後に再度フランスに短期滞在することは出来ないことになります。
(注)シェンゲン協定加盟国(2009年6月現在):アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ
3か月以上フランスに滞在する場合は、長期滞在査証を取得して入国するとともに、フランス入国後、居住地が決定次第、2か月以内を目途にOFII(フランス国立移民・同化事務所)に対してフランス滞在の事実を報告した上で手続きを行い、認証(VIGNETTE)が旅券上に貼付されるまで,たとえ有効な査証を有している場合であっても、正規滞在者とみなされませんので注意を要します(従って、この認証が添付されるまで、仏国外への出国はお勧めしません)。
なお、査証の有効期間を超えて滞在を希望する場合には,同査証が失効する少なくとも2か月前には、居住地を管轄する県庁(パリにおいてはパリ警視庁)等に滞在許可証取得申請を行うことになります。滞在許可証を取得した後は、同許可証を随時更新していくことになります。
他方、フランスの長期滞在査証を入手した場合であっても、滞在資格によっては査証の有効期限が3か月となっている場合がありますので、その時にはOFIIへの手続きをすることなく、居住地が決まり次第、居住地を管轄する県庁等に滞在許可証の発給申請を行うことになります。滞在許可証の発給申請は、入国後遅くとも2か月以内の査証有効期限内に行う必要があります。
なお、ワーキング・ホリデー査証を取得して入国した場合は、滞在許可証の取得を免除されていますので、OFII及び居住地を管轄する県庁等に対する手続きは不要ですが、就労する場合には臨時就労許可証(AUTORISATION PROVISOIRE DE TRAVAIL)の取得が必要です。
査証申請は在日本フランス大使館で行いますが、査証申請のために必要な書類はフランスへの渡航目的及び滞在期間によって異なるので、在日本フランス大使館に直接お問い合わせください。
また、長期滞在者がお子様を同伴してフランスに滞在される場合、お子様が18歳以上の場合は滞在許可証を、18歳未満の場合には「Document de circulation」と称する証明書を取得する必要があります。この証明書は、両親の滞在許可証取得後、居住地を管轄する県庁(パリ市在住の場合はパリ警視庁)にて申請することになります。
不法に滞在期間を越えて滞在したり、滞在許可証を取得せずに居住を続けた場合には、法律上1年の禁固及び罰金を課せられることがあります。更に国外退去の上、最高3年のフランス入国禁止措置が適用されることもありますので、滞在期間は遵守してください。