在留邦人向け安全の手引き 在フィンランド日本国大使館

在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。


安全の手引き
(緊急事態に備えた心構え)

2011年7月1日
在フィンランド日本国大使館

Ⅰ.はじめに

「森と湖の国」フィンランドは、自然豊かで静かな国です。ムーミンやサンタクロース、オーロラなどから「癒し」、「幻想」などの良いイメージをお持ちの方も多いと思いますが、残念ながら犯罪や危険と無縁ではありません。

この手引きは、在留邦人や旅行者の皆様が安全に生活するための基礎的な情報を提供することを目的として作成しました。この手引きが、皆様の安全対策の一助となれば幸いです。

Ⅱ.防犯の手引き

1.防犯の基本的な心構え
安全の三原則

その1 用心すること
(日頃から治安情報等の収集に努めること)

その2 目立ち過ぎないこと
(行動、財産等を知られないこと)

その3 平静さを保つこと
(不測の事態にも決して慌てないこと)

2.犯罪発生状況及び日本人の被害事例
○フィンランドにおける犯罪発生状況(出典:フィンランド統計局)
フィンランドにおける犯罪発生状況
犯罪形態/年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
住居侵入,窃盗 45,019 43,241 40,787 40,682 38,516
強盗 1,715 1,796 1,714 1,650 1,531
殺人 112 129 132 115 112
暴行 30,810 34,332 34,638 32,735 32,936
強姦 628 748 919 668 822
飲酒運転 25,848 27,613 25,877 23,398 21,162
覚せい剤・麻薬等 13,369 15,372 15,364 18,405 19,653
合計(上記犯罪以外を含む) 417,401 434,996 440,209 440,438 431,959
○日本人の被害事例とその対応策

フィンランドは、治安が良い国と言われますが、旅行者をはじめ日本人が被害に遭うことも少なくないので、十分な注意を要します。

特に、夏季や冬季の観光シーズンにおいては、ヘルシンキなどの都市部における中・東欧出身の犯罪組織による窃盗(置き引き・スリ)事案が多数確認されています。

(1)置き引き事例
「レストランにおいて、座席にカバンを置いたまま料理を取りに行ったところ、座席に戻るとカバンが窃取(置き引き)されていた。」
これは、旅行者の被害として一番多い事例で、レストランのほか、電車や土産屋等においても発生しています。レストランに限らず、どのような場所においても、貴重品入りの荷物からは絶対に目を離さず、肌身離さず持っておくことが大事です。
(2)スリ事例
「マーケット広場で、リュックサックを背負いながら買物をしていた。ホテルに戻り、リュックサックを開けたとき、中身(財布、カメラ等)が窃取(スリ)されていることに気付いた。」
これも、多発している事例です。混雑する場所においては、荷物は背負わずに体の正面で持つことが効果的です。
(3)詐欺事例
「街中で見知らぬ人に声を掛けられた。優しそうな人だったので安心して会話を楽しんでいたところ、しばらくしてお金を貸してほしいと頼まれた。話振りなどから信用できると判断し、連絡先を交換した上でお金を渡したが、その後、連絡は取れず、お金を詐取されたことに気付いた。」
近年、ヨーロッパ各地で発生しており、特に日本人が狙われやすい事例です。いかなるときも用心を怠らないこと、見知らぬ人を信用しないことが大事です。

このほか、安全対策には、外務省作成の「安全対策基礎データ」もご参照ください。

3.防犯のための具体的な注意事項
(1)住居における注意事項
  • 昼夜を問わず、日頃から確実な施錠を心掛けること。
  • 訪問者は必ずインターホン等で確認し、未確認のままドアを開けないこと。
  • 日頃から住居周辺の不審な車や人物に気を配ること。不審者等を発見の際には、直接対処せず、速やかに警察に通報すること。
  • 差出人等不明の郵便物はむやみに開封しないこと。
  • 旅行などにより住居を長期不在にする場合は、信頼できる友人や隣人に声を掛けておくこと。郵便箱に郵便物が溜まったままの場合や、庭の草や雪に手入れが見られないままの場合には、空き巣に狙われやすいと言わざるを得ません。

(住居を選ぶ際における注意事項)

  • 周辺の治安状況が良いこと。
  • 敷地内及び周辺に十分な夜間照明があること。(フィンランドでは、首都圏を含む南部においても、冬季は午後3時ころから翌午前9時ころまで夜間の状態になります。)
  • 車庫(駐車場)が敷地内にあること。
(2)外出時における注意事項
  • 目立つ恰好、華美な服装、豪華な装飾品の着用は極力避けること。
  • 大金を持ち歩かないこと。
  • 不審な人物の接近や尾行に気を付けること。
  • 酔っ払いに近づかないこと。
  • 夜間に単独で外出しないこと。
  • 冬季に外出する際は、車に轢かれないよう上着にリフレクター(反射板)を着けること。
  • 自動車を駐車する際には、必ず、ドアをロックし、バッグなどを車外から見える場所に置かないこと。
(3)その他の注意事項
  • 貴重品、自転車等には、可能な限り、消すことが難しい目印等を付けること。これにより、発見されたときに手元に戻る可能性が増え、また、転売されることが難しくなる。
4.交通事情及び事故対策
(1)交通事情
  • フィンランドにおけるドライバーのマナーは、日本と比較すると必ずしも良くありません。
  • 信号機のない横断歩道では歩行者優先で、横断歩道を強引に渡ろうとする歩行者もいますので、十分な注意が必要です。
  • 優先道路を除き、信号機のない交差点では右側から進入してくる車両に優先権があります。
  • バスが停留所から走行車線に入る際にはバスに優先権があります。
  • トラム(路面電車)は常に優先となります。トラムの車線と車の車線が重なる場所がありますので、運転中はトラムの走行にも注意を払う必要があります。
  • 一年を通じて、運転中はヘッドライトの点灯義務があります。
  • 冬季(12月~2月)は、スノータイヤの着用が義務付けられています。
(2)事故対策
  • 車を運転する際には、車間距離を十分に取り、周囲の交通状況にご注意ください。
  • フィンランドは全体的に道路が広く、長い直線道路も多いため、スピード超過による事故にご注意ください。
  • 冬季は、気温が低く、日照時間が短いため、路面が凍結したり、照明が十分でない時間帯がありますので、特に歩行者には細心の注意が必要です。
  • ヘラジカなどの大型動物との接触による死亡事故も発生していますので、注意標識がある場所での運転はご注意ください。
5.禁止事項
  • 軍事施設や刑務所などへの立ち入り、また、これら施設における写真撮影は禁止されています。
  • ロシアとの国境地帯(陸上国境は国境線から3キロメートル、水上国境は4キロメートル)は立入禁止となっていますので、国境付近は、無用のトラブルを避けるため、なるべく近寄らないことをお勧めします。
  • 公共の交通機関やレストランやバーを含む施設の中においては、原則的に、喫煙は禁止されています。
6.原発事情及び事故対策
(1)原発事情

現在、フィンランド国内においては、4基の原子力発電所が稼働しており、原子力安全センター(STUK)が24時間監視を続けています。

フィンランド各地にはシェルター(VAESTONSUOJA)が設置されておりますので、在留邦人の皆様は、あらかじめ居住地区のシェルターについて、ご確認ください。

(2)事故対策
  • 万一の事故に備え、10日分の食料や水、携帯ラジオ、予備電池、放射性ヨウ素を排出するためのヨード錠剤等の医薬品を用意することをお勧めします。ヨード錠剤(JODI)は、薬局にて購入可能です。
  • 非常事態に際しては、サイレンにより避難指示等を受けることがあります。指示に従って速やかに行動し、自宅等に待機する場合には、ドア、窓、換気扇等を確実に施錠し、エアコン等の電源も切ってください。
    また、非常事態においては、極力、電話回線の使用を控え、情報収集にはラジオをご利用ください。
7.テロ、誘拐等対策

フィンランドにおいては、現在のところ、日本人や日系企業に対するテロ、誘拐等の標的となる具体的な脅威は見当たりませんが、これらの事案に巻き込まれないためには、日頃から用心や警戒を怠らないことが重要です。

また、子どもの親権問題として、一方の親が他方の親に無断で子どもを国外に連れ出す行為が国際的に問題となっておりますところ、フィンランドにおいても、そのような行為は誘拐等として刑罰の対象となることがありますので、ご注意ください。

8.風俗、健康等事情
(1)国民性

平等・自由の思想が浸透しています。性別や人種に関する差別発言は、トラブルの原因になる可能性があります。

また、サービスの提供者と利用者も平等と見なされているため、日本人が慣れている「お客様」という概念は時としてトラブルになることがあります。

(2)衛生事情

夏季から秋季にかけては、ベリー摘みと並んで、キノコ狩りが人気のアクティビティとなりますが、毎年、毒キノコにより数人が命を落としています。

収穫したキノコは、市場等にいる専門家に鑑定を依頼するなどの注意が必要です。

(3)その他
ア 夏季における注意事項
都市部以外では、ヘビ、蚊、ダニ等に注意する必要があります。
予防策としては、長袖シャツ、長ズボン(ビニール生地が望ましい)、長靴を着用するなどし、肌をなるべく露出しないことが効果的です。また、薬局には、応急処置薬が販売されていますので、事前に購入しておくことをお勧めします。
イ 冬季における注意事項
冬季は、寒さが厳しく、ヘルシンキを含むフィンランド南部であっても、気温がマイナス20度を下回ることが珍しくありません。外出時には、厚手のコート、帽子、手袋、マフラーが必需品となります。
また、日照時間が極めて短くなるので、ビタミンDの不足により体調を崩したり、精神的に落ち込みやすくなります。ビタミン剤の服用や、ストレスを溜め過ぎないようにすることが効果的です。
9.緊急連絡先
緊急連絡センター(警察,消防,救急等)
電話:112
ウェブ:http://www.112.fi/別ウインドウが開きます
内務省レスキューサービス
電話:+358-(0)71-878-0171
ウェブ:http://www.pelastustoimi.fi/別ウインドウが開きます
ロードサービス(TIEPALVELU
電話:0200-8080(24時間)
在フィンランド日本国大使館
電話:+358-(0)9-686-0200(代表)
+358-(0)9-8171-0418(緊急)
10.いざというときのためのフィンランド語フレーズ

フィンランド語は、基本的にローマ字読みにより発音することが可能です。

助けて!
APUA!(アプア!)
泥棒!
VARAS!(ヴァラス!)
火事だ!
TULIPALO!(トゥリパロ!)
警察を呼んでください!
SOITA POLIISILLE!(ソイタ ポリーシッレ!)
救急車を呼んでください!
SOITA AMBULANSSI!(ソイタ アンブランッシ!)

Ⅲ.緊急事態対処マニュアル

1.平素の準備と心構え

日頃から自分の所在(在留)を周囲の人に知らせておくとともに、非常用物資を準備しておくことが重要です。

(1)在留状況の届出(在留届)

海外に引き続き3か月以上滞在する方は、旅券法の規定により、在外公館に在留届をご提出いただく義務があります。

緊急事態発生時においては、在留届に基づき、在外公館から安否、所在確認等を行うこととなります。

(2)非常用物資の準備

旅券、現金など避難時に必要となるものは、すぐに持ち出せるように予めまとめて保管しておきましょう。

非常用の食料や水、医薬品等を備蓄しておくことをお勧めします。

2.緊急時の行動

基本的には現地の当局等の指示に従って行動してください。平静さを失わず、事態の把握及び情報の入手に努めることが重要です。

(1)在外公館への通報等

できる限り速やかに、当館に状況をご一報ください。

また、避難時においては、連絡手段を確保するとともに、なるべく孤立せずに集団で行動してください。

(2)国外への退避

各自の判断により自発的に国外へ退避する場合は、その旨当館にもご連絡ください。

また、「退避勧告」がなされた場合、一般商業便が運行されている間はそれを利用し、可能な限り早急に国外に退避してください。一般商業便による退避が困難な場合、当館が主体となってチャーター便等を手配することがありますが、その際には当館の指示に従ってください。

3.緊急事態に備えてのチェックリスト
  • 旅券、現金など避難時に持ち出すものの準備
  • 食料、水など非常用食材の準備(10日分程度。)
  • 薬、医療用品などの準備
  • 緊急時における連絡先の確認(電子媒体のみではなく、紙媒体としても準備しておくことが重要)

Ⅳ.おわりに

事件や事故は、残念ながら誰の身にも起こり得るものです。まずは、事件などに巻き込まれないように最大限の注意を払う必要がありますが、不幸にして巻き込まれてしまった場合には、平静を失わないことが重要です。

この手引きに関するご意見、ご質問などがありましたら、当館領事部へご連絡ください。

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