在留邦人向け安全の手引き 在エディンバラ日本国総領事館

在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。


在ロンドン日本国総領事館在エディンバラ日本国総領事館
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海外邦人安全対策
(治安・防犯の手引き)

平成12年10月
在エディンバラ日本国総領事館

はじめに

スコットランドの治安は全般的に比較的良好と言われておりますが、1999年の犯罪統計によれば、犯罪発生件数は日本を大きく上回っており、日本人から見て治安が良いと言える状況にはありません。日本から観光・出張等で英国を訪れる日本人の犯罪被害については、皆様もお聞き及びのことと存じます。現実には、当地に長く居住され生活に慣れている方でさえ、窃盗・空き巣等の犯罪に巻き込まれるケースが少なくありません。被害状況は悪質な手口を別として比較的類型化しているので、日頃から注意して対策を考えておけばかなり予防できるものと思われます。
とかく日本人は、海外における安全意識が欠如(無防備・無警戒・無認識)していると指摘されています。ただでさえ犯罪発生率の高い外国において、経済大国日本のイメージは世界中に浸透しており、犯罪者にとって日本人は、格好の標的として特別視されている傾向にあります。海外に於いて犯罪に遭わないためには当局の防犯対策にのみ依存することなく、皆様一人一人が日頃から防犯意識を持って行動されることが何よりも必要なことと考えます。
本手引きで書かれている内容は、海外に長く在留される方々にとっては当たり前のことばかりかもしれませんが、特に日本人の方々が被害者となり易い犯罪について一般的な防犯上の心構えと対策を記し、皆様の御参考に供したいと思います。


1. スコットランドでの犯罪発生状況

1999年中のスコットランドにおける人口10万人あたりの犯罪発生件数は、日本の約4.7倍におよんでいます。全犯罪の68%を窃盗などの財産犯罪が占め、多くの日本人が空き巣、車上狙い等の被害にあっています。また、暴力犯罪、性犯罪の発生率も日本の約7倍となっていますので、危険地域にはできるだけ立ち入らないことをお勧めします。なお、夏の観光シーズン、及びクリスマス前から年末にかけては財産犯罪が急増します。この時期の外出に際してはひったくり、置き引き、空き巣等の犯罪に注意してください。


2. 一般犯罪に対する対策

(1) 空き巣及び自動車関連窃盗について
英国は空き巣及び自動車関連窃盗が極めて多く、英国内各地で日本人の被害も多発しています。他人事と考えずに、しっかりした防犯対策が望まれます。
(イ) 空き巣
空き巣被害に遭わないために最も重要なことは、留守である兆候(新聞、郵便物がたまっている、家中の電気が消えている等)を見せないこと及び、たとえ昼間の短時間の外出でも戸締まりを励行することです。
長期間旅行、及び夜間外出等の際は家中を完全に消灯しない。市販のタイマーを利用して、スタンドの点消灯を行うのも有効。
家の玄関の施錠は2重以上にする。
盗難警報装置(アラーム)が設置されていれば、外出時には必ずセットする。
長期間留守にする際には、新聞受けに新聞や郵便物がたまらないように手配する。
長期間留守にする際には、できるだけ親しい友人、知人に家の見回りを依頼しておく。
被害に遭った時のために、家財の盗難被害を補償する保険(海外旅行保険、家財保険等)には必ず加入しておく。
一度盗難にあった家には再度空き巣が入る例が多いので、特に警戒すると共に家主と交渉して防犯装置(格子窓、照明、鍵の強化、警報装置等)の増設も検討する。
警察署等公的機関が関与している隣組防犯監視組織があれば加入する。
旅行に際して空港等までの送迎のためにタクシーを呼ぶ場合には、知人等信頼できる人から紹介を受けた実績のある業者を利用する。
自宅の電話番号、住所を他人に知られないようにし、また、勤務先、学校等の名簿の管理に気を付け、日本人の住所を特定されないよう注意する。
車の有無によって留守を確認してから犯行におよぶ例もあるので、扉付きの車庫がある場合は、車庫の中に車を保管するよう心がける。また、路上駐車の場合にも駐車場所を常に移動し、車の所有者と住居とを特定されないよう気をつける。
屋上の明かり取り窓からの侵入を防止するため、家の周囲に梯子等、足がかりになる物を置かないよう注意する。
(ロ) 自動車関連の窃盗
自動車本体や装備品の盗難及び車内に置かれた品物等の盗難が多いので、注意を欠かさないことが必要です。
できるだけ自動車用盗難警報装置(アラーム)を設置する。
短時間の駐車でもドアをロックし、車内に荷物(バッグ、上着等の貴重品が入っていると思わせるもの全て)を放置しておかない。
人目が届きにくい場所には駐車しない。
夜間の路上駐車はできるだけ避け、やむを得ず駐車する場合でも明かりの下に停める。
駐車場であっても、できるだけ管理人の目が届く場所に駐車する。
盗難をカバーする保険に加入しておく。
車検証及び免許証はコピーを車内に置いておき、オリジナルは別途保管する。
町中では低速での運転中にはドアをロックし、また、助手席等の窓を開けたままで車外から手の届くところにバッグを放置しない。(信号待ちで停車中に車外から窓越しに荷物を奪われることがある。)

(2) スリ・置き引き
例年多くの日本人が、置き引き、スリ等の窃盗被害にあっています。英国はクレジットカードが普及しており、英国人は多くの現金を携行しないのが一般的です。これに対し日本人、特に旅行者は多額の現金を持ち歩いているとの認識を持たれており、日本人全体が犯罪者のターゲットになり易くなっています。なお、ロンドンにおける駅や路上でのスリに関しては、東欧系及び南米系の複数外国人(子供を含むこともある)に依る犯行が多い旨報じられており、この様な手口については全世界的に共通していますので旅行の際は御注意ください。
観光シーズン中の空港、駅及び繁華街における被害が多いので、人混みでは貴重品の携行に注意する。
現金や貴重品はできるだけ内ポケットに、しかも分散(大小二つの財布を併せ持つなど)して携行するよう心がける。
肩から掛けるハンドバッグやデイバッグは身体の正面に位置するようにして持ち歩く。
空港・駅等で座っているとき、ホテルでのチェックイン・チェックアウト時、デパートや土産物店での買い物、あるいは観光先での写真撮影の際も、常に荷物を視界内に置いて身体から離さないようにする。
レストラン等で食事をする際には、ハンドバッグ等を置いたままで席を離れない。また、貴重品を入れたままで上着等をコート掛けに掛けない。
公共交通を利用する際は、できるだけ混み合った車両は避ける。やむを得ず利用する際は、貴重品の入ったバッグ等を身体の前で抱え込む等注意する。
観銀行等の自動現金引出機で現金を引き出している最中に背後から声を掛けられ、振り向くなどした隙にカードを機械から抜き取られ、他所の引出機から多額の現金を引き出すという手口の犯罪が発生している。自動現金引出機に暗証番号を入力する際は、周囲や背後を確認し他人に暗証番号を知られないように注意する。

(3) 路上強奪(ひったくり)
警察によるといわゆる「ひったくり」は、人気のない通りや夜道において圧倒的に多く発生しています。その手口は駅の出口等の人通りの多いところ、銀行出口等から被害者を尾行していき、人気のない路地等に入ったところで駆け寄り(時には被害者を突き倒す場合もある)、強引にバッグ等を奪って走り去る例が多く、犯人が10~20代の男性であることが大半です。
ハンドバッグ等は常時身体の正面に位置させて、手を添えて持ち歩いたり(肩掛けのあるものは、たすき掛けにする)、あるいは、先にバッグを肩に掛け、その上からコートやジャンパーを着用するなど注意する。
夜間外出する際は細心の注意を払い、人気のないところは歩かず、可能な限りタクシーを利用する。
夜間、あるいは人通りの少ない道を歩くときは、肩越しに振り向いてついてくる者が居ないかを確認し、怪しい者が後方にいる場合は速やかに人が居るところに移動する。
可能であれば、貴重品や鍵等の盗まれた場合の損害が大きいものについては、事前に安全な場所で鞄の中から服のポケットなどに移し替えておく。

(4) 麻薬・覚醒剤等薬物関連犯罪
英国では、近年、へロイン、マリファナ、コカイン、覚醒剤、エクスタシー等の薬物乱用及び麻薬がらみの犯罪が激増し、社会問題化しています。そのため税関や警察が取り締まりを強化すると共に、立法府では麻薬関連の犯罪を厳罰に処する法律改正を行うなど、国を挙げて厳しい取り締まり及び処罰を断行しています。
因みに、英国では違反者が所持・使用していた麻薬の種類によって罪の重さが異なり、現在若者の間で乱用が問題視されているMDMA(通称“エクスタシー”または“E”等)は、最も重い罰則が適用されている麻薬の一つです。安易な考えから薬物等を利用して逮捕されたり、中毒による精神障害に陥って精神病院への強制入院措置に至った邦人の事例もあるので、薬物等は絶対に使用しないでください。また、こうした麻薬を飲まされ、盗難等に遭うケースもあります。気軽に見ず知らずの人からもらった飲食物を口にしたり、荷物を預かったり、あるいは、持ち運びを引き受けることは避けてください。

(5) テロリズム
スコットランドにおいては、近年テロリズムによる犯罪の発生はありません。しかし、今後セント・アンドゥリュース大学等がテロ犯罪の標的となるとの報道もなされており、爆破予告等で警察が警戒にあたっている地域には近づかない等の注意が必要です。イングランド、北アイルランドにおけるテロリズム犯罪については、在ロンドン総領事館発行の「海外邦人安全対策」に記載されています。

(6) 性犯罪
冒頭でも述べたとおり、性犯罪は日本に比べかなり多く発生しています。最近では地下鉄車内での婦女暴行事件、軟禁状態下での複数人によるレイプ事件も発生しており、女性の夜間の一人歩きや言葉巧みな誘いには特に注意を欠かさないことが必要です。また、冬の期間は午後4時には日が暮れて暗くなりますので、御注意ください。
夜間の外出、夜間の地下鉄利用はなるべく避けた方が無難。
夜間外出するときは出来るだけタクシーを利用する。
用事もないのに近寄ってきたり、馴れ馴れしくする人がいたら、おかしいと思った方がよい。
見知らぬ人、初対面の人の誘いには軽々しく乗らず、人気のないところには決してついていかない。
言葉、地理、習慣に不案内な外国であることを常に自覚し、日本に居た時よりも用心する。

(7) 誘拐
英国では過去、邦人に絡む誘拐事件は把握されていませんが、我が国の存在が高まるにつれ、海外に居住する邦人に対するこの種の犯罪が常に懸念されるところです。誘拐事件の大半は通勤・通学途上に発生しており、また、犯人は通常、誘拐を実行する前に被害者の行動パターンなどを十分に下調べ(犯行予定場所の下見、被害者の監視、情報収集)したうえで犯行に及びます。参考までに日常心がけておいた方がよいと思われる注意事項を次に挙げます。
また、英国では子供(16歳未満)のみでの留守番は法律により禁じられていますので御注意ください。
自宅付近の日常の事柄に注意を向ける習慣を身に付け、普段と違う不審な動きを見分けられるように心がける。
自宅等の周囲での不審人物・不審車両の有無に注意する。
不審車両の尾行に気がついたら一旦停車するか、または徐行する等して確認する。
出勤・帰宅時間や経路、決まった曜日の外出等の生活パターンを時々変更する。
自宅の電話番号、住所はむやみに人に知られないよう心がける。
他の日本人の安全の観点からも、勤務先、学校等日本人の住所が判る名簿の管理に気を付ける。
子供のみでは外で遊ばせない。また、買い物に行かせない。
車両を駐車する際、子供のみを車内に取り残さない。
来訪者のあるときは必ず覗き穴等で確認してからドアを開ける。

(8) 交通事情と交通事故
英国は日本と同じく、車は左側通行となっていますが、ラウンド・アバウトや横断用ビーコン等の英国特有のシステムもあり、また、必ずしも日本のように歩行者優先という考えにはなく、道路の歩行や横断等には充分な注意が必要です。
なお、英国の交通法規である「THE HIGHWAY CODE」は書店や郵便局などで購入できますので、一読されることをお勧めします。

(9) その他
(イ) 皆様お住まいの都市内には、治安に問題のある地域が必ず存在します。下記に数例を記しますが、これらの地域では傷害事件、麻薬犯罪が多発しています。各居住地域での情報収集に努め、特に夜間は危険地域には近づかないようにしてください。
エディンバラ
カールトンヒル:昼間は観光地として有名であるが、夜間は強盗傷害事件の多発地
リース港近辺:麻薬、暴力犯罪多発地域
ザ・メドゥーズ緑地内:麻薬犯罪多発地域(夜間)
ニコルソン・ストリート及び周辺:夜間の暴力、性犯罪注意地域
グラスゴー
クライデ川のマリオットホテルより西側の地域については、麻薬、暴力犯罪が多発しているので注意が必要です。なお、グラスゴーの犯罪発生率はスコットランド全体で最も高くなっています。
(ロ) 犯罪から身を守るためのハンドブックとして、英国内務省から下記の資料が作成・配布されています。最寄りの警察署、または公共図書館等で入手可能ですので、御一読されることをお勧めします。
●YOUR PRACTICAL GUIDE TO CRIME PREVENTION
●BEAT THE BURGLAR
●STEER CLEAR OF CAR CRIME


3. 緊急連絡先

(1) 「999」
英国国内では、警察、救急車、消防への緊急電話番号は、いずれの場合でも「999」です。
「999」をかけると(公衆電話からでもかけられ、コインは不要です。)交換台が出ます。
●警察なら“Police, Please”
●救急車なら“Ambulance, Please”
●火事なら“Fire service, Please”
と言えば、それぞれの部署に繋いでくれますので、住所、氏名、電話番号、状態等尋ねられたことを落ち着いてゆっくり話してください。

(2) その他連絡先
警備会社等と契約している場合は、警備会社の緊急連絡先をすぐに電話がかけられるように準備しておいてください。
かかりつけの医療機関の電話番号も準備しておいてください。
緊急連絡先電話番号を一覧表として電話機に張り付けておくと便利です。
英国内総領事館
在エディンバラ日本国総領事館
Consulate-General of Japan at Edinburgh
2 Melville Crescent, Edinburgh EH3 7HW
電話:0131-225-4777(代表)
ロンドン日本国総領事館(在連合王国日本国大使館)
Consulate-General of Japan at London(Embassy of Japan)
101-104 Piccadilly, London W1V9FN
電話:020-7465-6500(代表)


4. その他

在ロンドン総領事館においても本紙と同様の防犯の手引きを用意しています。在エディンバラ総領事館にも用意していますので、ご希望の方はお問い合わせください。

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