在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。
平成24年1月
在キューバ日本国大使館
キューバは中南米諸国の中では比較的治安の良い国と言われていますが、治安の良さを裏付ける統計等の資料は存在せず,実際に犯罪被害に遭ったという日本人は少なくありません。キューバで安全な生活を送るためには、この国のおかれた状況や犯罪の傾向についてよく理解する必要があります。
この手引は、キューバの生活で必要な安全上のヒントや現在のキューバの治安状況などについてまとめたものです。
キューバで安全に生活するために、少なくとも次のようなことに心掛けて下さい。
キューバは1959年1月1日の革命以来、社会主義体制下にあり、革命防衛委員会(CDR)という組織によって、人々の行動は、キューバ人のみならず外国人も何らかの観察下に置かれていることを忘れないようにしてください。
キューバ政府は国家の利益に反する行動(反革命的行動)、闇市場、公序良俗に反する行為(賭博、売春など)などに対しては厳しい態度で臨んでいますので、滞在中は軽率な行為をとることのないように注意してください。
犯罪の被害者にならないために、まず犯人の側に立ったうえで、その対策を考えてみましょう。
日頃から新聞やテレビ、ラジオなどのニュースを通じ、安全に関する情報の収集に心掛けることは大切ですが、キューバのメディアは当局による報道統制が行われているため、広く・偏りのない情報を収集するためにはCNNやBBCなどの国際放送が貴重な情報源となります。また、日本の外務省海外安全ホームページを是非ご覧になって下さい。
日本大使館の他、警察や消防、病院さらには信頼できる近隣者などの緊急連絡先のリストを常備しておきましょう。
また、海外に3ヶ月以上滞在する人には、法律により在留届を日本大使館に提出することが義務づけられています。大使館からの緊急連絡の際にも必要となりますので、提出されていない方は、提出して下さい。
「住居防犯チェックリスト」を本手引きに添付しますので、住居についての防犯チェックに役立てて下さい。
キューバでは公式の統計はありませんが、1999年以降、警察官を増員したことなどで、治安面はそれ以前に比べ比較的良くなったと言われています。しかし、都市交通網の機能不全、生活物資の慢性的不足などの困窮からくる生活不満を背景として、窃盗や強盗などの犯罪発生が再び悪化している傾向にあると思われます。
特に外国人の多い都市部において、デジタルカメラやバックを狙ったひったくり、置き引き、公共バス内でのスリなどが発生しています。
また、ナイフを突きつけるなど凶器を使用した強盗事件も発生しています。
キューバでは、1997年のホテル爆破、2003年のマイアミへ亡命しようとしたキューバ人によるハイジャックやシージャック事件以降、テロ事件は発生していません。
現在のキューバにおけるテロ情勢は安定しているように見えますが、キューバでは政府による報道統制が行われているため、新聞やテレビ、ラジオなどからキューバ国内で何時、何処でどの様な犯罪が発生したのかや、犯罪の発生傾向などの情報をリアルタイム、且つ正確に知ることは出来ません。
仮に治安に急激な変化があったとしても直ちにそれが報道はされないため、常日頃から治安情勢の変化には十分な注意を払ってください。
キューバでこれまで発生した犯罪の一例をご紹介しながら、一般的な防犯事項について考えてみましょう。
国連が発表した最新の統計(キューバに関するデータは2009年)では,キューバ国内における人口10万人あたりの殺人発生率が4.6と発表されました。この数字は例えばアメリカ合衆国の発生率が5.0ですから,凶悪犯罪は少ないとされているキューバでも、アメリカ合衆国と同程度殺人事件が実際に発生しているということを念頭に置く必要があります。
出来る限り、不要不急の深夜の単独行動を控えることが賢明です。
(イ)2010年度の強盗事件発生状況は,防犯カメラに写りにくい夜間帯に発生する傾向がありました。夜間の移動時には人通りの多い場所でも注意してください。
(ロ)対処方法
キューバ政府は、麻薬の所持や使用に厳しく対処しています。
安易に見知らぬ者から荷物などを預かったりせず、また、安いタバコがあるなどと言い寄ってくる者などは絶対に相手にしないことです。誤って疑いを掛けられたり、犯罪に巻き込まれたりする危険性が非常に高くなります。
その他国益に反する行為(不正両替、闇市場による売買、禁制品売買など)や反革命的行為、公序良俗に反する行為(売春、賭博など)も厳しく規制されています。
過去には外国人観光客が観光客用のココタクシーに乗車中、乗り合いバスと衝突し重症を負った例や、オートバイを運転中、駐車中のトラックに衝突し重症を負った例などがあります。
キューバ国内の交通マナーについては極端に悪くはありませんが、無免許運転や飲酒に起因する交通事故のほか、自動車の老朽化などからくる運転制御不能(ブレーキやハンドルの故障)による事故も発生しています。
万一交通事故に遭遇した場合被害を最小限に止めるためには、例えばタクシーに乗車する場合でも車体が古い乗り合いタクシーは避け、出来る限りシートベルトを着用するなどの自己防衛策をとることが大切です。
また,レンタカーを利用して旅行する計画をたてる前に,キューバでは不幸にも死亡事故を起こしてしまった場合,身柄を拘束され,その後長期間は出国できなくなる等の厳しい処罰を受けることを予想し,他の交通機関を使った旅行も考慮して計画されることをお勧めします。
(1)キューバでは特に警戒を要するテロ及び誘拐は確認されていませんが、誘拐の対象にならないための基本的な注意事項としては、
などが挙げられます。
(2)子の連れ去りが犯罪となり得ることについて
近年、国際結婚が増えていますが、父母のいずれもが親権を有する場合に、一方の親が他方の親の同意を得ずに子を連れ去る行為は、国(例えば米国、カナダ)によっては重大な犯罪とされる場合があります。キューバにおいては、キューバ国籍を持った子(18歳未満)を親権者の一方が国外へ同行する場合には、あらかじめもう一方の親権者の同意が必要とされています。同意がなければキューバ国外へ出国させることはできませんので御注意ください。
(イ)生鮮食料品、特に野菜は種類が少なく変化に乏しいので、ビタミンや繊維質の摂取不足になりがちです。外食は、塩分、油、砂糖が多く入った調理方法が一般的です。健康維持のためには、常に栄養バランスを考え、確保できる材料で食生活を充実させるなど調理にも工夫が必要です。
(ロ)水道水は汚染されているので、飲用には不適です。水道水を飲用する場合は必ず煮沸すること、できるだけ市販のミネラル水を飲用することをお勧めします。
(ハ)高温多湿のため戸外では体力を消耗しやすく、また冷房機器の温度調節が不安定で、室内では冷房が強過ぎるなど冷房病対策も必要です。
(ニ)ゴルフやテニスなど屋外スポーツを行う場合、直射日光に対する防衛策(帽子、サングラス、日焼け止めクリーム)や脱水症予防が必要です。できるだけ涼しい早朝かまたは夕方にプレーするのが良いでしょう。
外国人専用の病院があり医療設備はひととおり整っており、急患の診察もスムーズに行われているようですが、日本人に合った薬は現地では手に入りにくいので、風邪薬、胃腸薬、下痢止め、目薬、軟膏、かゆみ止め、抗生物質などの常備薬は持参しましょう。
一般のホテルに宿泊する場合は特に問題はありませんが、カサ・パルティクラルと呼ばれる一般のキューバ人が経営する「民宿」については、キューバ政府から許可を得ていなければ外国人を宿泊させることはできません。そのような許可を得ていない民宿に宿泊することは違法であるばかりか、何らかの不利益を被ったり、危険な目に遭う可能性が非常に高くなります。
宿泊先を決める前にまずこれらの許可を得ているかどうかを確認することが大切です。国内旅行については特に制限などはありませんが、地方に旅行する場合は、あらかじめ宿泊場所の手配をしておくことが肝要です。
軍関係施設、公安関係施設の撮影は禁止されています。なお、主要幹線道路や橋脚など撮影が禁止されている場所もありますので注意が必要です。
査証の入国目的以外の活動は禁じられております。就労査証がない限り、キューバでは働くことはできません。
政治活動や出版はキューバ政府の許可がなければできません。
旅券が盗難に遭ったり紛失したときは、まず最寄りの警察に届け出た後日本大使館で発給申請して下さい。
発給申請には
が必要となります。
また、持っていた旅券の旅券番号も旅券発給申請書に記載する必要がありますので、事前に旅券(パスポート)のコピーを取っておくことをお勧めします。
キューバでは、旅券もしくはキューバ政府が発行する身分証明書の携行が義務づけられていますので、旅行者の場合は旅券を携行する必要があります。万が一盗難などに遭った場合に備えて、再発給を申請する際に必要となる身分証明書などは旅券と分けて持っておくとよいでしょう。
内乱、クーデター、暴動等の緊急事態の発生の際には、各自が自己の安全対策に万全を期するよう努力することが必要です。そのような場合に、在留邦人の方に迅速・的確に行動できるよう、必要な諸点をまとめてみました。
在留邦人の方は在留届の提出を励行してください。また、在留届の記載事項に変更が生じた場合、及び帰国する場合にはその旨当館へお知らせください。
緊急事態発生の際には、当館より必要な情報を提供しますが、電話回線が使用できなくなる場合等には、当館FM無線機によるFM放送により必要な連絡を行う場合がありますので、FM受信可能なラジオを備えておいてください。
周波数 89.5メガヘルツ
(イ)緊急事態が発生するおそれがある場合、当大使館は所要の情報収集を行い、在留届に基づき随時通報いたします。
(ロ)電話回線が使用できなくなる場合等には、当館FM無線機によるFM放送により必要な連絡を行う場合がありますので、FM放送の受信が受けられるようにしておいてください。周波数は89.5メガヘルツです。
(イ)暴動、内乱等に関する情報を聞いたり、現場に居合わせたような場合は随時、当館へ通報してください。他の在留邦人の方への貴重な情報となります。
(ロ)自分やご家族等に危害が及ぶおそれがあるときは、迅速且つ具体的にその状況を当館へ通報してください。
(イ)事態が悪化し、自発的に帰国、第三国へ退避する場合は、その旨を当館又は日本の外務省海外邦人安全課へ通報してください。
(ロ)「退避を勧告します。」が発出された場合には、一般商業便が運行している間に早急に国外へ退避してください。
旅券については、常時6カ月以上の残存有効期間があることを確認しておいてください(6カ月以下の場合には当大使館に再発給の申請をしてください)。旅券の最終頁の「所持人記載欄」は漏れなく記載しておいてください。下段に血液型(blood type)何型と記入しておいてください。なお、当国における外国人登録証明書、滞在許可証等はいつでも持ち出せる状態にしておいてください。出国許可や再入国許可(これら許可が必要な場合)は常に有効なものとしておくことが必要です。
これらのものは、緊急時には旅券同様すぐ持ち出せるよう保管しておいてください。現金は家族全員が10日間程度生活できる外貨及び当座必要な現地通貨を予め用意しておくことをおすすめします(国により通貨持ち出し制限がある場合があるので注意)。なお、出国する場合の出国税及び空港使用税(これらが必要な場合)の用意も必要です。
(イ)自動車をお持ちの方は常時整備しておくよう心がけてください。
(ロ)燃料は十分入れておくようにしてください。
(ハ)車内には、常時、懐中電灯、地図、ティッシュ等を備えおきください。
(ニ)なお、自動車を持っていない方は、近くに住む自動車を持っている人と平素から連絡をとり、必要な場合に同乗できるよう相談しておいてください。
避難場所への移動を必要とする事態に備え、上記(1)~(3)に加え次の携行品を備えて、すぐ持ち出せるようにしてください。
(イ)衣類・着替え(長袖・長ズボンが賢明。行動に便利で、殊更人目を引くような華美なものでないもの、麻、綿等吸湿性、耐暑性に富む素材が望ましい。)
(ロ)履き物(行動に便利で靴底の厚い頑丈なもの)
(ハ)洗面用具(タオル、歯磨きセット、石鹸等)
(ニ)非常用食料等
しばらく自宅待機する場合も想定して、米、調味料、缶詰類、インスタント食品、粉ミルク等の保存食及びミネラルウォーターを家族全員が10日間程度生活できる量を準備しておいてください。一時避難の目的で自宅から他の場所へ避難する際にはこの中からインスタント食品、缶詰類、粉ミルクを、また、ミネラルウォーターを入れた水筒(大型が望ましい)を携行するようにしてください。
(ホ)医薬品
家庭用常備薬の他、常用薬、外傷薬、消毒用石鹸、衛生綿、包帯、絆創膏。
(ヘ)FMラジオ
電池の予備も忘れないようにしてください。
(ト)その他
懐中電灯、予備の強力バッテリー、ライター、ロウソク、マッチ、ナイフ、缶切り、栓抜き、紙製の食器、割り箸、固形燃料、簡単な炊事用具、可能ならヘルメット、防災頭巾
以上のことを十分ご理解のうえ、快適なキューバでの生活をお過ごし下さい。
なお、その他キューバにおける治安・防犯などに関しご不明な点ありましたら、在キューバ日本国大使館まで、お気軽にご連絡下さい。