在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。
在中華人民共和国日本国大使館
この「安全の手引き」は、中国を訪れる皆様の安全を守る一助として作成したものです。最新の安全情報等は、当館にお問い合わせいただくか、当館ホームページ http://www.cn.emb-japan.go.jp/index_j.htm
にアクセスしてください。
中国は日本と同じ北東アジア地域にある漢字文化圏の国であり、距離的に近いためか、日本から中国を訪れる方の多くは、外国にいるという意識が希薄だったり、日本国内と同じ感覚のままだったりすることが多いようです。日本国内での事件・事故の処理や対応ぶりと同じレベルのものが当然得られるかのような錯覚に陥っていると、トラブルに巻き込まれたときの心の反作用は強く、その時になってはじめて、「日本ではちゃんとやってくれるのに、中国ではどうしてダメなんだ!」等、不満を募らせるばかりで前向きな対応が滞り、その結果、更なるトラブルへと発展していくような例もみられます。
中国に限ったことではありませんが、海外へ赴くからには、法制度、文化背景、風俗習慣等のすべてが日本とは異なることを強く認識し、トラブルに巻き込まれないように十分注意するとともに、実際にトラブルに巻き込まれたときの対処ぶり等をあらかじめ想定しておくことが、海外における最も基本的な安全対策であることを忘れてはいけません。
また、一般的に海外において医療機関にかかる時には、高額な医療費の前払いが原則です。さらに日本への緊急移送が必要な場合には、数百万以上の費用が必要となります。
このような不測の事態が発生した場合に役立つのが、海外旅行傷害保険です。「自分は大丈夫」という心の油断が、後の精神的・経済的ダメージを生みます。
また、クレジットカードに付帯されている海外旅行保険は、死亡や後遺障害等のみがカバーされている場合が多いので、旅行前に保険の内容をもう一度確認しておきましょう。
中国に限らず、海外では、「自分の身は自分で守る」が基本です。外務省で「海外安全虎の巻」を作成しておりますので、一般的な心構えとして、是非ご参考にしていただければ幸いです。
本手引きでは、以下中国において特に注意いただきたい事項につき紹介いたします。
繁華街、空港、レストラン、タクシー、長距離バスや列車の車内等において、スリや置き引き被害に遭う例が目立ちます。また、町中で見知らぬ中国人に声をかけられ、仲良くなったと思い連れてかれた飲食店で法外な料金を請求されるといった事案も発生しています。
●◎●繁華街の路上において、「日本語を勉強しているので教えてくれないか。」などと片言の日本語で声をかけられ、一緒に入店した飲食店で高額な料金を請求される例もあります。最近多いのは、連れて行かれる先がいかにも怪しげな「バー」ではなく、白昼から営業している「茶館」というケースもあります。
日中両国間で政治的な問題が発生している際には、日本の大使館や総領事館、企業や商店を標的としたデモ等が発生することがあります。また、中国国内の要因で抗議活動等発生することもあります。町中でそのような事態を見かけた場合には、極力近づかないようにして下さい。
7月7日は盧溝橋事件、9月18日は柳条湖事件(満州事変)が起きた日等、中国では日本との関係で歴史問題に焦点が当たりやすい(関係各地で記念の行事が行われる)日があります。中国の新聞等にも目を向け、その時々の状況を把握しておくことが望まれます。
平時においても、中国人の中には日本人に反感を抱く人もいるので、日本人同士で会話する際は、大声で日本語で会話するのが適当な場所なのかどうか、時と場所を考慮することが必要です。また、「バカ」や「ばかやろう」という言葉は、相手をののしる言葉として広く浸透しておりますので、思わぬトラブルになることがありますので注意が必要です。
中国では、右側通行や赤信号時の右折可など、日本と交通規則が異なる上、車の信号無視、歩行者や自転車の無理な横断、整備不良車両の運行、高架道路での速度超過や無理な追い越し、突然の停車など、交通マナーが非常に悪いため、いつ交通事故に巻き込まれてもおかしくない状況と言えます。歩行中や横断中は左右後方から近づいてくる車両に十分注意するなど、自己防衛に努める必要があります。
万一強盗被害に遭った場合は、相手が凶器を所持している場合が多いので、身の安全を第一に考え、絶対に抵抗しないようにする。
トラブルに巻き込まれ、何らかの事故又は犯罪被害に遭った場合は直ちに最寄りの派出所や公安局に届け出てください。交通事故の届け出はもとより、各種犯罪被害の届け出等は、あまり時間が経過していると、現場確認あるいは被害確認等が難しくなるため、事案の手がかりを減らし、解決への道を狭めます。事故や犯罪に遭ったら直ちに被害届を出しましょう。クレジットカード等をお持ちの場合には、各発行会社のサービスセンターにすぐに報告をすることが必要です。
また、万が一パスポートを紛失等した場合には、最寄りの派出所、管轄の公安局、大使館(領事館)での手続きが必要となります。一連のプロセスには数日間あるいはそれ以上の日数が必要となり、直ぐに出国(航空機等による中国内移動含む)ができないことから、充分にご注意下さい。
ここでは、気づかない内に中国の法令を犯し、みずからトラブルを招く、そんな事態をさけるために注意いただきたい事項を説明します。
一般パスポートをお持ちの日本国民は、中国での滞在日数が入国日を起算日として15日を超えない場合、入国ビザが免除されることになっています。中国に来訪し、滞在期間が15日を超える場合、或いは留学、就労、定住、取材目的で中国に渡航する場合は、予め日本又は第三国にある中国大使館・総領事館においてビザを取得する必要があります。滞在期間が過ぎてからの期間延長(ビザ等の延長)は困難なばかりでなく、罰金、さらには強制退去という事態になることがあります。自身の有する滞在資格、滞在可能な期間については、しっかりと覚えておくことが必要です。また、滞在期間の延長は申請すれば必ず認められる訳ではありませんので注意が必要です。
【通貨】中国では、外貨については、5千米ドル相当を超える外貨(円やドル等)を持ち込む場合は、税関で申告が必要です。持ち出しは、5千米ドル相当を超え1万米ドルまでの場合は、預金銀行での許可証の取得が必要です。1万米ドル相当を超える場合は、外貨管理局の許可を受けた上で、預金銀行での許可証の取得が必要です。人民元については持ち込み、持ち出しともに2万元までに制限されています。
【その他】持ち込み・持ち出し禁止品
中国の法律では、中国に在留又は短期滞在する16歳以上の外国人は必ず居留証又は旅券を携帯し、外事警察官の検査に備えなければならず、違反に対しては警告、500人民元以下の罰金、情状が重い場合、限期出境(期限付きで出国させる処罰)を併科するとされています。紛失、盗難には注意しつつ旅券を携行して下さい。
外国人旅行者が中国で宿泊する際にはパスポートを提示した上で、臨時宿泊登記をしなければいけません。外国人が宿泊することを認められたホテルの場合は、宿泊登記の際に必要事項を記入すれば、ホテルから公安当局に提出されますが、友人宅や会社社宅などに宿泊する場合には管轄する派出所に到着後24時間以内に自らが届けなければなりません。届出がない場合には最高500元の罰金が科せられる規定があります。
中国においては、買春行為(性的なサービスを伴うマッサージを含む。)は違法であり、「治安管理処罰法」の適用を受けます。同法によって、10日以上15日以下の拘留に加え、5000元以下の罰金に処せられます。また国外退去となり、ほとんどの場合一定期間入国禁止となります。
中国には外国人の立ち入りが制限される未開放地区があります。未開放地区に行く場合は、ビザ取得の段階で申請するか、入国後最寄りの公安局に申請して旅行証明書の発給を受けます。旅行証明書の発給を受けずに未開放地区に入ると、場合によっては国外退去処分を受けます。
開放都市・地区であっても軍事施設等は立ち入りが厳しく制限されており、軍事関係の施設・設備は写真撮影が禁止されています。また、日本と同様に一部の博物館、美術館等では写真撮影が禁止されています。
薬物の製造、所持、運搬、譲渡、輸出入等に対しては、死刑又は無期懲役を含む極めて重い刑が規定されています。使用については、15日以下の拘留又は2千元以下の罰金(又は併科)となっていますが、それでも、使用に伴う所持や譲渡を併せて立件されることとなれば、死刑を含めた極めて重い刑に処せられます。
事件や事故に遭った場合は、必要に応じて緊急連絡先(関係者)への連絡を行います。従いまして、長期に滞在される在留邦人の方は、必ず在留届を提出していただく必要があります。また、住所や電話番号等に変更が生じた場合には変更届を、日本へ帰国する場合には帰国届を、それぞれ当館までご提出下さい。
不特定多数の人々が巻き込まれる大規模な災害、事件・事故、各種デモ(反日デモを含む。)、及び新型インフルエンザの発生などのように、予測が困難で突発的に発生し、解決に一定の時間を要したりするような深刻な事態をいいます。
緊急事態が発生し、または発生する蓋然性が高まった場合は、当館に対策本部を設置して、緊急事態の状況に応じた対応を行うことになっています。具体的には、関連情報の収集と提供、在留邦人の安否確認を含めた援護業務、国外退避を必要とする場合の支援など多岐に亘りますが、これらの対応は、外務本省や近隣公館との連携の下で実施します。
緊急事態への対応で最も大切なことの一つに、正確な情報の入手が挙げられます。情報をどのように入手することができるか、ということについて認識しておく必要があります。また、旅行者の方は、緊急事態の発生の可能性の有無にかかわらず、旅行先の現地緊急電話番号等を事前に確認するようにしてください。当館では、具体的には以下の手段で在留邦人の皆様にお伝えすることとしています。
普段からの情報収集とともに大切なこととして、緊急事態発生に備えたマニュアルの作成を挙げることができます。もちろん緊急事態の態様や状況によって異なりますが、連絡先、物品の備蓄、近隣の病院、現金やカードなど、緊急事態が発生した場合でも慌てることなく冷静に対応できるよう、普段からの心掛けが重要となってきます。また、マニュアルは、職場と家庭を網羅したものが望ましく、関係者が常に共有しておくことが大切です。
大地震発生時や新型インフルエンザ等の流行時には、交通機関や医療機関、商店を含めて社会的機能が混乱することが予想されるため、米や水、インスタントラーメンなどの食料品類、マスクや常備薬などの日用品・医薬品類、その他防災用グッズとして必要と考えられるものを、最低2週間分備蓄しておくことが望ましいとされています。一般的に1日に必要な飲用水は3リットルとされています。
中国を含む世界各地で高病原性鳥インフルエンザが人へ感染する事例が見られており、今後、新たに毒性の強い新型インフルエンザが発生することも想定されます。 報道やインターネット等を通じての情報収集、手洗い、うがいの励行、人混みでのマスクの着用等の感染防止対策の徹底に留意して下さい。