在留邦人向け安全の手引き 在ブルガリア日本国大使館
在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。
安全の手引き

平成24年2月24日
在ブルガリア日本国大使館
序言
駐ブルガリア日本国大使の伊藤でございます。私が当国に着任して1年4ヶ月余りとなりました。
昨年,我が国は,東日本大震災による巨大な地震,津波に加えて原子力発電所の事故が重なるという未曾有の危機に直面しましたが,同震災に関し,ブルガリア政府をはじめブルガリア国民の皆様から多くの暖かい御支援をいただき,大変勇気付けられました。ここに心から感謝を申し上げたいと存じます。
我が国とブルガリアはこれまでも一貫して長い友好の歴史があり,政治・経済・文化の多方面で良好な関係を築いて参りました。我が国とEU・NATO加盟国として成長と変化を続けるブルガリアが,今後も互いへの尊重と親愛の情を持ち,協力し合って,よりよい関係をさらに強めていくことができることを強く期待しております。
このような両国の良好な友好関係の中,ブルガリアとの経済交流や文化交流などで当国に長期滞在する邦人数は減少しているものの,ブルガリアを観光で訪問する邦人旅行者数は増加傾向にあります。
外国で生活することは文化や習慣が異なり,皆様ご存じのとおり容易でない面もあります。犯罪被害など思いがけない災難が身の上に降りかかることも少なくありませんし,実際に「もっと注意しておけば良かった」と悔やまれた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回発行しました手引きは,ブルガリアに滞在する皆様が,犯罪被害や事故等に遭わないための方策や,原発事故やテロ等緊急事態における対応を講じる上で参考となるように作成しました。常識的なことが多々含まれていますが,手引きを参考に「自分の安全は自分で守る。」という意識を持ちながら,安全で楽しい生活を営んで頂きたいと存じます。

平成24年2月24日
在ブルガリア日本国大使
伊藤 誠
Ⅰ 防犯の手引き~基本的心構え
1 防犯意識の高揚~「自分の身は自分で守る」
最近,治安の悪化が叫ばれるようになった日本ですが,それでも世界で有数の安全な国であることに変わりはありません。この安全な国で生まれ育った私達は,防犯に対する意識が低い傾向があります。また,我々日本人は多額の現金等を所持していると見られており,犯罪者からすれば格好のターゲットとなります。
こんな事はありませんか?
- 人前で財布を取り出しお札を数えたりしませんか?
- 女性が夜に一人歩きをしたりしませんか?
- 駐車中の車両に鍵をかけずに車から離れたりしていませんか?
- 夏場に暑いからと窓を施錠せずに就寝していませんか?
- お子様だけで外で遊ばせていませんか?
- 買い物をした際,お釣りを確認せずに財布に現金を入れていませんか?
等々,日本では普通に行っている行為も,海外生活を送る上では細心の注意が必要です。
また,日頃から治安関係情報に関心を持ち,自分だけは大丈夫,自分たちには無関係と判断せず,海外では常に危険と隣り合わせという意識を持って下さい。
さらに,安全は誰かが確保してくれるものという考えは改め,
「自分と家族の安全は,各々が自ら守る」
という強い心構えが必要です。
<チェックポイント>
- 家族で定期的に防犯対策について話し合いましょう。
- テレビ,ラジオ,新聞等で知った治安関係情報は,家族,友人,職場の同僚などと積極的に話題とし,情報を共有しましょう。
- 住居の施錠設備や外出する際の鞄等については,防犯に配慮した物にしましょう。
2 予防が最良の危機管理~「予防こそが最良の危機管理」
危機管理(リスクマネージメント)とは言葉のとおり危機に際して自らの安全を管理することです。身に降りかかる危機は不意に訪れます。その際被害を最小限度に食い止めるために最も重要な要素の一つは,普段から十分な予防措置を取っておくということです。予防措置が取られていた場合とそうでない場合のダメージは,天と地の差が生じます。
3 備えあれば憂いなし~「最悪に備えるも,行動は冷静に」
予防措置に関しては心配し始めれば際限がなく,また具体的な被害予想は不可能なことや,実際に発生するかどうか分からないことへの金銭的負担が強いられる場合もあり,どうしても後回しにされがちです。しかし,昔から「備えあれば憂いなし」と言われるように,日々生活で起こり得る最悪の事態を想定し,危険度に応じて冷静に身近なことから一つずつ安全対策を考えることが重要です。
<チェックポイント>
- 通勤,通学路に事件事故の多発するような危険箇所がないか点検しましょう。
- 自宅の戸締まりについて,再点検しましょう。
- 貴重品の管理,携行時の収納場所について考えましょう。
- 「強盗に襲われたら!」先ず生命優先に考え,どう対処するかシミュレーションしておきましょう。
- 警察や大使館等の緊急連絡先を熟知しましょう。

4 安全三原則の遵守
「目立たない」,「行動のパターン化を避ける」,「用心を怠らない」
この三原則を守って生活することは,そう簡単なことではありません。日本の生活様式,行動形態をそのまま持ち込むとかえって目立ってしまい,自らを危険にさらすことになる場合もあり,現地の文化,風俗,価値観を十分考慮した上で行動する等
「郷には入っては郷に従え」の精神が必要です。
(1)「目立たない」
必要以上に華美な服装,装飾品を着用することや,反対に旅行者であることを必要以上に目立たせる,例えば当世流行のバックパッカースタイルも目立ってしまうことの一例です。
高額商品を購入後に携行して歩いたり,目立つ自動車を乗り回す,公共の場(レストラン,バーなど)で大声で騒ぐ,通じないだろうと高を括り日本語で現地の悪口を言うことなどは,目立つばかりでなく,あえて狙われる原因にもなるものです。
また,必要以上に「日本人であること」や,住所・電話番号・家族構成等の個人情報を第三者に伝えることも犯罪者に有益な情報を与えることに繋がります。
(2)「行動のパターン化を避ける」
通勤,通学,買物等での外出時の行動をパターン化することは,犯罪者に容易に攻撃機会を与えることになります。経路や時間を含め,なるべく行動パターンを予測されにくくすることが重要です。
(3)「用心を怠らない」
生活を開始した当初は安全に気を配っていても,数ヶ月,数年と生活し,その地での生活に慣れが出てくると,当初は注意をしていたことも忘れがちになり,思わぬ被害に遭うことがあります。常に危機意識を持ち続けることが肝要です。
5 住居の安全対策が生活の基礎
最優先すべきは,生活面の安全確保です。すなわち,生活の基盤となる住居の防犯対策等です。生活面の安全確保なくしてご自分やご家族の海外生活を安心して送ることはできません。なお,住居の安全対策の詳細については「Ⅲ防犯のための具体的注意事項1住居の安全対策」をご参照下さい。
6 現地社会に早くとけ込む
慣れない海外生活です。普段より隣人,コミュニティ,在留邦人と付き合い,良好な関係を築くように努め,ネットワーク作りを心掛けましょう。そうすれば,いざという時に隣人の助けも得られますし,自然と様々な情報が入ってきます。
7 精神衛生と健康管理
安全で快適な生活を送るためには,上記の対策のほか精神面,肉体面の自己管理が重要です。体調に異変を感じたり,精神的な不安を覚えたりした状態で生活することは,防犯面でのマイナス要因にもなります。犯罪者は,狙いやすいターゲットを常に探しています。体調の維持に努め,不安がある際は医師による必要なチェックを受けるなど早め早めの対策を講じましょう。
Ⅱ 最近の当国犯罪発生状況
1 犯罪発生状況
当国内務省の発表では,犯罪発生件数は,2008年までは減少傾向にありましたが,2009年からは一転,増加に転じています(2009年は9.0%,2010年は6.5%の増加)。特に窃盗事件及び強盗事件など日常生活に身近な犯罪の増加が顕著となっています。
また,在留邦人並びに日本人旅行者も比較的少ないこともあり,日本人が犯罪被害に遭うケースが多発しているとは言えませんが,油断は禁物です。日本に比べて殺人,強盗,放火,強盗などの凶悪犯罪の発生率は圧倒的に高く,日本の生活感覚のままでは思わぬ犯罪被害に遭うことにも繋がりかねません。罪種別の発生率を日本と具体的に比較すると,殺人が約2.7倍,強盗が約15.2倍,強姦が2.6倍,放火が約20.4倍,略取誘拐・人身売買が約24.6倍にもなります。
2 最近の一般犯罪の状況
首都ソフィアは,最近の景気の低迷を反映してか,地方からの出稼ぎ労働者の市内北部及び西部への大量流入等により,人口が増加傾向にあり,これに伴って犯罪発生件数も増加しています。
具体的には,センターや交通機関内におけるスリ,レストランでの置き引き,深夜の路上強盗,自動車窃盗や自動車などから金品を盗む車上ねらい,カーオーディオなどを盗む部品窃盗が増加しています。また,市内中心部に比して警察力が劣るヴィトシャ山麓の高級住宅街では,空き巣ねらいや忍び込みが多発しており,侵入窃盗防止が急務となっております。
国内に存在するマフィア・グループは,闇経済活動(麻薬等の製造,密輸入・密売,マネーロンダリング等々)で巨額の利潤を得ているといわれており,同種の活動を巡る利害関係の悪化,縄張り争い等のトラブルから対抗勢力と抗争を起こしており,これに伴う殺人事件や爆弾事件が発生しています。このような状況がブルガリア社会を脅かす深刻な社会問題となっており,現政権は組織犯罪対策と汚職対策を重要政策の一つに掲げています。
マフィアグループの抗争に加えて,昨年来,ソフィアをはじめとして都市部で低威力の時限式爆弾による政党本部・支部,報道機関,ジャーナリストの車両等を狙った小規模な爆弾事件が散発しています。その原因はマフィアグループが政府の組織犯罪対策に屈しないことなどをアピールするために起こした事件であり,人の殺傷を目的とする者ではありませんが,市民が巻き込まれることも予想されるので注意が必要です。
3 邦人の犯罪被害状況
邦人が被害に遭いやすい犯罪としては,路面電車等の公共輸送機関内や店舗内でのスリ被害,飲食店内での置き引きが最も多く,空き巣・忍び込み・事務所荒らしも発生しています。特に2011年中には,2件の路上強盗致傷事件が発生しています(2010年にも2件発生)。
睡眠薬を仕込んだ飲食物を利用した睡眠薬強盗事件については近年の発生はありませんが,数年前には邦人旅行者が被害に遭うケースが散見されましたし,未だ日本人や女性を狙ったグループが存在していますので注意が必要です。
Ⅲ 防犯のための具体的注意事項
1 住居の安全対策
(1)住居を選ぶときには,安全確保を最重要点とし,他人任せにせず,自分で物件〔立地条件,家屋の形態(集合住宅か独立家屋か)防犯上の問題点〕を調査し,安易に妥協しないで選ぶことが大事です。立地,間取り,金額などは慎重に検討するものの,安全面に関しては疎かにされがちです。しかしどんなに条件のよい物件であっても,危険が一杯では快適な生活は望めません。
<安全面での基本的選択ポイント>
- 集合住宅か独立家屋か(防犯対策上,集合住宅で3階以上が望ましいと言えます)
- 立地条件(周辺の治安情勢,通勤・買い物等の安全なルートの確保等)
- 建物構造・設備(管理人,来訪者の確認方法,照明,駐車場等)
- 入口扉,窓及び居室(鉄扉,二重錠,覗き穴,インターフォン,窓鉄格子,照明,警報装置)
(2)3つの防衛線による住居(独立家屋と集合住宅)における安全対策
住居の安全対策を図る上で,
①住居の敷地境界線,②建物外周,③建物内部
の3ヶ所に物理的・段階的な防衛線を設け,これらに人的・物的両面から必要な対策をとり,外部からの侵入などの住居に対する各種の危険から防護するという考え方が極めて有効です。
- 第一次防衛線
- 外周の防衛線で,独立家屋の場合は敷地境界線,集合住宅の場合には共通の出入口(ロビー玄関外側の扉)
- 第二次防衛線
- 内周の防衛線で,独立家屋の場合には住宅建物地域(建物エリア)の外周を構成する線,集合住宅の場合には住宅部分の外周を構成する防衛線。
- 第三次防衛線
- 内周の防衛線で,独立家屋,集合住宅いずれの場合も第二次防衛線内に設けた避難区域(通常主寝室)に設定する防衛線。
(3)住居が決まった後も,再度居室の安全対策に関し,以下の点について検討し,不十分な箇所を補う必要があります。
- 施錠が確実に行えますか。
- 侵入警報装置が備わっていますか。(もちろん費用を伴います。)
- 固定電話以外の通信手段がありますか。
- 非常時に備えたご自身の緊急連絡先リストは備えていますか。
- 懐中電灯,警笛等,ろうそく,ライター・マッチ,(短波)ラジオ,医薬品,非常食,外部に異常を知らせるビラ(集合住宅の場合有効)等非常時の常備品がありますか。

2 外出時の安全対策
外出時には,窃盗犯や場合によっては強盗犯や誘拐犯の待ち伏せ等により,直接の被害者又は巻き添えとなる危険性が大きいことから,TPOにあわせた警戒を怠らずに行動することが大切です。
<外出時の安全チェックポイント>
- ア 一般的チェックポイント
-
- 危険な地域・場所には近づかないようにしましょう。
- 出来るだけ単独での外出は避け,複数で行動しましょう。
- 華美な身なりは控え,目立つ行動は避けましょう。
- 必要以上の現金等を持ち歩かないようにしましょう。
- 夜間は徒歩での外出を極力避けましょう。
- 移動には,なるべく自動車を使用しましょう。
- お子様だけでは外出させないようにしましょう。
- けん銃や刃物を突きつけられて現金等を要求されたら,無駄な抵抗は絶対にしてはいけません。(生命第一に考えましょう。)

- イ スリ,ひったくり対策のチェックポイント
-
- 公共機関(バス,トラム,トロリーバス,列車,地下鉄等)を利用する場合は,昼間,空いている車両を利用し,混雑時や夜間の利用はなるべく避けましょう。また,バッグ等の携行品を人混みの方にさらさずボディー側に押しつけるようにして保護しましょう。特に,空いている時に,取り囲むようにしてわざとらしく数名で近づく集団に気をつけましょう。
- カッターナイフ等で斬りつけられても破れにくい素材で,かつ外部から開けにくいバック等を持つようにしましょう。
- 常に周囲に気を配り,一箇所に立ち止まらないようにしましょう。
- 不審者,変質者等の存在に気が付いた時は避けて通りましょう。いざというときは商店等に駆け込むことも考慮しましょう。
- 路地裏,人気のない場所の通行は出来るだけ避けましょう。

- ウ ニセ警察官対策のチェックポイント
-
- 警官と名乗る者に職務質問を受けた場合で,警察官であることに不審点があれば身分証明書の提示を求めたり,最寄りの警察署への同行を促したりして反応を見ることが重要です。
- 不安な場合は,携帯電話で大使館や知人に連絡を取り,出来るだけ応援を求めることも考えましょう。
- 旅券,IDカードの提示や反則金の支払いなどの要求に安易に応じないようにしましょう。(ただし,正規の警察官には出来るだけ協力することが重要です。)
- エ 置き引き対策のチェックポイント
-
- 置き引きとは,スーツケース,バッグ等の荷物など自分の周辺に置いていたものを持ち去られる被害です。主に空港,駅,ホテル,レストランなど人の多く集まる場所で,つい荷物から目を離してしまうような場所で発生します。荷物は常に監視下に置きましょう。
- これまでの被害例
- ホテルで食事中,椅子の背もたれに荷物を掛けていた隙に奪われる。
- レストランで食事中,椅子の下に荷物を置いておいた隙に奪われる。
- 長距離列車で移動中,うたた寝をしている間に荷物を奪われる。
- 行楽地で,写真を撮るため所持品をベンチ等に置いていた隙に奪われる。
- 公衆電話利用時,足元や電話ボックス脇に置いた荷物を奪われる。
- 給油中,目を離した車両から荷物を奪い取られる。
- オ 車両窃盗のチェックポイント
- 「Ⅴ交通安全対策」の項参照
3 生活面の安全対策
(1)引っ越し直後
- 周囲の環境,道路,地形に慣れ,警察・病院等の位置,連絡方法・利用方法を覚えましょう。
- 現地の習慣,価値観を考慮し,反感を買うような行動は厳に慎み,周辺住民にとけ込む努力をしましょう。
- 自宅の防犯設備を再点検し,不安な箇所は直ちに補うようにしましょう。
- 常日頃から隣人等と会話を交わし,情報収集に努めましょう。
- 管理人等「いざ」という時に頼れる人をつくるようにしましょう。
- 各種業者は,必要以上に住居内に入れないようにしましょう。
(2)訪問者に対する注意
- まず覗き窓やインターフォンで,訪問者の身元を確認します。身元確認ができず,かつ,事前の訪問を告げないで来た場合で,不審点が解消しない場合は,思い切って拒否することも必要です。(簡単にドアを開けてはいけません。)
- 予期せぬ配達物は,なるべく受け取らないようにしましょう。また,受け取る場合でも配達人に不審な点がある場合は,荷物を扉の外に置くよう指示し,配達人が立ち去った後,周囲の様子を確かめてから扉を開けるようにしましょう。荷物についても慎重に取り扱いましょう。
- 見知らぬ者(物売り,工事人等)が来た場合は,扉越しに,用件,事務所名,電話番号を聞き,場合によっては事務所に電話で確認する位の用心が必要です。
(3)使用人に対する注意
- 使用人の雇用は,信頼できる人から紹介を受けることが一番よい方法でしょう。
- 可能な範囲で,経歴,家庭環境,財産状況などの情報を得ておくことも重要です。
- 家族同様しっかりした安全対策の心得を教え,指導・教育することが必要です。
(来訪者への警戒,電話応対時の注意,家人不在時の問い合わせに対する応対要領等。)
- 家人不在時の緊急連絡先は教えても,行動予定は伝えないようにしましょう。
- 気心が知れても隙を見せず,貴重品や現金を放置しないようにしましょう。
- プライドを傷つけたり,恨みを買うような言動や行為は避けましょう。
- 使用人の言動,態度,外出,休日の行動,心情の変化などにも注意しましょう。
(4)家族の協力,家族の注意
- 家族の安全は,家族全員が一致協力して守るという心掛けが必要です。
- 家族で日頃から安全に関する話し合いをし,お子様にも適時適切に指導・教育を図りましょう。(犯罪発生状況,異常発見時の措置,電話・公衆電話の使用方法など)
- 家族の日程,習慣,旅行計画,その他の行動計画は,他人にむやみに話さないようにしましょう。
- お子様が外で遊ぶときは,常に親が側にいて目を離さないようにしましょう。
- 全員の行動,居場所を常に把握し,いざという時はお互いに連絡が取り合えるようにしておきましょう。
(5)電話
- 電話(公衆電話,自宅の電話)の掛け方を熟知しておきましょう。
- 電話機の側に,緊急連絡先リスト,メモ紙,筆記具,録音機等を常備しておきましょう。
- 不用意にこちらから名乗らないようにしましょう。また,間違い電話に対して,こちらの番号を教えないようにしましょう。
- 万一,脅迫電話がかかってきた場合,落ち着いて対応し,時間,脅迫の言葉,相手の声の特徴,背景の音等を出来るだけ記録しましょう。また,直ぐに治安機関等に連絡をしましょう。

(6)錠・鍵
- 錠・鍵の設置,管理は住居の安全上の基本です。確実な施錠の実施と,鍵の取り扱いには細心の注意を払いましょう。
- 鍵は鎖や紐を付け常時携帯し,自宅内での管理も鍵のかかる場所など確実な保管場所を確保しましょう。
- 鍵は本人と家族のみが持ち,使用人などに貸与しないようにしましょう。
- 入居時に玄関扉などの重要な錠は,可能であれば付け替えることが望ましいでしょう。出来れば,二重三重の錠前を設置しましょう。
- 鍵を紛失したり,盗難にあった場合は,必ず錠前も交換しましょう。
- 錠前の取り付けは信頼できる業者に依頼し,予備鍵の作成は他人に任せず自分で業者に出向いて行いましょう。

(7)休暇時等の措置と対策
自宅を長期間不在にする場合,空き巣に入られないための対策が必要です。以下のような点に注意し,万全な対応を心掛けましょう。
- 施錠を確実に行いましょう。
- 施錠しても安心せず,貴重品は金庫等鍵のかかる場所に保管して外出しましょう。
- 可能な範囲で警備会社との契約を行い,侵入警報装置を設置しましょう。
- 自宅の鍵を信頼できる知人(よほど信頼できる家主,邦人等が望ましい)に預け,郵便物がたまらないよう処理してもらったり,時々自宅内の様子を点検してもらったりしましょう。夜間の点灯や,昼間カーテンを開けてもらったりすると,留守宅と見破られず,防犯上効果的です。

(8)その他の注意事項
- 不用意に住居の所在地や電話番号等を他人に教えないようにしましょう。
- パターンの決まった外出は避け,時々場所や時間を変えるように心掛けましょう。
- 外出する際は,戸締まり,火の元を再度確認し,覗き窓などから周囲の状況,安全性を確認してから扉を開けるよう習慣づけましょう。また,帰宅時も周囲の異状を確認するなどの配慮に心掛けましょう。もし,鍵が開けられていたり,中に誰かがいるような場合は自ら確認することなく,管理人や隣人,また場合によっては警察を呼ぶなどしましょう。
- 飲酒して「羽目を外す」ことは,周囲の人間に不快感を与えるので当然差し控え,女性は肌を露出するような服装にも十分注意が必要です。
- 名刺には自宅の電話番号は印刷せず,必要な場合のみに手書きで加えるようにしましょう。
Ⅳ 原発事故対策
当国にも原子力発電所があり,2012年2月現在2基が稼働しています。原子力災害は一旦発生すると,その被害は一般の災害とは比較にならないほど拡大します。仮に放射能漏れ事故が発生した場合,残念ながら人間の五感では感知することができませんし,当局の発表があった時にはかなり汚染が進行している可能性があります。事故発生時には,正確な情報収集に努めると同時に,早期に待避するなどして可能な限り被爆しない措置を講じることが重要です。

原子力発電所位置
1 当国の原発状況
ブルガリア北西部,ソフィア市から北東約140キロ,ブラッツア県のドナウ川沿いに,コズロドゥイ原子力発電所があり,現在2基が稼働しています。
2 原子力事故の基礎的知識
(1)原発から事故発生時に放出される放射性物質は,大気中に拡散されて風下方向に移動しながら少しずつ地上に降下します。また,濃度は拡散によって低くなっていきます。
(2)放射性物質の通過による被ばくには次の2種類があります。
- 外部被ばく… 空気中の放射性物質の通過,主に放射性希ガスの通過で体内には残留しない。
- 内部被ばく… 空気中にある放射性物質の吸引,放射性物質に汚染された飲食物の摂取による体内蓄積,ヨウ素131を始めとする放射性ヨウ素の甲状腺への蓄積。
(3)被ばく防止策の基礎知識
- 外部被ばくの防止
- 屋内に退避し,雨には絶対当たらないようにする。放出された放射性物質を避けるために窓や扉の隙間にテープを貼り,外気の侵入を防ぐようにします。
- 内部被ばくの防止
- ヨウ素剤の服用,日常から海草を始め海産物の摂取,多量の牛乳の摂取に努めることで,放射線ヨウ素の甲状腺への蓄積を防ぐことができます。
3 発生直後の一時的被ばく防止対策
(1)身辺の被ばく防止対策
- 屋外では,タオルを四つ折り又は木綿のハンカチを十六折りにし,水で濡らして堅く絞り,口や鼻に当て保護すると,ほとんどの放射性物質の摂取を防止することが可能です。
- 身体自体が放射性物質に汚染されないためには,肌を露出しないようにします。手袋,靴,衣服,帽子を着用し,帰宅したら,すぐ,手,顔,頭髪を洗うことが効果的です。
(水道水自体が汚染されている可能性もあるため,平素,水を汲み置きしておき利用する方がよいでしょう。)

(2)屋内への退避
- 屋内に留まり,外出しないようにしましょう。(特に地下室,コンクリート建物は遮断効果が大)
- 外気の侵入を防止する措置を取りましょう。(窓,扉の閉鎖・目張り,換気扇・空調の閉鎖等)
- 食事は,屋内に貯蔵しておいた飲食物を努めて食べるようにしましょう。
(3)ヨウ素剤の服用
- 目的
原発事故の際,大気中に放出される可能性のある放射性核種の内,特に放射性ヨウ素は,吸入又は飲料水の汚染を介して身体に取り込まれると,甲状腺に選択的に集積されるため,内部被ばくによる障害を発生させる可能性が大きくなります。
甲状腺の放射性ヨウ素摂取を抑制又は防止するためには,安定性ヨウ素剤の服用が有効です。
- 服用上の注意
ヨウ素剤は多量に服用しても効果はなく,定められた用法・用量を守って服用することが大切です。ただし,ヨウ素過敏症の方が服用すると,発熱,かゆみ,発疹などの症状がでる場合があるばかりか,場合によっては,(アナフィラキー)ショックを起こし,死亡することも考えられ注意が必要ですので,服用に当たっては,医師等の専門家の指示を仰ぐようにして下さい。
- ヨウ素剤の添付文書によると,45歳以上の成人が同剤を服用した場合,甲状腺機能坑進症を発症する虞があり非常に危険であると記載されています。また,妊婦,新生児,甲状腺疾患既往者の方は,特にヨウ素剤自体の副作用の危険性が考えられるため,直ちに汚染地域からの脱出を図り,やむを得ず服用する場合には,医師の指示に従って下さい。
- 服用(服用量については,医師等の専門家の指示を仰ぐようにして下さい。)
- 乳児 …初回50~75ミリグラム,24時間毎に同量を服用します。
- 1歳~ …初回100~150ミリグラム,24時間毎に同量を服用します。
- 45歳~ …まず第一に,海産物(海苔,わかめ,海草など)の摂取に努め,ヨウ素剤の服用は,事故の程度により医師の指示を仰ぐようにします。
- 服用期間 …初回の服用は,被ばく直前直後が最も効果的であるため,早めの服用が有効です。服用期間は,3~7日間の連続服用が状況により必要とされますが,総量1グラム,連続10日未満での服用とするよう注意して下さい。
- その他
ヨウ素剤を服用しても屋内退避は継続する必要があり,また,放射性物質の体内摂取を抑制するために,できるだけ多くの牛乳(汚染されていない粉ミルク,スキムミルク,ロングライフ牛乳など)を飲むようにして下さい。

コズロドゥイ原子力発電所
Ⅴ 交通安全対策
1 現状
ブルガリアにおける国民の車両保有台数は,年々増加し,これに比例するように交通事故も増加傾向にあります。
2010年中の当国における交通事故による死者数は,775名(前年比-14.0%)であり,人口当たりの死者数を我が国と比較すると,約2.7倍にもなります。
交通死亡事故の主要原因は,速度超過,追い越し違反,酒酔い運転,運転操作不適当,信号無視などです。

2 交通事故防止のために
車両の右側通行や左側運転席の車両など運転条件が日本とは逆なことに加え,日本との比較で見た場合道路環境は劣悪で,一般ドライバーの運転マナーも決して良いとは言えない状況です。
自動車運転中はもちろん,歩行中であっても,下記の点に留意し十分な交通安全対策を取る必要があります。
<交通事故発生要因となる交通環境と対策>
- 至る所に存在する道路の陥没:特に雪解け後,急遽左右に避ける車両がありますので周囲の車両に注意が必要です。
- 信号機故障:滅灯している交差点では,徐行の励行,より慎重な運転が必要です。
- 方向指示器不使用による右左折,進路変更:十分な車間距離を確保しましょう。
- 急な割り込み,歩行者妨害:周囲の交通状況を常に認識して運転しましょう。歩行中は,仮に青信号であっても車両の状況に注意して道路を横断しましょう。
- 整備不良(ライト,方向指示器,ストップランプなど):運転の状況,車両の状態などが異常な車両とは出来るだけ離れましょう。
- 厳冬期でもスリップ防止策を講じない車両の往来:十分な車間距離を確保するとともに,明らかに危険な車がいればやり過ごしましょう。冬期は必ずスタッドレスタイヤを装着しましょう。
- 明らかな信号無視と見切り発進する車両:青で発進する際も,左右の確認を確実に励行しましよう。
- 見通しの悪い交差点,駐車車両の多い交差点:たとえ優先車両であっても必ず徐行,停止し,左右の安全を確かめましょう。
3 自動車の安全対策
当国では,車に関する注意は交通事故だけにとどまりません。交通安全に留意することはもちろん,自動車強盗,盗難被害に遭わないために,次のような事項にも十分注意して下さい。
(1)自動車強盗,盗難被害に遭わないために
- 目立たない色,修理・整備が容易な車を選びましょう。
- 可能な限り,シャッター付ガレージ内で保管しましょう。
- 窓を開けなくてすむためにも,エアコンを取り付けましょう。
- アラーム,ハンドルロック等の盗難防止機材を取り付けましょう。
- 運転席から離れる際は,必ずキーを抜きドアをロックしましょう。
- 駐車中,運転中を問わず,貴重品・バッグ・書類等を外から見える場所に置かないようにしましょう。
- 出発する前に,車に異常がないか確認しましょう(タイヤの空気が抜かれていないか,異物が仕掛けられていないか)。
- 乗降時に狙われる危険性が高いため,乗り降りの都度,周囲の安全を確認しましょう。
- 走行中は,窓を閉め,ドアをロックし,シートベルトを締めましょう。
- 直ぐに回避行動がとれるよう,走行時・停車時を問わず車間距離を十分に保ちましょう。
- 目的地までの経路は,時々ルートを変え,常に同じルートを使わないようにしましょう。
- 運転者だけでなく同乗者全員で,周囲の状況に注意を払いましょう。
- 脇道などを避け,できるだけ交通量の多い道路,照明が十分な通りを通行しましょう。
- 駐車する場合,できるだけ守衛がいる駐車場を利用しましょう。やむを得ず路上駐車する場合は,明るく通行者(車)が多い場所を選びましょう。
- 遠出する場合,できるだけ複数の車で,時間に余裕を持って出発しましょう。
- 車での移動は昼間のみとし,夜間には努めて運転しないよう心掛けましょう。(行動は,日の出後から日没前まで)
- 運転手を雇用する場合は,安全運転教育を行うと共に,ガードマン的存在であることの自覚を持たせましょう。
(2)一般的注意事項
- 車は,日常点検,定期点検を励行し,異常があれば直ぐ整備して,常に良好な状態にしておきましょう。
- 燃料は常に確認して,十分補充しておきましょう(半分程度になったら補給するくせをつけましょう)。
- 故障の際の修理道具,スペアータイヤ,パンク応急修理資機材,牽引ロープ,バッテリー用ケーブル,消火器,応急医薬品等を常時積載しましょう。
- 出先の道路事情については,前もって調べておきましょう。
- あらゆる損害をカバーする車両保険に加入しましょう。

Ⅵ テロ・誘拐対策
1 現状
世界中で依然多くのテロ・誘拐事件が発生しています。現在当国では,政治・思想を背景とするテロの発生可能性は極めて低い状況です。内務省の発表でも過激なテロ集団の存在は確認されていないとしています。しかし,現実に世界各地で日本人,日本企業も爆弾テロ,誘拐,脅迫事件の標的や実際に被害者となっていることを考えると,当国内でも日頃からテロの脅威を気にかけておく必要があります。
2 具体的対策
(1)基本的心構えの遵守
テロ・誘拐予防のためには,自らの身は自ら守るという「セルフ・ディフェンス」の意識を持ち,「安全三原則」を遵守して,外出(通勤)時の安全対策,住居の警備対策,日常生活上での注意等を怠ることのないように心掛けることが基本です。
(2)情報の収集
新聞,テレビ(日JSTV,米CNN,英BBC)を始め,関係機関,外務省安全情報,大使館HP等から,常に最新の関連情報の入手に努め,テロ・誘拐の脅威を気にかける習慣を付けましょう。
(3)誘拐兆候の発見
誘拐兆候の発見が,誘拐防止の鍵となります。
誘拐犯は,複数のターゲットの中からリスクの少ない対象者を選定すると言われ,その対象者について,事前にできるだけ多くの情報を集め,観察し,見張りを行います。つまり,誘拐には事前兆候がある場合が多いのです。兆候を発見するためには,職場や家庭の周辺,移動中などに,普段と違う点がないか十分気を配ることが重要です。
(4)住居,日常生活,外出時における注意
前記「Ⅲ防犯のための具体的注意事項」で述べた各種の注意事項は,テロ・誘拐対策上も重要です。常日頃からこれらの防犯対策について心掛けておきましょう。
3 爆弾対策
当国では,マフィアの抗争や,マフィアに対して批判的な言動等を行う報道機関やジャーナリスト等に対する爆弾事件が散発しています。爆弾事件が発生すると,被害は犯人が標的とした人物だけにとどまりません。被害に遭わないためにも平素から以下の点に注意しましょう。
(1)常に,住居(会社事務所)内外の整理整頓に心掛け,目の届かない場所は定期的に見回りをするなどして,爆弾を設置されにくい環境,容易に不審物を発見できる環境を作りましょう。
(2)不審物を発見した場合は,爆発物三原則(踏まない,触らない,蹴飛ばさない)に従い,直ぐに不審物から離れ,関係機関への連絡を行いましょう。家族や第三者が被害に遭わないよう,不審物へ近寄らないような手段を講じることも重要です。
(3)家族(特に子供),社員等に不審物(放置荷物,手紙,小包等)発見時の対処方法について,日頃から指導をしましょう。
(4)長時間屋外に車両を駐車した場合は直ぐに乗車せず,点検を行ってから乗車する習慣を持ちましょう。
(5)マフィアが経営していることの多い,カジノやナイトクラブ等には立ち寄らないようにしましょう。
(6)万一,身近で爆弾事件が発生した場合,すぐにその場に伏せるとともに,爆発現場から遠ざかるようにしましょう(時限爆弾の中には時間差を付けて第二の爆発がある場合もあります)。
(7)爆弾物と思われる物件を発見した場合は,直ちに避難すると共に,警察に通報しましょう。
Ⅶ その他参考事項
子の連れ去りが犯罪となり得ることについて
近年,国際結婚が増えていますが,結婚生活で困難に直面した場合などに,日本人親が他方の親の同意を得ずに自分の子供を連れて日本に戻り,現地の法律上問題になる事案が発生しています。この問題について,よく聞かれる質問をまとめてみました。
Q 何が問題なのですか?
A 父母のいずれもが親権(監護権)を有する場合に,一方の親が他方の親の同意を得ずに子を連れ去る行為は,重大な犯罪(実子誘拐罪)とされています(注)。
例えば,カナダや米国に住んでいる日本人親が,他方の親の同意を得ないで子を日本に一方的に連れて帰ると,たとえ実の親であってもカナダや米国の刑法に違反することとなり,これらの国に再渡航した際に犯罪被疑者として逮捕される場合があります(実際に,逮捕されるケースが発生しています。)。
国際結婚した場合,その間に生まれた子を日本に連れて帰る際には,こうした事情にも注意する必要があります。
- (注)
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- カナダ:14歳未満の子の連れ去りの場合,10年以下の禁錮刑等を規定(刑法第282,第283条)。
- 米国:16歳未満の子の連れ去りの場合,罰金若しくは3年以下の禁錮刑又はその併科を規定(連邦法Title 18, Chapter 55, Section 1204)。州法により別途規定がある場合もある。
Q ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事面に関する条約)とは,どのような条約ですか?
A 国境を越えた不法な子の連れ去りを防ぐことなどを目的として,1980年,国際的な子の奪取の民事面に関する条約が採択されました(2011年1月現在,締約国は84ヶ国)。日本は,締結の可能性について検討をしています。
ブルガリアを含む,この条約の締約国は,不法に子を連れ去られた監護権者からの申立てを受けて,条約上の例外事由がない限り,子が元々居住していた国に迅速に返還されるように努めるなどの義務を負います。子の返還後は,親権を巡る父母間の争い等は,子が元々居住していた国の裁判所において決着することになります。
以上のように,この条約は,不法に連れ去られた子の返還について定めるものですから,子の居住していた国の法律,手続に従って日本に連れてきた子が,その国に送還されることはありません。
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