在留邦人向け安全の手引き 在ブルネイ日本国大使館

在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。


安全の手引き

平成24年4月
在ブルネイ日本国大使館

Ⅰ.序言

ブルネイは,一般に「安全で治安の良い国」と言われ,政府当局が公表する統計も,殺人や強盗などの凶悪犯罪は低い数値を示しています。しかし,そのような国でも,日々生活している以上思わぬ事件や不幸な事故に遭遇する可能性がない訳ではありません。何とかして避けたい事件や事故,これらは日頃の心構えや防犯対策によって未然に防ぐことができます。そして,もしトラブルに巻き込まれてしまっても,被害を最小限に抑えることができます。この「安全の手引き」は,その指針として頂くよう具体的な防犯対策や対応をまとめたものです。

Ⅱ.防犯の手引き

1.基本的心構え

海外においては,(1)自分の身は自分で守る (2)予防は最良の危機管理である (3)悲観的に準備し,楽観的に行動する (4)安全のための三原則を順守する(・目立たない ・用心を怠らない ・行動を予知されない) (5)住宅の安全を確保する (6)現地社会文化にとけ込む (7)精神衛生と健康管理に留意するという基本原則を守り,常日頃から実行することが大切です。

更に,ブルネイでは国王を始め王室に対する一般国民の尊崇の念に配慮することと,国民の大多数が敬虔なイスラム教徒であることから,宗教に関する知識と理解をもって行動することも必要です。

2.ブルネイにおける犯罪発生状況

ブルネイ警察が公表している犯罪統計に拠りますと,2010年の犯罪発生件数は4813件(殺人1,強姦31,強盗14,傷害491,窃盗1650,家屋侵入盗184,車上荒らし198)ですが,2011年は5925件(殺人2,強姦27,強盗7,傷害480,窃盗2271,家屋侵入盗15,車上荒らし333)と顕著に増加しています。当国の犯罪件数は,2007年4519件,2008年4586件,2009年4652件と微増傾向でしたが,2010年,2011年は2年連続で窃盗と車上荒らしが急増しました。

3.防犯のための注意事項

過去の犯罪統計や治安状況から,当国では特に窃盗,家屋侵入と車両荒らしなどについての備えを行うことが大切です。それぞれの犯罪に対しての防犯対策を,以下に列記します。

(1)窃盗

ア. ショッピングモール,ホテルやレストランなど不特定多数が集まる場所では,必要以上の現金や貴重品を所持しないようにし,特に買い物や食事の際,現金が入ったバッグや貴重品を椅子やテーブルに置いたまま,その場を離れるのは避けましょう。

イ. 銀行のATMでの現金引き出しや両替商での換金の際には,できるだけ単独の行動を避け,多額の現金は人目にふれないようしましょう。現金を手にした後は,周囲に不審な人物がいないか充分注意を払い,挙動不審者が後をついてきた場合は,すぐに周囲の人に助けを求める方が得策です。

(2)家屋侵入盗

ア. 借家を探す時には,物件所在地の環境と家屋の施錠設備(出入口扉,窓,鉄格子,警報機等)をチェックし,施錠装置に不備がある場合は,必ず入居前に補強や修理を依頼しましょう。また,平屋の場合は屋根,天井などもチェックしましょう。鍵が不十分な場合,市販されている強固な金属製チェーン・キーやボルト・キーを追加設置し,二重・三重の施錠を施すことも有効です。

イ. 過去,家宅侵入の被害を受けた家屋は,その後も被害に遭う場合があります。侵入歴のある家かどうかについて,入居前に家主に直接照会するか,可能な範囲で調べることをお勧めします。

ウ. 独立家屋の場合は,防犯のために犬を飼うことも一案です。ただし,マレー系一般国民にとって,宗教上犬は不浄の動物とされていますので,家主だけでなく周囲の住民の了解も必要です。

エ. メイド等の個人的な雇用契約に当たっては,知人・友人からの紹介が最も望ましく,そうでない場合には2~3ヶ月程度の試用期間を設け,信頼性が高い人物であるか確認することをお薦めします。不在中,メイドが空き巣を手引きすることもあります。たとえ,信頼できる人物であっても,多額の現金を自宅に保管する場合その場所を知られないようにすることや旅行計画等を明確に伝えないなどの配慮は必要です。

オ. 在宅時でも,ゲートを閉め,出入り口は施錠し,第三者が敷地内や家屋に簡単に入ることができない物的環境を,常時作ることが大切です。また,外見上,犯罪者が心理的に入りにくい状況(家屋内から外部への見通しが良い,警報機を設置している様子が伺える,整理整頓されていて住人が神経質で用心深く思われるなど)を工夫することも有効です。

カ. 施錠をしていない窓からの侵入防止のため,就寝・外出前には,全部の窓を施錠するよう心懸けましょう。また,短時間の留守の間は,室内のTVやラジオなどをつけたままにして常時音を出しておくことや,夜間に外向けの照明を点灯しておくと,犯罪者は侵入しにくくなります。長期間家を空ける時は,知人・友人等信頼できる人に,家の周囲などを巡回してもらうことも一案です。

キ. 万が一,家屋内に不審者が侵入してきた場合には,犯罪者が銃器や蛮刀などの武器を所持していることもありますので,犯人との遭遇を避けて安全な場所に留まり,警察に連絡する手段を確保しましょう。不幸にして犯人と遭遇した場合には,抵抗せず,極力犯人の顔を見ないようにして,その要求に従い,犯人に一刻も早く現場から立ち去ってもらうようにすることが肝要です。

ク. 家主よりの依頼と称し,犯罪者が庭の手入れや家屋の修理等を装って侵入してくる場合もあります。事前に通報を受けていない場合は,後日再訪するよう求めるか,家主に確認した上で作業を実施させ,家屋内はもとより敷地内に部外者が留まっている間は,目を離さないように心がけましょう。

ケ. 日頃から,住居の周辺に注意を払い,何らかの異変を感じる,不審な人物が徘徊しているなど,普段と異なる様相を察知したり,更に身の危険を感じたりした時は,安全が確認されるまで外出を控え,警察に通報してください。

コ. 当国の特徴として,「中国旧正月(Chinese New Year)」と断食(ラマダン)明けの「大祭(ハリラヤ)」の時期に,盗難や家屋侵入事件が多発しています。この時期には一層の用心が必要です。

(3)車上荒らし・車両盗難

ア. 車の運転・駐車中は必ずドアロックをし,また、短時間でも車から離れる時はドアの施錠と全部の窓が完全に閉っているか確認しましょう。

イ. 一時駐車する際は,犯罪者がターゲットにしやすい場所(隅の方,暗い所,人が通らない場所など)は避け,人通りが多い場所や監視員がいる所に駐車する方が無難です。

ウ. 車内の窓から見える所に,バッグなどの貴重品を置いたまま車から離れることは避けましょう。パソコンはトランクに保管していても,探知機を持った犯人に感知され盗難に遭う可能性があります。

4.交通事情と事故対策
(1)交通事情

ア. 交通事故発生件数は,2010年3414件(死亡者25名),2011年は3598件(死亡者47名)と年々増加しています。

イ. 日本と同様,車は左側通行で,道路,信号などは整備され,比較的運転がしやすい状況です。しかし,日本にはないルール(ロータリーでの右側優先,右折する場合は右折の信号が出てからターンする,左折車は前方直進が赤信号でも右からの直進車がなければ専用レーンで左折可能)があり,交通規則に慣れるまで用心が必要です。

ウ. 一般的にドライバーは,運転マナーが良いとは言えず,スピード運転,強引な割り込み,無理な追い越し,ウインカー点滅なしの右・左折と車線変更,信号無視など人為的要素に加え,スコールの際は,視界の確保が難しく車道に水が溜まってハンドルを取られるという道路事情もあり,当国における交通事故の原因は多種に渡っています。

エ. 宗教上,イスラム教徒は飲酒が禁じられているため,飲酒運転による事故はほとんどありません。外国人は,公共の場以外であれば飲酒が可能ですが,道路法規上,飲酒運転は1万ドル以下の罰金が課せられます。アルコールを摂取することを予定している場合は,予めタクシーを予約しておくか,または飲酒をしない同席者に送迎してもらいましょう。

オ. 自動車を運転する際は,運転免許証の携行が義務づけられています。同じく携帯義務がある身分証明書と,不測の事態に備え,緊急連絡先も常時所持していると万全です。

カ. 当国では,事故に遭遇しこちらが全くの被害者である場合でも,加害者側から十分な賠償を得ることが困難な場合があります。自動車保険に加入する場合は,どのようなケースもカバーする保険に入ることをお勧めします。

(2)事故対策

ア. 交通事故発生時,自損・他損,人身事故のいずれの場合も,当事者は速やかに警察署に通報する義務があり,警察の現場検証が終わるまでは,事故車両はそのままにしておく必要があります。現場検証終了前に事故車を移動したため保険金が支払われなかった例があるようですので,事故車両を動かす際は保険会社に確認してください。

イ. しかし,軽微な事故の場合には,当事者双方の示談で解決するケースもあり,警察当局も極めて軽微な事故には敢えて介入しません。後日のトラブル防止のため,そのような場合は示談書を作成することが得策です。

ウ. 交通事故の現場に興味本位の野次馬が群がり,特に死傷事故の場合,加害者が報復リンチを受けるケースが稀にあるようです。万が一,加害者となって危険を感じる場合は,警官が来るまで車内に留まり,自分自身の安全を確保するようにしましょう。

エ. 事故を起こし,言葉の問題でその状況を充分説明出来ないことが想定される場合には,事故現場まで来て支援してもらえる友人・知人をリストアップしておくなどの対応を検討しておきましょう。なお,警察の事故報告書様式はマレー語による記載ですが,記入は英語でも可能です。

5.テロ・誘拐対策
(1)テロ

地理的にフィリピン及びインドネシアに近いことから,両国の反政府ゲリラ組織の潜入・地下活動の可能性が懸念されますが,ブルネイ政府はテロの脅威は低いとしています。他方,近年の世界情勢や当国の地理的環境から,危険分子が陸路や海路を利用して侵入して来る可能性が全くないとも断言できません。テロリストなどによる非合法活動に遭遇した場合は,以下を参考に対応しましょう。

ア. 公共の場で,異変(爆発音、銃の発射音、煙や異臭など)に気づいた場合は,直ちにその場から離れてください。

イ. 避難が困難な場合は,手近な物陰に隠れるか,その場に伏せるなど姿勢を低くして動かないでいましょう。

ウ. 外部から救助が来るなど,周囲の安全が確認されてから再び行動を開始してください。

エ. 安全な場所へ脱出したら,大使館への報告をお願いします。

(2)誘拐

経済的に豊かで政権が安定している当国において,営利目的や政治的目的の誘拐事件が発生する可能性は,高くはないのですが,不幸にも金品目当てや個人的怨恨の対象となり誘拐された場合は,決して犯人に抵抗せず,希望を失わずに忍耐強く救出を待つことが大切です。

6.緊急連絡先
  • 在ブルネイ日本国大使館
    平日 (代表)2229265(08時30分-16時30分)
    夜間及び祝祭日 (領事担当)8735195または8740241
  • 警察 993
    ブルネイ警察本部 2459500
  • 救急車(リパス国立病院) 991
  • 消防署 995
  • 入国管理局 2382106
  • 観光局 2382822

Ⅲ.結び

大使館では,この「安全の手引き」以外にも,海外生活に役立つパンフレットの配布や情報提供を行っています。お気軽にご相談・ご照会ください。

当国は,1962年以来「非常事態宣言」が継続して発出されていることもあり,国内は全般的に平和が保たれています。しかしながら,万が一緊急事態が発生した場合のために,緊急事態対処マニュアルを資料として別添しますので,こちらもご一読願います。

(別添資料1.) 緊急事態対処マニュアル

1.準備と心構え
(1)連絡体制

緊急事態の発生が予見される場合や発生した場合,大使館は在留邦人の皆様への情報提供や安否確認を行います。このような緊急連絡を確実に受けるためにも,在留届を提出してください。提出後,記載事項に変更が生じた場合とブルネイを出国される場合も,大使館にお知らせください。

家族の間では,緊急時の連絡方法や集合場所を確認しておくこと,会社内での連絡網を作成することや,近隣の同僚や友人との協力関係を築くことも大切です。日頃から,お互いの所在を明らかにしておくことを心がけましょう。

(2)避難場所

自宅や勤務先,通学先で,デモ,騒乱,大災害などに遭遇した場合を想定し,避難経路や避難場所を検討しておいてください。携帯電話を紛失した場合や電話が使用できない場合に備え,自分の居場所を家族や同僚に知らせる方法も考えておきましょう。

(3)非常時への備えと携行品

別添資料2.「緊急事態に備えてのチェック・リスト」を参考に,ご準備ください。

2.緊急時の対応
(1)情報収集

緊急事態が発生したら,大使館からはEメールと電話を使って連絡を行いますが,皆様も各自大使館のホームページやNHKニュースなどで情報収集を心がけてください。

(2)大使館への通報

変事に巻き込まれた場合や巻き込まれそうになって脱出した場合,連絡が取れる状況になったら,大使館への通報をお願いします。また,他の日本人の方の安否情報や目撃情報がありましたら,できる限り早くご連絡ください。

(3)一時避難

国内に安全な場所が確保できない場合の一時避難あるいは国外脱出時の集合場所として,大使館事務所と公邸を想定しています。これら避難先への移動をお願いした時は,貴重品と最低限の携行荷物を持参し,指示に従って速やかに行動してください。

(4)国外退避

事態が悪化し,各自または派遣元の判断で,自発的に国外に出られる場合は,その旨を大使館にご一報ください。状況によっては,大使館が国外退避の勧告を行います。その場合は,定期商用便があるうちに国外へ脱出してください。空路での退避手段が取れない事態となった場合は,大使館が商用機チャーター便または政府チャーター便などの手段を講じます。

(別添資料2.) 緊急事態に備えてのチェック・リスト

1.旅券

旅券については,常時6か月以上の残存有効期間があることを確認しておいてください(6か月以下の場合には当大使館に再発給の申請をしてください)。旅券の最終頁の「所持人記載欄」は漏れなく記載しておいてください。下段に血液型(blood type)何型と記入しておいてください。なお,当国における外国人登録証明書、滞在許可証等はいつでも持ち出せる状態にしておいてください。出国許可や再入国許可(これら許可が必要な場合)は常に有効なものとしておくことが必要です。

2.現金、貴金属、貯金通帳等の有価証券、クレジット・カード

これらのものは,緊急時には旅券同様すぐ持ち出せるよう保管しておいてください。現金は家族全員が10日間程度生活できる外貨及び当座必要な現地通貨を予め用意しておくことをお勧めします。なお,出国税(12ブルネイドル)の用意も必要です。

3.自動車等の整備

(1)自動車をお持ちの方は,常時整備しておくよう心掛けてください。

(2)燃料は,十分入れておくようにしてください。

(3)車内には,常時,懐中電灯,地図,ティッシュ等を備えおきください。

(4)自動車を持っていない方は,近くに住む自動車を持っている人と平素から連絡を取り,必要な場合に同乗できるよう相談しておいてください。

4.携行品の準備

避難場所への移動を必要とする事態を想定し,上記1.~3.に加えて次の携行品を備え,必要な物はすぐに持ち出せるようにしてください。

(1)衣類・着替え(長袖・長ズボンが賢明。行動に便利で,殊更人目を引くような華美なものでないもの,麻,綿等吸湿性,耐暑性に富む素材が望ましい。)

(2)履物(行動に便利で靴底の厚い頑丈なもの)

(3)洗面用具(タオル,歯磨きセット,石鹸等)

(4)非常用食料等
しばらく自宅待機する場合を想定して,米,調味料,缶詰類,インスタント食品,粉ミルク等の保存食及びミネラルウォーターを家族全員が10日間程度生活できる量を準備しておいてください。一時避難の目的で自宅から他の場所へ避難する際にはこの中からインスタント食品,缶詰類,粉ミルクを,また,ミネラルウォーターを入れた水筒(大型が望ましい。)を携行するようにしてください。

(5)医薬品
家庭用常備薬の他,常用薬,外傷薬,消毒用石鹸,衛生綿,包帯,絆創膏

(6)ラジオ
NHK海外放送(ラジオ・ジャパン),BBC,VOA等の短波放送が受信できる電池使用のもの(電池の予備も忘れないようにしてください。)

(7)その他
懐中電灯,予備の強力バッテリー,ライター,ローソク,マッチ,ナイフ,缶切り,栓抜き,紙製の食器,割り箸,固形燃料,簡単な炊事用具,可能ならヘルメット,防災頭巾(応急的に椅子に敷くクッションでも可)

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