在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。
~備えあれば憂いなし~
2012年2月1日(改訂)
在バルセロナ日本国総領事館
我が国の国際化の進展に伴い,海外で暮らす日本人の数は年々増加し,それとともに海外で各種事件,事故に巻き込まれる事例が増えていることは皆様ご承知のとおりです。
在バルセロナ総領事館管内(カタルーニャ州,バレンシア州,バレアレス州)において,当館が把握しているだけでも2011年は402名に及ぶ邦人被害が報告されています。しかし,これらの邦人被害は外国人旅行者が多く訪れるバルセロナ市内の地下鉄・駅や構内及び観光地等で発生するスリや置き引きが大半を占めていますので,日頃から注意して対策を取っていれば予防できると思われます。
一方,当地のテロ情勢については,2011年はテロ事件の発生はありませんでしたが,同年に限って見ても当地報道によれば「米国中央情報局(CIA)がカタル-ニャ州において,ジハ-ド(聖戦)戦士を警戒(5月)」,「バルセロナはスパイの巣窟となっている(5月)」,「マグレブ諸国のアル・カ-イダの勢力拡大により,欧州各国が警戒態勢に入っている,特にテロリストがリビアの混乱に乗じて大量の武器を入手している(7月)」,その他「バレアレス州でテロ行為の容疑が掛けられていたキュ-バ人を逮捕(9月)」等,カタル-ニャ州を始めスペイン等欧米諸国を中心にテロに対する脅威は未だ高い状態が続いていますので,テロ事案が皆様の身近で発生する可能性が高くなっていると考えられます。
こうした情勢下にあることから,当地においては強盗・窃盗など一般犯罪に対する安全対策のみならず,テロ事件に対する安全意識も高めていくことが重要と思われます。海外において犯罪の被害等に遭わないように,皆様一人一人が日頃から安全意識をもって行動されることが求められています。
そこで,カタルーニャ州,バレンシア州,バレアレス州在住の方々や当地に旅行される皆様方の防犯上のご参考になればと,「防犯の手引き」及び「緊急事態対処マニュアル:大規模テロ(爆弾テロ)に備えた日本人の心得」から構成する「安全の手引き~備えあれば憂いなし~」なる手引きを作成しました。この手引きは,スペインに長く居住されている方々には決して目新しいものではなく,当然のことばかりではないかと思われるかもしれませんが,是非ご一読頂き,皆様の安全で快適なスペイン生活,ご旅行をする上での一助になれば幸いです。
スペインは,「太陽の国」,「情熱の国」と言われますとおり,国民は非常に明るく,且つ極めて親日的な国の一つです。一方で連日マスコミ報道されているとおり昨今の景気悪化と相まって,それと比例するかの様に様々な形態での犯罪が発生し治安悪化が進んでいるのも事実です。そういった犯罪に皆様が巻き込まれないために最も重要なことは,当地スペインの現状を正確に認識し,危険な場所へは立ち入らない,夜間人通りの少ない通りは利用しない,必要以外の所持金品を持ち歩かない等最低限の安全,防犯意識を持つことが重要と思われます。
日本は世界で最も治安の安定した国の一つと言われています。それゆえ日本での生活に慣れ親しんだ日本人が海外に出向いた際は,予想もしない事件や事故に巻き込まれるケースが多く見受けられます。従って海外に旅行・滞在する際は,海外での安全対策の基本である「不断の警戒」「目立たない」「行動を予知されない」の三原則をしっかりと守り行動することが大切です。
安全情報の収集は楽しい海外生活を送るためには欠かすことはできません。日頃から新聞,雑誌,テレビ,ラジオ,インターネット等のニュースや総領事館から発出される治安情報等を通じて,是非安全情報を収集して下さい。
なお,在バルセロナ日本国総領事館では,随時,ホームページに安全情報を掲載・更新しており,また,ご希望の方々に対しては安全に関する情報を電子メールにて送信するサービスを実施しています。総領事館メール情報サービス宛先(soryojikan@cgjb.net)でメールアドレスを登録の上,是非ご活用下さい。
万一の事件,事故に備えて,警察,消防,病院,総領事館或いは会社関係者,信頼できる近隣者等の連絡先は常に整備し,併せて在留邦人相互間の連絡体制も確立しておくことをお勧めします。
スペイン内務省発表の2010年一般犯罪統計によれば,主要犯罪件数は,170万0,696件(前年比34,679件減)となっています。その内,身体犯(殺人,過失致死,傷害,逮捕監禁,脅迫,強要及び性犯罪)は,13万2,642件(前年比2,980件減),財産犯(窃盗,強盗,恐喝,詐欺及び器物損壊)は,83万2,233件(前年比20,099件減),軽微な傷害は,9万4,778件(前年比899件減),軽微な窃盗(400ユーロ未満の窃盗)は,64万1,043件(前年比10,711件減)と総じて減少傾向を示しています。しかしながら,最も被害に遭う可能性が高い窃盗犯罪,特にスリ,置き引き,ひったくり等の軽犯罪に対しては引き続き注意を要します。
スペインはアフリカ,中南米から欧州に入る違法薬物流通の主要経路となっており,多数の薬物密売組織が暗躍していると言われています。当地報道によれば,2011年に限ってみても「(カタル-ニャ州)ジロ-ナでオランダに輸出するために,マリファナを栽培していた犯罪グル-プを逮捕(7月)」,「(同州)タラゴナ港でコカインを持ち込もうとしていた国際犯罪グル-プを逮捕(8月)」更には2012年は,新年早々「(北アフリカ)モロッコから大麻を運び込もうとしていた犯罪組織構成員53名を一斉に逮捕」との見出しで記事が掲載されている等,スペイン治安当局は薬物関連事案に対する警戒を強化していると思われます。スペインでの麻薬密輸,密売の罪は重罪ですので,見知らぬ人から「荷物を預かってもらいたい」「手数料を払うので,荷物を運んでもらいたい」などと頼まれても絶対に引き受けてはなりません。軽い気持ちで甘言に乗ってしまうと知らない間に「麻薬の運び屋」に仕立てられ,ひいては自らの一生を棒に振ってしまいかねませんので,海外でのこのような誘惑に絶対に乗らないようにして下さい。
スペインで生活している方の安全確保,事件,事故発生に際しての第一次的責任はスペイン政府が負っています。日本人が事件,事故に巻き込まれた場合には,総領事館は邦人保護の観点から必要な援護措置を講じますが,捜査,処理は全てスペインの主権の下に,同政府の権限と責任において処理されます。しかも,日本の治安当局の捜査手法,処理方法と同一であるとは限りません。以下のとおりスペインの警察制度は,日本の制度とは全く異り4つの警察組織が存在し,それぞれ管轄地域と職務権限を有しています。
当地スペインでは,イスラム原理主義過激派及びETA(バスク祖国と自由)によるテロが最大の脅威と言われています。
2004年3月のマドリード連続爆破テロ事件の発生以降,治安当局は他国治安当局の協力も得つつ,イスラム過激派対策を継続的且つ強力に推進し,これまで多数のアル・カーイダ関連被疑者を逮捕しています。2011年に限ってみても,「ウサマ・ビン・ラ-ディンの死後,カタル-ニャ州警察等治安機関は同人殺害に伴う報復テロに備え,同州内の原子力,火力各発電所,ガス及び通信会社等に対する警備を強化(5月)」,「カタル-ニャ州での聖戦主義の高まりにより,第二次世界大戦以後,最大の秘密情報部員が集中している(6月)」或いは「スペインにおける新しい対テロ対策は,ウサマ・ビン・ラ-ディンの死後,カタル-ニャ州にシフトした(6月)」等の記事でも分かるとおり,当地カタル-ニャ州を始めスペインを舞台としたイスラム過激派による事案が度々マスコミによって報じられています。従って,邦人の皆様におかれましては,今後も鋭意テロ関連情報の入手に努めるとともに,治安当局からの緊急避難指示等があった場合は,当該指示に従って速やかに避難して下さい。
2011年は,ETA(バスク祖国と自由)に大きな動きがあり,同年10月20日,「ETAが武装活動を完全に停止する宣言した」等の報道がなされました。これまでETAによるテロ行為により,数百名もの尊い命が犠牲となっています。今回の停戦宣言により,当時のスペイン・サパテロ首相等政府関係者は,同宣言を歓迎する発表を行っていますが,ETAは過去に何度も停戦直後に爆弾事件等を引き起こしていますので,全面的に信用することはできません。今後とも暫くは,ETAによるテロ活動は引き続き注意する必要があります。
2011年に在バルセロナ総領事館が認知した管内の邦人被害人数は402名であり,前年の355名と比べ47名増と大幅に増加しています。昨今の円高傾向も相まって邦人旅行者も増加傾向にありますので,それに伴って被害人数は年々増加しています。
いわゆる首締め,持凶器強盗など凶悪事案の発生はごく僅かですが,邦人の皆様に係る犯罪は,当館管内で1日平均1名以上の方が,何らかの被害に遭っていることになります。折角の旅行も被害に遭ってしまっては,台無しとなってしまいますので,四六時中隙を見せないことは困難と思われますが,特に被害が多く発生している地下鉄・駅,観光地及び路上等では犯人グループが狙いを定め,犯行の機会を窺って潜んでいる可能性が高いということを忘れず,所持金品に特に気をつけて下さい。とりわけ当地で被害が多く発生している置き引き,スリについては,常に自分の荷物に注意を払うことでかなり防げますので,見知らぬ他人から声を掛けられた場合等はまず所持品をしっかりと握り,一瞬でも身体から離さないことが重要です。
邦人に係る犯罪被害の内訳は,スリ及び置き引きによるものが圧倒的に多く,全体の70%以上を占めています。続いて泥掛け窃盗(注:犯人グル-プの一人が,タ-ゲットとした(被害)者に,泥やアイスクリ-ム等を付け,別の仲間が親切心に拭ってやるように見せかけ,金品等を窃取する手口),偽警察官による詐欺事案と続いています。また昨年12月中旬以降は,ひったくり,置き引き事案の増加が顕著でした。
スリ:164名(前年比,10名増),置き引き:133名(同,33名増),泥掛け窃盗:35名(同,23名増),ニセ警察官:29名(同,4名減),ひったくり:18名(同,2名増),車上狙い:10名(同,12名減),パンク盗:4名(同,4名減)
2011年:402名
2010年:355名
2009年:322名
2008年:273名
2007年:325名
地下鉄駅構内,レストラン,ファーストフード店,ホテルのロビー,空港,バスターミナル等において,道を尋ねるなどして話しかけ,被害者が注意をそらした隙に,足下や座席隣あるいは座席後部に置いてあるバッグ等を盗む。
2011年,際立って被害件数が増加(前年比約3倍増)した犯罪です。その典型的な手口は,犯人が鳥の糞や泥水等を意図的に歩行者の上着等に引っ掛け,続いて犯人の仲間が「糞等が付いている」等と指摘して気付かせ,被害者が自分で衣服の汚れを拭き取ろうとする際に,或いは犯人自身が拭き取る手伝いをすると見せかけて,歩行者のカバンやポケットの中から財布を盗む。また近くに水道が利用できるところがあるとしてそこまで案内し,衣類を洗っている隙をみて手荷物等を盗んで逃走することもある。
偽警察官事案は,通常グループで犯行に及ぶことが多い。典型的な手口は,観光客風の外国人が場所を教えて欲しい,写真を撮って欲しいと近づいてきて,被害者がその外国人の問い掛けに応じていると,突然警察官(私服が大半)と称する者が現れ,薬物の取引や偽札所持容疑などの理由をつけて職務質問を偽装し,バッグの中,財布の現金,クレジットカード,最終的にはクレジットカードの暗証番号までも提示させた後に,カードを奪い取って逃走する犯罪である。
犯人は裏通りや物陰に潜んで待ち伏せし,通りかかった人のショルダーバックなどを奪い取る。逃走を容易に行うため,犯行後近くでバイクで待っている仲間と逃走することもある。最近は,徒歩で犯行に及ぶ行為よりも,バイクに二人乗りした複数犯が多いとの情報があります。
犯人は人通りの少ない路上や観光地あるいは旧市街地域のオスタル(ホテルよりも安価で宿泊できるホテル)の入口で,背後から突然首を絞めて,被害者が一瞬怯んだ隙,或いは気を失いそうになったのを見計らい所持金品を盗む。
スペインではこれまで邦人を巻き込んだ誘拐事件は発生していませんが,この種の犯罪はどのような形で襲ってくるかわかりません。その防止策としての日常における心掛けは次のとおりです。
(1)出勤,帰宅,外出の際,自宅周辺の様子に普段と違うところがないかどうか注意する習慣をつける。
(2)いつも同じ経路の通勤や時間帯は,犯人に絶好の襲撃機会を与えることになりますので,出来る限り時間帯や道順などのパターンを変えることを心掛ける。
(3)万一誘拐された場合は犯人に抵抗しない。誘拐犯が身代金を得る等の目的を達成した場合は,無事に解放される可能性も十分に考えられるので,落ち着いて体力を維持しつつ,諦めずに救出を待つという心構えが必要です。
<緊急通報>112(警察,消防,救急すべての共通番号。救急車手配等必要に応じた部署へ電話が繋がる仕組みとなっているので緊急時に大変有効である)
(1)住所:Av. Diagonal640, 2-D,08017, Barcelona
(2)電話:93-280-3433(代表)
(3)開館・窓口時間
「泥棒」ラドロン(Ladrón)
「助けて」ソコーロ(Socorro)
「警察」ポリシア(Policía)
「救急車」アンブランシア(Ambulancia)
「病気」エンフェルモ(Enfermo)
「火事だ」フエゴ(Fuego)
「日本総領事館」コンスラード・ヘネラル・デル・ハポン
(Consulado General del Japón)
「日本総領事館の住所(Av.Diagonal 640)」
アベニーダ・ディアゴナル・セイスシエントス・クアレンタ
緊急事態は「いつ,どこで,どのように」発生するのかの予測は,ほぼ不可能ですので,日頃からの準備が非常に大切です。
常に最新の治安情報入手に努めましょう。
新聞,テレビ,ラジオ,インターネットの報道の他,外務省の海外安全ホームページにおいても以下の情報を入手することができます。
また,外務省では,NHK海外放送(ラジオ日本)を通じ,現地情勢,退避方法等について情報提供を行うことがありますので,短波放送が受信可能なラジオ(電池使用)を備えておくことをお勧めします。ラジオ日本はヨーロッパ向けにも日本語放送をしていますが,放送時間や周波数が異なりますので,次のラジオ日本のホームページをご参照ください。
緊急事態が発生し,または発生する虞がある場合には,総領事館は情報収集,情勢判断および安全対策の策定を行い,随時,情報提供を行います。平静を保ち,流言飛語に惑わされたり,群集心理行動に巻き込まれることのないよう注意し落ち着いて行動して下さい。