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● 風俗、習慣、健康等
1 衛生事情
(1)飲用水
水道水は必ずしも安全ではありませんので、フィルターを通した水や沸騰させた水またはミネラルウオーターを飲用してください。
(2)その他留意事項
種々の病気の予防のため、なるべく生ものは避け、火の通ったものを食べてください。手洗い・うがいは感染症予防に有効ですので、常に励行するよう心がけましょう。
2 感染症・予防接種等
(1)主な感染症
ブラジルには、多くの人畜共通感染症が存在します。そのため蚊や虫に刺されないように防虫対策(長袖、長ズボン、防虫剤の使用)をとる、野菜や果物はよく洗って食べる、ネズミなどが居そうな不潔な場所には無防備に近づかないなど注意が必要です。主な感染症は以下のとおりです。
ア デング熱
デングウイルスによる、ネッタイシマカが媒介する感染症です。潜伏期は4〜10日で突然の高熱、頭痛、関節痛、発疹が1週間ほど続きます。ワクチン接種や日中蚊に刺されないように予防することが重要です。ブラジルではデング熱の流行がほぼ毎年発生しています。なお、デング熱の一部にデング出血熱という重症型があります。突然の高熱や頭痛、関節痛や筋肉痛が現れた場合には、直ちに医療機関を受診してください。
イ ジカウイルス感染症
ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染するほか、母胎から胎児への感染、輸血や性交渉による感染リスクも指摘されています。ジカウイルス感染症は感染しても症状がないか(不顕性感染)、症状が軽いため感染に気づきにくいことがありますが、妊娠中の感染による胎児への影響(小頭症等)が指摘されていることから、特に妊娠中または妊娠を予定している方は、流行地域への渡航を可能な限り控えるなど、十分な注意が必要です。
ウ 感染性胃腸炎
ウイルス、細菌などが原因で起こり、下痢、腹痛、嘔吐、発熱などの症状を呈します。初期は脱水などに対する対症療法を行いますが、症状が強い時は医療機関を受診してください。
エ 寄生虫症
寄生虫疾患も発生しています。日頃から生野菜には十分注意をしてください。また、皮膚から入り込む寄生虫もいますので、砂場などであっても裸足で歩かないように注意してください。
オ 有毒性動物
蛇、サソリ、クモ、毛虫などの有毒性動物による咬・刺傷事故は多く、死者も出ています。郊外でのリクレーションや野外活動においては、長袖、長ズボンの着用や危険な地域に無防備に近づかないことが必要です。刺咬傷を受けた場合は、直ちに医療機関で診察を受けてください。
カ マラリア
ブラジル北部地方においては感染リスクが1年中潜在します。マラリア原虫に感染した蚊(ハマダラカ)に刺されることにより感染します。発症すると、悪寒、発熱などの症状が現れます。夜間(夕方暗くなりかけから明け方まで)蚊に刺されないように注意することが肝要です。ブラジル保健省によればアマゾニア地域への観光旅行では予防薬は必要ないとされていますが、蚊に刺された後高熱が出た場合は、速やかに医療機関で検査を受けてください。
キ 黄熱
黄熱は黄熱ウイルスによる蚊(ネッタイシマカ)が媒介する、人畜共通感染症です。潜伏期は3〜6日で高熱にて発症し、そのうち20%は重症型となり急速に肝不全を伴って死亡します。2020年よりブラジル保健省はブラジル全土をワクチン接種推奨地域としています。予防接種については、下記(2)を御参照ください。
ク 急性肝炎
A型肝炎ウイルスが原因で食べ物や水から感染するA型肝炎(潜伏期1〜2か月)とB型肝炎ウイルスが原因で血液や体液から感染するB型肝炎(潜伏期1〜6か月)があり、発熱、全身倦怠感、食欲不振などの症状と黄疸が表れます。A、B型肝炎ともに予防接種で予防が可能です。
ケ 狂犬病
狂犬病ウイルスに感染している動物に咬まれて発症します。ブラジルでの発生数は多くはありませんが、野犬やコウモリを介して感染する例が報告されています。潜伏期は10〜30日で高熱、痙攣などに襲われ、発症するとほぼ100%死亡します。野犬やコウモリに咬まれた時は、すぐに傷口を流水と石鹸で洗い、必ず医療機関で診察を受け予防接種(曝露後接種)を受けてください。
コ シャーガス病
吸血昆虫のサシガメが媒介する感染症です。潜伏期は1〜2週間で発熱や発疹で発症します。発症初期に治療しないと慢性期には心筋炎や巨大結腸などを起こします。サシガメは地方の人家の土壁の裏などに生息し、夜間に出没しますので刺されないように注意してください。不衛生なアサイー食品(ヤシ科の植物)からの経口感染にも注意が必要です。
サ リーシュマニア症
サシチョウバエ(蚊に近い昆虫で蛾に似ています)が媒介して感染します。発熱や貧血で発症する内臓リーシュマニア(潜伏期2週間〜1年)と、皮膚や粘膜に潰瘍を起こす皮膚・粘膜リーシュマニア(潜伏期1〜4週間)があり、特殊な治療が必要です。最近は、飼犬の感染が増加し、サシチョウバエが犬から人へ媒介しています。
シ マンソン住血吸虫症
淡水の巻き貝を宿主とする寄生虫で、川や湖で水遊びをしたり泳いだりすると皮膚から感染します。ブラジルでの慢性肝疾患の原因の一つになっています。
ス HIV/AIDS
ヒト免疫不全ウイルスに感染した血液や精液などから感染します。輸血など血液製剤による感染は減少し、性交渉での感染が増えています。不特定多数の性交渉を避け、コンドーム使用などで予防してください。
セ オロプーシェ熱
主にヌカカ(ハエ目の微小昆虫)や蚊に刺されることで感染し、主に中南米で蔓延している熱性疾患です。基本的にはデング熱に似た症状を呈することが知られていますが、特効薬やワクチンなどはまだ存在せず、予防(防虫対策)が非常に重要となります。2024年にはキューバで初めて感染例が確認され、7月にはブラジルで世界初の死亡例が確認されています。今後、注意すべき感染症となりうる可能性もあり、最新の感染症情報収集に努める必要があります。
(2)赴任者に必要な予防接種(成人、小児)
ブラジルに入国する際、特に義務づけられている予防接種はありません。ただし、上述のようにブラジル国内でも黄熱に感染するリスクがあり、また、ブラジルから入国する場合(経由地を含む)に、黄熱予防接種証明書(イエローカード)の提示を求められる国・地域があります。これらの国・地域については、以下のホームページで渡航前に必ず最新の状況をご確認ください。なお、黄熱の予防接種ついては、9か月以下の小児は接種できないほか、妊婦も接種を避けた方が好ましいとされていますし、接種10日後から有効とされていますので、渡航に関しては前もって十分な計画を立てるようにしてください。
一般的には上記に加え、成人は、A・B型肝炎、腸チフスおよび破傷風の予防接種を済ませておくことをおすすめします。小児の場合、最低限1歳までの小児定期予防接種に加えてA型肝炎と腸チフスの予防接種を受けていることが推奨されます。
その他、必要な予防接種等については、以下の厚生労働省検疫所ホームページの国・地域別情報も参考にしてください。
◎感染症情報( https://www.forth.go.jp )
各国・地域の黄熱予防接種証明書要求及び推奨状況( https://www.forth.go.jp/useful/yellowfever.html )
(3)健康上心がける事
疲労や睡眠不足が続くと免疫力が低下し、いろいろな病気にかかり易くなりますので、十分休息を取ることが大切です。また、暑さや乾燥のため熱中症や脱水症を起こし易いので水分補給をこまめに行うようにしてください。日中は紫外線が強いので、サングラスや日焼け止めクリームの使用をおすすめします。
3 医療事情
(1)ブラジルの医療水準は地域によって大きな格差があります。公立病院の医療費については外国人も無料ですが、患者が多く、設備や衛生面で満足な治療を受けることは困難です。日本人やその他の外国人は設備やサービスの整った私立病院を利用するのが一般的です。ただし、医療費は高額であり、診察、検査、薬局などすべてが別会計ですので、各受付で現金またはクレジットカードでの支払いが必要です。特に医師に支払う料金(診察料、手術料、麻酔など)は現金による支払いを求められる場合があります。私立病院(24時間対応の救急外来を除く)やクリニックの外来は予約が必要であり、薬等は医師の処方箋に基づき街中の薬局で購入することになります。日本語や英語で相談できる医療機関はほとんどありませんので、ポルトガル語のわかる人を一緒に連れて行くことをお勧めします(サンパウロ、リオデジャネイロおよびブラジリアの一部私立病院の医師は英語が通じる場合もあります)。
万一に備えて、緊急移送サービス等を含む十分な補償内容の海外旅行保険に加入しておくことが必要です。
(2)「世界の医療事情」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/cs_ame/brazil.html )において、ブラジル国内の衛生・医療情報等を案内していますので、渡航前には必ず御覧ください。
(3)医薬品の持込み、持出し
医療用麻薬を含む医薬品の携帯による持込み、持出しの手続きについては厚生労働省の以下のホームページを御確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html
4 その他
(1)遊泳時の注意(レシフェ)
多くの外国人旅行者が訪れるペルナンブコ州の海岸では、サメによる人身被害が発生しています。特にレシフェ市では岩礁を越えた場所での遊泳を禁止する条例が施行されてから、サメによる人身被害は減少していますが、レシフェ市のボア・ヴィアージェン海岸から南へ続くジャボアタオン・ドス・グアララペス市のピエダーデ海岸にかけては、被害が発生しています。海岸を訪れる際には、次の点に注意してください。
○遊泳の際には、新聞、テレビ等の情報の他、海岸に常駐する水難レスキュー隊員(監視員)による情報も参考にし、危険と判断される場合には絶対に海に入らない。
○岩礁を越えた沖で遊泳しない。
○外傷、手術での傷等が完治していないときは遊泳を避ける。(サメは動物の血の臭いに寄ってくるため。)
(2)単独でのアマゾン河下りの危険性(マナウス)
アマゾン河の流域は広大で支流も多く、雨季と乾季の水位差により様相が一変することもあり、方向を見失い迷う危険性もあります。以前、アマゾン河を筏で下っていた日本人旅行者が一時行方不明となる事案も発生しています。このため、単独でのボートによるアマゾン河下りは非常に危険ですので絶対に止めてください。
5 海外旅行保険への加入
海外旅行保険に加入していなかったために、病気やケガに伴う治療や緊急移送などで多額の出費を余儀なくされたケースが少なくありません。
旅行・滞在中の予期せぬトラブルに備え、十分な補償内容の海外旅行保険に加入することをおすすめします。詳しくは海外旅行保険加入のおすすめ(https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )をご確認ください。
- ○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
- ○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/
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