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● 風俗、習慣、健康等

 コロンビアは位置的には国全体が熱帯地方に属していますが、熱帯性気候である低地と温暖性気候である高地では、自然環境も感染症の発生状況も大きく異なっています。首都ボゴタは2,600mの高原に位置し、インフラも整備されており、マラリア、デング熱、ジカ熱の原因となる蚊がいないため、これらの感染症は比較的少ないです。しかし、ブラジルのアマゾンに接する地域や太平洋岸はこれらの感染症が蔓延しているので注意が必要です。一方で最近は温暖化の影響で、高地であるボゴタでもデング熱、ジカ熱の発生の危険性が高まっています。
(参考)厚生労働省FORTH コロンビア情報
https://www.forth.go.jp/destinations/country/suriname.html

1 衛生事情
(1)水
 水系感染症として、コレラ、腸チフス、A型肝炎などが挙げられますが、コロンビアを訪問する前に、腸チフスとA型肝炎の予防接種を受けることは勧められています(他にB型肝炎、破傷風、黄熱病なども推奨)。大都市においては水道水の質の問題は少ないとされていますが、飲料水としては未開封であるミネラルウォーター類(容器入り飲料水)の方がより安全です。

(2)食べ物
 外食する場合は、衛生的に信頼のおける飲食店を選び、生野菜や海産物などの生もの(あるいは半煮え、半焼けの物)の摂取には十分気をつけてください(殺菌は75度、1分以上の加熱が必要です。)。

2 病気
(1)高地障害(高山病)など
 首都ボゴタは標高2,600メートルの高地に位置し、雨季と乾季がありますが、一年中冷涼で日本の晩秋を思わせる気候です。山岳地特有の天候で、一日の中で晴れと雨があります。同日内での気温の変化が著しく、健康を維持するためには、これら気温の変化に対する注意が必要です。具体的には、日中、晴れの際は半袖半ズボンで過ごせますが、夜は長袖長ズボンが必要になります。

(2)高地障害(高山病など)
 前述通りボゴタは2,600メートルの高地にあるため、気圧は約0.75気圧となります。大気中の酸素濃度は変わりなく約21%ですが、気圧が低いため体内に取り込まれる酸素濃度が低地より25パーセント程低くなります。高山病症状として、短期的には頭痛、息切れ、吐き気、不眠などの症状が現れ、長期的には多血症などが起こることが確認されています。高山病は、1,500メートル以上の高地で発症する可能性があり、予防対策として次の事項に留意することが必要とされています。
また、紫外線が強いので、屋外では帽子やサングラスの着用、日焼け止めクリームの使用等、日焼け止め対策も必要です。高山病の予防対策として次の事項に留意することが必要とされています。

[予防対策]
○高山病の発生には体調が大きく影響するので、余裕のある日程で行動する。
○高地に着いた際には、アルコールの摂取、睡眠薬の服用及び喫煙は避ける。
○水分を十分摂取し、食べ過ぎない。
○激しい運動は避ける。
高地に年単位で生活をしていて、いったん低地に降りた後にまた高地に戻った際に、寝不足や激しい運動が誘発因子となり、重症の高山病症状である肺水腫を発症することがあり、十分な水分摂取並びに余裕のある日程を心がける必要があります。なお、特に循環器系、呼吸器系、血液系の持病や不安がある場合は、高地への渡航前に主治医と相談をしておいた方が良いでしょう。

(3)蚊や昆虫によって媒介する感染症
ア マラリア
 ハマダラカに刺されることで感染します。標高1,700メートル以下のほぼ全域がマラリア汚染地域であり、特に太平洋沿岸地方のチョコ県、ナリーニョ県、アンティオキア県およびアマゾン地方の熱帯雨林地域に多く発生しています。これらの地域に滞在中、又は旅行半年後までに38度以上の発熱を起こした場合にはマラリア、デング熱など熱帯性発熱性感染症は否定できません。日本へ帰国後発熱した場合は、必ず渡航した地域を医師に伝えてください。メデジン市やカリ市などの大都市(ボゴタ市・カルタヘナ市を除く)においても感染の危険が存在します。悪性マラリアと呼ばれる熱帯熱マラリアと三日熱マラリアが報告されているほか、抗マラリア薬であるクロロキンに耐性のあるマラリアも多く報告されています。熱帯雨林地域に滞在する場合は、肌の露出を避けた服装を着用し、事前に防虫剤、蚊取り線香などの準備をして、蚊に刺されないよう注意をしてください。抗マラリア薬の予防内服については必ず、渡航前に専門医に相談してください。
(参考)厚生労働省FORTH マラリアについて
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/20190628.html
https://www.forth.go.jp/useful/malaria.html#top

イ デング熱
 コロンビアでは毎年のようにデング熱の流行が見られますが、2024年は3年毎の流行の最初の年になっています。重症のデング出血熱も報告されています。2023年の致死率は0.10%であったが、2024年は第37週現在0.054%です。(2022-2031年公衆衛生10か年計画の目標は、致死率0.10%未満)デング熱の発生地域はマラリア汚染地域とほぼ一致しますが、病原体を媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカが大量発生する雨季に、都市部などの人口密集地域で大流行する傾向があります。デング熱については、現在のところ有効な予防ワクチンや治療薬がありませんので、蚊に刺されないようにすることが一番の予防法となります。
(参考)厚生労働省 デング熱について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000131101.html

ウ ジカウイルス感染症
 コロンビアでは、標高の高いボゴタ市を除くほぼ全域(標高2,000m以下)での感染が報告されています。ジカウイルス感染症は、ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染するほか、母胎から胎児への感染、輸血や性交渉による感染リスクも指摘されています。ジカウイルス感染症は感染しても症状がないか(不顕性感染)、症状が軽いため感染に気づきにくいことがありますが、妊娠中にジカウイルスに感染すると、胎児に小頭症等の先天性障害を来すことがあることから、特に妊娠中又は妊娠を予定している方は、流行地域への渡航を可能な限り控えるなど、十分な注意が必要です。
(参考)厚生労働省 ジカウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109881.html

エ 黄熱
 蚊が媒介するウイルス感染症です。コロンビアでの報告数は毎年数件のみですが、これはワクチン接種が普及しているためで、依然として標高2,300メートル以下の全域(特にアマゾン川・オリノコ川流域)で感染の危険があります。これらの地域に滞在する場合はワクチン接種を推奨します。ボゴタのエル・ドラード空港では、黄熱病ワクチンを無料で接種できます(令和6年10月1日現在)。ワクチンは接種後10日後から効果を発揮し、生涯有効とされています。

(参考)厚生労働省FORTH 黄熱について
https://www.forth.go.jp/useful/yellowfever.html

オ 狂犬病
 犬に限らず猫、コウモリ、家畜、リスなど野生動物に噛まれた場合に感染することがあります。特に小さなお子さんは動物に触らぬように注意が必要です。噛まれた動物が狂犬病に感染しているかは不明の場合が多いので、予めワクチン接種を受けておくことが良いでしょう。動物に噛まれた場合には、クリニック、病院を直ぐに受診し相談することをお勧めします。予防を目的とした接種は、日本では、4週間間隔で2回皮下注射、さらに6〜12か月後に3回目の皮下注射を接種します。渡航までに時間が無ければ、最初の2回が大切です。予防効果は1年程度、長期予防には1〜2年に1回の追加接種が必要です。世界保健機構(WHO)は、0日、7日、28日の3回接種を勧めています。噛まれた後に発症予防を目的とした接種スケジュールは、0日、3日、7日、14日、30日、90日の6回皮下接種ですが、噛まれた日に接種できる可能性は低いですが、その後の5回の接種は必要です。

(参考)厚生労働省 狂犬病
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/

カ リーシュマニア症
 サシチョウバエに刺されて感染し、皮膚疾患や内臓疾患などを引き起こします。標高1,500メートル以下の熱帯雨林地域で発生しています。
(参考)厚生労働省FORTH リーシュマニア症
https://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name41.html

キ シャーガス病
 森林や原始的な家屋を好む昆虫であるサシガメ(Chinche:チンチェ)に刺されて感染する疾患で、マグダレナ川東岸の山麓地帯で多く発生しています。
(参考)厚生労働省FORTH シャーガス病について
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2017/03211408.html

ク その他
 その他、虫が媒介する感染症として、サシチョウバエが媒介するバルトネラ症(オロヤ熱とも呼ばれ標高3,000メートル以下のアンデス渓谷でみられる。)、ブユに刺され感染するオンコセルカ症、淡水中のセルカリアと呼ばれる寄生虫が皮膚に侵入して感染する住血吸虫症などがあげられます。
 蚊やハエなどに刺されないよう注意するとともに、突然の発熱や頭痛、関節痛や筋肉痛、発疹等が現れた場合には、直ちに専門の医療機関の診断を受けてください。虫除けは、日本からDEET30%が含まれているものを持参することをお勧めします(小児であれば、イカリジン含有のもの)。

(参考)厚生労働省FORTH オンコセルカについて
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2017/02011141.html

(4)一般的感染症
 途上国一般に見られる経口感染症(コレラ、腸チフス、細菌性赤痢などの細菌感染、アメーバ、ジアルジア、回虫などその他の寄生虫感染、A型肝炎など)はコロンビアでも依然蔓延しています。さらに、有鉤嚢虫(ゆうこうのうちゅう)症も広く存在します(豚肉で感染し、屋台の調理などの手から料理に感染することもあります。)。生水、生ものの飲食を避ける、手洗いを頻繁に励行するなど、日頃から注意が必要です。また、血液・体液を介してうつる性感染症、B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒などの感染症にも注意が必要です。

(5)新型コロナウイルス
 2024年年初と7月にピークがありました。年初のピークは週3,000名前後の新規患者数でしたが、7月のピークは週800名前後と、右肩下がりで新規感染者数は減少傾向です。9月末では週150名程度の新規感染者数でしたが、時々身の回りで遭遇しますので、実数は多いのではないかと推測しています。新型コロナウイルスに関する情報は、外務省ホームページなどを通じて動向を注視してください。

(参考)外務省 海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/search/pcinfectioninfo.html#widearea
新型コロナウイルス感染症について|厚生労働省 (mhlw.go.jp )

(6)予防接種
 日本からコロンビアに直接入国される方は黄熱ワクチン接種証明書(イエローカード)の提示は不要ですが、黄熱流行地を経由して入国される方はイエローカードの提示が必要です(例:ブラジルからコロンビアに入国)。また、コロンビアからイエローカード提示要求のある国(コスタリカ、パナマ等)へ渡航する場合は、イエローカードの提示が必要となりますので、十分注意してください。黄熱流行地に渡航する場合は、出発の10日前までの黄熱ワクチン接種を推奨します。
 なお、黄熱予防接種証明書(イエローカード)の有効期限について、2016年7月11日以降は生涯有効と変更され、既にお持ちの有効期限が過ぎた証明書も生涯有効なものとして取り扱われます。
 黄熱の詳しい説明は以下の厚生労働省検疫ホームページをご参照ください。
 https://www.forth.go.jp/news/2016/06210854.html

 長期滞在される方は、罹患されたことがない場合、麻疹、風疹、水痘ワクチンの接種(それぞれ二回)、また、ジフテリア、破傷風、百日咳の追加接種をお勧めします。お子さんは日本の定期予防接種をしっかり受けてきてください。当地幼稚園、小学校へ入園、入学する場合には証明書の提出が求められることがあります。
 また、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、腸チフス、流行性耳下腺炎などの予防接種も行い、十分な病気対策を済ませておくことが必要です。
その他、必要な予防接種等については、以下の厚生労働省検疫所ホームページを参考にしてください。
◎感染症情報(http://www.forth.go.jp/

3 医療事情
(1)ボゴタの私立病院の医療水準は先進国並みで問題はありませんが、持病がある場合は、病名、治療(処方薬剤名)などの記録又は主治医の紹介状(英語でも大丈夫ですが、可能であればスペイン語)を携帯しておく方が良いでしょう。その他、大抵の病院は治療費の支払い能力が確認(クレジットカード等の提出)できない場合、重傷で病院に運ばれても、治療を受けられない場合がありますので、注意してください。また、治療費は高額になることが多いので、万一に備えて、緊急移送サービスを含む十分な補償内容の海外旅行保険に加入しておくことをお勧めします。

(2)在外公館医務官情報
「世界の医療事情」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/cs_ame/colombia.html )において、コロンビア国内の衛生・医療事情等を案内していますので、渡航前に必ずご覧ください。

4 海外旅行保険への加入
 海外旅行保険に加入していなかったために、病気やケガに伴う治療や緊急移送などで多額の出費を余儀なくされたケースが少なくありません。
 旅行・滞在中の予期せぬトラブルに備え、十分な補償内容の海外旅行保険に加入することをおすすめします。詳しくは海外旅行保険加入のおすすめ(https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )をご確認ください。


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