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● 風俗、習慣、健康等
1 衛生事情
衛生状態は社会階層により極端な格差があります。アンタナナリボ市などの中級以上のホテル、富裕層や外国人向けのレストランの衛生状態は比較的良好です。一方で低所得者層の衛生状態はいまだに劣悪で、農村や都市のスラム街ではしばしば伝染性疾患の流行が見られます。アンタナナリボ市の中流層以上の居住地域では浄化槽が普及していますが、近代的下水道はありません。農村やスラム街ではトイレそのものがなく、汚水が流れる川や池で水浴びや洗濯も行われているのが現状です。したがって、安宿やホームステイ、大衆食堂の利用はウイルス・細菌・寄生虫による感染症への感染リスクが極めて高いと考えられます。
野菜・肉・魚は必ず加熱調理をしたものを食べ、生食は避けてください。露店などで皮をむいて売っている果物は、病原体で汚染されている可能性が高く危険です。
水道水は、うがい・洗顔・食器洗いに使う分には問題ありませんが、飲用には適しておらず、下痢の原因となる可能性があります。煮沸して飲むか、市販のミネラルウォーターを飲むようにしてください。
また、雨季(11〜3月)には蚊・ノミ・ダニなどの害虫発生がみられますが、同じ都市でもそれぞれの地区の衛生状態によって大きな差があります。
2 感染症
(1)マラリア
マダガスカルのマラリアの90%以上は重症化リスクの高い熱帯熱マラリアです。治療が遅れると生命に関わる場合がありますので注意が必要です。
東海岸側は高温多湿の熱帯雨林気候で、1年を通じてマラリアが発生しています。北・西・南海岸側でも雨季(11〜3月)を中心にマラリア発生がみられます。アンタナナリボ市を含め、国土の約70%を占める中央高地はほぼ標高1000m以上の高原で、年間を通じてマラリアの発生はまれですが、時々感染が報告されており、注意は必要です。
病原体であるマラリア原虫は、蚊(ハマダラカ)が媒介します。マラリア予防は、何よりも蚊に刺されることを防ぐことが大切です。ハマダラカは日没後に活動を始めますので、海岸地帯での夜間外出の際は白い長袖・長ズボン(ハマダラカは白を嫌い黒を好む)を着用し、防虫剤などを使用することをおすすめします。さらに、寝室では蚊帳や電気蚊取り器などを使用してください。これらの器具はマラリア発生地域の中級以上のホテルではたいてい備え付けられていますが、地方では停電も多いので、電気蚊取り器は電池式のものを日本から持参すると役立ちます。海岸部に10日間以上滞在する場合は、抗マラリア薬の予防内服が有効ですが、必ず事前に専門医にご相談ください。
(2)細菌性下痢症
マダガスカルは下水道が未整備の地域が多いため、細菌による食物汚染が起こりやすい環境です。病原菌としては、病原性大腸菌・赤痢菌・サルモネラ菌などが多くみられ、コレラが発生することもあります。道端の露店で売っている食物・菓子は不衛生であることが多いので、購入は避けてください。市場で購入した野菜類は清潔な水でよく洗い、肉・魚類は十分加熱してください。
(3)寄生虫症
回虫・ぎょう虫など、腸に寄生する寄生虫が多くみられます。食べ物に付着した寄生虫卵が人の口から入り、腸管内で成長して腹痛・下痢・肛門周囲の痒みなどの症状を引き起こします。レタス・パセリ・イチゴ・トマトなどの野菜・果物類を生でそのまま食べることは避けてください。
首都を含む中央高地、特にアンチラベのあるバキナンカラチャ地区は、有鉤条虫による豚嚢虫症の流行地域です。生ハムや豚生肉の摂取で有鉤条虫症にかかるリスクがあります。
また、犬や猫などをはじめ、動物との接触にも注意し、手洗い、うがいを励行しましょう。さらに、湖、池などの淡水ではビルハルツ住血吸虫、マンソン住血吸虫などによる感染の可能性があるので、不用意に入らないようにしてください。
(4)狂犬病
狂犬病は狂犬病ウイルスをもった動物の唾液から感染し、発症するとほぼ確実に死亡する危険な病気です。感染動物は犬、猫、サルの順に多いとされています。マダガスカルでは野犬が多く、特に夜間は群れをなしてうろついているので、夜間の一人歩きは危険です。また、キツネザルなどイヌ以外の野生動物が宿主となっていることも多く、かわいいからといって、これらの野生動物に不用意に手や顔を近づけるのは危険です。
マダガスカル国内で長期の野外活動を予定している人は予防接種(3回注射が必要)を受けることをおすすめします。また、野犬等に咬まれたときは、予防接種済みであっても、曝露後ワクチンの追加接種が必要です。ワクチン未接種の方が咬まれた場合は、24時間以内に曝露後ワクチン接種を受ける必要があり、間隔を置いて計6回の接種を行います。ワクチンはアンタナナリボ市のパスツール研究所の狂犬病センター(週7日オープン、週末は午前中のみ)で接種できます。
(5)ペスト
マダガスカルは世界有数のペスト汚染国です。細菌性の伝染病で、ネズミに寄生しているノミが媒介します。8〜4月が流行期です。近年、農村では焼畑や農薬散布のために、野ネズミが人の住むところに移動したことや都市の衛生状態が悪化していることで、流行が危惧されています。特に、肺ペストが流行すると、ヒトからヒトへの感染が起こるため注意が必要です。5〜10年ごとに大流行が発生し、2017年は3000名近くの発症があり、200名以上が死亡しました。保健省の統計による2024〜2025年シーズンの感染者数は59名、死亡者数は21名です。
(6)HIV/AIDS、その他
マダガスカルはアフリカ圏では比較的HIV感染率が低く、HIV陽性率は全国平均0.5%というデータが出ています。トラニャロ(フォール・ドーファン、トゥリアラ(チュレアール)といった観光地、港町ではより高い陽性率が報告されています。同時にこれらの町では梅毒などの性感染症がまん延していますので十分注意してください。
3 医療事情
(1)アンタナナリボ市には、比較的設備の整った私立病院がありますが、高度な医療や緻密な看護は期待できません。日本人が比較的よく利用する病院としては、 Polyclinique Saint Fran?ois d’AssiseとPolyclinique D’Ilafyの2院があります。
地方都市においては、十分な治療を受けることはできません。重症(重傷)の際には、まずアンタナナリボ市の病院を受診することをおすすめします。
なお、新型コロナウイルスの検査は、アンタナナリボ市および地方主要都市の病院または検査機関において受検可能です。
(2)重症疾患や手術を要する場合、近隣の医療先進国(仏領レユニオン島、南アフリカ等)への移送が必要となりますので、緊急移送サービスを含む十分な補償内容の海外旅行保険等への加入をおすすめします。詳しくは海外旅行保険加入のおすすめ(https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )をご確認ください。
(3)「世界の医療事情」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/africa/madagas.html )において、マダガスカル国内の衛生・医療情報等を案内していますので、渡航前には必ずご覧ください。
その他、必要な予防接種等については、以下の厚生労働省検疫所ホームページを参考にしてください。
◎感染症情報(http://www.forth.go.jp )
- ○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
- ○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/
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