=-=-=-=-=-=-=-=

=-=-=-=-=-=-=-=
● 風俗、習慣、健康等

1 風俗、習慣
 ネパールの多数の国民が信仰するヒンドゥー教は、牛を「聖なる動物」として扱っています。例えば、路上にいる牛を自動車ではねた場合は、厳しい罰則が適用される可能性があります。地元民との接触の際は、「牛肉を食べる」等の牛に関わる話題は避けるとともに、左手は不浄とされていることを理解し、食事の際は右手のみを使って食べることをおすすめします。また、頭に神が宿っているとの宗教的な考えがありますので、むやみに他者の頭を触ることのないよう注意してください。

2 衛生事情
 水と食べ物には十分な注意が必要です。ネパールは衛生状態が非常に悪いため、外食する際は生野菜や生ものはなるべく避け、熱の十分通っているものを選んでください。水道水からは大腸菌が検出されていますので、そのまま飲用しないでください。飲用には信頼できるミネラルウォーターや浄水器の使用をおすすめしますが、それでも気になる場合は、一度煮沸して飲むようにしてください。地方でのトレッキングでは、川の水や湧き水は絶対に飲まないようにしてください。さらに、飲食店での氷が入っている飲物にも注意が必要です。
 都市部では、特に乾季は大気汚染が酷いため、外出の際にはマスクの着用をおすすめします。

3 病気
(1)概要
 ネパールは地形的に変化に富んでいるため、気候や風土が地域によって大きく異なります。したがって、健康上注意すべき点も、高山病からマラリアなどの熱帯病にいたるまで多岐にわたります。
 首都圏のカトマンズ盆地で注意すべきものは、第一に感染性腸炎(いわゆる旅行者下痢症)で、雨季にはコレラ、赤痢、腸チフスなどが流行することがあります。このほかにも、ウイルス性肝炎や狂犬病、蚊によって感染するデング熱などがあり、2022年、2023年は、カトマンズを含むネパール全土で、デング熱が大流行しましたので十分な防蚊対策を行ってください。
 南部亜熱帯のタライ地域では、これらに加えマラリア、日本脳炎、蛇咬傷などにも注意が必要です。

(2)予防接種
 日本からネパールへの入国に際して義務付けられている予防接種はありませんが、長期滞在される方には、A型肝炎・B型肝炎・破傷風・日本脳炎・狂犬病・腸チフス・コレラの予防接種が推奨されます。小児は日本の定期予防接種に加えて、成人同様、前記ワクチンの接種が推奨されます。
麻疹や風疹の流行も時々見られますので、未接種の方には接種をおすすめします。
ネパールには野犬や放し飼いの犬が多い一方、犬への狂犬病ワクチン接種は義務化されていません。狂犬病は発病すると致死率が非常に高いため、長期滞在予定の方や医療機関の少ない地方を旅行される方には、渡航前あるいは渡航後早期に3回の予防接種を受けておくことを強くおすすめします(最短3週間で接種可能)。もし犬にかまれた場合は、直ちに医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。
その他、必要な予防接種等については、厚生労働省検疫所ホームページ(https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/useful_vaccination.html )を参考にしてください。

(3)高山病
 登山、トレッキングをする場合は、事前に高山病について知っておくことが重要です。2500m以上の高度で頭痛および食欲不振、倦怠感、めまい、睡眠障害などの症状が出現するのが急性高山病で、通常、徐々に高所に体が慣れて症状が改善していきますが、時に、悪化して高地肺水腫や高地脳浮腫になり、呼吸困難や意識不明の状態になってしまうことがあります。最大の予防策は、ゆっくり登ること、体調が悪かったらそれ以上高度を上げないことです。重症化した場合、一刻も早く高度を下げるしかありません。酸素や薬は時間稼ぎの手段に過ぎませんので、無理せず手遅れになる前に下山してください。
 ヒマラヤ救助協会(Himalayan Rescue Association)は、カトマンズ市内の事務所やペリチェ、マナンの診療所で高山病についての啓蒙活動を行っています。
 ホームページ:https://himalayanrescue.org/
 邦訳: http://www.ueda.ne.jp/~sherpa/hsa/hra.html

4 医療事情
 ネパールでは、特に首都カトマンズ以外では医療施設が不十分なため、旅行中に病気・ケガ等で緊急手術や入院が必要となった場合、地方からカトマンズへ、さらにはネパール国外への緊急移送が必要となる場合が多々あります。ヘリコプターや飛行機による緊急移送費は、国内でも数十万円、国外へは数百万から数千万円に上ります。また、設備の整ったカトマンズの私立総合病院での治療費・入院費は、概して日本より高額です。
 ネパールへの旅行を計画される際には、旅行・滞在中の予期せぬトラブルに備えて、緊急移送サービス等を含む十分な補償内容の海外旅行保険に必ず加入してください。詳しくは海外旅行保険加入のおすすめ(https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )をご確認ください。

「世界の医療事情」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/nepal.html
において、ネパール国内の衛生・医療事情等を案内していますので、渡航前には必ずご覧ください。

5 その他の留意事項
(1)トレッキング、登山
 ネパール政府は、登山者情報管理システム(Trekking Information Management System=TIMS)の手続きを改定し、ネパール国内の国立公園および保護区内において登山をするすべての外国人に対して、政府公認のガイドを雇うことおよび政府に登録された代理店を通じたTIMSカードの取得(日本人の場合は2,000ルピー)を義務づけました(https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=141333 )。
 ガイドを雇わない単独でのトレッキング中に道に迷ったり、高山病や滑落事故などに遭い動けなくなるなどして、行方不明になったり死亡するケースが発生しています。
 ご自身の安全を確保するためにも、トレッキング時には、必ずガイドを雇うようにしてください。

(2)野犬
 都市部であっても、夜間になると野犬の活動が活発になり、襲われる危険があります。徒歩で出かける必要があるときは、通り道に野犬を確認したら迂回することをおすすめします。むやみに棒などで追い払おうとすると、かえって怒らせ危険な状況になる可能性があります。


−−−−−−−−−−
トップページ
−−−−−−−−−−