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● 風俗、習慣、健康等
1 風俗、習慣等
民族構成はシンハラ人(74.9%)、タミル人(15.3%)、スリランカ・ムーア人(9.3%)と続きます。宗教は仏教徒が大多数(70.1%)を占めますが、ヒンドゥー教(12.6%)、イスラム教(9.7%)、キリスト教(7.6%)の信者もいます。それぞれが敬虔な信者である場合が多く、また宗教が生活と深く結びついています。したがって、外国人といえども宗教上の慣習を尊重し、仏教寺院の敷地内などに入る場合には裸足になり、必ず帽子を脱ぐとともに、短パンやノースリーブなど極端に肌を露出した派手な服装は慎むなど、各宗派の慣習をあらかじめ知っておく必要があります。また、写真撮影にあたって仏像を背にして立つ(仏像に背を向ける)ことは慎むべきとされています。仏像と肩を組む写真を撮った外国人旅行者が警察に逮捕された例もあり、またブッダのプリント入りTシャツを着用したり、ブッダのタトゥーを入れたりしていた外国人が逮捕された例もあります。
2 衛生事情
飲料水として生水は避け、飲用や製氷には必ず水道水を濾過煮沸したもの、または市販のミネラル・ウォーターなどの飲用水を使用するようにしてください。
年間を通じて気温が高いため、食物の腐敗が早く、細菌の増殖も活発となりますので、調理や保存に注意が必要です。食品は良く加熱し、調理後早めに食べることが大切です。既に切ってある果物や野菜、調理後時間の経過した食品は避けてください。生野菜や刺身等は衛生状態に信頼の置ける店以外では食べないよう心がけてください。
3 医療事情等
(1)注意を要する病気
ア 蚊が媒介する感染症(デング熱、チクングニア熱、日本脳炎)
蚊の媒介による感染症は、蚊に刺されないことが予防の最大のポイントです。明るい色の長袖シャツ・長ズボンなどを着用し肌の露出を少なくする、昆虫忌避剤(30%DEET、15%イカリジン入りの虫除けスプレーやクリーム)を5〜8時間おきに塗布する、など予防措置に努めてください。
(ア)デング熱
デング熱は、ネッタイシマカなどのヤブ蚊が媒介する感染症で、スリランカ全土で年間を通じ流行しています。まれに致死率の高いデング出血熱(出血傾向、循環障害)となることもあり、乳幼児、老人、免疫能力の低下している人は注意が必要です。また、2度目に感染すると重症化する場合があります。スリランカでは、年間平均6万人の発生があり、死亡率は0.2%です。近年増加傾向にあります。
突然の高熱などデング熱感染が疑われる場合は、早めに医療機関にて血液抗体検査を受けてください。診断に必要な抗体検査などの血液検査はいずれの医療機関でも可能です(コロンボ市内では、国立病院、アシリ・セントラル病院、ナワロカ病院、ランカ病院、ダーダンス病院等)。
(イ) チクングニヤ熱
デング熱と同じ種類の蚊によって媒介されるチクングニヤ熱は、スリランカ全土で確定診断されているだけで毎年約2000人以上が報告されています。チクングニヤ熱を発症すると39度を超える高熱と関節痛が見られ、多くに発疹が見られます。その他、全身倦怠、頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫れなどの症状も見られます。時に、出血しやすくなったり、悪心・嘔吐などをきたしたりし、脳炎や劇症肝炎をおこすこともあります。死に至ることは稀ですが、関節炎は数週間から数か月持続することがあります。
(ウ) 日本脳炎
日本脳炎は、高熱、頭痛、嘔吐などで発症し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす病気で、後遺症が出たり、死に至ることもあります。スリランカでは、直近10年に毎年200〜300名の発症があり、その6〜8%が死亡しています。
予防ワクチンの接種により、日本脳炎にかかるリスクを減らすことができます。ただし、日本で平成7〜18年度に生まれた方は、平成17〜21年度に日本脳炎の予防接種を受けていない可能性がありますので、母子健康手帳などを確認し、まだ接種をしていない方は渡航前に予防接種を受けることをおすすめします。
また、当地に長期滞在する成人で抗体価が不十分と考えられる場合にも、ブースターとしてワクチン接種をおすすめします。
イ レプトスピラ症
レプトスピラ症は、ネズミや野犬の汚染された尿が土壌や水に混入し、体の傷や粘膜に接触することによって感染します。2〜14日間の潜伏期間があり、風邪のような症状のみで治る場合もあれば、黄疸、出血、腎障害など重症化することもあります(ワイル病)。スリランカでは過去15年間、毎年約5,000例前後の発症があり、死亡率は1.8〜2.0%です。
現在のところ予防ワクチンはありません。川、湖沼や水溜まりなどに不用意に入らないようにするとともに、不衛生な水は飲まないなど衛生管理を徹底してください。
ウ 赤痢、腸チフス、パラチフス、A型肝炎、赤痢アメーバ等の経口感染症(水系感染症)
経口感染症として、赤痢、腸チフス、パラチフス、A型肝炎、赤痢アメーバ等も報告されています。
飲料水は市販のミネラル・ウォーターを利用し、水道水は一度濾過煮沸してから使用する、食事もよく加熱したものを食べるよう心掛けてください。また頻回な手洗い(特に食事前)を励行しましょう。家庭内の使用人等にも手の消毒を徹底してもらう等の衛生教育が必要な場合があります。
エ 狂犬病
野良犬は都市部を含め、スリランカ全土で見られます。犬のほか、猫、リス、ウサギ、コウモリなどのほ乳類に咬まれた場合は速やかに(できれば24時間以内)医療機関で暴露後狂犬病ワクチン接種等の治療を受ける必要があります。
(参考:感染症広域情報 狂犬病〜もし咬まれたら、すぐ医療機関へ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2016C034.html )
オ 危険動物等
森林・草原地帯では、危険動物として毒ヘビ・ミズオオトカゲ・サソリ・ムカデ等もいるのでむやみに触れないようにし、生息地域等について現地の人から最新の情報を得るようにしてください。毒ヘビは、インドコブラなど猛毒を持つヘビが22種類知られています。物陰や茂みに入る際には細心の注意が必要です。もし、咬まれたら、すぐに水道水などの流水で傷口をよく洗い、可能なら創部を心臓の位置より低くして、あまり動かずに、必ず付き添いと共にできるだけ早く最寄りの病院に受診してください。そのヘビを殺して病院などで特定できると抗血清の必要性などが早くわかります。
海や川のレジャーでは、現地ホテルやインストラクターなどから最新の情報を入手し、ワニやサメなどに襲われないよう十分注意してください。
野生の象についても、怒らせると危険ですので、むやみに近寄らないようにしてください。
(2)その他一般的な病気等への対処法
高温多湿のため、あせも・かぶれ・湿疹等原因不明のアレルギー性皮膚炎にかかりやすくなります。頻繁にシャワーを浴びる、着替える、また、ダニ等の対策のため絨毯を掃除したり、寝具を交換したりするなど身の回りの生活環境を清潔に保つよう心掛けてください。
(3)予防接種
通常スリランカに長期滞在する場合、破傷風・A型肝炎・B型肝炎・日本脳炎を、さらに住む地域によっては狂犬病ワクチン(暴露前)の渡航前接種をおすすめします。
小児については、日本でBCG・3種混合・麻疹・風疹・ポリオ(3回以上)・Hibの予防接種を済ませておくことをおすすめします。コロンボではほとんどのワクチン(外国製)は接種可能でしたが、近年は経済危機の影響もあり、在庫がない場合が多くあります。詳細は現地の医療機関等に御相談ください。なお、その際には予防接種の記録(英文)を持参してください。
(4)一般的な医療事情
ア 医療事情
一般的には国立病院に比較して、私立病院の方が医療機器の設備も整い、医療スタッフも多く、衛生面でも清潔であると言えます。ただし、病状の程度により国外へ移送すべき場合もあり、更に近年は医療状況が悪化していますので、万一に備えて、緊急移送サービス等十分な補償内容の海外旅行傷害保険に加入しておく必要があります。なお、スリランカの私立病院では、入院の際デポジットが必要で、保険や実費で治療費を負担できないことがわかると診療を断られることがあります。
コロンボ以外の都市の医療事情はかなり限定されます。
イ スリランカで購入できる医療品
処方せんなしで購入できる医療品は、ビタミン剤、解熱剤、皮膚疾患用の軟膏、湿布薬、消毒薬等です。処方せんがあれば、抗生物質やほとんどの医療品(インド製が多い。)を購入できますが、一部の抗がん剤など高価で特殊な医薬品などは入手が困難で、特に経済危機以降、糖尿病薬や降圧剤など通常の医薬品でも購入が難しい場合があります。
ウ 経済危機に起因する医療関連情報
経済危機による外貨不足のため、ほとんどを輸入に頼る医薬品や医療資材について、特に公立病院で、糖尿病や高血圧など慢性疾患の治療薬の入手が困難になり、手術室やICUなどで使用する基本的な麻酔薬や昇圧剤、鎮痛剤などの医薬品や治療資材まで不足し、緊急手術以外の延期や制限が行われています。
エ その他、世界の医療事情 (https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/srilanka.html )およびスリランカ医療情報(https://www.lk.emb-japan.go.jp/jp/contents/iryou/202206_medical_brief.pdf )において、スリランカ国内の衛生・医療事情等を詳細に案内していますので、渡航前には必ずご覧ください。
また、必要な予防接種等については、以下の厚生労働省検疫所ホームページを参考にしてください。
◎感染症情報(https://www.forth.go.jp/ )
4 海外旅行保険
万一に備え、旅行前に海外旅行保険に加入してください。スリランカの私立病院では、保険や実費で治療費を負担できないことがわかると診療を断られることがあります。なお、病気や事故に遭った際の治療費や緊急移送費は高額となるため(100%負担)、緊急移送費もカバーできる十分な補償額の保険への加入をおすすめします。詳しくは海外旅行保険加入のおすすめ( https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )をご確認ください。
5 医薬品の持込み、持出し
医療用麻薬を含む医薬品の携帯による持込み、持出しの手続きについては厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html )をご確認ください。
6 水難事故
スリランカの海岸は、リゾート地でも引き潮が強く、海岸近くに潮の速い危険な箇所が多いため、遊泳中の水死事故が多数発生しています。したがって、次の事項を確認するとともに、遊泳に関する注意を厳守してください。なお、リゾート地の海岸では、危険な場所でも「遊泳禁止」等の警告表示がありませんので注意が必要です。また、河川や汽水域では、ワニに襲われて死亡する事案が発生しています。
(1)ホテルにチェックインする際、ホテル前などの海岸についての情報入手に努める。
(2)安全であると思われる海岸であっても、腰より深い場所には行かない(過去に水深1メートルの浅瀬で引き潮に流されて水死するという事故が発生しています。)。
(3)海岸は、場所により急に深くなるなど複雑な地形をしているため、遊泳可能な場所であっても注意する。
(4)少しでも波が高い場合は決して海に入らない。
7 自然災害
スリランカにおいては、例年、地域によって豪雨災害や深刻な干ばつなどが発生しています。自然災害に際しては、各交通機関が運休し、電話やインターネットが不通となるなど外部との連絡が寸断され、さらに物資の供給が十分に及ばなくなります。したがって、緊急備蓄品(食料や飲料水(10日〜2週間分程度)に加え、懐中電灯、ライター、ろうそく、携帯ラジオ、予備の電池等)を準備するなど、日頃から自然災害に対する警戒を怠らないようにしてください。また、テレビ、ラジオやインターネット等で常に最新の情報を入手するよう心がけてください。
滞在先で災害が発生した場合、まずは自らの身の安全を確保し、その上で、できるだけ速やかに在スリランカ日本国大使館に連絡してください(連絡先は、下記「問い合わせ先」参照)。
- ○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
- ○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/
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