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● 風俗、習慣、健康等
1 風俗、習慣、国民性に関する留意事項
(1)インドでは、女性はあまり肌(特に足)を見せない習慣があり、タンクトップ、ミニスカート等の露出の多い服装は避けるようお勧めします。男性でも、ショートパンツは好ましくありません。
(2)インドでは左手を不浄視する習慣がありますので、例えば物の授受は左手を使わない等、注意する必要があります。
(3)多民族・多宗教が混在しているインドでは、それぞれの所属に対する帰属意識が非常に強いので、特定の民族や宗教に対する言動は慎重にしてください。
2 衛生事情
インドは全土で水事情が悪く、蛇口から出る水道水をそのまま飲用とすることはできません。レストランで出されるグラスに入った水やジュースの中の氷についても避けた方が良いでしょう。飲用には新しいペットボトル飲料を選び、開栓の際に密閉の不具合がないか確認するようにしましょう。高級レストランでも不衛生な場合がありますので、外食の際には加熱したものを食べ、生ものの喫食を避ける方が無難です。
また、トイレが不衛生で、空港のトイレ、5つ星のホテルでも、公共のトイレの床や便器が洗浄用シャワー使用後の水で濡れていることはしばしば認められます。トイレのドアノブ周囲も清潔とは言いがたいため、トイレ使用時にはハンカチや携帯用ティッシュを持参し、使用後の手洗いは注意深く行ってください。
インドでは宗教上の理由から野生動物の駆除や殺生が避けられるため、住宅地や公園、マーケットなど町中いたるところに野良犬が徘徊し、犬咬傷や狂犬病の被害を引き起こしています。また、ヒンドゥー教で聖なる動物とされる牛も多数闊歩していて、交通渋滞や事故の遠因となっています。国内各地では屋外排尿や唾吐きの習慣が残存するとともに、都市化に伴うゴミ問題が深刻で、不衛生な状況を至る所で認めます。
3 かかりやすい病気(主な感染症、大気汚染、予防接種等)
インドは感染症の宝庫といわれ、様々な感染症があります。これは都市部でも例外ではありません。特に消化器感染症とデング熱、チクングニア熱、ジカ熱、マラリアなどの蚊が媒介する感染症、狂犬病等に特に注意しましょう。
(1)消化器感染症
食べ物や飲み物を介して経口感染する消化器感染症は、旅行者や在留外国人にとって最もかかりやすい感染症です。特に大腸菌などによる細菌性胃腸炎(下痢症)が多く、腸チフス、パラチフス、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、コレラ、A型肝炎、E型肝炎などは、都市部でもよく見られます。
(2)デング熱・チクングニア熱・ジカ熱・マラリア
デングウイルスによる感染症で、ウイルスに感染したネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染します。雨期の後の蚊の増える時期、インド北部では8月末〜11月頃に人口の密集した大都市を中心に流行します。
チクングニア熱・ジカ熱は、そのウイルスがデング熱と同様ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介され、特に南インドで見られます。両疾患ともデング熱と同様の病態を呈しますが、ジカ熱に妊婦が感染した場合、胎児に合併症が生じる可能性があるため、特に注意が必要です。
インドに分布するマラリアは熱帯熱マラリアと三日熱マラリアで、インド全体の報告数ではおよそ半々となっています。マラリアはハマダラカという蚊によって媒介される病気で、都市部を中心に流行するデング熱とは対照的に非都市部(農村部)で見られることが多いとされています。デリー等都市部でも三日熱マラリアの報告がありますが、外国人居住区での発生は少なく、一般に都市部に居住する場合、抗マラリア薬の予防内服の必要はありません。
蚊を媒介とする感染症の予防は防蚊対策につきます。長袖シャツや長ズボンの着用、蚊の忌避剤の露出部の塗布、蚊取り線香、殺虫剤の準備が大事です。
(3)狂犬病
インドは、致死率がほぼ100%の感染症である狂犬病の犠牲者が年間約2万人と推定されており、世界で最も多い国です。国内の至る所に野犬がいて、犬咬傷及び狂犬病発症リスクがあります。インドでは狂犬病の感染源として95%以上が犬で、次いで猿とのデータがあります(インドでは、市街地であっても猿はよく目にする動物です)。野犬や猿など、動物には絶対近づかないようにしてください。
もし、狂犬病に感染している可能性のある動物に咬まれたり、ひっかかれたり、なめられたりした場合は、すぐに傷口等を石けんと流水で洗い、直ちに病院へ行って医師の指示に従ってください。ワクチンを事前に接種していない場合、治療に必要となるヒト狂犬病免疫グロブリンは、インド国内では限られた医療機関にしか在庫されていないことが多く、インドに長期間滞在する人や、動物と接触が予想される場合には、事前に狂犬病の暴露前予防接種を受けておくことを強くお勧めします。
また、たとえ事前に予防接種を受けていても、咬まれた場合、追加のワクチン接種等が必要ですので、その日の内に医療機関を受診してください。
(4)結核
インドでは結核の罹患率が極めて高く、世界の感染者の約3分の1を占めるとされています。結核は結核患者さんの出す咳やくしゃみの中にある結核菌を吸い込むことによって感染します(飛沫感染)。また、結核菌は空気中に浮いていることもあり、それを吸い込むことでも感染します。結核の感染予防には、感染者が多いと思われる衛生環境が悪く、人が密集している場所に近づかないことと、マスクをするなどの咳エチケットが有効です。
(5)大気汚染
インドでは、冬季(10月末〜2月)を中心に大気汚染が深刻となります。呼吸器や循環器に基礎疾患をお持ちの方は注意が必要です。大気汚染対策のため、室内のPM2.5濃度を測定するとともに、空気清浄機を24時間稼働させ、1日平均値を35μg/?以下に保ちましょう。
(6)予防接種
インド入国にあたり日本人に義務づけられている予防接種はありませんが、渡航用ワクチンとして、成人ではA型肝炎、B型肝炎、日本脳炎、破傷風、腸チフス、狂犬病に対して予防接種を受けておくと良いでしょう。このほか、麻しん・風しん・おたふく風邪(ムンプス)・水ぼうそうの流行が散発的に認められるため、インド旅行や赴任前に渡航外来で専門医と予防接種の必要性に関してよく話し合うことをお勧めします。
4 その他の健康上の注意
インドは経口感染症の多い国ですので、食事の前や外出から戻ったときに、手を洗うようにすることが重要です。石けんを十分泡立ててまんべんなく手を洗ってください。アルコールを携帯してこまめに手指消毒することも有効です。
インド料理はスパイシーで油も多く使われており、慣れていないと胃腸への負担が大きく、胃もたれや下痢をしやすくなりますので控えめにしましょう。
夏のインドは大変暑く、地域によっては湿度も高くなります。熱中症には十分な注意が必要です。日傘を使用するか帽子をかぶる、ボトルの水(ミネラルウォーターや、塩分・電解質の入ったスポーツドリンクが望ましい)を携帯する、日焼け止めを塗る、無理なスケジュールを避ける、冷所で十分に休養する等の対策を取るようにしてください。
インドの医薬品や各種ワクチンは日本に比較し安価で入手可能ですが、品質の管理に課題があるため、生活習慣病の常用薬、使い慣れた整腸剤や風邪薬などは持参するとよいでしょう。
5 医療事情
都市部には最新の医療機器や個室を備えた私立総合病院があり、高度医療を受けることも可能ですが、医療者に対するトレーニングが十分ではなく、日本のようなきめ細やかな治療方針の説明や看護師のケアが受けられないこともあります。また、救急医療体制は十分に整備されておらず、質の高い治療を受けることが可能な私立病院では、医療費が高額となります。医療先進国への緊急移送等が必要となる場合には、さらに高額の費用を要しますので、日本出発前に必ず緊急移送サービスを含む、十分な補償内容の海外旅行保険に加入することを強くお勧めします。
また、「世界の医療事情」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/india.html )において、インド国内の医療事情等を案内していますので、渡航前には必ずご覧下さい。
6 医薬品の持込み、持出し
医療用麻薬を含む医薬品の携帯による持込み、持出しの手続きについては厚生労働省の次のホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html
7 海外旅行保険への加入
海外旅行保険に加入していなかったために、病気やケガに伴う治療や緊急移送などで多額の出費を余儀なくされたケースが少なくありません。
旅行・滞在中の予期せぬトラブルに備え、十分な補償内容の海外旅行保険に加入することをおすすめします。詳しくは海外旅行保険加入のおすすめ(https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )をご確認ください。
- ○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
- ○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/
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