情報種別:海外安全情報(スポット情報)
本情報は現在有効です。

イラク:治安情勢(定期更新)

2018年2月9日

【安全のために】
●クルディスタン地域の一部を除き,危険情報「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」又は「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」を発出しています。これらの地域では,渡航者の安全を確保することが困難です。目的の如何を問わず渡航は止めてください。
●「退避勧告地域」に既に滞在されている方については,速やかに退避してください。退避までの期間の緊急連絡先を在イラク日本国大使館又は外務省邦人テロ対策室まで至急連絡してください。
●「渡航中止勧告地域」に真にやむを得ない事情で滞在中の方についても,緊急連絡先を至急連絡してください。
在イラク日本国大使館:+964-(0)77-0494-2018 (緊急連絡先)
在エルビル領事事務所:+964-(0)751-740-6711〜2(緊急連絡先)
外務省邦人テロ対策室:(代表)03-3580-3311(内線)3047

【主要トピック】
●総選挙の実施日は5月12日と決定されました。最新の関連情報の入手に努め,集会等には絶対に近づかないでください。(新規)
●ISILからの全土解放宣言は表明されていますが,ISIL分子の休眠細胞等によるテロが引き続き発生していることを踏まえ,警戒を強化してください。(継続)
●クルディスタン地域発着の国際航空便は停止されています。この地域に渡航するためにはバグダッド国際空港(レベル3)を経由する必要があるため,事前にイラク政府発行の入国査証を取得し,バグダッド空港内での滞在期間を必要最小限にすること等が必要となるほか,十分な安全対策を取ることのできない場合,渡航は止めてください。(継続)

☆最近のイラクにおける治安情勢は以下のとおりです。

1 イラク全土
(1)2014年6月以降,イスラム過激派組織ISIL(イラクとレバントのイスラム国)はイラク北部及び西部を中心に勢力を拡大させていましたが, 2015年下旬以降のイラク政府による掃討作戦の結果,ISIL支配地域は大幅かつ急速に縮小し,2017年12月9日には,アバーディ首相がISILからのイラク全土解放を宣言しました。しかし,2018年1月15日にバグダッドで自爆テロが連続して発生したほか,ISIL分子の休眠細胞等がイラク軍により奪還されたサラーハッディーン県やキルク−ク県等の一部地域でテロ活動を継続しており,引き続き警戒が必要です。

(2)2015年8月以降,バグダッド及び南部諸県では,反汚職や公共サービス改善等を求める抗議デモが金曜日を中心に発生しています。また,2017年12月に入りイラク北部クルディスタン地域でも,スレイマーニーヤ県を中心に地域政府(KRG)への不満等を理由にデモが行われました。現在は沈静化していますが,真にやむを得ない事情でイラク国内に滞在する際にも,金曜日の移動は避けるなど引き続きデモへの警戒が必要です。

(3)2018年 1月22日にイラク国民議会で国民議会選挙法改正案が採択されて,総選挙の実施日は5月12日と決定されました。現時点で治安情勢に与える影響を予断することはできませんが,やむを得ずイラクに渡航・滞在される方は,最新の関連情報の収集に努め,選挙関連の集会等には絶対に近づかないようにしてください。

2 地域・都市別
(1)北部
ア モースル,タルアファル,ハウィージャ等の解放作戦の「勝利宣言」はなされたものの,ISIL残党の掃討作戦は継続しています。引き続き,作戦の進展に伴う国内避難民の増加や放逐されたISIL分子によるテロ活動等が治安に及ぼす影響に注意が必要です。
イ 2016年10月にモースル近郊に出向いた邦人が治安当局に拘束される事案が発生しています。どのような目的であれ同地域及び同地域に近いニナワ県とエルビル県との県境付近には立ち入らないでください。

(2)クルディスタン地域及びその周辺
ア イラク北部クルディスタン地域エルビル県においては,2013年9月にエルビル市内の治安機関庁舎を標的とした爆弾テロ,2014年11月に県庁舎を標的とした爆弾テロ,2015年4月に米国総領事館付近での爆弾テロが発生しましたが,それ以降,エルビル市内におけるテロ事案の発生は確認されていません。
他方,エルビル県やスレイマーニーヤ県では,ISIL分子の逮捕や隠れ家の摘発が散発的に報じられています。
イ クルディスタン地域北部の山岳地帯においては,トルコの反政府武装組織であるクルディスタン労働党(PKK)の拠点に対するトルコ軍による空爆や掃討作戦が断続的に実施されています。周辺住民が空爆の巻き添えとなる例も報告されています。
ウ 2017年9月,キルクーク県キルクーク市のアデン地区にて車載爆弾によるテロ攻撃が発生し,1人が死亡,10人が負傷しています。また,同年11月5日,キルクーク市中心部アトラス通りで2件の自爆攻撃が発生し,5人が死亡,20人が負傷しています。
エ クルディスタン地域では,2017年12月にスレイマーニーヤ県を中心にクルディスタン地域政府(KRG)への不満等を理由にデモが発生し,12月19日にはスレイマーニーヤ県のラニヤにてデモ隊と治安部隊が衝突し,死者が発生しました。
オ クルディスタン地域政府(KRG)は,同地域(KR)の独立の是非を問う住民投票を2017年9月に実施し,独立支持が9割を越える結果となりました。これに対し,イラク連邦政府は,クルディスタン地域での国際航空便の発着禁止等の措置を課した上で,KRGが実効支配していたキルクークをはじめとする係争地に進軍して,その大半を取り戻すなど厳しい措置を採りました。KRGとイラク連邦政府軍との間で本格的な衝突は発生しませんでしたが,バルザーニーKR大統領(当時)が退任し,多くの権限を移譲されたネチルヴァンKRG首相と連邦政府間の対立は深まりました。
カ 本年に入って,ようやくアバーディ首相とネチルヴァンKRG首相の会談が2度に亘って行われるなど,両者の間の緊張は緩和されつつあります。KRGの一部省庁の職員に対する給与支払い手続きも進みつつありますが,依然として国境管理,税関,空港,石油収入や予算の問題など解決しなければならない多くの問題が未解決のままです。
キ 依然として,エルビル国際空港及びスレイマーニーヤ国際空港発着の国際航空便が停止されています。この地域に渡航するためにはバグダッド国際空港(レベル3)を経由する必要があるため,事前にイラク政府発行の入国査証を取得し,バグダッド空港内での滞在期間を必要最小限にすること等が必要となるほか,十分な安全対策を取ることのできない場合,渡航は止めてください。

(3)中部
サラーハッディーン県において,2015年4月に同県ティクリート市,同年10月にベイジ市がISILから奪還されましたが,同市及びその周辺の都市ではISILによるテロ活動が引き続き確認されています。ベイジにおいては,2017年9月19日に南方ハジャージュ地区にて食堂を狙った自爆テロが発生し,3人が死亡,34人が負傷しており,同年11月21日にもトゥズ・ホルマト市内の市場で(貨物)自動車爆弾による自爆テロが発生し,25人が死亡,60人が負傷しています。いずれのテロ事件についても,ISILが犯行を主張しています。

(4)バグダッド
ア イラク政府による首都治安対策の強化により,テロ・犯罪の被害者数は減少していますが,いわゆるバグダッド・ベルト地域でテロ事件が依然として多発しています。また,バグダッド市内でも2018年1月15日にバグダッド市ルサーファ地区で2回の爆発があり,38人が死亡,105人が負傷しました。
イ バグダッド市内では,2015年8月以降金曜日を中心に反汚職や公共サービス改善を求める大規模なデモがたびたび発生しています。2017年2月11日にはサドル潮流の支持者数千人が独立最高選挙委員会(IHEC)の改革と選挙法の改正を要求する大規模デモをバグダッド中心部で行い,インターナショナルゾーン(IZ)に接近したことから,治安部隊と衝突し死傷者が発生しました。その後はこのような衝突事案は発生していませんが,大規模デモは時々行われるため,引き続き警戒が必要です。

(5)西部
 アンバール県において,2016年6月に同県ファッルージャ市がISILから奪還されましたが,同市及びその近傍の都市では散発的に自爆攻撃などのテロが発生しています。ファッルージャにおいては,2016年12月11日に検問所周辺で自動車爆弾が爆発し,8人が死亡したほか,ヒートにおいては,2017年5月30日に自爆テロが発生し,13人が死亡,20人が負傷しています。これらのテロについて,いずれもISILが犯行を主張しています。また,2017年7月2日,ラマーディー西部の難民キャンプで自爆テロが発生し,14人が死亡,13人が負傷しています。2017年9月21日,アンバール県北部のアーナがISILから奪還され,11月3日,同県シリア国境近くに位置するカーイム,同月17日にはラーワの解放が宣言されました。

(6)南部(ナジャフ県,カルバラー県を含む)
ア イラク南部県の治安情勢は比較的落ち着いており, 2016年8月以降,南部4県でテロは発生していませんでしたが,2017年5月19日,イラク南部バスラ県北西部ルメイラ地区の幹線道路上の検問所で11人が死亡,30人が負傷する自爆テロが発生し,また同年6月9日,カルバラー市内の駐車場で1人が死亡,7人が負傷する爆弾テロ,同年8月12日にはカルバラー郊外の検問所で1人が死亡,2人が負傷する爆弾テロが発生しました。同年9月14日にはズィカール県ナースィリーヤ近郊のハイウェイ沿いの巡礼者が立ち寄るレストラン及び検問所で武装集団による襲撃及び自動車爆弾により,84人が死亡,93人が負傷するテロ事件が発生しています。いずれの事件もISILが犯行を主張したと報じられています。
イ バスラ県北部のハルサ地区及びバスラ市内においては,部族間で武器を使用した衝突が引き続き発生しています。また,バスラ市においては犯罪集団による身代金目的の誘拐,強盗,殺人事件が多発しています。
ウ イラク南部諸県では,バグダッド同様にサドル派指導者の呼びかけに呼応する形で2015年8月以降,反汚職や公共サービス改善を求めるデモが発生しており,ナジャフにおいても2017年6月29日にデモ隊の一部が治安部隊と衝突し,1人が死亡し,5人が負傷しました。

【主要地域において発生した主な事案】
2018年1月中,首都バグダッド,中心部インターナショナルゾーン(IZ)及びその周辺,クルディスタン地域及び南部等で発生が報じられた主な事件は,以下のとおりです。別添「バグダッド市内中心部での主な治安事案マップ」を併せて参照してください。なお,イラクでは,バグダッド以外でも,上記1の戦闘が行われている地域等,各地でテロ事件等が発生しており,注意が必要です。

(バグダッド中心部)
<IZ内>
●1月中にテロ事件及び大規模な犯罪事案発生は確認されていない。

<IZ外>
●6日,ドーラ地区での爆発で1人死亡。
●10日,アル・マダン地区での爆発で1人死亡,5人負傷。
●12日,アル・ワフダ地区での爆発で1人死亡,3人負傷。
●12日,アル・シャバブ地区での爆発で1人死亡。
●13日,カージミーヤ地区での爆発で3人死亡,9人負傷。
●13日,ラシーディヤ地区での爆発で1人死亡,3人負傷。
●13日,ラドワニヤー地区での爆発で1人死亡,2人負傷。
●15日,タイヤラン広場での爆発で38人死亡,105人負傷。
●16日,トブジ地区での爆発で1人死亡。
●19日,タジヤート工業地区での爆発で1人死亡,2人負傷。
●20日,アル・ラシード地区での爆発で1人死亡,3人負傷。
●24日,アル・ジハード地区での爆発で1人死亡。
●30日,ラシーディヤ地区での爆発で1人死亡,2人負傷。

(クルディスタン地域3県)
●1月中にテロ事件及び大規模な犯罪事案発生は確認されていない。

(カルバラー県及びナジャフ県)
●1月中にテロ事件及び大規模な犯罪事案発生は確認されていない。

(南部4県)
●1月中にテロ事件及び大規模な犯罪事案発生は確認されていない。

【外務省海外安全情報サイト】
(イラク「海外安全情報」)
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_045.html#ad-image-0

(参考広域情報・スポット情報)
・「イスラム過激派組織「ISIL(イラクとレバントのイスラム国)」指導者の声明発出に伴う注意喚起」(2016年11月4日)
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2016C295.html

(問い合わせ先)
 ○外務省領事サービスセンター
  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902,2903

(外務省内関係課室連絡先)
 ○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3680
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)5139
 ○海外安全ホームページ:
  https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版)
  https://www.anzen.mofa.go.jp/sp/index.html (スマートフォン版)
  http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)


(現地公館連絡先)
○在イラク日本国大使館
住所:International Zone,Baghdad, Iraq
電話:(870-772)-543-197(衛星電話)
FAX:(870-782)-174-466
緊急連絡先:+964-(0)77-0494-2018
URL:http://www.iraq.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
E-mail:embjp.ryoji.iraq@bd.mofa.go.jp

○在エルビル領事事務所
住所:Erbil Rotana Hotel, Gulan Street, Erbil, Kurdistan, Iraq
電話:964-(0)66-210-5555(ext.827,825,829)
FAX:964-(0)66-210-5556
緊急連絡先:+964-(0)751-740-6711〜2
URL:http://www.iraq.emb-japan.go.jp/itpr_ja/erbil.html
E-mail:conjp.erbil@bd.mofa.go.jp




○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/

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