情報種別:海外安全情報(スポット情報)
本情報は現在有効です。

アフガニスタン:治安情勢(定期更新)

2017年11月1日

【安全のために】
●危険情報「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」を全土に対して発出しています。目的の如何を問わず,渡航は止めてください。
●既にアフガニスタンに入国されている方は,国外の安全な地域へ直ちに退避してください。退避までの期間の緊急連絡先(氏名,連絡先,滞在日程)を在アフガニスタン日本国大使館又は外務省邦人テロ対策室まで至急連絡してください。
 在アフガニスタン日本国大使館: (93) 799-689-861,(93) 793-915-658
 外務省邦人テロ対策室:    (代表)03-3580-3311(内線)3047

【主要トピック】
● タリバーンの他,「ISILホラサーン州」を称する勢力等の反政府武装勢力による攻撃で,一般の市民や外国人も巻き込まれる事件が相次いでいます。(継続)
● 国内各地でロケット弾が着弾しています。(継続)
● 外国人が誘拐される事件が相次いでおり,誘拐のリスクが高い状態にあります。(継続)
● 地方の治安情勢は極めて不安定で,攻撃の標的にならずとも被害に巻き込まれる危険性が大いにあります。(継続)

☆詳細については,下記の内容をよくお読み下さい。

1 最近のアフガニスタンにおける治安情勢
(1)タリバーン等の反政府武装勢力による攻撃
 アフガニスタンでは,主要な反政府武装勢力であるタリバーンの他,「ISILホラサーン州」を称する勢力等が各地で攻撃を繰り返しており,厳しい治安情勢が続いています。治安当局による警備・警戒が特に強化されている首都カブール市内でも,簡易爆発装置(IED)の爆発,銃撃,自爆攻撃等の事件が多発しています。政府関係者,議員,軍・治安当局,駐留外国軍,各国の大使館・総領事館等が主な攻撃対象となっていますが,一般の市民や外国人も相次いで巻き込まれています。
 10月12日,国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)は,本年1月から9月までのテロ等の事件による民間人の被害状況に関する報告書を発出しました。同報告書によれば,これらの事件による死者数は2,640名と,2016年の同時期よりも24名多く,依然として高い水準にあります。また,反政府武装勢力別では,タリバーンに起因する死傷者数が66%,「ISILホラサーン州」を称する勢力に起因するものが10%と見積もられている他,それら以外の勢力による殺傷も相当数に上ります。
(参考URL:
https://unama.unmissions.org/sites/default/files/unama_protection_of_civilians_in_armed_conflict_quarterly_report_1_january_to_30_september_2017_-_english.pdf

(2)ロケット弾の着弾
 2017年に入り,カブール市内も含めロケット弾が着弾する事件が多く発生しています。9月には,マティス米国防長官の到着の際にカブール国際空港及びその近辺に複数着弾して死傷者が出た他,10月21日には,カブール市内中心部において少なくとも2つのロケット弾が着弾しました。ロケット弾は,一度に複数着弾するケースが多く,更に,標的から外れて着弾することもあり,巻き込まれて被害を受けるリスクが高いのが実態です。

(3)外国人を狙った誘拐
 警察当局は,外国人が所属するNGO事務所等に対して,誘拐の防止に向け,事務所や住居への監視カメラや警備員の配置,移動の経路や時間帯の頻繁な変更,身辺警護員の同行,可能な限りの防弾車の利用等を勧告しています。
 アフガニスタンでは,外国人が誘拐されるリスクは高く,2016年には援助関係者や大学教授等がいずれも車で移動中に誘拐される事件が発生しました(同乗していたアフガニスタン人はいずれも誘拐されていません。)。また,本年10月12日,アフガニスタン・パキスタン国境付近において,2012年10月にカブール県付近に立ち入っていたところ誘拐された夫婦(カナダ人男性,米国人女性)及びその子供3名がパキスタン軍によって救出されたと公表されました。このように,拘束期間が約5年と長期に上るケースもあります。

(4)地方の不安定な治安情勢
 アフガニスタン国内各地では,治安部隊(国軍・警察)がタリバーン等に対する掃討作戦を展開し,激しい戦闘が繰り広げられています。一見平穏な場所でも,急遽情勢が変わることがいつでも起こりえます。
 一部では,政府の統制が及ばない地域が拡大している傾向にあるとも言われています。米国のアフガニスタン復興特別査察官(SIGAR)の報告書によれば,アフガニスタン政府の支配あるいは影響が及んでいるのは国内407の郡のうち243郡とされており,中部のウルズガン県,南部のヘルマンド県やカンダハール県,北部のクンドゥーズ県等が反政府武装勢力の影響が強い地域の例として挙げられています。また,東部のナンガルハール県等で活動する「ISILホラサーン州」を称する勢力に対しても,治安部隊による掃討作戦が展開されるとともに,同勢力とタリバーンの間で戦闘が起こるなど,不安定な状態にあります。反政府武装勢力に対し,アフガニスタン軍や米軍による空爆も行われており,攻撃の標的とならずとも被害に巻き込まれる危険性が大いにあります。
 (参考URL:https://www.sigar.mil/pdf/quarterlyreports/2017-07-30qr.pdf

2 2017年10月3日〜10月31日に発生した主なテロ・誘拐事件抜粋(以下いずれも現地時間)
(1) カブール市
● 10月17日,市内南部において,車両に仕掛けられたマグネティック爆弾が爆発し,1名が死亡。
● 10月20日,市内西部のシーア派の宗教施設において,自爆攻撃が発生し,少なくとも72名が死亡,約20名が負傷。(「ISILホラサーン州」が犯行声明発出)
● 10月21日,市内中心部において,少なくとも2個のロケット弾が着弾。(死傷者は無しとの情報有り)(タリバーンが犯行声明発出)
● 10月21日,市内西部において,軍士官学校関係者を乗せたバスに対し,爆弾を積んだ車両による攻撃が発生し,少なくとも15名が死亡,4名が負傷。(タリバーン及び「ISILホラサーン州」が犯行を主張)
● 10月31日,市内中心部の政府機関や外交団施設がある地区において,自爆攻撃が発生し,少なくとも10名が死亡,28名が負傷。(「ISILホラサーン州」が犯行声明発出)

(2)カブール市以外
● 10月8日,バグラーン県中部において,警察の検問所が襲撃され,少なくとも2名が死亡,1名が負傷。
● 10月15日,カンダハール県東部において,検問所が襲撃され,4名が死亡。(タリバーンが犯行声明発出)
● 10月16日,ファラー県西部において,政府施設が襲撃され,3名が死亡。(タリバーンが犯行声明発出)
● 10月17日,パクティア県ガルデズ市において,県警察本部に対する自爆攻撃及び襲撃が発生し,41名以上が死亡,158名以上が負傷。(タリバーンが犯行声明発出)
● 10月17日,ガズニ県東部において,治安当局施設に対する車両による自爆攻撃及び襲撃が発生し,30名が死亡,少なくとも15名が負傷。(タリバーンが犯行声明発出)
● 10月19日,カンダハール県カンダハール市西部方面において,軍の施設が自爆攻撃及び襲撃され,43名が死亡,少なくとも9名が負傷。(タリバーンが犯行声明発出)
● 10月23日,ガズニ県北東部において,ロケット弾が着弾し,4名が死亡,2名が負傷。
● 10月24日,ファラー県中部において,軍関係施設が襲撃され,9名が死亡,4名が負傷。
● 10月24日,ウルズガン県中部において,軍関係施設が襲撃され,2名が死亡,6名が負傷。
● 10月29日,ガズニ県ガズニ市において,警察の検問所が襲撃され,少なくとも9名が死亡,少なくとも2名が負傷。
● 10月29日,クンドゥーズ県東部において,複数の警察関連施設が襲撃され,少なくとも13名が死亡。
● 10月30日,バグラーン県プリホムリ市近郊において,爆弾が爆発し,8名以上が負傷。

【参考データ】
1 カブール市内における外国人の死傷者が生じた事件抜粋(2016年以降)
 ※新しい事案から順に記載
・2017年5月31日,各国大使館や政府機関が集まるエリアにおける大規模な爆発により,ネパール人等を含む600名近くが死傷。
・2017年5月20日,国際NGOの事務所が襲撃され,ドイツ人1名含む2名が死亡。
・2016年10月,軍事基地内で,アフガニスタン軍の格好をした者が銃を発砲し,米国人2名が死亡,米国人3名が負傷。タリバーンが犯行声明発出。
・2016年6月,警備会社に勤務するネパール人及びインド人を乗せたバスに対する自爆テロが発生し,15名が死亡,20名以上が負傷。タリバーンとISILが犯行声明を発出。
・2016年1月,市内中心部にあるイタリア大使館の敷地内にロケット弾1発が着弾し,少なくとも2名が負傷(同館員の負傷者はなし)。タリバーンが犯行声明を発出。
・2016年1月,カブール国際空港付近で外国軍の車両及び施設を標的とした二度の自爆テロ事件が発生し,少なくとも1名が死亡,22名が負傷。タリバーンが犯行声明を発出。
・2016年1月,市内北西部にある仏レストランの前で自爆テロが発生し,少なくとも1名が死亡,15名が負傷。タリバーンが犯行声明を発出。

2 アフガニスタン全土における外国人誘拐(2015年以降)
 ※新しい事案から順に記載
・2017年6月18日,カブール市内で,ケニア人とされる外国人1名が国家保安局(NDS)の格好をした者によって誘拐。
・2017年5月20日,カブール市内で,国際NGOの事務所において,フィンランド人職員が武装した者によって誘拐(後日解放)。
・2016年12月,ヘラート県で,イラン人トラック運転手が武装した者によって誘拐(後日解放)。
・2016年12月,クンドゥーズ県で,車両移動中の赤十字国際委員会(ICRC)のスペイン人職員が誘拐(後日解放)。
・2016年11月,ヘラート県ヘラート市で,イラン人トラック運転手が武装した者によって誘拐。
・2016年11月,カブール市内で,NGOに勤務するオーストラリア人職員が,拳銃を所持した者により誘拐。(後日解放)
・2016年8月,カブール市内で,アフガニスタン・アメリカン大学の米国人とオーストラリア人の教授2名が武装集団によって誘拐。
・2016年6月,カブール市内で,教育・医療支援を行う国際NGOに勤務するインド人職員が拳銃を所持した者によって誘拐(後日解放)。
・2016年4月,ナンガルハール県ジャララバード市で,オーストラリア人の援助機関職員が武装集団によって誘拐(後日解放)。
・2016年3月,バングラデシュ国籍のNGO職員2名が,クンドゥーズ県からバグラーン県への移動中,武装集団によって誘拐。
・2016年3月,カブール市内で,建設会社に勤めるトルコ人が誘拐。
・2015年8月,カブール市内で,ドイツ人援助関係者が武装集団によって誘拐(後日解放)。
・2015年6月,カブール市内で,オランダ人援助関係者が何者かによって誘拐(後日解放)。
・2015年6月,西部ヘラート県で,イラン人運転手が何者かによって誘拐(後日解放)。
・2015年4月,北東部クンドゥーズ県で,ドイツ人援助関係者が何者かによって誘拐(後日解放)。


(問い合わせ窓口)
 ○外務省領事サービスセンター
  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902,2903

(外務省内関係課室連絡先)
 ○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
 ○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)5139
 ○海外安全ホームページ:
 https://www.anzen.mofa.go.jp/
 https://www.anzen.mofa.go.jp/sp/index.html (スマートフォン版)
 http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (モバイル版)

(現地大使館連絡先)
○在アフガニスタン日本国大使館
 住所:Street# 15, Wazir Akbar Khan, Kabul, Afghanistan
 電話:(870) 772-254-504,(870)772-250-388(衛星電話)
   (93) 799-689-861,(93) 793-915-658(早朝,夜間,週休日(金・土曜日)等で緊急を要する場合)
 FAX:(870) 782-255-504 (衛星電話回線)
 ホームページ:http://www.afg.emb-japan.go.jp/


○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/

−−−−−−−−−−
トップページ
−−−−−−−−−−