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● 査証、出入国審査等

 手続きや規則に関する最新の情報等については、駐日ドイツ連邦共和国大使館(電話:03-5791-7700)または在大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館(電話:06-6440-5070)に直接お問い合わせください。

1 査証
(1)短期滞在
ア 日本とドイツの間には査証免除取決めが締結されているため、観光や知人訪問等を目的とした90日以内の短期滞在については、査証の取得は免除されています。

イ ドイツはシェンゲン協定に加盟していますが、同協定の領域内において査証を必要としない短期滞在については、「あらゆる180日の期間内で最大90日間を超えない」範囲でのみ認めると規定されています。これにより、ドイツを含むシェンゲン領域内に無査証で滞在できる期間は最大「90日」となり、過去180日以内のシェンゲン領域内での滞在日数が全て短期滞在の期間として合算されます。
 また、短期滞在査証免除の対象者は、パスポートの残存有効期間が(シェンゲン協定加盟国からの)出国予定日から3か月以上残っている必要があります。
※参考:外務省ホームページ『欧州諸国を訪問する方へ』(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page4_000122.html

※参考:シェンゲン協定加盟国(2024年2月現在27カ国)
アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、クロアチア、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、リヒテンシュタイン

(2)長期滞在
ア ドイツで90日を超える長期滞在(留学、就労、研修、研究等)を予定している場合であっても、日本国籍者は査証を取得することなくドイツに入国することができます。ただし、入国してから2週間以内に居住地を管轄する住民登録局(Einwohnermeldeamt)に住民登録を行うとともに、速やかに居住地を管轄する外国人局(Auslaenderbehoerde)で滞在許可を申請・取得する必要があります。
 ドイツ滞在のための入国査証、滞在許可取得等についての詳細(必要書類等)は、駐日ドイツ連邦共和国大使館(電話:03-5791-7700)または在大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館(電話:06-6440-5070)に直接照会するか、次の同大使館・総領事館ウェブサイトで確認してください。
※駐日ドイツ連邦共和国大使館・総領事館(ビザ)
 https://japan.diplo.de/ja-ja/service/0-visa/899238

※現在、ドイツ国内における滞在許可申請の窓口である州、市の外国人局の予約がとれず、査証免除の滞在期間上限である90日以内に滞在許可取得に至らないケースが多く発生しています。この場合、シェンゲン領域内の移動や一旦領域外に出てから再度領域内に入ることが困難となりますので、長期滞在予定の方は、ドイツ入国前から駐日ドイツ連邦共和国大使館または在大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館もしくは滞在予定の各州、市の外国人局から最新の情報を入手するとともに、ドイツ入国後、できる限り早く滞在許可申請手続をすることをおすすめします。

イ 就労目的の滞在許可申請に当たって、事前に労働許可を取得する必要はありませんが、雇用主との雇用契約書、受入確認書等の文書の提出を求められますので、日本出国前に雇用主あるいは関係者との間であらかじめ調整・入手しておくことをおすすめします。

ウ 入国後に滞在資格(目的)を変更すること(たとえば、「留学」の滞在許可から「就労」に滞在資格を変更すること等)は原則として認められていません。ただし、滞在の具体的必要性があると当局により認められ、かつ、法的な条件が整っていれば、他の目的の滞在許可取得申請には応じているとのことです。詳しくは居住地を管轄する外国人局に相談してください。

エ 日本とドイツとの間で、ワーキングホリデー制度が導入されています。ワーキングホリデー制度は、日独の青年がそれぞれ互いの国で最長1年間にわたり生活し、互いの国の政治、経済、文化、日常生活を体験して、日独相互理解と友好関係の促進を図ることを目的としています。一定の要件(日本国籍を有し、滞在許可申請時に18歳以上31歳未満であること等)の下で、1年間を限度にワーキングホリデーのための滞在が許可されます。この滞在許可を取得した場合は、労働許可取得義務を免除され、ドイツでの滞在費用を補うために、働くことができます(2010年6月から労働可能日数の制限は撤廃されましたので、1年間の期間内であれば何日でも働くことが可能です)。なお、日独間のワーキングホリデー制度は1回に限り申請が可能です。
 詳細は駐日ドイツ連邦共和国大使館・総領事館ウェブサイトを確認してください。
※駐日ドイツ連邦共和国大使館・総領事館(ワーキングホリデー・ビザ)
 https://japan.diplo.de/ja-ja/service/wh/957786
※現在、到着後90日以内にワーキングホリデーの滞在許可が取得できないとの相談が多く寄せられていますので、ドイツ入国前にワーキングホリデービザを申請・取得することをおすすめします。

2 出入国審査等
(1)シェンゲン領域外から域内に入る場合、最初に入域する国において入国審査が行われ、その後のシェンゲン領域内の移動においては、原則として入国審査が行われません。
 ただし、シェンゲン領域内の国境を越える移動(陸路、空路、海路)であっても、出入国審査の有無にかかわらず、常にパスポートを携行してください。
 シェンゲン領域内において、パスポートを紛失(盗難を含む)した場合には、速やかにパスポートを紛失した場所(国)において、現地警察等へ届け出るとともに、最寄りの在外公館でパスポート(または帰国のための渡航書)の申請手続きを行ってください。なお、紛失(または盗難)として現地警察に届け出された日本国パスポートは、その後無事見つかったとしても使用できませんので十分注意してください(紛失届が受理された時点で、紛失・盗難パスポートとしてシェンゲン協定加盟国に通知されています)。

(2)過去に、ドイツ以外のシェンゲン協定加盟国に長期滞在を目的として渡航しようとした日本人が、経由地であるドイツで入国審査を受ける際に、ドイツの入国管理当局から(ア)最終滞在予定国の有効な滞在許可証、(イ)ドイツ滞在法第4条のカテゴリーD査証(ナショナル・ビザ)(注)、または(ウ)同D査証に相当する滞在予定国の長期滞在査証の提示を求められ、これを所持していないために入国を拒否される事例が発生しています。
 このため、最終滞在予定国に到着してから滞在許可を取得することを予定している場合には注意が必要です。
 ドイツ以外の国では同様の事例は発生していませんが、シェンゲン協定加盟国での長期滞在を目的に渡航する場合には、滞在国および経由国の入国審査、滞在許可制度の詳細につき、各国の政府観光局、日本に所在する各国の大使館等に問い合わせるなどして、事前に確認するようにしてください。

(注)ドイツのカテゴリーD査証:ナショナル・ビザ
ドイツに3か月以上長期滞在する場合のビザです。また、このビザを保有することにより、(1)ビザの発行目的によってドイツでの永住または一時滞在、(2)シェンゲン協定加盟国のトランジットまたはドイツへの入国の許可が取得できます。

 シェンゲン協定の詳細等につきましては駐日欧州連合代表部(電話:03-5422-6001、ウェブサイト:https://eeas.europa.eu/delegations/japan_ja )、ドイツの措置に関する情報は駐日ドイツ連邦共和国大使館・総領事館にお問い合わせください。

(3)未成年者(18歳未満)が一人で、または片方の親のみと、あるいは親権者以外の方とともにドイツに渡航する場合は、パスポートなど必要な渡航書類とあわせ、親権者による同意書および親権者のパスポート・身分証明書の写しの携行が推奨されています。
 同意書の書式および記入例は駐日ドイツ連邦共和国大使館ウェブサイト(https://japan.diplo.de/ja-ja/service/-/1032284?openAccordionId=item-1032288-1-panel )をご参照ください。
 なお、入国時のみでなく、滞在中(ホテルへのチェックイン)や出国にあたっても必要となることがありますので、同意書はパスポートとともに保管・携行することをおすすめします。

3 通関
(1)現金等の持込み・持出し申告
 ドイツを含むEU加盟国への出入国に際しては、居住者であるか否かを問わず、1万ユーロ相当額以上の現金(外貨含む)や有価証券等を持ち込む、または持ち出す場合には、税関への申告が義務付けられています。
 なお、日本からの出国に当たって、100万円相当額以上の外貨等を持ち出す場合には、日本の税関当局に対しても申告が義務付けられています(「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」)。
 不明な点がある場合には、ドイツもしくは日本の税関当局にお問い合わせください。
※ドイツ税関(入国に当たっての現金の取り扱い)
 https://www.zoll.de/EN/Private-individuals/Travel/Entering-Germany/Restrictions/Cash/cash_node.html
※日本税関(現金等の持出し、持込み)
 https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/keitaibetsuso/7305_jr.htm

※参考:EU加盟国(2024年2月現在27カ国)
ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、キプロス、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スロバキア、フィンランド、スウェーデン
 最新のEU加盟国情報については以下のサイト等で確認してください。
 https://europa.eu/european-union/about-eu_en

(2)ドイツに持込み可能な物品の免税範囲
 日本等のEU域外から直接ドイツに入国する際の免税範囲は以下のとおりです。EU域外からドイツ以外のEU加盟国に最初に入国する場合には、その国の規定が適用されます。
 なお、免税範囲を超える場合には、税関窓口にて課税申告手続きを行ってください。空港免税店や航空機内で購入した免税品も超過分は課税対象となりますので、注意してください。

ア タバコ、酒類、医薬品、その他物品
(ア)タバコ類(17歳以上に限る)
○紙巻タバコ200本、または
○小型葉巻タバコ(シガリロ)100本、または
○葉巻タバコ50本、または
○刻みタバコ250グラム、または
○これらを組み合わせた量
(イ)アルコール飲料(17歳以上に限る)
○アルコール度数22度以上の蒸留酒または80度以上の非変性エチルアルコール1リットル、または
○22度以下の蒸留酒、リキュール、発泡ワイン、甘味果実酒、日本酒等2リットル、または
○これらを組み合わせた量、および
○非発泡ワイン4リットル、および
○ビール16リットル
(ウ)医薬品
短期滞在者が滞在中個人的に服用する範囲内の量
(エ)その他物品(EU域内に留まる物品)
 ○空路、海路での入国の場合:物品の合計価値が430ユーロ相当額まで(15歳未満の短期滞在者は175ユーロ相当額まで)
 ○陸路(スイスからボーデン湖を渡って水路で入国する場合を含む)での入国の場合:物品の合計価値が300ユーロ相当額まで(15歳未満の旅行者は175ユーロ相当額まで)。
 EU域内に留まる物品とは、EU加盟国に居住する親類・知人へのお土産、EU加盟国居住者が自己のために購入した商品等を指します。衣服や宝石等の分割できない物の価値を他の人に振り分けてカウントすることはできません。なお、販売目的の商用品や職業上使用する物品(撮影機材、商品見本等)の場合は、価格、分量にかかわらず税関申告が必要です。

※駐日ドイツ連邦共和国大使館・総領事館(ドイツに持込み可能な免税範囲)
  https://japan.diplo.de/ja-ja/service/zolleinreise/951368
※ドイツ税関(免税範囲)
 https://www.zoll.de/EN/Private-individuals/Travel/Entering-Germany/Duties-and-taxes/Travellers-allowances/travellers-allowances_node.html

イ その他免税となる物品
(ア)個人的に使用する物品
 短期滞在者が日本等のEU域外からドイツを含むEU加盟国に入国する場合は、携行する荷物(機内持込み荷物およびスーツケース等の預け荷物)のうち、個人的に使用する物品については、基本的には帰国時にEU域内に残さない物品であるとみなされ、課税対象になりません。
 しかし、近年ノートPC等の高額物品を携行し、申告する物が無い場合に利用する緑のゲートを通過したところ、税関職員の抜き打ち検査にあって没収された例があります。また、複数台のノートPCを持っているなど、個人使用として扱うには不自然であり、現地で他人に販売・譲渡される可能性があると税関職員に判断された場合には、当該物品はEU域内に残される物品としてみなされ、課税対象とされることがあります。
 申告すべきかどうか判断に迷う場合や高額物品を携行して入国する場合は、税関窓口(申告する物がある場合に利用する赤のゲート)で、その物品は帰国時に持ち帰るものであることを説明してください。申告する物が無い場合に利用する緑のゲートを通過し、その後の税関職員による抜き打ち検査によって持込み物品が課税対象であると判断された場合には、申告義務違反となります。
(イ)引越荷物(?bersiedlungsgut)
 EU域外に12か月以上居住した後に住所をEU域内に移動する場合、個人的所有物(Personal Property)については、非課税物品とされます。ただし、アルコール類、タバコ、商用品については非課税となりません(上記(2)ア参照)。
 これらの個人的所有物が非課税とされるためには、原則として引越し前に少なくとも6か月以上使用したものであること、EU域内に住み始めてから12か月以内にEU域内に運送されることが条件となります。
 上記引越し荷物を非課税とするためには、税関で書面による手続きが必要です。(運送業者を利用する場合は、当該業者が通関手続を代行することが通例ですが、念のために業者に確認することをおすすめします。)
また、この手続きによって非課税となった物品を、届いてから12か月以内に他人へ譲渡・販売することは禁止されています。
※ドイツ税関(ドイツ滞在に当たっての手続き等)
 https://www.zoll.de/EN/Private-individuals/Staying-in-Germany/staying-in-germany_node.html

(3)持込み禁制品
 ドイツへ入国するに当たっての持込み禁止品および規制品については、次の日本郵便およびドイツ税関のウェブサイトを参考としてください。
※日本郵便(ドイツ−禁制品)
 https://www.post.japanpost.jp/cgi-kokusai/nonmailable_articles.php?cid=6
※ドイツ税関(持込み規制品)
(英語)
 https://www.zoll.de/EN/Private-individuals/Travel/Entering-Germany/Restrictions/restrictions_node.html
(ドイツ語)
 https://www.zoll.de/DE/Privatpersonen/Reisen/Reisen-nach-Deutschland-aus-einem-nicht-eu-Staat/Einschraenkungen/einschraenkungen_node.html

(4)ペットの持込み
 ドイツ入国に当たってのペットの持込みについては、次の駐日ドイツ連邦共和国大使館、ドイツ税関およびドイツ連邦食料・農業省のウェブサイトをご確認ください。
※駐日ドイツ連邦共和国大使館・総領事館(ドイツへの犬、猫等の持込みについて)
 https://japan.diplo.de/ja-ja/service/haustier/990312
※ドイツ税関(EU域外からのペットの持込み)
(英語)
 https://www.zoll.de/EN/Private-individuals/Travel/Entering-Germany/Restrictions/Animals-and-plants-products-containing-animal-or-vegetable-substance/Protection-against-animal-diseases/Provisions-on-the-import-of-pet-animals/provisions-on-the-import-of-pet-animals_node.html
(ドイツ語)
 https://www.zoll.de/DE/Privatpersonen/Reisen/Reisen-nach-Deutschland-aus-einem-nicht-eu-Staat/Einschraenkungen/Tiere-und-Pflanzen/Schutz-Tierseuchen/Regelungen-Heimtiere/regelungen-heimtiere.html
※ドイツ連邦食料・農業省(ペットと動物)
(英語)
 https://www.bmel.de/EN/topics/animals/pets-and-zoo-animals/pets-and-zoo-animals_node.html
(ドイツ語)
 https://www.bmel.de/DE/themen/tiere/haus-und-zootiere/haus-und-zootiere_node.html

(5)販売目的の商用品や職業上使用する物品の持込み
ア ATAカルネ(注)を所持している場合を含め、原則として全ての商用品や職業上使用する物品について通関手続きを行う必要があります(下記イの「楽器」を除く)。
 商用品(展示会出品貨物・商品サンプル等)および職業用具(取材用カメラ等の高額機材等)については、日本出国前にATAカルネを取得するなどの必要な手続きをした上で、入国時には通関手続き(申告するものがある場合に利用する赤のゲートで税関申告)を行ってください。
※駐日ドイツ連邦共和国大使館・総領事館(ドイツ入国の際の税関手続きについて)
 https://japan.diplo.de/ja-ja/service/zolleinreise/951366
※日本税関ウェブサイト(物品の一時輸入のための通関手帳(ATAカルネ))https://www.customs.go.jp/kaigairyoko/atacarnet.htm

(注)ATAカルネとは、世界の主要国の間で結ばれている「物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)」に基づく国際的制度による通関用書類のことです。詳しくは、日本税関ウェブサイトを確認してください。
 https://www.customs.go.jp/kaigairyoko/atacarnet.htm

イ 2012年、フランクフルト空港税関において、日本人音楽家が持ち込もうとした楽器について、税関申告漏れを指摘され、楽器が差し押さえられる事案が発生しました。その後、2013年にEU加盟国は、旅行者が職業用具としてEU域内に一時的に輸入する持ち運び可能な楽器について、EU関税法規則の改正を行うことで合意し、この規則は2013年11月21日より施行されました。
 この改正により、同日以降、職業用具として使用する持ち運び可能な楽器を一時的に輸入する旅行者は、税関において、申告する物が無い場合に利用する緑のゲートを通過できることとなります。
 ただし、一時的ではなく、長期にわたり継続的にEU域内に留まる場合には、これまで通り税関での申告が必要となります。また、EU域内在住者が楽器等を一時的にEU域外に持ち出して再びEU域内に持ち込む場合には、EU域外へ出国する際に、あらかじめ輸出申告(ATAカルネ)等が必要となる場合がありますので、EU各国の税関当局(再入国の際に利用する空港を所管する国の税関)に問い合わせてください。

(6)税関申告手続き
 ドイツ入国の際に、課税対象物品を持ち込む場合は、次の手続きに従って税関申告手続を行う必要があります。

ア 手続きの流れ
(ア)申告手続きは、税関窓口(申告するものがある場合に利用する赤のゲート)で口頭で行います(商用品、引越し荷物は書面で行う)。税関職員が支払うべき関税額を計算しますので、課税対象物品を提示してください。
(イ)窓口で物品を提示すると、税関職員は課税対象品であるかどうかを確認し、物品の数量、価値を基に課税額を決定します。購入価格の証明となる資料がない場合、税関に備え付けられたリスト上の類似品を参考に課税額が決められるため、購入時のレシート等を持っていると役に立ちます(特に土産用の民芸品等、一見して価値が判断できない物を持ち込む際には有効です)。なお、税関窓口で税金を納付した場合には、そのレシートを保管しておくと、EU域内の他国に移動する際に有効です。
(ウ)課税対象物品の価値が、短期滞在者一人につき700ユーロ相当額以下の場合には、関税率は一律17.5%になります。ただし、タバコ、アルコール類(ビールを除く)については、数量によって関税額が決まります(ビールは簡易算定の対象ではありませんので、関税法およびビール税法に従って関税額が算定されます)。具体的な関税額については、ドイツ税関のウェブサイトで確認してください。
(エ)課税対象物品の価値が、短期滞在者一人につき700ユーロ相当額を超えている場合、または700ユーロ相当額以下であっても、定額関税ではなく個別物品ごとの関税の支払いを希望する場合は、税関職員が個々の物品について関税率表や関連する税法に基づいて関税額を算定します。
(オ)関税の支払いはその場で行います。関税額が3ユーロ以下の場合は、徴収されませんが、算定結果のレシートのオリジナルを入手できます。
(カ)関税の支払いをその場で行うことが不可能な場合、10日の支払い猶予期間が与えられますが、課税対象物品は一時的に接収され、関税納入後に返却されます。

イ 手続場所
 通関手続きは、EU域外から入国する場合に必要となりますが、空港によってはシェンゲン協定域内の移動か否かによって利用フロアが異なる場合もあるため(例:フランクフルト、ミュンヘン等)、次を参考に通関手続きに当たって間違いのないように注意してください。
(ア) EU域外から到着した空港が最終目的地である場合(フランクフルト、ミュンヘン等)
a すべての携行品(機内持込み荷物およびスーツケース等の預け荷物)が通関手続きの対象となります。ただし、EU域内の他の空港を経由し、その際に機内持込み荷物の通関手続きを済ませていれば、その機内持込み荷物は課税対象となりません(支払い証明書が必要)。
b 課税対象物品を所持していない場合は「申告するものが無い場合に利用する緑のゲート」を申告なしに通過することができます。課税対象物品を持っている場合は、「申告するものがある場合に利用する赤のゲート」に進み、税関職員に該当する物品を提示して申告を行ってください。
(「申告するものが無い場合に利用する緑のゲート」と「申告するものがある場合に利用する赤のゲート」の表示(https://www.anzen.mofa.go.jp/attached2/attached_germany201209.jpg ))
(イ)到着した空港からEU域内へ乗り継ぐ場合(EU域外→ドイツの国際空港→EU域内)
a 日本等のEU域外からドイツの国際空港を経由して他のEU域内空港(ドイツ国内の他の空港を含む)へ乗り継ぐ場合、最終目的地までスルーチェックインしているスーツケース等の預入荷物については、経路の最終目的地の税関で申告すればよいことになっていますが、機内持込荷物については、最初にEU域内に入る地点で申告義務があります(ATAカルネに記載された物品の一部のみが手荷物に入っている場合も同様に申告義務があります)。
 ただし、乗り継ぎの際に預入荷物を一旦受取り、再度預け入れを行う場合には、手荷物同様に到着した空港の税関で申告を行う必要があります。
b 乗り継ぎの場合、入国審査を経た後、搭乗フロアに移動する途中に税関の申告窓口がありますが、窓口には通路の色分け等の表示がない場合がありますので、見落とさないように注意してください。通関手続きが必要であるにもかかわらず窓口の職員が不在のときは、備え付けの電話等で職員を呼び出してください。あとになって、窓口がわからなかった、職員が不在だったなどと説明しても聞き入れられませんので、ご注意ください。
 また、シェンゲン協定非加盟のEU国(アイルランド等)に乗り継ぐ経路には税関窓口が無いこともあるため、次の到着地で通関手続きを行ってください。ただし、乗継移動中に税関職員に呼び止められた場合は、正直に手荷物中の課税対象物品の有無および関税申告の意思はあるが税関窓口が見当たらなかったので次の到着空港にて手続きを行うつもりである旨を説明し、指示があれば通関手続きを行ってください。
(ウ)到着したドイツの国際空港からEU域外へ乗り継ぐ場合(EU域外→ドイツの国際空港→EU域外)
a 通関手続きは必要ありません。
b 乗り継ぎ移動中に抜き打ち検査を行っていることがありますが、声を掛けられたら航空券等を見せ、非EU国行きの便に乗り継ぐことを説明してください。
※参考:EU加盟国(2024年2月現在27カ国)(*はEU加盟国だが、シェンゲン加盟国ではない国)
アイルランド*、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス*、ギリシャ、クロアチア、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア*、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ルーマニア*
※参考:シェンゲン協定加盟国(2024年2月現在27カ国)(*はシェンゲン加盟国だが、EU加盟国ではない国)
アイスランド*、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、クロアチア、スイス*、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー*、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、リヒテンシュタイン*

ウ 注意事項
(ア)申告する物が無い場合に利用する緑のゲートでは、税関職員による抜き打ち検査が行われています。緑の表示のある通路を通過した場合は、課税対象物品や輸入禁制品を持っていないと宣言したことになりますので、通路通過中または通過後に税関職員に呼び止められ、課税対象物品や輸入禁制品を所持していることが発覚した場合は、故意・過失に関わらず申告義務違反として高額の罰金が課せられることがあります。悪質な違反については、懲役を科されることもありますので正しく申告手続きを行ってください。
(イ)税関で徹底した事情聴取が行われた結果、旅行者が搭乗する便を変更しなければならなくなった例が報告されています。急いでいるなどの事情はあっても、税関職員の制止を振り切ってその場を立ち去ろうとした場合には、その行為が公務執行妨害等の犯罪とみなされて身柄を拘束される場合がありますので十分に注意してください。
 詳細は、次のドイツ税関または駐日ドイツ連邦共和国大使館のウェブサイトを確認してください。
※ドイツ税関(税関手続)
 https://www.zoll.de/EN/Home/home_node.html
 https://www.zoll.de/EN/Private-individuals/private_individuals_node.html
※駐日ドイツ連邦共和国大使館・総領事館(ドイツ税関での諸注意)
 https://japan.diplo.de/ja-ja/service/0-zoll/2207098
※駐日ドイツ連邦共和国大使館・総領事館(ドイツ入国の際の税関手続きについて)
 https://japan.diplo.de/ja-ja/service/zolleinreise/951366

(7)付加価値税(VAT)の還付
 EU域外に居住する短期渡航者が、旅行中にEU域内の同一店舗で一定金額(ドイツの場合は50.01ユーロ)以上の買い物をした場合、付加価値税の還付が受けられます。
 還付手続き(税関スタンプの押印等)は空港等にある免税窓口(TAX Refund Office)で行います。税還付手続き用紙(購入店舗が作成)、パスポート、航空券または搭乗券、商品購入時のレシート、購入した物品(現物)を用意してください。
 還付手続きはEU加盟国内であれば、どこの国でも行うことができますが、現品を提示する必要がありますので、最初に出国手続きをする空港で還付手続きを行うことをおすすめします。
 なお、窓口は混み合いますので、時間に余裕をもって早めに空港に到着するようにしてください。


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