情報種別:海外安全情報(危険情報)
本情報は現在有効です。

イスラエル、ヨルダン川西岸地区及びガザ地区の危険情報【一部地域の危険レベル引き下げ】

2021年7月29日

【危険度】
● ガザ地区及び同地区との境界周辺
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き下げ)(既に滞在中の方は、事情の許す限り早期に退避してください。)
● レバノンとの国境地帯
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
● ヨルダン川西岸地区(以下「西岸地区」)(ジェリコ、ベツレヘム、ラマッラ及びこれら三都市とエルサレムを結ぶ幹線道路、西岸地区内の国道1号線及び国道90号線を除く。)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
● 上記以外の地域
レベル1:十分注意してください。(継続)

【ポイント】
● 2021年5月10日以降、ガザ地区からイスラエル領内に多数のロケット弾が発射され、同地区に対するイスラエル軍の大規模な軍事作戦が実施されたことを受け、同年5月16日、ガザ地区及び同地区との境界周辺の危険度を「レベル4:退避勧告」に引き上げましたが、同年5月21日に停戦が宣言されて以降、大規模な衝突が発生していないことから、同地域の危険度を「レベル3:渡航中止勧告」に引き下げます。しかしながら、ガザ地区及び同地区周辺においては不安定な治安情勢が継続しており、予断を許さない状況にあります。つきましては、引き続き同地域への渡航は止めてください。また、既に滞在中の方は、事情の許す限り早期に退避してください。
● レバノンとの国境地帯では、イスラエル軍とレバノン南部に展開する武装勢力との衝突が散発的に発生しており、不測の事態に巻き込まれる恐れがあります。同地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。
● 西岸地区(ジェリコ、ベツレヘム、ラマッラ及びこれら三都市とエルサレムを結ぶ幹線道路、西岸地区内の国道1号線及び国道90号線を除く。)では、イスラエル人入植者やイスラエル治安当局とパレスチナ人との間で衝突が断続的に発生しているため、同地域への不要不急の渡航は止めてください。
● エルサレム、ヤッフォ等の危険レベル1の地域においても、ユダヤ系住民とアラブ系住民との衝突や事案等が発生しています。最新の治安情報の入手に努め、不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。

1 概況
(1)西岸地区とガザ地区からなるパレスチナ自治区のうち、西岸地区はアッバース大統領を長とするパレスチナ自治政府が管轄しており、治安改善・維持に積極的に取り組んでいるほか、イスラエル側との治安協力も行っています。一方、ガザ地区は、イスラエルがテロ組織としているハマスが事実上支配しており、また、他にも過激な勢力が活動しているため、不安定な情勢にあります。

(2)ガザ地区、レバノンとの国境地帯及びイスラエルが事実上支配するゴラン高原においては、ハマスやヒズボラ等、イスラエルがテロ組織としている勢力からのイスラエル領内へのロケット弾等による攻撃が度々行われているほか、イスラエル軍による相手側拠点に対する空爆等の攻撃が行われています。
 2021年5月10日以降、ガザ地区からイスラエル領内に向けて多数のロケット弾が発射されたことを受け、同地区に対するイスラエル軍の大規模な軍事作戦が実施されました。同年5月21日に停戦が宣言されて以降、大規模な衝突は発生していませんが、ガザ地区及び同地区との境界周辺においては不安定な治安情勢が継続しており、予断を許さない状況にあります。

(3)ガザ地区及び同地区との境界周辺、レバノンとの国境地帯以外地域では、治安情勢はおおむね安定していますが、イスラエル人入植者やイスラエル治安当局とパレスチナ人との間の衝突事案等が発生していることに留意が必要です。

(4)これまでに、イスラエル及びパレスチナ自治区において、日本人・日本権益を直接の標的としたテロ事件は発生していません。しかし近年、チュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されていることに留意が必要です。
 近年では、単独犯によるテロや一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発するなど、テロの発生を予測し未然に防ぐことがますます困難となっています。
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロの被害に遭わないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

2 地域別情勢
(1)ガザ地区及び同地区との境界周辺
 レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き下げ)(既に滞在中の方は、事情の許す限り早期に退避してください。)

ア 従来、ガザ地区からは、同地区との境界周辺のイスラエル領やアシュケロン、アシュドッド等の近隣の都市に向けてロケット弾が散発的に発射されていましたが、2021年5月10日以降、多数のロケット弾が、ガザ地区周辺からテルアビブを含む中部地区、南部地区、エルサレム周辺地区等の広範囲にわたって飛来し、イスラエル軍は、ガザ地区に対する大規模な軍事作戦を実施しました。5月21日に停戦が宣言されて以降、同地区とイスラエルとの間で大規模な衝突は発生していません。しかしながら、同年6月15日にエルサレムで実施された「旗の行進(Flag March)」を発端とした事案を含め、その後も複数回にわたり、ガザ地区からイスラエル領内に焼夷風船が放たれ、イスラエル軍はこれに対する措置としてガザ地区内のハマスの拠点を空爆しました。このように、ガザ地区及び同地区との境界周辺においては不安定な状況が継続しており、再び大規模な軍事衝突が発生する可能性も排除できません。
 
イ ガザ地区との境界付近では、従来から焼夷風船等の飛来のほか、パレスチナ人による抗議デモが散発的に発生しており、イスラエル軍による取締りが行われています。特に毎週金曜日午後の礼拝後の時間帯は、抗議活動等の規模が大きくなる可能性があります。

ウ ガザ地区は、イスラエルの検問所による移動の制限があり、同地区内では在イスラエル日本国大使館による迅速な邦人保護対応は困難です。

 つきましては、上記地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。既に滞在中の方は、事情の許す限り早期に退避してください。

(2)レバノンとの国境地帯
 レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)

 レバノン南部には、イスラエルと敵対するヒズボラ等の武装勢力が存在しています。2018年12月、イスラエル軍は、レバノン側からイスラエル領土内に掘られていた複数のトンネルを無力化する作戦(「北の盾作戦」)を実施しました。2019年9月には、レバノンとの国境付近で、イスラエル軍の車両がレバノン領内からの対戦車ミサイルで攻撃される事案が発生したほか、2020年7月末から8月上旬にかけては、イスラエル軍と武装勢力との間で攻撃の応酬が発生しました。レバノンとの国境地帯では、引き続き不足の事態が発生する可能性は否定できません。

 つきましては、上記同地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。

※ レバノンとの国境地帯に近接し、イスラエルが事実上支配しているゴラン高原(日本政府は、この地域をイスラエル領として認めていません。)では、2020年1月、シリア側からミサイル弾が発射されました。また、同年7月にレバノン側から武装勢力が侵入したほか、同年8月にはIED(簡易爆破装置)の敷設を試みた侵入者が拘束される事案が発生しています(敷設されたIEDは同年11月に発見されました)。
 イスラエルが事実上支配する地域を含むゴラン高原全体に対しが、シリアの危険情報として危険レベル4(退避勧告)が発出されています。同地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。既に滞在中の方は、直ちに退避してください。

(3)西岸地区(ジェリコ、ベツレヘム、ラマッラ及びこれら三都市とエルサレムを結ぶ幹線道路、西岸地区内の国道1号線及び国道90号線を除く。)
 レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)

ア パレスチナ自治政府は、イスラエル側との治安協力も行いつつ、西岸地区内の治安維持を行っています。

イ 2021年4月以降、西岸地区でイスラエル入植者やイスラエル治安当局とパレスチナ人との間の衝突事案が発生し、多数の負傷者が出ています。

ウ また、パレスチナ人によるナイフ等を使用した襲撃事案が、主にイスラエルとの境界にあるチェックポイントやイスラエル人入植地付近で散発的に発生しており、一部では爆発物や銃火器を使用した事案も発生しています。

エ 西岸地区へはイスラエル等の検問所等による移動の制限があり、場合によっては在イスラエル日本国大使館による迅速な邦人保護対応が困難となる可能性があります。

 つきましては、以上を踏まえ、上記地域への不要不急の渡航は止めてください。やむを得ず渡航・滞在する際には、現地の最新の治安情勢についての情報収集に努めるとともに、十分な安全対策を行い、不測の事態に巻き込まれないよう特別な注意を払ってください。

(4)上記2(1)〜(3)以外の地域
 レベル1:十分注意してください。(継続)

 治安情勢はおおむね安定し落ち着いていますが、以下の点に留意し、慎重な行動を心掛けてください。

ア ジェリコ、ベツレヘム、ラマッラ及びこれら3都市とエルサレムを結ぶ幹線道路、西岸地区内の国道1号線及び国道90号線
(ア)上記地域においては、パレスチナ自治政府及びイスラエル治安当局が治安の維持に力を注いでおり、大規模なテロ事案等の発生件数は減少しています。
(イ)ただし、主にイスラエルとの境界にあるチェックポイントやイスラエル人入植地付近においては、イスラエル人入植者やイスラエル治安当局とパレスチナ人との衝突事案、パレスチナ人によるナイフ等を使用した襲撃事案が散発的に発生しています。
(ウ)死海への訪問や南北間の移動等のために西岸地区内で国道1号線や国道90号線を利用する場合には、別の道路に入り込まないよう注意してください。

イ テルアビブ、エルサレムを含む上記以外の地域
(ア)イスラエル人やイスラエル治安当局に対するパレスチナ人による襲撃や衝突事案、犯罪組織同士の抗争の一環とみられる爆発事案、入国地問題や安息日における経済活動(レストランや工場の稼働等)等に起因する抗議活動から発展した暴力事案等が発生することがあります。特にエルサレムは、複雑な政治情勢下にあり、イスラエルとパレスチナとの直接的な接点にも当たるので、渡航に当たっては十分な注意が必要です。
(イ)2021年4月以降の東エルサレムにおけるイスラエル治安当局やイスラエル人入植者とパレスチナ人との衝突を受け、イスラエル各地(ロッド、ヤッフォ、バトヤム、ハイファ、アッコー、ティベリア等)でアラブ系イスラエル人を中心とした抗議活動が多数行われ、一部が暴徒化しました。また、ユダヤ系過激派によるアラブ系住民に対する襲撃・暴行も発生しみられ、死傷者が出ました。

 つきましては、上記地域への渡航に際しては、情勢によっては、急に緊張が高まる可能性があることを常に念頭に置きつつ、最新の治安情報の入手に努め、安全確保に十分な注意を払って行動してください。

3 滞在に当たっての注意事項
 滞在中は、下記事項に十分注意して行動し、危険を避けるよう心掛けてください。また、日本国外務省、在イスラエル日本国大使館、現地関係機関や報道等より、最新の治安情報を入手するよう心掛けてください。

(1)海外渡航の際には、万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
 イスラエルに3か月以上滞在する方は、在イスラエル日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず在留届を提出してください。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html
 3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新安全情報や、緊急時に在イスラエル日本国大使館からの連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html

(2)イスラエル領内における注意事項
ア イスラエル当局は、テロ防止のため、厳重な警備体制をとっています。空港、鉄道駅、ホテル、レストラン、ショッピングセンター等への入場時における検査のほか、道路における検問も行われることがあります。こうした検査・検問には協力的に対応するとともに、誤解を与えるような言動をとらないよう注意してください。

イ 多数のイスラエル軍兵士が集まっている場所、分離壁を含む軍事施設等は、衝突が発生する可能性が高いため、近づかないようにしてください。また、軍事施設や兵士等を撮影する場合には、必ず事前に関連部署から許可を得る必要があります。無許可でカメラやスマートフォン等を向けると、不審者として拘束・逮捕されたり、カメラ、撮影機器等を没収されたりすることがありますので、誤解を招くような行動は慎んでください。

ウ 多数の人が集まる場所は、一般的にテロや犯罪の標的になりやすいことに留意し、周囲の状況に気を配り、不審者や不審物に近づかないなどの安全対策をとってください。特に、デモ・集会等は、衝突や騒擾に発展する可能性があるため、遭遇した際は直ちにその場から離れてください。また、大規模なデモやテロ事件が過去に発生した場所等では、不審物処理に伴う道路封鎖や車両検問が頻繁に行われていますので、注意してください。

エ 今後、地域情勢が急転する場合等は、ガザ地区周辺にとどまらず、イスラエル全域でロケット弾等が飛来するおそれがあります。ロケット弾等の発射情報には常に注意を払ってください。万一、防空サイレンが聞こえた場合には、直ちに直近のシェルター又は十分に厚みのあるコンクリート製の建物内に避難してください。
(ご参考:イスラエル国民防衛軍ウェブサイト(英語))
https://www.oref.org.il/11093-en/Pakar.aspx
https://www.oref.org.il/894-en/Pakar.aspx

(3)西岸地区における注意事項
ア 西岸地区の危険レベル2発出地域への不要不急の渡航は止めてください。やむを得ず渡航・滞在する必要がある場合には、現地の最新の治安情勢について情報収集に努めるとともに、十分な安全対策を行い、不測の事態に巻き込まれないよう特別な注意を払ってください。

イ 西岸地区への入出域を管理する検問所では、パスポートの提示を求められるとともに、治安情勢によっては道路が閉鎖され、通過が許可されない場合もあります。

ウ イスラエル軍兵士が集まっている場所、分離壁を含む軍事施設、パレスチナ自治政府施設、難民キャンプ、工場、デモ隊等には、近づいたり、写真を撮ったりしないようにしてください。

(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903

(外務省関連課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)4567
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3047
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (モバイル版)

(現地大使館等連絡先)
○在イスラエル日本国大使館
住所:Museum Tower 19th & 20th Floor, 4, Berkowitz St, Tel-Aviv,
6423806,ISRAEL
電話:(市外局番03)695-7292
国外からは(国番号972)3-695-7292
FAX:(市外局番03)691-0516
国外からは(国番号972)3-691-0516
ホームページ
https://www.israel.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html

○在ラマッラ出張駐在官事務所(在ラマッラ日本政府代表事務所)
住所:Abraj House, 8thFloor, 15 Tokyo Street, Al-Masyoun, Ramallah
電話:(市外局番02)298-3370,298-3371
国外からは(国番号972)2-298-3370,2-298-3371
FAX:(市外局番02)298-3313
国外からは(国番号972)2-298-3313
ホームページ
https://www.ps.emb-japan.go.jp/itprtop_en/index.html



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