情報種別:海外安全情報(危険情報)
本情報は現在有効です。

ミャンマーについての海外安全情報(危険情報)の発出

2016年6月15日

●シャン州コーカン自治地帯:「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)
●カチン州ライザー周辺:「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)
●カチン州(除く,ライザー周辺):「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(継続)
●シャン州北部(除く,コーカン自治地帯及びラショー,チャウメー,ティーボーの都市部):「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(引き上げ)
●ラカイン州:「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(継続)
●シャン州北部,カチン州,ラカイン州を除く全土:「レベル1:十分注意してください。」(継続)



☆詳細については,以下の内容をよくお読みください。

1 概況
(1)ミャンマー政府は,少数民族武装組織との間で和平協議を進めており,2015年10月,ミャンマー政府と8の少数民族武装組織との間で,全国規模の停戦合意(NCA)に署名し,2016年1月には政治対話が開始されました。一方,NCAに署名していないカチン独立軍(KIA),シャン州北軍(SSPP),ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA,コーカン軍),タアン/パラウン民族解放軍(TNLA)等の,カチン州及びシャン州北部の中国国境付近を拠点とする少数民族武装組織との間では,依然,散発的に戦闘が発生しています。

(2)一方,ラカイン州北部では,2012年6月以降,ラカイン族仏教徒とイスラム教徒との間で衝突が発生し,2013年3月以降,ラカイン州以外の地域においても,仏教徒とイスラム教徒との間で衝突が発生しました。2014年後半以降,情勢は比較的安定しており,2016年3月には,2012年6月以降ラカイン州全体に発出されていた非常事態宣言が解除されましたが,現在もコミュニティ間の緊張状態が継続しています。

(3)現在,カチン州,シャン州北部及びラカイン州北部以外の地域では治安情勢は平穏を保っており,テロの発生は概して少なく,外国人を標的とした誘拐は発生していません。

(4)2013年10月,ヤンゴン市内,マンダレー市内,ザガイン市内及びバゴー地域にて計10件の爆発事件及び爆発未遂事件が発生しました。(これらの爆発事件の背景には既に停戦合意を達成したカレン民族同盟(KNU)の一部不平分子がいると言われていますが,KNUの組織的関与は確認されていません)その後,関連の爆発事件は起こっていませんが,引き続き注意が必要です。

(5)ミャンマーにおいて,日本人を対象としたテロ等の差し迫った危険性は確認されていません。他方,近年,シリアやチュニジアにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,パリ,ブリュッセル,イスタンブール,ジャカルタ等でテロ事件が発生しています。このように,世界の様々な地域でISIL(イラク・レバントのイスラム国)等のイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

2 地域情勢
(1) シャン州コーカン自治地帯:「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)
 ミャンマー国軍と,2007年までシャン州北部コーカン地域を実質統治していたMNDAAとの間では,2014年末に戦闘が再発し,2015年2月9日以降,同地域において,空爆等を伴う大規模な戦闘が発生しました。2015年11月,ミャンマー政府は,2015年2月以来発出されていた,コーカン自治地帯における非常事態宣言及び軍事行政命令を解除しましたが,現在も同自治地帯周辺では不安定な情勢が続いています。
 つきましては,同地域への渡航は,どのような目的であれ止めてください。

(2)カチン州ライザー周辺:「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)
 2011年6月,カチン州南東部に位置するターペイン水力発電所プロジェクト現場に近い拠点をめぐり,ミャンマー国軍と「カチン独立軍(KIA)」との間で戦闘が発生しました。
 2012年1月から,ミャンマー政府はKIAとの間で和平交渉を行っていますが,同州南部の一部ではミャンマー国軍とKIAとの間で散発的な衝突が繰り返されてきました。2013年1月14日,ミャンマー国軍の砲弾がライザー中心部に着弾し,一般市民に死傷者が生じた他,2014年11月19日には,国軍がライザー市内のKIA訓練学校を攻撃し,数十名の死傷者が発生しました。
 つきましては,同地域への渡航は,どのような目的であれ止めてください。

(3)カチン州(除く,ライザー周辺):「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(継続)
 2011年6月以降,カチン州ライザー周辺以外の地区でもKIAとミャンマー国軍との間で断続的に戦闘が発生しています。特にパカン地区,バモー地区,マンシー地区などでは,戦闘が頻発しています。
 つきましては,同地域への不要不急の渡航は止めてください。渡航・滞在する場合には最新の現地治安情勢について情報収集に努めるとともに,安全確保のため準備を十分に行い,不測の事態に巻き込まれないよう注意してください。
 なお,2016年5月現在,カチン州の一部地域は「旅行制限区域」に指定されています(州都ミッチーナは,指定地域外)。ミャンマー政府から旅行許可が取得できた場合でも,出発前には再度目的地周辺の治安情勢を確認するとともに,渡航に当たっては信頼できる現地情報に詳しい人を同行させるなど,十分な安全措置を講じてください。

(4)シャン州北部(除く,コーカン自治地帯及びラショー,チャウメー,ティーボーの都市部):「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(引き上げ)
 チャウメー郊外等シャン州北部の山岳地帯において,ミャンマー国軍とKIA,TNLA,SSPP等の少数民族武装組織との間で散発的に戦闘が発生しています。
 また,幹線道路付近においても地雷攻撃等が稀に発生しており,2016年4月には,チャウメー郊外の山岳地帯をトレッキング中のドイツ人観光客が地雷を踏み,負傷する事件が発生しました。
 つきましては,同地域への不要不急の渡航は止めてください。渡航・滞在する場合には最新の現地治安情勢について情報収集に努めるとともに,安全確保のため準備を十分に行い,不測の事態に巻き込まれないよう注意してください。
 なお,2016年5月現在,シャン州北部の一部地域は「旅行制限区域」に指定されています(中心都市ラショーは指定区域外)。ミャンマー政府から旅行許可が取得できた場合でも,出発前には再度目的地周辺の治安情勢を確認するとともに,渡航に当たっては信頼できる現地情報に詳しい人を同行させるなど,十分な安全措置を講じてください。

(5)ラカイン州 : 「レベル2: 不要不急の渡航は止めてください。」(継続)
 2012年6月及び10月,ラカイン族仏教徒住民とイスラム教徒との大規模な住民衝突・暴動が発生し,200名以上の死者及び約14万人の国内避難民が発生しました。
 2014年後半以降,情勢は比較的安定しており,2016年3月,2012年6月以降発出されていたラカイン州全土に対する非常事態宣言が解除されましたが,双方のコミュニティ間の緊張状態は依然継続しています。  
 つきましては,上記地域に渡航・滞在を予定されている方は,不要不急の渡航は止めてください。渡航・滞在する場合には,最新の現地治安情勢について情報収集に努めるとともに,安全確保のため準備を十分に行い,不測の事態に巻き込まれないよう注意してください。
 なお,ラカイン州の一部地域は「旅行制限区域」に指定されており,旅行許可なしには入域できません(ガパリ・ビーチ,シットゥエ,ミャウウー等の観光地は,「旅行制限区域」指定地域外)。
 また,仮に旅行許可が取得できた場合でも,出発前には再度目的地周辺の治安情勢を確認するとともに,渡航に当たっては信頼できる現地情報に詳しい人を同行させるなど,十分な安全措置を講じてください。

(6)カチン州,ラカイン州,シャン州北部を除く全土:「レベル1:十分注意してください。」(継続)
ア 国境付近
 タイとの国境付近(シャン州南部,カヤー州,カレン州,モン州,タニンダーリ地域)には,カレン民族同盟(KNU),シャン州軍(南)(SSA-S)等の少数民族武装組織が存在し,これらの組織が爆弾テロ事件,バス襲撃事件等を起こしていましたが,2015年10月,KNU,民主カレン慈善軍(DKBA),シャン州復興評議会/シャン州軍南 (RCSS/SSA(A))等の8の少数民族武装組織は,ミャンマー政府との間で,全国規模の停戦合意(NCA)に署名しました。 2015年7月,カレン州ミャワディ・コーカレイ間の幹線道路にて,国軍とDKBA分派との間での戦闘が発生しましたが,カレン州とモン州の情勢は概ね安定しています。
 ミャンマー政府は,現在でも安全上の理由等から,上記のシャン州・カヤー州・カレン州,タニンダーリ地域等を含め国境と接している州・地域内の一部地区を原則外国人の立入りを禁止する「旅行制限区域」に指定しています。詳しくは下記「3 滞在中の注意事項(4)旅行制限区域」を御参照ください。
 
イ 爆発事件
 ミャンマーでは,各地域において小規模な爆発事件が発生していますので,注意が必要です。
 2013年10月には, ヤンゴン市内をはじめとする以下の地区で計10件の爆発事件及び爆発未遂事件が発生しました。一連の事件は,KNU関係者による犯行と発表されていますが,政府側,KNU側ともに,KNUが組織的に関与したものではなく,KNU関係者の個人的動機による犯行との見方をしています。犯行の目的については,外国投資の阻害,政府とKNUの和平プロセスの妨害等,諸説があります。

●ザガイン地域
 ザガイン地区:小規模爆発事件(2件)
●ヤンゴン地域
 インセイン地区:爆発未遂及び小規模爆発事件(2件)
 タケタ地区:小規模爆発事件(負傷者2名)
 アロン地区:爆発未遂事件
 ヤンゴン市中心部:ホテルにおける小規模爆発事件(負傷者1名)
●マンダレー地域
 マンダレー市内:爆発未遂事件(爆発物発見)
●バゴー地域
 ピュー地区:爆発未遂事件(爆発物発見)
 タウングー地区:小規模爆発事件(死者2名,負傷者1名)
●シャン州
 ナムカン地区:小規模爆発事件(3件)

 また,2014年10月には,シャン州南部タウンジー地区にて連続爆発事件が発生しました。

ウ 自然災害
 2010年10月に上陸したサイクロン「ギリ」により,ラカイン州を中心とした地域に甚大な被害を与えました。また,2015年7月には,豪雨により,北部,西部及び中部地域を中心に洪水が発生し,チン州,ラカイン州,ザガイン地域,マグウェー地域及びエヤワディー地域等で甚大な被害がありました。今後とも自然災害には注意を払う必要があります。
 つきましては,これらの地域に渡航・滞在される方は,信頼できる旅行会社等を通じ,安全な渡航手段・滞在先を選ぶとともに,現地の治安情報にも注意を払い,不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。

3 滞在に当たっての注意
 滞在中は,下記の事項に十分留意して行動し,危険を避けるようにしてください(この他の留意事項などについては,「安全の手引き」,「安全対策基礎データ」を御参照ください。)。また,外務省,在ミャンマー日本国大使館,現地関係機関,報道等から最新情報を入手するよう努めてください。

(1)住民間の衝突
 前記のとおり,ミャンマー国内各地では,異宗教間対立等に起因する住民間の衝突等が発生しています。集会,デモ及び破壊行為が行われている場所には決して近づかず,その場から速やかに離れるようにしてください。また,不測の事態に巻き込まれることのないよう,標的となる可能性のあるモスク等宗教施設,政府機関,軍・警察関連施設には可能な限り近づかないなど,十分注意してください。

(2)犯罪の増加
 ミャンマー全土における重要犯罪認知件数(2014年)を2010年のデータと比較すると,殺人:1.7倍(1,337件),強姦:2.1倍(756件),強盗:1.8倍(116件),窃盗1.4倍(4,497件),薬物犯罪:2.5倍(6,763件)となっており,犯罪の増加傾向が顕著になっています。
 2011年,単独旅行中の邦人女性が殺害される事件が発生しました。特に女性の一人旅は危険が伴いますので,可能な限り避け,日中であっても注意を怠らないでください。
 なお,対人口比で日本の発生件数(2014年統計)と比較すると,殺人は2.6倍,強姦はほぼ等倍,強盗は日本よりも少なくなっています。

犯罪対策として以下の点に注意してください。
●夜間の女性単独行動は避ける。タクシーも油断しない。
●自宅の扉や窓の錠前を堅牢なものやピッキング対策用のものに交換するなど,自衛意識を高める。
●犯罪の標的となるのを防ぐため,外出時にはアクセサリー等貴金属類は極力身につけない。

(3)爆弾事件の発生
 ミャンマーでは過去にもショッピングセンター,映画館,バス停や市場などでも爆弾事件が発生しています。人が多く集まる場所では周囲への警戒を怠らないようにしてください。また,不審な状況や不審物を察知したら速やかにその場から離れてください。当地の爆弾事件は,小規模ながらも爆発物放置による時限式爆発が主流です。また,その手法は民間人の巻き添えを顧みない無差別犯行となっています。

爆弾対策として以下の点に注意してください。
●バス停,タクシー車内,レストランなど人の集まる場所では,持ち主の分からない荷物等に注意する。
●時間差で第二の爆発が起きる可能性があり得るので,爆発事件現場にむやみに近づかない。
●非常時に備え,家族,会社等の単位で緊急連絡先や訪問先等を把握,伝えておく。


(4)旅行制限区域
 ミャンマー政府は,安全上の理由等から国境と接している州・地域を原則外国人の立入りを禁止する「旅行制限区域」に指定しています。業務などによりこれら制限区域への渡航を検討される場合には,事前に旅行代理店等を通じ,ミャンマー政府の許可を取得する必要があります。
 また,仮に旅行許可を取得できた場合でも,出発前には再度目的地周辺の治安情勢を確認するとともに,渡航に当たっては信頼できる現地情報に詳しい人を同行させるなど,十分な安全措置を講じることをお勧めします。なお,これら地域への旅行の必要性が見込まれる場合は,事前に在ミャンマー日本国大使館にも相談ください。

(注)一部の都市・地域を除く全土を旅行制限区域に指定している州・地域:
シャン州,カレン州,カヤー州,チン州,カチン州,ラカイン州

(5)写真撮影の禁止
 軍・警察関係施設,港湾及び橋梁などは原則として写真撮影禁止となっています。

(6)薬物関連犯罪への取締り
 麻薬等違法薬物関連犯罪に対しては厳しい取締りが行われており,違反すると罰則が科されます。罪状が重大で悪質と判断されるときには死刑を宣告されることもあります。

(7)交通事故の多発
 道路整備状況は劣悪で,交通マナーも悪く,整備が行き届いていない車両も多いため,各地で交通事故が多発しています。また,都市部を除く地域では街灯も極めて少ないこと等から,夜間に発生する事故の割合も多くなっています。バス等による夜間の長距離移動は極力避けてください。

(8)在留届の提出
 現地に3か月以上滞在される方は,緊急時の連絡などに必要ですので,到着後遅滞なく在ミャンマー日本国大使館へ「在留届」を提出してください。また,住所その他の届出事項に変更が生じたとき,又はミャンマーを去る(一時的な旅行を除く)ときは,必ずその旨を届け出てください。
 なお,「在留届」は,在留届電子届出システム(ORRネット: http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ )による登録をお勧めします。また,郵送,FAXによっても行うことができますので,在ミャンマー日本国大使館まで送付してください。

(9)「たびレジ」への登録
 在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外旅行者・出張者など)を対象に,現地での滞在予定を登録していただけるシステムとして,2014年7月1日より,外務省海外旅行登録(「たびレジ」)の運用を開始しています(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ )。登録された方は,滞在先の最新の渡航情報や緊急事態発生時の連絡メール,また,いざという時の安否照会連絡などの受け取りが可能ですので,是非御活用ください。


4 隣国のタイ,ラオス,中国,インド,バングラデシュに対しても,それぞれ危険情報が発出されていますので,これらにも御留意ください。

(問合せ窓口)
○外務省領事サービスセンター
 住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
 電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902,2903

(外務省関係課室連絡先)
○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)
 住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
 電話:(代表)03-3580-3311(内線)5139
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)
 住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
 電話:(代表)03-3580-3311(内線)3047
○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp
              http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (携帯版)

(現地大使館連絡先)
○在ミャンマー日本国大使館
 住所:No.100, Natmauk Road, Bahan Township, Yangon,
     The Republic of the Union of Myanmar
 電話:(市外局番01)549644〜549648
   国外からは(国番号95)-1-549644〜549648
 FAX:(市外局番01)549643
   国外からは(国番号95)-1-549643
 ホームページ: http://www.mm.emb-japan.go.jp




○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/

−−−−−−−−−−
トップページ
−−−−−−−−−−