=-=-=-=-=-=-=-=

=-=-=-=-=-=-=-=
● 犯罪発生状況、防犯対策

1 犯罪発生状況
 ヨルダンは、中東地域の中では治安が比較的安定している国の一つと言われていますが、近年、失業者の増大等の社会問題を背景に犯罪発生件数は高い数値で推移しています。ヨルダン公安総局によれば、2020年および2021年の犯罪発生総件数は2年連続で前年に比べ減少していますが、これは新型コロナウイルスの影響により、2か月間に及ぶロックダウンが行われ、その後も引き続き夜間外出禁止令、包括的外出禁止令などが発動されたためとみられています。2022年の犯罪総件数は22,895件(前年比+1904件/+9.07%)と前年に比べ増加していることから、今後、犯罪発生件数が増加傾向に転じる可能性を見据え、犯罪発生状況を注視していくことが必要です。

2 日本人の被害例
空き巣、暴行、痴漢、投石、ジョギング中や観光地等での強盗被害などが報告されている他、タクシー乗車時に運転手からいやがらせを受けた等の事例が報告されています。

3 防犯対策
(1)窃盗犯対策
 空き巣や強盗、ひったくりなどは、特にアンマン市内のスウェイフィーヤ地区、シュメイサーニ地区、アブドゥーン地区、ウンム・ウゼイナ地区などのビジネス街や高級住宅街において多く発生しています。防犯対策として以下のことを念頭において十分気をつけてください。
ア 空き巣や強盗、事務所荒らし等侵入盗への対策
○アパートは、所在地の安全性、周辺施設に対する警備状況を勘案し、要すれば、侵入が難しい上層階を選定する。
○窓、ベランダにシャッターがついている場合、外出時や夕方にはシャッターを下ろす。
○就寝時を含めて常時施錠(玄関ドア、窓、ベランダ等)する(就寝中の盗難被害の多くは、就寝前にドアを施錠していなかった、または、施錠したかどうか覚えていない時に発生している)。
○警備強化、鍵の強化(交換、複数、チェーン錠など)、防犯カメラや防犯ブザー等防犯器具の設置等を行う。
○貴重品は分散して保管する。
○自宅付近において、不審者がいないか常に確認する。
○自身の個人情報や行動日程を、軽々しく口外しない(アパートの管理人や個人の使用人が、内から手引きしているケースもある)。

 なお、帰宅した際にドアが壊れている等、侵入された形跡がある場合は、まだ部屋内に犯人が留まっていることも想定されますので、絶対に一人で中に入らず警察に連絡後、警察官の到着を待って被害状況を確認してください。

イ ひったくりや路上強盗への対策
○自分は被害に遭うことはないという意識を持たない。
○徒歩で移動するする際は、周りの様子に十分注意する。特に後方からゆっくり走ってくる車両、近くに来て急にスピードを緩める車両等には注意する。
○貴重品が入っている物(ハンドバッグ等)は、車道の反対側に持つようにする。
○ひったくりや強盗に遭った際には、絶対に抵抗しない(興奮した犯人から暴行を受けたり、ひったくりに遭った際にバッグ等を離さず、車両に引きずられたりすることで怪我を負う危険性がある)。

(2)銃器犯罪対策
 ヨルダンでは、銃器の所有は許可制となっていますが、実際には無許可で保有されている銃器が広く出回っています。銃器による発砲事件は、2022年中に1,998件発生しています。強盗等の被害に遭った際には、「相手は銃を所持している」ということを念頭におき、絶対に抵抗はせず、冷静な対応を心掛けてください。知り合い、顔見知りであっても、平素から口論や喧嘩等無用なトラブルを避け、相手から恨みを買わないようにすることも肝要です。
毎年行われるタウジーヒ(当国大学進学資格試験)の結果発表後には、一部の市民が祝砲を放ち、付近住民が流れ弾によって負傷したり、住居が破損する等の被害が出ることがあります。また、2020年11月には、下院議会選挙後、選挙結果を受けた祝賀会や結果に対する抗議集会において、空に向け銃を乱射する行為がありました。銃器が広く出回っていることも踏まえ、多くの人が集まっている場所には近づかないようにしてください。

(3)性犯罪対策
 ヨルダンにおける性犯罪は、警察に被害届が提出されていないケースが多く、その数は年間5,000〜6,000件と言われています。また、ヨルダン人、外国人を問わず、性犯罪や性的いやがらせ(声かけ、追従行為、身体接触等)が多く発生しており、日本人女性の性犯罪被害も報告されています。観光地において雇った男性ガイドが、女性観光客に対して犯行に及ぶ事例もあります。
 対策として、以下のような点に留意してください。
○ホテルやアパートの部屋など物理的に閉鎖された場所や人がいない場所で、異性と二人きりになることは絶対に避ける。
○身体を触ってくる、性行為を求めてくる、親しげに話しかけてくる、後をついて歩いてくるなど、相手の態度・行動に不審な点を感じた場合は、きっぱりと断る、大声を出す、その場から走って逃げる、人が多くいる近くの店・ホテルに避難する等の行動をとる。
○身の危険を感じた場合は、躊躇せず、911(日本の警察と消防に該当、英語での対応も可)に電話する。
○胸元が見えるシャツ、短パンなど肌の露出の多い服装は避ける。
○外出から戻る時間が遅くならないよう留意する。
○夜間外出する際は、複数であっても安心せず、行動する時間帯に留意する。
○タクシーに乗る際は、助手席には座らない。

4 その他
 観光客を標的とした事件として、2019年11月6日、アンマン北方約30キロに位置する観光地として著名なジェラシュのローマ遺跡において、刃物を使用した観光客等に対する無差別襲撃テロが発生し、8名(外国人観光客4名、観光関係者2名、警察官2名)が負傷しています。
 2022年には、南部マアーン県において警察官1名がデモ規制中に殺害されました。さらには、同事件の被疑者検挙に赴いた治安機関員と犯人グループとの間で銃撃戦となり、治安機関員3名が殉職する事件が起きました。2018年8月にも、首都アンマンに隣接するバルカ県のフヘイス市において爆弾テロ事件が発生し、同事件の関係先(バルカ県サルト市)に対する強制捜査時に銃撃戦が発生する等、治安機関や民間施設を標的としたテロ計画が確認されています。
このような情勢を十分に認識して、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。


−−−−−−−−−−
トップページ
−−−−−−−−−−