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アメリカ合衆国(米国)

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● 滞在時の留意事項

1 概要
 米国では、出入国管理や査証の発給等は連邦政府が管轄していますが、日常生活に関わる様々な法律や制度は各州や郡・市などの地方政府、あるいは学校区が管轄しているため、州や地方政府によって各種法制度が異なります。例えば、米国の公立校では、小中高の学校の年数や、学齢期児童の就学に必要とされる予防接種の項目などは各州・地域により相違があり、また、運転免許証の取得手続きや交通法規も州により異なります。米国へ渡航される際は、滞在する州や地域に応じた情報収集を行い、準備することが重要です。

2 転居報告義務
 米国に30日以上滞在する外国人(米国永住者を含む)が転居した場合、米国市民権・移民局(USCIS)に対し転居から10日以内に新住所を届け出ることが移民・国籍法第265条により義務づけられています。

◎米国市民権・移民局(USCIS):新住所の届け出(英語)
 https://www.uscis.gov/addresschange  

3 就労
(1)就労が許可される滞在資格(査証)を持たない外国人が米国内で就労することは法律違反となり、不法就労として厳しい取締りの対象となります。米国で就労するには、(ア)事前に就労可能な滞在資格を取得した上で入国する、(イ)米国滞在中に就労が可能な滞在資格への変更を申請し許可を得る、または、(ウ)労働許可を申請し労働許可証(EAD)を取得することが必要です(労働許可が一切認められない滞在資格もあります)。

(2)なお、査証免除プログラムで入国した場合、就労は認められず、また、原則として滞在資格の変更は一切認められません。

◎米国市民権・移民局(USCIS):労働許可申請(英語)
 https://www.uscis.gov/i-765

4 旅行制限
 政府機関や軍事施設等、立入りが禁止または制限されている場所はありますが、基本的に、外国人の米国内の旅行制限はありません。

5 写真撮影
 一般に、許可なく軍事施設等の写真撮影を行うことは禁じられています。連邦政府機関や連邦裁判所の外観を撮影することは違法ではありません。ただし、9.11以降のテロ対策により治安当局は警戒を強めており、警察等の法執行機関には合理的な疑いがある人物を短時間拘束したり身体検査を行う権限があることにご留意ください。

6 各種取締り法規
(1)麻薬・覚醒剤
 ごく一部の例外を除き、米国ではヘロイン、LSD、大麻等の麻薬・覚醒剤は禁止されています。一方、医療用または嗜好用の大麻の使用等を合法化する州は近年増加傾向にあり、嗜好用大麻については、現在、24の州およびワシントンD.C.において成人による使用等が認められています(使用量の制限や使用後の運転禁止等の規制があります)。ただし、日本の大麻取締法は、大麻をみだりに栽培、所持、譲受、譲渡した場合などに罰する規定があり、これらの行為は日本国外で行われても罪に問われる場合があります。そのため、嗜好用大麻の使用等が合法化されている州においても、大麻には決して手を出さないようにしてください。

(2)銃器の所有
 銃器の所有は州ごとに州法によって規制されていますが、一般的に、銃器を所有するためには登録やライセンスの取得が必要です。また、ハンティングや射撃場等で銃器を使用する場合も、さまざまな規制がありますので、居住地の州法や規制に従って行動してください。

(3)外出禁止令
○米国の多くの州・地方政府では、青少年を対象とした夜間の外出禁止(Curfew)を条例等により定めています。一般に、夜間に保護者を伴わず公共の場にいる青少年が措置の対象となりますが、外出禁止となる時間帯や対象年齢等は地域により異なるため、居住地を管轄する州および地方政府のサイト等でその詳細を確認するようにしてください。
○また、これとは別に、抗議活動が暴徒化した場合や大規模自然災害が発生した場合など、治安維持や住民の安全確保を目的として臨時的な外出禁止令が発令されることがあります。

(4)その他  
○米国においては、民事および刑事ともに法令・規則は州ごとに定められており、一律でないことに留意する必要があります。
○多くの州では、21歳未満の飲酒、年齢に関わらず公共の場における飲酒、屋内施設(飲食店の屋外席を含む)での喫煙、公共のカジノ・競馬・ドッグレース場等を除く賭博などが禁止されています。
○州によっては釣りやハンティングにライセンスの取得を義務づけていたり、レジャー・スポーツについても何らかの規制を設けている場合があるので、事前によく確認することが重要です。

7 家庭内の問題
(1)配偶者からの暴力
 米国には、配偶者からの暴力(DV)等の家庭内の問題に対応する支援団体・機関が多くあり、シェルターやカウンセリング、弁護士の紹介および法律相談、法的援護活動、生活困窮者に対する救済金申請支援、育児支援等の一連の情報提供を受けることができ、日本語での利用が可能な団体・機関もあります。問題の兆候がある場合には、こうした支援団体・機関にお早めにご相談ください。なお、日本国大使館や総領事館等で支援団体・機関を紹介できる場合もあります。

◎日本国外務省:在外公館における情報提供・支援
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/ha/page22_001736.html

 https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/ha/page25_000838.html
  (在外公館で入手できる具体的な情報提供・支援一覧 北米)

(2)しつけと児童虐待
 子どもへの体罰や、公衆の面前で子どもに対し大声で叱りつけるなどといった行為は児童虐待とみなされる場合があります。親が逮捕されて子どもは隔離保護となり、裁判によって家族と引き離される可能性もあります。また、身体的暴力や言葉による暴力だけでなく、子どもに服を着せない、または靴を履かせず外を歩かせる、適切な食事を与えない等の行為でも虐待・育児放棄(ネグレクト)として通報されることがあります。

(3)子ども単独の留守番
 単独での留守番が可能な子どもの年齢については州ごとに定められていますが、一般に、自救能力が備わってくる小学校高学年になるまでは、親が子どもに付き添うか、ホームシッターなど適当な保護者を付ける必要があります。法に反する場合はもちろん、留守中に子どもに何らかの被害が発生した場合は、親は児童虐待として逮捕される可能性があります。なお、小学校高学年までの子どもを車中に単独で残す行為も多くの州で違法行為とみなされ、まだそれを直接的に禁止する法律がない州であっても目撃者から警察に通報される可能性があります。短時間の買い物等であっても子どもを車中に残すことは絶対に避けましょう。

(4)国境を越えた子どもの連れ去り(ハーグ条約)
○一方の親の監護権を侵害する形(例:一方の親の同意がない場合)で、16歳未満の子を常居所地国から出国させること(連れ去り)や、約束した期限を経過しても子どもを常居所地国に返さないこと(留置)は、子にとって、それまでの生活基盤が急変するほか、一方の親や親族・友人との交流が断絶され、また、異なる言語文化環境へも適応しなくてはならなくなる等、有害な影響を与える可能性があります。ハーグ条約(国際的な子の奪取に関する民事上の側面に関する条約)は、そのような悪影響から子を守るために、原則として元の居住国に子を迅速に返還するための国際協力の仕組みや国境を越えた親子の面会交流の実現のための協力について定めています。
○日本と米国はいずれもハーグ条約の締結国です。一方の親がもう一方の親の同意を得ずに16歳未満の子を米国から日本その他条約締結国へ連れ去った場合、または、日本から米国その他条約締結国へ連れ去った場合、残された親による申請に基づき、ハーグ条約に基づく返還援助、面会交流等実施の対象になり得ます。
○また、米国の国内法(刑法)では、両親いずれもが親権(監護権)を有する場合、一方の親がもう一方の親の同意を得ずに子どもを連れ去る行為は重大な犯罪とみなされます。

◎日本国外務省:ハーグ条約
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/index.html
◎米国国務省:International Parental Child Abduction(英語)
 https://travel.state.gov/content/travel/en/International-Parental-Child-Abduction.html
◎米国司法省:International Parental Kidnapping(英語)
 https://www.justice.gov/criminal-ceos/international-parental-kidnapping

8 在留届
 米国に3か月以上滞在する方は、緊急時の連絡などに必要ですので、オンラインによる在留届電子届出システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )を通じて、管轄地域の在外公館に在留届を提出してください。日本から転居する場合には、住所が決まっていなくても、日本出発の3ヶ月前からオンライン提出が可能です。
この他、住所その他届出事項に変更が生じたときは「変更届」を、日本への帰国や他国に転居する際には「帰国・転出届」を、在留届電子届出システムを通じて必ず提出してください。

9 「たびレジ」
(1)在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外の在留地から第三国への短期渡航も含む)は、「たびレジ」への登録をお願いします。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html

(2)「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報などを日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、お住いの地域で事件や事故、自然災害等が発生し、管轄地域の在外公館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受取先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。


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