=-=-=-=-=-=-=-=

ロシア

=-=-=-=-=-=-=-=
● 滞在時の留意事項

1 IT化とキャッシュレス化の進歩
(1)クレジットカード等利用上の留意点
 ロシアでは、最近数年間のうちに携帯電話アプリを利用したIT化と、クレジットカードやデビットカードを利用したキャッシュレス化が急速に進歩しました。主要都市の屋内店舗ではレストランやスーパーマーケットから、博物館、美術館、劇場等も含めてほぼキャッシュレス精算が可能ですが、いずれもロシア国外で発行されたクレジットカードは利用できません。ロシア国内で発行されたクレジットカードを所持していない場合、現金を持ち歩く必要があります。
 なお、クレジットカードの利用については、利用ごとに通知がくるサービスを利用するなどして頻繁にチェックしてください。ロシア当局は、フィッシングサイトの被害が多く出ているとして注意を呼び掛けています。
(2)公共交通機関
 IT化とキャッシュレス化の進歩に伴い、以前は慣れないと使いにくかった鉄道、地下鉄、バス、路面電車等の公共輸送機関はグーグルマップ等の地図アプリを使うことで利用しやすくなりました。また、一部主要都市では携帯電話アプリによる運賃支払いも可能になっています。
 タクシーについてもクレジットカードで精算する配車アプリが普及し、運転手と会話しなくとも確実に目的地に着き、乗車前に表示された金額で精算することが可能となり、これに伴って、タクシーで「ぼったくり被害」にあったとの相談は少なくなりました。
 他方で、地図アプリ等で表示されても、バスや路面電車等がその通りに到着しないこともありますので、不案内な土地では時間に余裕をもって行動してください。
(3)SNS利用上の注意(複数の通信手段の確保)等
 日本でよく使われるSNSの一部について、ロシアではうまく繋がらない、または発着信に時間がかかることがあります。日本の留守家族から、ロシア国内の旅行者と連絡がとれないとの相談が寄せられる例が多いので、家族等への連絡には複数の通信手段を用いてください。
 なお、ロシア国内のホテルや空港などの公共施設では無料Wi-Fiを提供していますが、電話を使ってログインする方式のものがありますので、日本から携帯電話を持参する場合にはロシアで受信可能なものであるか、旅行前に契約内容を確認することをおすすめします。

2 到着通知制度(旧滞在登録制度)
 外国人がロシアにおいて7労働日以上同じ場所に滞在する場合には、到着後7労働日以内に最寄りの移民局機関に到着通知(ウヴェダムレーニエ ア プリビィチイ:уведомление о прибытии)をしなければなりません。ただし、高度な専門性を有する労働者として認定を受け労働許可(HQS: High Qualified Specialist)を得ている外国人については、到着から90日以内に到着通知をすればよいことになっています。
 2018年7月の法律改正により、以前は可能だった外国人居住者の勤務先による到着通知は廃止され、原則として、家の所有者(アパートの大家など)が当該外国人のパスポート、出入国カード等を持参して最寄りの移民局にて手続きを行うことになりました。この制度は、外国人旅行者が一般の住居に7労働日以上宿泊する場合にも適用されます。なお、同じ場所に7労働日以上滞在しない場合には手続き不要です。
 外国人がホテルに宿泊する場合は1泊でも到着通知の義務が課せられますが、この手続きはホテルが行いますので、チェックインの際にパスポートと出入国カード(入国審査官から渡されたMigration Card、A6サイズ)の提出を求められます。これが提出できない場合には宿泊を拒否されますので、旅行中に紛失しないようご注意ください。
 留学生の場合には、留学先の学校が3日以内に手続きを行う必要があります。

3 旅行制限
 ロシアでは、他国との国境周辺に立ち入りを制限する「国境区域」が設けられています。国境区域に立ち入るためには、「国境制度規則の承認に関する連邦保安庁令」の定めにより、国境警備当局が発行する許可証が必要です。
 沿海地方(ウラジオストク市を含む行政区域)には軍事閉鎖都市、軍事立入禁止区域が点在しているので注意が必要です。また、軍の敷地(主に郊外に位置し、鉄条網等で区画されて、標識や黒字の看板に黄色文字でロシア語を記載したものが設置されている場所)内への立入りも禁止されています。

4 各種取締法規
(1)違法薬物
 麻薬および向精神薬については非常に厳しく規制されています。麻薬または向精神薬の大量不法入手または保管(販売する意図がない場合)は懲役3年以内、大量不法入手で販売する意図のある保管および製造、加工、運送、送付、販売に関わった者は3年から10年の懲役、更に財産を没収される場合もあります。なお、「大量」の定義は麻薬取締委員会が定めるもので、乾燥マリファナは2.0グラム以上、ハシシは0.05グラム以上等と定められています。また、それに満たない場合でも、行政法規によって処置対象になります。麻薬には絶対に関わらないでください。
 なお、知らないうちに麻薬の「運び屋」に仕立て上げられる可能性もありますので、いかがわしい場所への立入りや面識のない人との付き合いには十分注意するとともに、他人から安易に荷物を預からないよう注意してください。
(2)パスポート常時携帯義務
 外国人は常時パスポートを携帯するよう法律で決められており、警察官等による検査が実施されています。
(3)労働
 外国人雇用のライセンスがあるロシア企業との間で契約を交わした場合を除き、外国人がロシア国内で労働することは許可されません。
(4)政治活動
 外国人による政治活動(デモ参加、署名集め、印刷物の配布等)は厳しく規制されます。
(5)賭博
 公的に指定された施設以外での賭博行為は違法です。例えば、カジノでの賭博行為は、一部指定される地域では認められていますが、モスクワは指定された地域ではありません。
(6)飲酒
 広場、駅、路上など公共の場所での飲酒は禁止されており、違反すれば罰金や拘束の対象となります。
(7)LGBT法
 「同性愛等の情報流布の制限に関する法律(LGBT法)」により、同性愛等の情報流布や関心を喚起する情報の強制は、罰金や拘束の対象とされています。

5 交通事情
 モスクワを含め主要都市の中心部等では、慢性的に渋滞が発生します。道路標示や交通標識はおおむね日本人でも理解できるものですが、対向車線を横切る左折やUターンなどの交通標識はロシア独特の交通法規を熟知していないと運転しにくい状況です。
(1)日本との比較から見た、事故につながりやすいロシアの交通事情
ア 急加速、割り込み、路肩走行、反対車線走行、急な車線変更等が多い。
イ 歩行者の安全意識が低く、無理な横断や飛び出しなどが多い。
ウ 故障車、事故車、作業車を避けようとして、前の車両が急な車線変更を行うことがある。
エ 冬季は、ヘッドライトの汚れやフロントガラスの曇りで視界が悪くなる。
オ 降雪で覆われたり、除雪作業等で削り取られたりして、車線が見えなくなる期間が長い。
カ 厳冬の影響で道路に穴が開きやすい。
(2)交通事故防止対策の留意点
上記のような交通事情の中で事故を起こさないよう、次の点に留意の上、慎重な運転を心掛けてください。
ア 車で出かけるときはあらかじめ道路(規制状況)や目的地を携帯電話のカーナビ機能(グーグルマップやヤンデックス等)を利用して調査しておき、慎重に運転する。
イ 冬季には特にタイヤの交換やウォッシャー液の補充を含む走行前点検を確実に実施し、事故の原因を作らない。
ウ 車線変更、右左折時の信号は早めに行い、バックミラー、サイドミラー等での確認を怠らない。
エ 対向車線寄りの車線の使用は、緊急車両や対向車が追い抜きのため飛び出してくる可能性があるので、十分注意する。
オ 夜間、雨天時等、視界が悪い中での運転は、特に慎重を期す。
カ 冬季は路面が凍結し、滑りやすいので冬季タイヤを使用し、スピードを控え、十分な車間距離を取る。また、郊外の道路は、除雪が間に合わない場所があるので、渋滞情報などを事前に確認する。
キ 特にUターン、左折時は対向車のスピード等を確認し、予測運転はしない。
ク 万一の事故等に備え、保険には必ず加入しておく。(保険に加入せず車を運転している者が多いので、事故に遭った場合、自分で修理費用等を支出することになりかねず、高級車との事故では多額の賠償金を要求されることがあります。)
ケ 横断歩道の標識があるところでも、走行してくる車が減速するか停車するのを確認してから横断する。
(3)交通事故時の対応
 自分が原因となって交通事故を起した場合(第一当事者)や、交通事故に巻き込まれた場合(第二当事者)には次の要領で対処してください。
ア 車両は停車したまま移動させない(交通警察官が確認するまで動かすことは不可。自分自身は安全な場所に移動する)。
イ 負傷者がいる場合には、直ちに救急車を要請して救護にあたる。
ウ 相手の車両ナンバーや運転手(住所、氏名、電話番号、免許の記載内容等)を確認する。
エ 最寄りの警察署または近くの交通警察官に通報する。
オ 負傷した場合は救護の措置を要請し、病院では診断書と支払領収書を徴収しておく。
カ 目撃者がいる場合は、氏名、住所、電話番号などを聞いてメモしておく。
キ 時間があれば事故時の状況をメモしておく(ロシア語ができない場合には、知人などに事故の状況をメールで送ってもらい交通警察官に提示することで現場での事情聴取が効率的になります。)。
ク 警察官に免許証、車の登録証を提示して事故調書を作成してもらう。調書の内容が良く分からない場合は、すぐに署名せず、通訳を介して署名することを告げる。
ケ 警察官に事故証明書の発行日時、受領する警察署の場所、電話番号等を確認しておく。
コ 事故後直ちに事故内容を保険会社に連絡する(後日、事故証明書が発行されたら手続きを開始することになる)。

6 ハーグ条約
 ロシアは、国境を越えて不法に連れ去られた子の返還の仕組み等を定める「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」の締約国です。一方の親の監護権を侵害する形で子どもを常居所地国であるハーグ条約締約国から他のハーグ条約締約国へ連れ去りまたは留置した場合は、原則的に子が常居所地国に返還されることとなります。ハーグ条約についての詳細はこちらのページをご覧ください。
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/index.html

7 在留届
 ロシアに3か月以上滞在する方は、緊急時の連絡等に必要ですので、到着後住所または居所が決まり次第遅滞なく、在ロシア日本国大使館またはロシア国内の各日本国総領事館に在留届を提出してください。また、住所その他届出事項に変更が生じたとき、または日本への帰国や他国に転居する(一時的な旅行を除く)際には、必ずその旨を届け出てください。在留届の届出は、オンラインによる在留届電子届出システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )による登録をおすすめしますが、郵送によっても行うことができますので、最寄りの在外公館まで送付してください。

8 たびレジ
 在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外旅行者・出張者を含む)は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報等を日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、ロシアで事件や事故、自然災害等が発生し、在ロシア日本国大使館または各総領事館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受け取り先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。外国に居住されている在留邦人であっても、他の外国や同じ国内でも遠隔地に旅行される場合には「たびレジ」をご利用ください。


−−−−−−−−−−
トップページ
−−−−−−−−−−