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イラン

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● 滞在時の留意事項

 特別な旅行制限はありませんが、海外安全ホームページ(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_046.html#ad-image-0 )などにより、最新の情報入手に努めてください。

1 写真及び動画撮影の制限
 女性、礼拝中のイスラム教徒、あるいは宗教行事を撮影する場合には、事前に了承を得る必要があります。
 空港、駅・鉄道、港湾、橋、軍事施設、国境地帯、旧アメリカ大使館(現在は革命防衛隊の施設となっています)、政府関係施設、各国大使館・大使公邸等は撮影禁止となっています。
 日本人旅行者がテヘラン市内にあるメフラバート国際空港周辺で、同空港の外観等を写真撮影していたところ、治安当局に一時拘束され、写真撮影に使用した小型タブレット、旅券等を押収され、国外退去処分となった事案や日本人出張者が革命ガード関係施設を撮影し、治安当局に連行され関連施設に一次拘束された事案も発生しています。
 また、撮影禁止地域であるにもかかわらず、撮影禁止の看板・標識が出ていないケースも散見されることから、撮影する際は周囲の人に必ず確認する等、十分注意してください。

2 抗議デモ及び集会
 イラン治安当局は抗議デモや集会に対する取締まりを強化しています。意図せずこのような場所に居合わせただけであっても、当局にあらぬ嫌疑をかけられ、逮捕・拘束されるおそれがありますので、以下の点に十分注意してください。
(1)デモ、集会等の最新情報をメディア、ウェブサイト、在イラン日本国大使館のホームページ等で常に確認する。
(2)デモ、集会等の現場には近づかない。
(3)デモ、集会等の撮影・動画撮影は行わない。
(4)万が一、デモ、集会等に遭遇した場合は速やかにその場を離れる。

3 服装
 イランでは、満9歳以上の女性は、外国人・異教徒であっても例外なく、公共の場所ではヘジャブとよばれる頭髪を隠すためのスカーフと身体の線を隠すためのコートの着用が法律上義務付けられています。そのため、外出時には、女性は必ずヘジャブを着用しなければなりません。女性のヘジャブの着用は、家から一歩外に出たところ(公の場)から義務付けられます。
 なお、ヘジャブについては、あまり派手でない色のほうが無難です。
 男性も過度に肌を露出させることは好ましくないとされているため、半ズボン及び肩の出る袖無しシャツで外出することは禁止されています(Tシャツは可)。
 治安当局は外国人に対しても風紀取締りの対象としていることから、思いがけないトラブルに巻き込まれないよう、くれぐれも注意が必要です。

4 飲酒
 厳格な禁酒国であり、いかなる場所においても、また、外国人であっても例外なく飲酒が禁止されています(持ち込みも禁止されています)。

5 男女関係
 仕事の場面を含め、男女が公衆の面前で握手、手を繋ぐことは好ましいとはされていません。路線バス、地下鉄内は男女別に乗る場所が仕切られており、スポーツについても、スキー場、ゴルフ場を除いては、テニスコート、海水浴場等ほとんどの施設が男女別となっており、家族であっても男女一緒に公共の場所でスポーツを楽しむことはできません。
 外国人といえども例外ではなく、あらぬ嫌疑をかけられ、治安当局の取り締まりの対象となる場合があるので、注意する必要があります。

6 音楽
 公衆の場でポップス、ロック等、欧米的な音楽(ディスコ音楽等)を流すことは好ましくないとされています。
 クラシック音楽については一般的に問題ないようですが、女性が単独で公の場で歌唱することは禁止されていますので注意が必要です。また、ドライブする際、窓を開けたまま大音量で「西洋音楽」を聞くことは避けてください。

7 映像・書籍・衛星放送
 恋愛・性をテーマとした映像や女性の肌が過度に露出した映像・写真及びそのような映像・写真の掲載・記録された書籍や媒体の持ち込みは原則禁止されています。また、海外衛星放送の無許可での受信は法律によって禁止されており、文化・イスラム指導省に届出をして許可を得ない限り、違法行為になります。

8 身柄拘束等
 上記2〜7に違反したことが判明した場合には、警察に、アルコール類、音楽テープ、CD、DVD、ビデオテープ、または衛星放送アンテナを没収された上で罰金を科され、また、場合によっては身柄を拘束されることがあります。

9 現金による支払
 イランでは、クレジットカードが使用できないため、原則リアル、ユーロ又は米ドルの現金での支払となりますが、昨今、紙幣が古い、汚いことを理由に受け取りを拒否され、トラブルとなるケースが散見されています。支払のための現金を準備される際は、注意してください。

10 交通事情
(1)報道によれば、イランでは交通事故の死者数が2021年3月21日から同年9月21日までの半年間で8,644人となっています。
(2)一方通行の逆走行、無理な割り込み・追い越し、夜間の無灯火、急激な車線変更、信号無視、バイクの歩道走行等の違反行為が日常的に行われています。 また、車両は横断歩道があっても一時停止は殆どしませんので、歩行者は十分な注意が必要です。
(3)運転する場合は、歩行者が交差点、横断歩道、交通信号の有無に関係なく、また高速道路であるにもかかわらず、横断してくることがあるので注意が必要です。

11 子の親権問題等
 近年、国際結婚をする方が増えています。イラン国籍の方と結婚している日本人であって、イランにお住まいの場合、又は日本や第三国に生活の拠点を置いているが、イラン国籍の家族と一時的な里帰り等の目的でイランに短期渡航中の場合には、以下のことに注意してください。
(1)子がいる場合、子の養育は父母の義務及び権利とされています。(イラン民法第1168条)
(2)離婚が成立した場合、あるいは夫婦が同居していない場合、子が7歳になるまでは母親の養育権が優先され、7歳以降は父親の養育権が優先されます。(イラン民法第1170条)
(3)親権・養育権の有無にかかわらず、一方の親の同意なしに子をイラン国外に連れ去り(日本への一時帰国もこれに該当します)、当該親により「親権に関する法」に基づき、イラン国内で提訴された場合には、罰金刑・禁固刑が科される可能性があります。

(参考)イラン旅券法について
・イラン旅券を所持している場合は、イラン当局から、イラン旅券による出国が求められます。
・イラン国籍の配偶者を有する女性(およびイラン国籍の父親を有する18歳未満の子供)は、イラン旅券申請の際、夫(父親)による出国同意署名を受ける必要があり、この同意署名がなければイラン旅券を取得することができません。
また、イラン旅券取得後でも、夫(父親)にはその許可を取り消す権利が認められており、夫(父親)が出国同意を取り消す旨の意思表示をイラン当局に行った場合、妻(子ども)の国外への移動は制限され、イラン旅券が関係当局に押収される可能性があります。
 具体的な事案については、イラン国内法に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

12 在留届
 イランに3か月以上滞在する方は、緊急時の連絡などに必要ですので、到着後住所または居所が決まり次第遅滞なく在イラン日本国大使館に在留届を提出してください。また、住所その他の届出事項に変更が生じたとき、または日本への帰国や他国に転居する(一時的な旅行を除く)際には、必ずその旨を届け出てください。なお、在留届の届出は、オンラインによる在留届電子届出システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )による登録をお勧めしますが、郵送によっても行うことができますので、在イラン日本国大使館まで送付してください。
 その他、不測の事態が発生するおそれがありますので、出入国について、在イラン日本国大使館と緊密に連絡してください。

13 たびレジ
 在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外旅行者・出張者を含む)は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。たびレジは、滞在先の最新の安全情報等を日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、イランで事件や事故、自然災害等が発生し、在イラン日本国大使館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受け取り先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。
 その他、不測の事態が発生するおそれがありますので、出入国について、在イラン日本国大使館と緊密に連絡してください。


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