海外邦人事件簿|Vol.41 数字が語る日本人のトラブル事情(その2)

 今回は、「2004年海外邦人援護統計」から、窃盗、強盗、詐欺などの財産犯罪に関する日本人の被害傾向について、過去のデータと比較しつつ考察したいと思います。ただし、2003年は、新型肝炎(SARS)や米英の対イラク武力行使の影響で、2004年と比べて海外渡航者の数が極端に少なかったので、海外渡航者数が比較的似通っている2002年のデータと比べてみます。犯罪別の詳細なデータは「海外邦人援護統計」の「8.一般犯罪による財産犯(窃盗・強盗・詐欺)被害件数と手口」をご覧ください。

渡航者数・被害件数などの基礎データ
  2002年 2004年
海外渡航者数 16,522,804人 16,831,112人
窃盗被害件数 5,439件 5,169件
強盗被害件数 1,022件 442件
詐欺被害件数 375件 455件
被害総件数 6,836件 6,066件
1.置き引きにご注意!
置き引きは2,332件→2,225件、件数自体はやや減少しているものの、レストラン、空港、ホテルでの置き引きが依然として多発し、窃盗被害の4割以上を占めています。空港やホテルでのチェックインの際は、バッグを身体から離さないようにするなど工夫をしましょう。レストランでバッグを離さずに食事することは至難の技ですが、何か一工夫しないとあなたのバッグは消えてしまいます。
レストランで食事するとき、置き引きに注意!

2.増加する詐欺被害!
詐欺被害は80件の増加となっています。特に「いかさま賭博」は94件→136件と1.5倍に急増しています。「いかさま賭博」については海外邦人事件簿でも紹介している他、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム等の「安全対策基礎データ」などでも注意を呼びかけています。「いかさま賭博」では、所持金だけではなく、クレジットカードで金製品の購入を強要されるなど、被害額が高額となる例が多く、十分に注意を払う必要があります。  また、「海外版振り込め詐欺(オレオレ詐欺)」なども発生しており、国際的な詐欺の手口が複雑化・多様化しています。海外安全ホームページでこうした詐欺の手口を知っておくと、いざというときに被害に遭わずに済むのではないでしょうか。
3.強盗にも油断すべからず!
強盗被害は大幅に減少していますが油断は大敵です。夜道の一人歩きはしない、危険な地域に近づかないなど基本的なことを守ることが大切です。
夜道の一人歩きは止めましょう

4.重要なのは、あらかじめ海外の犯罪手口を学ぶこと!
被害総件数では770件減、10%以上の減ですので、海外渡航者の犯罪に対する警戒意識の向上がうかがえます。特にスリ被害は1,769件→1,274件と大幅に減少しています。「話しかけスリ」は292件→73件、「ケチャップかけ」や「コイン落とし」は76件→21件となっています。渡航者の皆さんが、あらかじめ海外の犯罪手口を学んでいたため被害件数が減少したものと思われます。
その他、多くの邦人が被害に遭った犯罪には、車上狙いの窃盗(541件)、空き巣(231件)、ひったくり(406件)などがあります。当ホームページでも掲載している「海外安全虎の巻」を読んで、安全対策をとるようにしましょう。「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」です。

(2005年11月7日掲載)

ページの先頭へ戻る