海外邦人事件簿|Vol.31 出入国とセキュリティ

2001年の9.11テロ事件後、日本も含め世界各国の空港セキュリティチェックが強化されていますが、とりわけ米国の対応は厳しさを増しています。あのような悲惨な事件を二度と起こさないためにも、水際の取締りを強化するのは当然の対策でしょう。出入国をする旅行者自身も、これまで以上に所持品や荷物の管理に気を付けなくてはならなくなっています。

『カリブ諸国を旅行中の日本人Aさん。ハイチからバハマへ向かう途中、乗り継ぎのため米国マイアミに立ち寄った。マイアミ空港でバハマ行きの航空機に搭乗しようとした際、手荷物の中から屋外調理用の小型ボンベが発見された。ボンベの中にはガソリンが入っていたことから直ちに逮捕された。米国の入国管理当局は、テロの可能性も含め、詳細な取り調べを行い、その結果、セキュリティに関する違反として国外追放処分、加えて今後10年間の米国への再入国禁止という決定が下された。』

手荷物の中から屋外調理用の小型ボンベが発見され、逮捕

結局、Aさんは予定していたバハマには行けず、日本へ強制送還されてしまいました。Aさんにしてみれば、「何で米国だけが厳しいの?」ということかも知れませんが、他の乗客にとってみれば、ホッと胸をなで下ろしたことでしょう。他意はなくても、こうした危険物を機内に持ち込もうとしたこと自体、非常識と言わざるを得ません。

『米国某都市のA空港。搭乗前にアタッシュケースを預け入れたBさん。日本へ到着後、荷物カウンターでアタッシュケースを受け取ったら、鍵が壊されていた。Bさんは憤慨し、空港に問い合わせたところ、空港側は「セキュリティチェックでアタッシュケースの中に不審なものが写ったので、鍵を壊して中身の検査をした」とのことであった。』

預け入れたアタッシュケースを受け取ったら、鍵が壊されていた

ちなみに、2002年末に改訂された米国運輸保安局のガイドラインにも、「預け入れ荷物の検査をする際、鍵がかかっていれば壊して開けることもある」ことが明示されています。確かに、防犯上、鍵を開けたまま荷物を預け入れるのには抵抗のある方も多いと思います。しかし、生命の安全に勝るものはありません。鍵を壊されるのは心外という方は、貴重品は預け入れ荷物から出して自らが管理し、荷物の鍵を開けたまま預けた方が無難でしょう。もちろん、鍵を壊されることも覚悟した上であれば、施錠したまま預けることも本人の判断です。

セキュリティには、これで万全ということはありません。各国の空港セキュリティはますます強化される傾向にあります。中には煩わしさを感じている人がいるかも知れませんが、こうした対策は、全て旅行者自身の安全のために行っているものです。

多少の不便は喜んで我慢すべし。

(2005年1月4日掲載)

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