海外邦人事件簿|Vol.25 偽者にはだまされるな!

昨年(2003年)から日本では、赤の他人が息子と偽り、その親や兄弟に電話を架けて金銭を騙し取るといったいわゆる「オレオレ詐欺」が深刻な社会現象となっています。古今東西を問わず、偽者になりすました悪者が、善良な人を騙すというのが詐欺の典型ですが、外国でも実に様々な「偽者」が、手まねきをしながら日本人旅行者を待ちかまえています。今回は、こうした「偽者」にスポットを当て、日本人が詐欺の被害者となっている一例をご紹介しましょう。

『チェックインを済ませホテルの部屋で休憩していたAさん。しばらくして、フロントから一本の電話があった。「宿泊手続きのためパスポートのコピーが必要です。これからホテルマンを向かわせますのでお渡し下さい」とのこと。しばらくして、部屋を訪れたホテルマンにパスポートを手渡したが、そのパスポートは二度と返ってこなかった・・・。』

部屋を訪れたホテルマンにパスポートを手渡したが、そのパスポートは二度と返ってこなかった

『出張先の空港に到着したBさん。到着ロビーで出迎え者を待っていたところ、「Bさんですね。お待ちしていました。」という挨拶とともに近づいてきた男に荷物を手渡し、送迎車まで案内してもらった。その男は送迎車に荷物を入れ、運転手の待つ車に乗った途端、Bさんを置き去って逃走してしまった。Bさんは、犯人がBさんのカバンにつけてあったネームプレートを読んで、自分の名前を呼んだことに後になって気づいた・・・。』

「Bさんですね。お待ちしていました。」という挨拶とともに近づいてきた男に荷物を手渡し

これらの他にも、観光地で観光客のガイド役を申し出て、最終的に高額の金銭を要求する「偽ガイド」や、以前の事件簿でも紹介した「偽警官」など、様々な手口で不案内な日本人観光客が偽者詐欺の被害に遭っています。

偽者にだまされないためには、まず注意深く相手を観察すること。少しでも疑わしい場合は素性の確認をするまで相手の要求に乗らないことが大切です。例えば、ホテルマンなら「そのホテルのユニホームを着ているか」といった衣服の観察、そして、ホテルマンが客の所持品を預かることはまずないので、フロントに確認するといった慎重さも求められます。出迎え人が怪しいと思えば、名前を聞いて迎え先の会社などに本人確認をするといった具合です。

「疑わしきは偽者と思え」海外ではこれくらいの気構えで臨んだ方が無難です。

(2004年7月26日掲載)

ページの先頭へ戻る