海外邦人事件簿|Vol.23 データが物語る日本人トラブル事情(その3)

「海外邦人援護統計」シリーズも今回が最終回。今回は、財産犯罪の被害に遭う日本人の年齢層にスポットを当て、被害の傾向や特徴を見てみましょう。

1.財産犯罪の被害者は、20代が3割強!
全年齢層を通じ、最も犯罪被害に遭っているのは20代で、その割合は31%に達しています。全ての渡航者に占める20代の割合が20%であることを見ても、いかに20代の若者が犯罪の対象になっているかが読みとれます。これには、「渡航経験が少ない」「行動範囲が広い」「盛んな交流指向」といった若年旅行者の特徴にも要因がありそうです。

<参考>年齢層による財産被害者の比率

19才以下 20~29才代 30~39才代 40~49才代 50~59才代 60才以上 不明
財産被害者 4% 31% 19% 12% 13% 10% 11%
渡航者 8% 20% 21% 17% 19% 15%
2. 若年者に多い犯罪被害
全ての犯罪を通じて若年者の被害件数は多いのですが、他の年代と比べ、特に割合が高いのは、詐欺被害(35%)。「いかさま賭博詐欺」や「宝石詐欺」、「睡眠薬強盗」などのいわば定型パターンで多くの若年旅行者が損害を被っています。旅先での人との交流も場合によりけり。時として大きな代償を払うことになるのです。他にも、「列車や長距離バスでの置き引き」「宿泊施設での空き巣」など若年者の旅行形態に起因すると見られる犯罪で非常に高い数値が見られます。
いかさま賭博詐欺

3. 壮年者に多い犯罪被害
高齢者ほど犯罪被害率が低いのは、年の功とも言うべき経験のなせる業でしょう。しかし、いくつか注意すべきデータも出ています。例えば、空港やホテルのロビーなどでの置き引き被害は、50代以上の高齢者の方に多く見られます。長い旅路でホッとする瞬間、注意力が散漫になりがちなのかも知れません。また、強盗などの力づくによる犯罪には、力の弱い高齢者を狙ったと思われる事例も多く見られます。
空港やホテルのロビーなどでの置き引き

以上、3回に渡って、データ上で示される日本人渡航者の犯罪被害の傾向について紹介してきました。まとめとして、最も犯罪者に狙われやすい日本人渡航者をイメージしてみましょう。

『20代前半の男子大学生。夏休みを利用して初めての海外へ。どうせ行くなら自由気ままにと、一人旅で東南アジア各地への旅行を計画している。現地で様々な人との交流を夢見て、今から気分は最高潮!』 少しでも共通点のある方はご用心を。

(2004年6月28日掲載)

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