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テロ・誘拐情勢

2016年02月23日

1.概況
(1)ペルーでは、センデロ・ルミノソ(SL)及びトゥパク・アマル革命運動(MRTA)の二大テロ組織が1980年代から活発なテロ活動を行っていました。しかし、1990年初頭以降、ペルー政府が強力なテロ対策を展開した結果、両組織の主要幹部がほぼ逮捕され、あるいは死亡するなど、SL、MRTAともに組織は弱体化しました。これに伴い、テロ関連犯罪の件数も、1992年の2,995件をピークに減少が続き、近年は30件前後にまで減少しており、特定の地域以外でのテロ活動は認められていません。
(2)2000年3月には国内の非常事態宣言地域の指定が一旦全て解除されましたが、2003年6月の「テチント社キャンプ襲撃事件」等の発生を受け、ペルー政府は、地域を限定して再度非常事態宣言を断続的に発出し、現在もテロ対策のために多数の郡・町に発出されています。(詳細は、危険情報をご参照ください。)
(3)イスラム過激派等の国際テロ組織の活動はこれまで確認されていませんでしたが、2014年10月にシーア派民兵組織ヒズボラのメンバーとみられる男1名が逮捕されました。容疑者は、ペルーの治安警備状況を組織に報告するために滞在していたと供述していますが、一部専門家の間ではペルー国内でテロを計画していたとの見方もあり、イスラム過激派等の国際テロ組織の活動について、今後も注意する必要があります。
(4)ペルーでの誘拐事件は金銭目的のものが散見されていますが、治安当局に届け出ないものも多いとみられていることから、警察統計や報道に取り上げられる以上の誘拐事件が発生しているものとみられ、引き続き注意する必要があります。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)センデロ・ルミノソ(SL)
SLは、2002年3月の米大使館前における自動車爆弾事件以降、リマ市内では宣伝行為以外の活動は行っていません。しかし、非常事態宣言発出地域内においては、現在も軍や警察の治安部隊を狙った攻撃を繰り返し行っており、多くの犠牲者が出ています。そのため、これらの危険地域には立ち入ることがないよう、特に注意する必要があります。また、SLの政治部門とされる「恩赦と基本的権利のための運動(MOVADEF)」が、合法政党として政治に参加することを目的として活動を活発化させており、2016年の選挙に向けて「ペルー国民防衛統一戦線(FUDEPP)」と称する組織を新たに立ち上げて活動しています。今後、刑期を終えた重要幹部の釈放も予定されており、MOVADEFへの合流も予想されることから、これらの動きにも注意する必要があります。
(2)トゥパク・アマル革命運動(MRTA)
MRTAは、メンバーが次々と逮捕されるなどして、2000年以降表立った活動は殆どみられていません。現在は法廷闘争を継続しながら下部組織の再編を図っている模様で、釈放された元メンバーを集めているとの情報もあり、社会運動団体の代表として抗議活動を扇動している元メンバーも確認されています。また、MRTAの過激分子とみられる者達が、トゥパク・アマル人民革命軍(FAR-EPT)の創設を訴えるビデオによる声明を発表しましたが、これまでFAR-EPTの国内での活動は確認されていません。過去にMRTAは、在ペルー日本大使公邸占拠事件や、数々の身代金目的の誘拐事件を敢行してきました。隠し資金も未だ発見・差し押さえられていないこと、国外に逃亡したメンバーが国外の革命勢力との連携を目指してプロパガンダや資金活動を継続していること、服役していたメンバーが近年多数釈放されていることなどからも、引き続き十分な注意が必要です。

3.誘拐事件の発生状況
(1)1990年初頭まで国内テロ組織による誘拐事件が多発していたものの、政府が誘拐対策を強化した結果、テロ組織による犯行は劇的に減少し、現在のところ、都市部でのテロ組織による誘拐事件は確認されていません。
(2)しかしSLは、2012年4月にクスコ州ラ・コンベンシオン郡エチャラテ町ケパシアト地区のカミセア天然ガスプロジェクト宿泊施設から、関連従業員36名を連れ去る事件を起こしており、その後もガスプロジェクト関連企業従業員や道路建設企業従業員等を数時間拘束するなどの事件を起こしています。また、子供を誘拐して兵士に育てており、2014年7月及び8月には、国家警察及び国軍の合同部隊が、SLのキャンプから女性や子供54名を発見保護する事案も起きています。このように、SLは現在も、政治的、軍事的、経済的目的により、誘拐を敢行している状況が明らかになっていますが、これらの事件は誘拐事件として計上されていない点に注意する必要があります。
(3)近年、国家警察誘拐捜査課が認知した一般犯罪の誘拐事件(人質を拘束し身代金を要求する、いわゆる典型的誘拐)件数は5件前後となっています。しかし、ペルーでは犯人との交渉が法的に禁止されておらず、被害者が独自に犯人と交渉し、身代金を支払って解決しているケースも多いとみられ、実際には警察の確認件数以上の誘拐が発生している可能性があります。また、ペルーでも短時間誘拐は多く発生しているとみられていますが、同国では短時間誘拐は誘拐ではなく加重強盗として取り扱われており、統計上も短時間誘拐との分類が存在しないことから、その実数は不明です。
(4)これまで、誘拐の被害対象は裕福なペルー人が多く、外国人に対する誘拐事件の発生はほとんどみられませんでした。しかし、2011年8月には、韓国人企業家の子弟が通学中に誘拐される事件が発生したほか、外国人旅行者を狙った短時間誘拐も散見されています。中流家庭の子供が対象となる事件も発生しているため、今後も誘拐には十分な注意が必要です。

4.日本人・日本権益に対する脅威
 1996年の日本大使公邸占拠事件以降、日本人・日本権益を標的としたテロ事件は発生していません。しかし、同事件以前の1980年代後半から1990年代初頭にかけては、日本国大使館が爆弾テロの標的になったほか、日系企業もテロの対象になりました。また、1991年、リマ市北方のワラルにおいて、国際協力事業団(現JICA)の専門家3名がテロリストに殺害された事件も発生しています。現在でも、ペルー国内にテロ組織が現存していること、多数のテロリストが刑期を終え釈放されていることなどに鑑みると、日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して、誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。


(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。