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テロ・誘拐情勢

2017年05月15日

1 概況
(1)タジキスタンでは,近年,テロ事件の発生は確認されていません。しかし,爆弾テロを含めたテロ未遂事件の検挙や若者を中心とした潜在的なISIL支持者がいることなど,テロ事件発生の潜在的脅威は存在しています。
(2)最近,イスラム過激派の戦闘員が,タジキスタン南部に隣接するアフガニスタン北部に多数集結しているとみられています。アフガニスタン北部クンドゥーズ県等ではタリバーンが攻勢を強めており,こうした戦闘員によるテロや組織的な攻撃も発生しています。アフガニスタンの治安情勢によっては,タジキスタンの国内情勢が不安定化する可能性もあることから,注意が必要です。なお,2015年12月には,タジキスタン政府が国境警備隊の新兵舎を開設するなど, アフガニスタンとの国境付近の警備体制を強化しています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)タジキスタン政府は,ISILやタリバーン等,次の17団体をテロ組織として指定し,厳しく取締りを行っています。
(ア)アル・カーイダ(AQ),(イ)タリバーン,(ウ)ウズベキスタン・イスラム運動(IMU),(エ)ジャモアット・アンサルロー,(オ)ヒズブ・タフリール(解放党),(カ)ジャモアット・タブリク,(キ)自由タジキスタン(トジキスタン・オゾード(OZOD)),(ク)ブラーチヤ・ムスリム(ムスリム同胞団),(ケ)東トルキスタン・イスラム運動(ETIM),(コ)サラフィー運動(スンニ派厳格復古主義),(サ)ラシュカレ・タイバ(LeT),(シ)パキスタン・タリバーン運動(TTP),(ス)サズモニ・タブリゴット,(セ)グループ24,(ソ)ISIL,(タ)ヌスラ戦線,(チ)イスラム復興党
(2)なかでも,ISILは,2015年1月,アフガニスタン,パキスタン及びその周辺の土地を含む地域に「ホラーサーン州」の設立を宣言しました。同年3月には,ISILに参加するタジキスタン人戦闘員が,タジキスタンで戦闘を行うと主張する動画をインターネット上に投稿し,同年5月には,元内務省特殊部隊(OMON)司令官がISILに参加しました。現在までのところ,タジキスタン国内では,ISILの具体的な活動は確認されていませんが,タジキスタン政府が公表した最新データによると,イラク・シリアにおいてISILに参加するタジキスタン人戦闘員は約1,100名以上に上っており,今後,これらの戦闘員が帰国して,タジキスタン国内でテロ・誘拐事件等を起こす可能性も懸念されます。
(3)また,IMUから派生し,タジキスタン内戦時代の反政府統一戦線の野戦司令官が率いるジャモアット・アンサルローは,2010年9月,ソグド州内務局施設に対する自爆テロを行っています。これに対し,タジキスタン治安当局は,指定テロ組織に関与した罪やシリアでの戦闘に傭兵を斡旋した罪等で,ジャモアット・アンサルローの構成員を逮捕する等取締りを強めています。
(4)更に,2015年9月には,ドゥシャンベ市及びヴァフダット市で,元国防次官率いる反政府グループが内務省施設を襲撃する事件が発生しました。その後,ドゥシャンベ市から東方約130キロに位置するロミット渓谷にて,犯行グループとタジキスタン治安機関との間の攻防戦が続き,同月16日,首謀者死亡の末,事件は終結しました。

3 誘拐事件の発生状況
 外国人を標的とした誘拐事件はほとんど発生しておらず,また,2016年は,日本人を含む外交団等を対象とする誘拐事件は発生していませんが,タジキスタン南部のアフガニスタン国境沿いで,麻薬売買の際の金銭の支払いに絡むトラブルが原因とみられる誘拐事件が発生しています。2014年には,外国人の子供を標的とした誘拐未遂事件が発生したとの情報もあり,注意が必要です。また,背景は不明ですが,同年12月には,アフガニスタン国内のイスラム過激派によるタジキスタン国境警備隊員の誘拐事件も発生しました。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 タジキスタンでは,我が国が実施している経済支援や伝統的な友好関係により,日本及び日本人に対する国民感情は概ね良好です。このため,日本人・日本権益を直接の標的としたテロ・誘拐の脅威は高くないとみられています。
 しかし,タジキスタンには爆弾テロ等の計画犯やISIL支持者が潜伏しているとみられること,また,近年,シリア,チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,パリ,ブリュッセル,イスタンブール,ジャカルタ等でテロ事件が発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。



(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要し,又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が,報道等の情報等に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。