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タジキスタン
テロ・誘拐情勢

更新日 2023年05月02日

1 概況
(1)2022年5月、タジキスタンではゴルノバタフシャン自治州ホログ市及びルション市周辺において大規模なデモや道路封鎖などの抗議活動が行われ、治安機関が鎮圧のため介入する事態となりました。内務省は、治安機関を攻撃する集団に対して「対テロ作戦」 を開始したと発表し、鎮圧活動が行われました。この事態により、多数の死傷者が出た模様です。そのほか、2022年にイスラム過激派によるテロは確認されていません。
 しかし、2018年はハトロン州ダンガラ付近における外国人自転車旅行客殺害事件(7月)やフジャンド刑務所暴動事件(11月)等が発生し、2019年にはヴァフダト刑務所暴動事件(5月)やウズベキスタンとの国境に位置する国境ポスト襲撃事件(11月)等が発生し、いずれの事件でも、関与の真偽及びその程度は明らかではありませんが、イラク・レバントのイスラム国(ISIL)が事件関与の犯行声明を発表しています。
 また、2020年4月にはドイツにおいて、駐留米軍への攻撃を企図したISILセルのメンバーであるタジキスタン国籍者5名が逮捕されました。容疑者らはISILに参加し、当初はタジキスタン国内で攻撃実施を計画したとされており、依然としてテロに対し予断を許さない状況にあります。
(2)以前から、タジキスタン南部に隣接するアフガニスタン北部には多数のイスラム過激派が集結していると言われており、タジキスタン・アフガニスタン国境は緊迫状態が続いていました。そのような情勢の中、2021年のアフガニスタン政情不安の影響で、アフガニスタン国境付近のアフガニスタン側地域をタリバーンが統治を始めた一方、タジキスタン側は国境警備を更に強化しており、国境付近は非常に緊迫しています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)タジキスタン政府は、ISILやタリバーン等、次の17団体をテロ組織として指定し、厳しく取締りを行っています。
(ア)アル・カーイダ(AQ)、(イ)東トルキスタン・イスラム運動、(ウ)トルキスタン・イスラム党(旧ウズベキスタン・イスラム運動)、(エ)タリバーン、(オ)ムスリム同胞団、(カ)ラシカル・エ・タイバ、(キ)イスラムグループ(ジャマート・イ・イスラミ・パキスタン)、(ク)ジャマート・タブリゴット、(ケ)自由タジキスタン、(コ)ヒズブット・タフリール、(サ)ジャモアット・アンサルロー、(シ)サラフィー、(ス)グループ24、(セ)ISIL、(ソ)ヌスラ戦線、(タ)イスラム復興党、(チ)タジキスタン国民同盟(PMT)
(2)なかでも、ISILは、2015年1月、アフガニスタン、パキスタン及びその周辺の土地を含む地域に「ホラーサーン州」の設立を宣言しました。同年3月には、ISILに参加するタジキスタン人戦闘員が、タジキスタンで戦闘を行うと主張する動画をインターネット上に投稿し、同年5月には、元内務省特殊部隊(OMON)司令官がISILに参加しました。2018年7月にはドゥシャンベ市から南東約100kmに位置するダンガラ郡において、自転車で旅行中の外国人観光客7名が車で襲撃され、その後ナイフで刺される事件(4名死亡、後日ISILが犯行声明)が発生しています。また、2019年5月にドゥシャンベ市から東方約15kmに位置するヴァフダト郡所在の強制収容所において、ISILに参加した罪で服役中の囚人約30名が暴動を起こし、看守3名及び囚人29名が殺害される事案が発生しました。同年11月には20名から成る武装グループが、ウズベキスタンとの国境にある警備ポストを襲撃し、治安当局関係者2名及び犯人グループ15名が殺害され、残りの5名が逮捕される事件も発生しました。いずれの事件でも、関与の真偽及びその程度は明らかではありませんが、ISILが事件関与の犯行声明を発表しています。タジキスタン当局は、2014年から2019年にかけてISILに参加した当国出身者は約2,000人であると推計しており、今後、これらの戦闘員が帰国して、タジキスタン国内でテロ・誘拐事件等を起こす可能性も懸念されます。
(3)タジキスタン内戦時代の反政府統一戦線の野戦司令官が率いるジャモアット・アンサルローは2010年9月、ソグド州内務局施設に対する自爆テロを行っています。これに対し、タジキスタン治安当局は、指定テロ組織に関与した罪やシリアでの戦闘に傭兵を斡旋した罪等で、ジャモアット・アンサルローの構成員を逮捕する等取締りを強めています。
(4)2015年9月には、ドゥシャンベ市及びヴァフダット市で、イスラム復興党メンバーの元国防次官率いる反政府グループが内務省施設を襲撃する事件が発生しました。その後、ドゥシャンベ市から東方約130キロに位置するロミット渓谷にて、犯行グループとタジキスタン治安機関との間の攻防戦が続き、同月16日、首謀者死亡の末、事件は終結しました。

3 誘拐事件の発生状況
 2022年、日本人を含む外国人を標的とする誘拐事件は発生していません。過去にはタジキスタン南部のアフガニスタン国境沿いで麻薬販売に絡む誘拐事件が発生しています。2016年3月にはダルヴォズ郡内のタジキスタン・アフガニスタン国境付近において、アフガニスタン武装集団による襲撃事件が発生し、トルコの企業道路建設業者のタジキスタン人労働者2名が誘拐されましたが、後日解放されています。2014年には、外国人の子供を標的とした誘拐未遂事件が発生したとの情報もあります。また、背景は不明ですが、同年12月には、アフガニスタン国内のイスラム過激派によるタジキスタン国境警備隊員の誘拐事件も発生しました。タジキスタン・アフガニスタン国境付近における誘拐事件のほとんどは麻薬売買に伴う金銭トラブルが原因とされていますが昨今の政治情勢不安の影響もあることから注意が必要です。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 これまでに、タジキスタンにおいては、1998年7月に秋野元国連タジキスタン監視団(UNMOT)政務官他が殉職して以来、テロによる日本人・日本権益を直接標的としたテロ事件の被害は確認されていません。
 テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 近年では、単独犯によるローンウルフ型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、こうしたテロの発生を未然に防ぐことは困難です。
テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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