1. ホーム
  2. 地図からの選択
  3. テロ・誘拐情勢
  4. リビア

リビア
テロ・誘拐情勢

更新日 2022年04月01日

1 概況
(1)内戦状態が続いていたリビアでは、2020年10月の停戦合意の成立を受け、翌2021年3月には暫定国民統一政府(GNU)が成立しました。政治プロセスが進み始めたものの、同年12月24日に予定されていた国政選挙は、候補者の乱立、憲法等各種法令未整備等により、現在まで実施の目処は立っていません。選挙の延期を受け、GNUの正統性を疑問視する代表議会(HOR)は、2月に新首相を任命し、同新首相を首班とする国民安定政府(GNS)が設置されました。GNSのトリポリ入りをめぐって、それぞれの民兵が対立するなど、緊張が高まっています。政治情勢の混迷を受けて、各地で民兵組織間の武力衝突も発生しているほか、密輸、政府要人・職員等を対象とした誘拐、強盗等の凶悪犯罪も発生しています。
(2)「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」は、組織としての勢力が大幅に減退しましたが、今日でもISILによるテロ攻撃は引き続き散発的に発生しており、東部を事実上支配する「リビア国軍(LNA)」は、テロ掃討作戦を掲げて南部にも展開し、拠点を構築しています。2022年1月にも、南部地域においてLNA部隊に対する攻撃が発生し、ISILが犯行声明を発表した事案があり、引き続きLNAによるテロ掃討作戦が行なわれています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)リビアにおけるテロ組織としては、「アンサール・アル・シャリーア・ベンガジ」及び「アンサール・アル・シャリーア・デルナ」の2組織が、2014年に米国及び国連によりテロ組織に指定されました。しかし、2017年5月、敵対する「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)関連グループとの戦闘等により勢力は減退し、「リビアのアンサール・アル・シャリーア」名で、組織の解散が表明されました。
(2)2016年12月、ISILは、リビアにおける活動の拠点としていたシルテから掃討されたことで活動規模は大幅に縮小しましたが、2018年には、首都トリポリにおいて、高等選挙委員会(5月)、国営石油公社本部(9月)、外務国際協力省(12月)を標的としたテロ攻撃が実行されました。また、2019年8月には、東部のベンガジのショッピングモール前にて国連の車列を標的にした自動車爆弾テロにより国連職員3名が犠牲となっています。その後は、2019年に米軍による空爆及びLNAによる南部へのテロ掃討作戦を受け、ISILは組織としての勢力が大幅に減退しました。
(3)しかし、今日でもISILによるテロ攻撃は引き続き散発的に発生しており、2020年にはLNAに対する自爆テロを実行。2021年にもリビア南部セブハ(6月)及び中部ズィラーフ(8月)においてLNAを標的とする自爆テロを実行し、犯行声明を発出しています。また、2022年1月には南部セブハにおいてLNAを標的とする連続テロが発生し、LNAによる大規模な掃討作戦が継続しています。

3 誘拐事件の発生状況
 リビアでは、誘拐事件の統計が存在せず、詳細な発生件数は不明ですが、政治的動機に基づいた外交官、政府職員等の誘拐や、対立する民兵組織・部族間での構成員の誘拐、身代金目的の企業関係者の誘拐等が頻発しています。また、ISILやアル・カーイダ系テロ組織については、外国人や異教徒・異宗派を標的とした誘拐を主要活動の1つとする傾向が見られます。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 現在のところ、リビアにおいて、日本人及び日本権益を標的とした脅威情報は確認されていませんが、上記の情勢に加え、全土に実行力を有する統治機構が十分機能せず、民兵組織やISILをはじめとする過激派武装勢力が活発に活動している状況から、リビアにおいては、日本人・日本権益がテロ・誘拐事件の標的となる、あるいは巻き添えとなる可能性が高く極めて危険です。
 このような状況を十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

 「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
page TOP