カメルーン
テロ・誘拐情勢
更新日 2023年01月31日
1 概況
カメルーン極北州では、隣国ナイジェリアを拠点とするイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」や「イラク・レバントのイスラム国西アフリカ州(ISWAP)」が国境を越えて侵入しています。特に、チャド湖周辺における活動は活発で、同地域に展開する治安機関及び集落等に対する襲撃、略奪、誘拐等が後を絶たず、多数の死傷者が出ています。
英語圏(北西州及び南西州)では、英語圏独立を掲げる分離独立派と治安部隊との衝突が常態化し、民間人を含め多数の死傷者が発生しているほか、地元有力者(政治家、資産家等)や聖職者、学校の教員及び生徒等を標的とした誘拐事件も発生しています。
首都ヤウンデや商業都市ドゥアラにおいては、2020年以降、即席爆発装置(IED)の爆発事件や同未遂事件が複数回発生しています。スーパーマーケットやベーカリー、市場、バー等が標的とされた事例もあり、今後日本人がテロ事件に巻き込まれる可能性も否定できません。
2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
「1 概況」のとおり。
3 誘拐事件の発生状況
統計がないため正確な発生数は不明ですが、極北州においてボコ・ハラムによる誘拐事件が多発しています。カメルーン人を狙った誘拐は自らの戦闘員、自爆テロ要員又は支援者にするためと言われていて、女性、子供を問わず、洗脳し自爆テロ犯に仕上げる残忍な手段を用いています。
また、東部の中央アフリカ国境地帯や北東部のチャド国境地帯でも誘拐事件が頻発しています。中央アフリカから流入してきた武装勢力が、当局により逮捕された同胞の釈放や身代金を要求するために誘拐等を行っています。
その他、ドゥアラやヤウンデ等の都市部においては女性及び子供を対象とした誘拐事件が、また、アダマワ州においては幹線道路を通行する車両を標的とした身代金目的の誘拐事件が発生しています。
英語圏(北西州及び南西州)においては、英語圏分離独立派武装グループにより、地元有力者(政治家、資産家等)や聖職者、学校の教員及び生徒らが身代金目的又は政治目的で誘拐された末、殺害又は行方不明になっている事件が発生しています。
また、外国人が巻き込まれる誘拐事件も複数発生しており、2021年2月24日には、極北州において、外国人3名を含む国境なき医師団の職員5名が武装集団に拉致される事件も発生しています。
4 日本人・日本権益に対する脅威
テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
近年では、単独犯によるローンウルフ型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、こうしたテロの発生を未然に防ぐことは困難です。
テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。