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テロ・誘拐情勢

2017年05月09日

1.概況
(1)2016年11月、イスラム過激派組織ISIL(イラク・レバントのイスラム国)は、トルコをジハード(聖戦)の場として宣言して攻撃を呼びかけ、2017年1月1日にはイスタンブールのナイトクラブにおいて外国人や観光客などを対象としたテロが発生しました。現在も全国でトルコ治安当局によるISIL関係者の捜査と摘発が行われています。

(2)反政府武装組織クルド労働者党(PKK、クルド人民会議(KONGRA-GEL))は、2015年7月に政府との和平プロセスが崩壊して以降、テロ活動を再開しています。トルコ南東部及び東部の他、2016年にはイスタンブールやアンカラ等の都市部においても関連組織であるTAK(クルディスタン解放の鷹)による警察や軍を狙ったテロが発生しました。現在もトルコ治安当局はトルコ南東部及び東部を中心に対PKKオペレーションを継続しています。
(3)極左過激派組織DHKP/C(革命人民解放党/戦線)は、主に治安・司法機関や米国在外公館をテロの対象として活動しており、2016年3月、同組織による機動隊を狙った銃撃事件がイスタンブール市内において発生しました。
(4)2016年12月、アンカラ市内の文化センターにおける写真展の開会式において、スピーチ中のカルロフ駐トルコ・ロシア大使が、警護官を装った非番の警察官による銃撃を受けて死亡する事件が発生しました。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1) イスラム過激派組織ISIL(イラク・レバントのイスラム国)
 ISILはトルコをジハードの場として宣言し攻撃を呼びかけています。2016年1月にイスタンブールの旧市街にあるスルタンアフメット広場、2016年6月にイスタンブールのアタテュルク国際空港、2017年1月にイスタンブールのオルタキョイ地区にあるナイトクラブにおいて、ISILによると見られるテロが発生((注)ナイトクラブのテロに関しては犯行声明あり。)し、多くの外国人を含む死傷者が出ました。現在トルコには約300万人のシリア難民が流入しており、そのシリア難民にISIL関係者が紛れ込んでいる可能性があると言われています。トルコ治安当局はISILに対する取締りを継続しており、トルコ各地でISIL関係者を拘束しています。
(2)反政府武装組織クルド労働者党(PKK、クルド人民会議(KONGRA-GEL))
 イラク北部を主たる拠点とするPKKは、2013年3月に停戦を宣言し、トルコ政府との間で和平プロセスが進められ、PKKと治安当局との武力衝突は同宣言後激減していました。しかし、2015年7月に和平プロセスが崩壊して以降、トルコ南東部及び東部においてPKKによる警察及び軍関係施設等に対するテロ事件が発生しています。また、その関連組織であるTAKによって、主に軍や警察を対象として、2016年2月にアンカラ市内の空軍司令部付近、同年3月にアンカラ市内クズライ交差点付近、同年12月にイスタンブール市ベシクタシュ地区のサッカースタジアム付近において自爆テロ事件等が発生しました。トルコ治安当局は、トルコ南東部及び東部を中心にトルコ全土においてPKKに対する掃討作戦を実施しており、多くのPKK関係者を拘束しています。
(3)極左過激派組織DHKP/C(革命的人民解放党/戦線)
 DHKP/Cは、2016年3月、イスタンブール市バイラムパシャ地区に所在する機動隊基地前において女性テロリスト2人による自動小銃を使った銃撃事件を、また、2013年2月、アンカラに所在する米国大使館に対する自爆テロを起こしました。DHKP/Cは、主に治安・司法機関や米国在外公館をテロの対象として活動しています。
(4)アル・カーイダ関連組織等その他のイスラム過激派組織
 トルコ国内では、2003年に起きたイスタンブールでの連続爆弾テロ事件及び2008年に起きた在イスタンブール米国総領事館襲撃テロ事件以降、トルコ治安当局の取締りが強化されています。それ以降は、アル・カーイダ関連組織によるとみられる大規模なテロ事件は発生していません。

3.誘拐事件の発生状況
 2007年以降、犯罪統計を当局が公表していないため、誘拐事件の総数については明らかになっていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威
 トルコではこれまで日本人や日本権益を直接対象としたテロ事件は発生していません。しかし、日本人観光客も多数訪れるイスタンブール等の観光地においても自爆テロ事件等が発生していることに留意する必要があります。
 また、近年、シリア、チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や、パリ、ブリュッセル、ジャカルタ等でテロ事件が発生しています。このように、世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか、これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており、日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して、誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。