アフガニスタン | Afghanistan > テロ・誘拐情勢

テロ・誘拐情勢

2016年02月01日

1 概況
(1)アフガニスタンでは,タリバーン等の反政府武装勢力による駐留外国軍やアフガニスタン治安部隊,政府関係者,外国人・外国権益及び民間人等を標的としたテロ・襲撃等が,首都カブールを含む各地で多発しています。
(2)2014年末,国際治安支援部隊(ISAF)の任務が終了し,アフガニスタン治安部隊に治安権限が移譲されました。2015年初めからは,米国を含むNATO加盟国等の部隊は「確固たる支援任務(RSM)」として,アフガニスタンでの駐留を継続しています。これに対し,タリバーンは,外国軍のアフガニスタン駐留は侵略行為であり,外国軍が完全に撤退するまで戦闘を継続するとの姿勢を示し,首都カブールを含む各地においてテロ攻撃等を激化させています。こうした状況下,アフガニスタンにおけるテロの発生状況はより一層悪化しており,民間人の死傷者数も増えています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
  アフガニスタンでは,タリバーンやヒズベ・イスラミ・ヘクマティヤル派等の反政府武装勢力がテロ活動に関与しています。また,東部地域等では,ISIL(イラク・レバントのイスラム国)系武装勢力の活動も確認されており,こうした組織の動向にも注意する必要があります。

(1)タリバーン
  1996年から2001年までの間,アフガニスタンを実効支配し,現在は国内の反政府武装勢力として最大の勢力を有するタリバーンは,アフガニスタン東部及び南部を中心に,国内各地で活発なテロ活動を続けています。タリバーンは,アフガニスタンからの駐留外国軍の撤退及びイスラム統治を標榜し,駐留外国軍やアフガニスタン治安部隊,政府関係者等を対象に,自爆攻撃や簡易爆弾(IED)等による攻撃を繰り返しています。また,タリバーンの中には,ハッカーニ・ネットワーク等のように,独自にテロを計画・実行するグループも存在します。
  2014年末のISAFの任務終了及びアフガニスタン治安部隊への治安権限移譲に伴い,2015年初めから,米国を含むNATO加盟国等の部隊はRSMとして,アフガニスタン治安部隊に対する訓練・助言及び支援を行うため,アフガニスタンに駐留しています。これに対し,タリバーンは,駐留外国軍が完全に撤退するまで戦闘を継続するとしています。
  また,2015年7月には,タリバーンの最高指導者オマル師の死亡が確認され,後継者としてマンスール師が選出されましたが,それ以降,マンスール師を支持するグループとこれに反対するグループとの間で激しい内部抗争が繰り広げられています。タリバーン内部の後継をめぐる問題が治安情勢に与える影響について,注視する必要があります。
  こうした中,マンスール師率いるタリバーンは, 2015年9月,クンドゥーズ県(北東部)県都クンドゥーズ市を一時的に陥落させました。その後もタリバーンは,アフガニスタン北部,北東部,南部及び西部において大規模な攻撃を行い,全国で20を超える郡を相次いで制圧する等,攻勢を強めています。

(2)ヒズベ・イスラミ・ヘクマティヤル派
  グルブッディン・ヘクマティヤル元首相が率いるヒズベ・イスラミ・ヘクマティヤル派は,タリバーンに次ぐ反政府武装勢力とされ,アフガニスタン東部及び北東部一帯を中心に,一定の勢力を維持しています。同派は,駐留外国軍の撤退及びイスラム統治を標榜し,アフガニスタン東部や北東部,中央部を中心に,駐留外国軍や政府関係者を主な標的としたテロを実行しているほか,各地域の支配権をめぐって,タリバーンと衝突する等しています。また,同派の一部によるISILへの参加を示唆する動きもみられます。

(3)アル・カーイダ
  アル・カーイダは,アフガニスタン・パキスタンの国境地域に潜伏しつつ,イスラム諸国から異教徒の影響を排除することを目的として,アフガニスタンに戦闘員を送り出す等,米国及びその同盟国等に対する攻撃に関与しているものとみられています。しかし,近年,アル・カーイダが単独で実施したテロ事件は確認されていません。また,空爆によるアル・カーイダ幹部の死亡も報告されています。

(4)ISIL系武装勢力
  2015年1月,ISILは,アフガニスタン及びパキスタンの親ISIL武装勢力を「ISILホラーサーン州」と名付け,実質的な支部を設立しました。ISILホラーサーン州は,ナンガルハール県(東部)の複数の郡に拠点を置きつつ,複数の県において活動を行っています。イラクやシリアからの戦闘員も参加しているとみられ,タリバーンとの間で戦闘を行う一方,政府関係者や治安部隊,民間人等に対するテロ・誘拐等を行い,タリバーンや政府に協力した疑いのある民間人を斬首する等しています。また,2015年10月には,首都カブールにあるイスラム教シーア派系の宗教施設付近で爆弾テロを実行しています。今後,同武装勢力がアフガニスタンにおける影響力を強める可能性もあり,注意が必要です。

3 誘拐事件の発生状況
  アフガニスタンでは誘拐事件も多発しており,年間の発生件数は数百件に上ります。反政府武装勢力が政治目的のために実行する場合もありますが,多くは犯罪者集団による身代金目的の犯行とみられています。また,一部地域では,高い失業率と貧困から,誘拐がビジネス化しています。
  これらの誘拐事件では,政府高官の家族,政府関係者,警察官等治安部隊関係者,裕福なビジネスマン,ジャーナリスト,援助関係者,建設作業員等,様々な人々が被害に遭っています。僅か2,000アフガニー(日本円で約3,400円)の身代金目的で,一般の子どもが誘拐されるケースもあります。

4 日本人・日本権益に対する脅威
  アフガニスタンで活動する反政府武装勢力は,外国からの援助を内政干渉及び敵対する政府への支援とみなす傾向があり,外国人を標的とした襲撃や誘拐事件が多発しています。2008年には,ナンガルハール県(東部)において,邦人NGO関係者が武装集団に誘拐・殺害されたほか,2010年には邦人ジャーナリストが武装集団に誘拐される事件が発生しており,極めて高い脅威があります。

(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。