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テロ・誘拐情勢

2017年01月30日

1.概況
(1)中国政府の発表によれば、中国におけるテロ事件は主として新疆ウイグル自治区内で発生しています。
(ア)新疆ウイグル自治区では、ウイグル族を主体とする少数民族の一部がいくつかの地下組織を結成し、同自治区全域を領土とするイスラム国家「東トルキスタン国」の建設を目的として民族独立運動を行っていると言われています。
(イ)特に1990年代以降、新疆ウイグル自治区では、無差別殺傷事件、地元の政府・共産党要人の暗殺、行政府庁舎への襲撃等の凶悪事件が頻発するようになったとされ、2014年にはウルムチ市等で多数の一般市民が犠牲となり、2015年には海外の過激組織から指揮を受けたテロ集団が同自治区アクス地区の炭鉱を襲撃し、多数の死傷者が出るなど、同自治区においては引き続きテロとされる事案が発生しているほか、同自治区以外においてもテロ襲撃未遂事件が検挙されています。2016年中は、同自治区ホータン地区における爆破事件により警察幹部等が死傷したとされます。

(2)中国政府は、2003年12月、東トルキスタン・イスラム運動、東トルキスタン解放組織、世界ウイグル青年代表大会、東トルキスタン情報センターの4つの組織をテロ組織として認定し、これらの組織の幹部等11名をテロリストとして認定したと発表しました。さらに、2008年10月及び2012年4月、東トルキスタン・イスラム運動の幹部等をテロリストとして認定したと発表しました(2008年:8名、2012年:6名)。中国政府によれば、これらの組織のうち、東トルキスタン・イスラム運動と東トルキスタン解放組織については、国際テロ組織アル・カーイダとつながりがあるとされています。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢
 中国政府が認定した4つのテロ組織のうち、アル・カーイダとつながりがあるとされた2つの組織の活動状況は、中国政府の発表や報道によると次のとおりです。
(1)東トルキスタン・イスラム運動:Eastern Turkistan Islamic Movement(ETIM)
 政教一致の「東トルキスタン国」の独立を目指すテロ組織で、1997年にハサン・マフスームとアブドゥルカディル・ヤプカンが組織しました。1998年から1999年にかけて活発にテロ活動を行っており、2002年9月11日に国連によりテロ組織と認定されました。2013年11月にトルキスタン・イスラム党(TIP)が北京市天安門前で発生した車両突入・炎上事案を「聖戦」と評価し、今後、人民大会堂を含む中国国内の複数の地点で襲撃活動を行うとする声明を出しましたが、中国政府は、TIPと東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)は同一組織であるとしています。また、このTIPは、2014年3月に雲南省昆明市の昆明駅周辺で発生した事案及び4月に新疆ウイグル自治区ウルムチ市のウルムチ南駅周辺で発生した事案についても、評価する声明を出すなどしています。また、報道によれば、2015年に密出国しようとしていた者5名が東トルキスタン・イスラム運動への参加を企てていたとされます。

(2)東トルキスタン解放組織:Eastern Turkistan Liberation Organization (ETLO)
「東トルキスタン国」の独立を目指すテロ組織で、別名は東トルキスタン民族党。1996年にムハンメテミン・ハズレットによって組織されました(本部はイスタンブール)。中国や中央アジアでテロを行っており、2003年には、メンバーがキルギスで新疆ウイグル自治区に向かうバスを焼き討ちし、中国人16名、キルギス人4名を死亡させました。2005年9月には、同組織に属する「天山獅子隊」を名乗るグループが、今後あらゆる手段を使って中国政府に対する武装闘争を発動すると宣言したことが報じられました。

3.誘拐事件の発生状況
 中国国家統計局によれば、全国の公安機関による児童及び婦女の誘拐・人身売買事案の立件数については、2015年中9,150件(前年比7,333件減)となっています。なお、2016年中における誘拐・人身売買事案に関する立件数については、未だ公表されていません。
誘拐の主な対象は中国人の富裕層、幼児を含む若年層等であり、外国人を狙った誘拐事件は多くありません。しかし、かつては、日本人を被害者とする誘拐事件も発生しています。

4.日本人・日本権益に対する脅威
(1)2013年10月に北京市天安門前で発生した車両突入・炎上事案により日本人も負傷しました。また、トルキスタン・イスラム党を名乗る団体は、今後、人民大会堂を含む中国国内の複数の場所で襲撃活動を行うと宣言したとされます。報道によれば、2015年中、遼寧省瀋陽市、浙江省温州市等において当局により襲撃を計画等していたテロリストも検挙されています。
(2)中国において、日本人・日本権益を直接標的としたテロ事件は確認されていませんが、近年、シリア、チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や、パリ、ブリュッセル、イスタンブール、ジャカルタ等でテロ事件が複数発生しています。このように、世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか、これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており、日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して、誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等2016年12月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。